【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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今回、最初だけ光輝視点です


奥義3 ステータスプレート

 翌日、早速訓練と座学が始まった。

 まず、集まった生徒達に小さな長方形の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 騎士団長が指導とは豪華だと思いつつも、これは俺達がそれだけ期待されているんだなと光輝は考えていた。

 メルド団長本人は、「むしろ面倒な雑事を副長に押し付ける理由が出来て助かった」と豪快に笑っていたが。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれる物だ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 その後、メルドはステータスプレートとアーティファクトの説明を簡単に済ませ、いよいよクラスメイト達はステータスプレートの魔法陣に血を擦り付けた。光輝も同じように血を擦りつけ表を見る。

 

 

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天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・強力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

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 表示されたステータスを見て、ゲームみたいだなと思う光輝。他のクラスメイト達もマジマジと自分のステータスを見ている。

 その後、ステータスとレベル、そして天職について説明をメルドから受けた一同。そしてそれぞれのステータスを報告する段になり、光輝はメルドに見せた。

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

「いや~、あはは……」

 

 団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。ちなみにメルドのレベルは62、ステータス平均は300前後。これがこの世界のトップレベルの強さである。レベル1で三分の一にまで迫っている光輝がいかに規格外か分かるものだ。

 光輝に続き、他のクラスメイト達もステータスをメルドに見せる。ほぼ全員が戦闘系天職で、十分強いのだが光輝には及ばない。それを見て光輝は、自分が先頭に立って皆を率いなければ、と決意を新たにした。

 途中、鈴のステータスの一部に小数点が混ざっているという事態が起こり、メルドが訝し気に何度も確認していたが、光輝達はハジケリストだし、と特に気にしなかった。

 そして最後に南雲ハジメ、首領パッチ、ところ天の助の三人が残った。

 光輝は思う。後の二人は全く知らないので何とも言えないが、少なくとも南雲は真拳使いだから実力は確かだろう。でもこの世界に来て俺も力が膨れ上がっている。これなら俺も負けない筈だし、南雲はお世辞にもリーダーに向いているとは思えないからできれば出しゃばらないでほしい。

と思っている間にハジメはメルド団長にステータスを見せる。そのステータスは

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:まだまだ

天職:納豆戦士

筋力:すごい

体力:やばい

耐性:ぱない

敏捷:はやい

魔力:あるよ

魔耐:そこそこ

技能:納豆真拳・ハジケリスト・言語理解

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 おかしかった。

 

「「「文字――――――――――!?」」」

 

 年齢以外の数字があるべき部分に文字、しかも小学生の感想みたいな言葉が書いてあることにツッコミが抑えられない一同。

 

「というか天職の納豆戦士とはなんだ!?」

 

 あまりの異常に答えが来るとは思わない問いを投げるメルド。

 

「納豆戦士とは、納豆真拳を一定以上極めた者に送られる称号の事で――」

「いきなりどうしたんだ雫!? おかしいぞ!?」

 

 まさかの雫がいきなり納豆戦士について解説をはじめてしまい、思わずパニックになる光輝。

 

(あいつ、ヘッポコ丸キャラだったのか……)

 

 解説する雫を見た首領パッチが密かにそんなことを思っていたのには、誰も気付かなかった。

 そして数分後、何とか全員が落ち着き次は天の助のステータスを見ることになった。

 

「というか僕程度でこんなにはしゃいでて大丈夫かな……。残り二人に耐えられるの?」

「不安だね」

 

 という会話がハジメと鈴の間でひっそり行われていたのは内緒の話。

 そうこうしている間に、天の助のステータスが表示される。

 

 

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ところ天の助 賞味期限切れ 男 レベル:ぬ

天職:錬成師

筋力:ぬ

体力:ぬ

耐性:ぬ

敏捷:ぬ

魔力:ぬ

魔耐:ぬ

技能:錬成・プルプル真拳・ハジケリスト・ぬ・寒天・言語理解

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「「「ぬって何だ―――――――!?」」」

 

 数字の部分がまさかの平仮名一文字、その事実に誰もが耐えられない。

 

「というか俺寒天なの!?」

 

 そして当人も、自分の技能に寒天がある事に驚いていた。

 

「ところでメルド団長、錬成師ってどういう職業なんですか?」

 

 それらを差し置いてハジメは気になったことを尋ねる。メルドは躊躇いつつ返答した。

 

「ああ、その、何だ、錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛冶職のことだ。鍛冶する時に便利だとか……」

「つまり雑魚ってことですね」

「焼きそばパン買ってこいよ天の助!」

 

 メルドの答えを聞いて躊躇なく雑魚認定するハジメと、便乗する首領パッチ。しかし天の助も、舐められたまま終われなかった。

 

「錬成師舐めんじゃね――! 錬成流奥義、ランスランスレボリューション!!」

 

 天の助の奥義発動と共に、どこからともなく大量の槍が空に現れ、ハジメ達に容赦なく降り注いだ。

 

「「ぎゃああああ――――――! 錬成師強ええ―――――!!」」

「いや知らんぞこんな技!?」

 

 メルドが錬成師の未知なる力に驚く。というかツッコミを入れる。

 一方、クラスメイト達はいい加減疲れてきたので、話をさっさと進めたかったので、首領パッチにステータスを見せるように頼んだ。

 

「つまりトリって奴だな。コケコッコー!」

「鶏!?」

 

 そして首領パッチもノリノリでステータスを見せた。

 

 

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首領パッチ 現在、過去、未来は総てヨグ=ソトースの内に一なり 男 レベル:チョゲプリェ……

天職:決闘者(デュエリスト)

筋力:フライ

体力:スカイ

耐性:プルコギ

敏捷:カウントダウン

魔力:ギリギリchop

魔耐:恋はスリル、ショック、サスペンス

技能:シャイニングドロー・積み込み・状態異常耐性・ハジケリスト[+キング]・言語理解?

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「「「もはや意味分からん!!」」」

「というか何で途中からコ○ンのオープニングになってんだよ!?」

 

 あまりの意味不明さに、クラスメイト達は総出でツッコミを入れている。

 だがメルドは、今まで出会った事の無い異常に着いてこれずフリーズしてしまった。皆はハジメ達を放っておいて必死で、メルドの復旧に必死になるのだった。

 

「というか僕の技能ほぼ全部自前じゃんか!!」

「グバァ!!」

 

 そしてハジメは檜山に八つ当たりをしていた。

 

 


 

 

 ステータスプレートを渡されてから二週間が経った。

 クラスメイト達はメルド率いる騎士達や、宮廷魔術師達に訓練を受けていたが、ハジメ達をどう訓練すればいいのか分からず匙を投げられていた。

 ハジメ達は人の訓練を手伝ったり、好き勝手ハジケたり、時には王立図書館で魔物やこの世界の情報を調べたり、首領パッチの天職に合わせて遊戯王カードで遊んだりしていた。

 

「これで終わりだ! ブラックパラディンの攻撃、超・魔・導・烈・波・斬!!」

「ぐわあああああああああああ!!」

「とこ馬……。憎しみの果てに真の勝利は無い……」

「図書館では静かに!」

「「ぎゃあ!!」」

 

 図書館ではしゃぎながらデュエルしていた為、司書にハードカバーの本で首領パッチ達は殴られた。

 

「いや、司書なんだから本は大事にしないといけないんじゃ……」

「あなたは始末する。今ここで絶対に! ネバーエンドブックライフ!!」

「ぐわあああああああああああ!!」

 

 ハジメに図星を突かれた司書は、大量の本を投げつけてハジメに攻撃をしてしまった。

 

「何これ理不尽……」

「「よくあるよくある」」

 

 


 

 

 雫達が訓練施設に集まると、そこは戦場だった。

 幾人もの魔術師達が倒れ伏し、幾人もの騎士達が戦いを挑む。

 騎士達が向ける矛の先にある物は首領パッチが変身した姿、無敵要塞ザイガス。その頂上ではハジメが高笑いをしていた。

 

「フフフフフ、アーハッハッハッハッハ! 今日こそ我等納豆が主食になる日だ。お前達は跪けっ!」

「そんなことはさせねえ! オレ達心太がこの世界の主食となる。いくぞお前ら!!」

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」

 

 ハジメに相対するはところ天の助率いる騎士達。そうこれは、この世界の主食を決める聖戦(ジハード)である。

 

「いや訓練施設で何してるのよこの人達!?」

 

 雫のツッコミが響き渡るが、誰も聞き届けない。

 そしてこれは戦い。敗者も当然いる。魔術師達が倒れ伏す中に紛れて、鈴も倒れていた。

 

「こ、ここまでかな……。鈴はただ、この世界の主食をサーモンサンドにしたかっただけなのに……」

「鈴! しっかりして、鈴!!」

 

 倒れている鈴に呼びかける少女が居る。彼女は中村恵里、鈴の友人であり雫達の友人でもある。メガネを掛け、ナチュラルボブにした黒髪の美人で図書委員だ。性格は基本的に大人しいが、時には鈴と馬鹿やったりもする。が、ハジケリストではない、筈。

 

「え、エリリン……。エリリンと過ごした一年。悪く、無かったよ……」

「鈴――――――――――!!」

 

 鈴はその言葉と共に、ガクッという音を出しながら動かなくなった。

 

「鈴……。私、サーモンサンド別に好きじゃないよ……」

「そうなの!?」

 

 そしてすぐに復活した。

 

「良かったー。実は鈴も別に好きじゃないんだよね」

「じゃあ何で主食にしようとしたのよ!?」

 

 鈴の衝撃の言葉に思わず叫ぶ雫。その言葉と同時にメルドがやって来て叫ぶ。

 

「お前達、今日の訓練はここまでだ!!」

 

 訓練の終了と同時に、今まで倒れていた人達は起き上がり、無敵要塞ザイガスは元の首領パッチに戻る。

 そう、これは訓練だったのだ。

 

「ジハードとか言ってたじゃないの……」

「あらやだジハードとか言ってるわあの子」

「こんな戦いで主食が決まる訳ないじゃないの~」

「可愛い勘違いねえ」

(ムカつく)

 

 なぜかオネエ口調になったバカ三人の言葉に、そこはかとなく苛立ちを覚える雫。それと同時にメルドはハジメの下へ行った。

 

「しかしこの要塞戦の訓練を提案してくれたハジメには感謝しかないな。おかげで騎士達も気持ちが引き締まったぞ」

「いえいえ、出来ることをやったまでです」

「これハジメの提案だったの!?」

「しかしこの世界の主食をかけての戦いという設定に意味はあるのか……?」

「やっぱり意味は分からないのね! 良かったけど!!」

 

 ブツブツと考えながら立ち去ろうとするメルドだったが、唐突に止まり伝えるべきことを野太い声で告げた。

 

「おっと忘れていた。明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要な物はこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合い入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

 そう言って今度こそ去っていくメルドを見送りながら、雫はあることに気付いた。

 

「あれ、今日結局私達訓練してない……?」

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