【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義39 異界からの刺客! 現れた恐るべき奴ら!!

 ハジメ達がオルクス大迷宮へと行く前に、ティオとロワの間でこんな会話があった。

 

「ロワ支部長。勇者達を助けに行くのは構わぬが、対外的には依頼という形にして欲しいのじゃ」

「上の連中に無条件で助けてくれると思われたくないからだな?」

「そうじゃ。まあ、そんな甘い考えなぞ、ご主人様のことを知ってれば抱くわけないと思うがな」

「お、おう……」

 

 ハジメをご主人様と呼ぶティオの発言に、少しだけ距離を感じるロワ。

 その後ろでは、ユエが申し訳なさそうな表情でティオを待っていた。

 

「面倒を掛ける」

「構わぬ。妾が最年長じゃから、こういう部分に気をまわさねばな……」

 

 ユエの謝罪に軽く手を振りながら返答するティオ。

 しかし、なぜかティオのテンションはどんどん下がっていく。

 

「そう、最年長なのじゃから……」

「面倒くさい」

 

 どうやら、自分の年齢を改めて客観視したせいでテンションが下がったらしい。

 が、そんなことをユエは気にせずティオの襟首を引っ張ってハジメの元へと向かって行った。

 そしてオルクス大迷宮。遠藤を先頭に、ハジメ達は光輝達の元へ走る。

 

「クソッ! 急がなきゃ、皆が!!」

「そうだね。急がないと――」

 

 心配のあまり気持ちが逸る遠藤。それにハジメもつられ――

 

「一パック八十円の卵が、売り切れちゃう!」

 

 チラシを片手に、焦っていた。

 

「いや卵買いに行くわけじゃねえよ!?」

「ああそうだ、急がねえと――」

 

 ハジメに続き、天の助もチラシを片手に焦る。

 

「このフェラーリ九割引きセールに間に合わねえ!!」

「フェラーリの割引ってなんだよ!? ねえよそんなもの!!」

「そうだ、急がなきゃ――」

 

 そして首領パッチは

 

「舞踏会が終わって、王子様と踊れなくなるわ!!」

「シンデレラになってるですぅ――――――――――!?」

 

 ドレスを纏い、ハイヒールを履いて走っていた。

 そうこうしていると、七十階層にまで辿り着く。

 

「え? 私も駅伝の用意してたのに……」

「四度もやるネタではないからのう」

 

 ユエがネタをスルーされて落ち込むのをティオが慰める中、メルド団長と合流。そのまま騎士団も連れて再度出発。

 そしてついに、ハジメ達はユエ、シア、ティオと騎士団を引き連れて目的地にたどり着いた。

 

「ここからは僕達、アマゾンラバーズが相手だ!!」

「前と変わってる!?」

「風を斬れ 咆哮(こえ)を枯らして 獣が嗤うこの街で 喰うか喰われるかの運命(さだめ)

「Oh,Yeah!」

「それアマ○ンズですぅ!!」

 

 ここぞとばかりにボケるユエとティオ。その横では天の助がフランスパンを構え

 

「グーテンモルゲン!!」

 

 目の前にいる魔物の群れの内一匹に叩きつけ、そのまま現状についてキレ散らかす。

 

「なんでまだ雑魚相手に無双パート入れるんだよ! そんなに対多数用のネタなんて用意できねえよ!!」

「はいはいはーい! ボクちんなら余裕でこの魔物の群れを一掃できまーす!!」

 

 キレながらもフランスパンを振り回し、辺りにいる魔物をなぎ倒していた天の助だったが、そこに首領パッチが子供みたいに手を挙げながら割り込んできた。

 それを見たハジメはハジメは首領パッチを鷲掴みにし

 

「それじゃ行ってこいウニ太郎!」

 

 大砲に突っ込んで即射出。首領パッチは上へと飛んでいく。

 一方、首領パッチは詠唱を始めた。

 

In der Nacht,wo alles schlaft(ものみな眠る小夜中に)

 

 詠唱を進めながら少しずつ上へ向かう首領パッチ。しかし、撃ち出されたということはいずれ下に落ちるということ。

 山なりに上へと向かい、頂点に達した時、首領パッチは摂理に従い下に落ちていった。

 

「波立て遊ぶぞ楽しけれ。澄める大気をふるわせて――」

 

 落ちる首領パッチは大慌てで、詠唱を一刻も早く終わらせようとする。

 しかし

 

「互いに高く呼びかわぶべらっ!!」

「「滞空時間足りなかった―――――――――――――!!」」

 

 詠唱を完了させられず地面に激突し、シアと雫のダブルツッコミで迎えられた。

 そしてツッコミが被ったと気づいた時、二人は顔を目を合わせて笑った。泣きそうな嬉しそうな、安心したような笑顔だった。

 一方、首領パッチは魔物の群れに容赦なく蹂躙されそうになる。

 

「はいそこぉ! 危ないから押さないで下さーい!!」

「ほら、きちんと順番に並んで!!」

 

 しかし、魔物の群れを警備員の格好をしたハジメと天の助が整列させる。その最前列では――

 

「はい、オレのサイン。ちゃんとルトスくんへ、って書いておいたよ」

「わぁ、ありがとうございます!!」

 

 首領パッチが魔物へ向けてサインを書いていた。

 

「何でサイン会!?」

「そりゃ、伝説のハジケリスト首領パッチのサインだよ。誰だって欲しいに決まってるよ、うん」

 

 叫ぶ雫に訳知り顔の鈴が解説する。かくいう鈴も首領パッチからサインを貰っている。覚えていない方は奥義1を読んでね♪

 

「音符がウザいですぅ……」

 

 シアのツッコミが、この場に空しく流れる。

 魔物達はサイン会に夢中となり、首領パッチのサインに興味の無い女魔人族と雫達はただ唖然としている。

 そんな隙だらけの現状を、見逃さない者が二人いた。

 

「吹き荒べ頂きの風、燃え盛れ紅蓮の奔流。“嵐焔風塵„」

 

 ティオが詠唱し、直径数十メートルになろうかという巨大な火炎竜巻を発生させ

 

「彼の者、常闇に紅き光をもたらさん。古の牢獄を打ち砕き、障碍の尽くを退けん。“雷龍„」

 

 ユエが雷を、重力をもって龍の形としてここに降ろす。

 やがて嵐と龍は一つとなり、雷の龍は炎すら身に纏い暴れ狂う。これぞ――

 

「「合体魔法、“嵐雷風龍„!!」」

 

 暴れ狂う龍はその場にいる魔物を殲滅していく。ある魔物は雷で撃たれ、またある魔物は炎に巻かれ息絶えていった。

 否、魔物のみならず、ハジメ達や光輝達にすら無差別に巻き込もうとする。

 

「どっ、せえええええええええええええい、ですぅ!!」

 

 しかし、光輝達の前にシアが立ちはだかり、迷宮の床を力業で剥がし盾替わりとすることで被害を防ぐ。

 一方ハジメ達は――

 

「ふぅ、危なかった」

((ハジメ殺す……))

 

 首領パッチと天の助を盾にすることで、事なきを得た。

 これで魔物はすべて倒された、と誰もが思った。しかし

 

「はぁ……はぁ……まだだよ」

 

 女魔人族は生きていた。

 操っていた魔物は全て倒され、当人も光輝の一撃と今の魔法で、立っているだけでやっとな程にフラフラしているが、それでもまだ生きていた。

 それを成せるのは意地か、飲んだ薬――実は善滅丸――の効果か、知ることは誰にもできない。

 そして報われることも無い。

 

「まだ立つっていうならとどめだ」

 

 ハジメは手にパックの納豆を持ち、そこから糸をまるでムチの様にしならせながら、女魔人族へと伸ばしていく。

 

「納豆真拳奥義、ジャガイモビレッジ現状過疎化!!」

「ぎゃああああああああああああああああああ!!」

 

 納豆に打たれた女魔人族は今度こそ倒れ、その場で気絶する。

 それを見ていた雫は戦いが終わったと思い、ホッと息を吐いてから、未だ気絶している光輝を介抱しようと立ち上がった。

 

「やはりカトレアでは駄目だったか」

 

 しかし、それを阻むかの様に男の声が辺りに響く。

 雫が声のした方を見ると、そこには三人の男が立っていた。

 一人は、人の誰もが持つ二つの目に加え、額にもう一つの目がある男。

 また一人は、軍服を纏い目元が軍帽で隠れている軍人風の男。

 最後に、このすばのハンス。

 

「最後だけ紹介が雑!」

 

 雫のツッコミを背に、ハンスが一歩ずつハジメの元へ近づいていく。

 そしてハジメの元へ辿り着き、彼はおもむろに尋ねた。

 

「お前が『ありふれたハジケリストは世界最狂』の南雲ハジメだな?」

「ふっ。だったらどうだというザマスか?」

 

 なぜか全身に宝石やアクセサリーを身に纏い、マダムと化したハジメがハンスの問いに答える。

 ハンスは回答を聞き、なぜか怒りの形相を見せた。

 

「年貢を納めろ――――――――!!」

「ぐばぁ!?」

 

 すると、ハンスはどこからか米俵を取り出しハジメに叩きつけた。

 ハンスの攻撃にハジメは倒れ、そのまま彼はスタンピングに移行する。

 それを見たユエ達は慌ててハンスの元へ走るが、ハンスは止まらない。

 

「俺は『この素晴らしい世界にハジケリストを!』のハンスだ! おいお前、ありハジとこのハジのコラボがいつ決まったのか言ってみろぉ!!」

「去年の十二月です」

 

 ハンスの勢いになぜかユエは恐縮し、問いに敬語で答える。

 

「……今は何月だ?」

「四月です」

 

 淡々としたユエの返答。しかし、その返しにハンスの怒りは頂点に達した。

 

「……どんだけ待たせてんだオラァ!? 一話平均五千字弱のSSだろこれ!!」

「それは、味音ショユ(こっちのさくしゃ)に言って貰わないと……」

 

 そのままハンスはハジメをスタンピングしながら説教に移行。ユエはただ圧倒されていた。

 この隙にシアは雫の元へ挨拶に向かう。

 

「えっと、どうもはじめまして。私はシアといいます」

「……八重樫雫です。……なんでこの状況で自己紹介?」

 

 突然の自己紹介に戸惑う雫に、シアはそっと一枚の紙を差し出す。

 雫がそれを開くと、そこにはこう書いてあった。

 

まともな人募集!!

ここにテキスト

急募!!ツッコミ役!!アットホームな職場です!!

私たちは今すぐにでもまともな人を求めています。愛に気付いてください

給与は応相談僕が抱きしめてあげる

募集は電話で

0%&-#('&-3)"$

 

「何このガタガタなバイト求人チラシ!?」

「表形式はこういうのに使うべきではなかったのう」

「エクセルか何か使えば良かったですね」

 

 叫ぶ雫の裏でボソボソと反省会をするティオとシア。二人の会話は幸か不幸か、雫には聞こえていなかった。

 そしてシアは、反省会もそこそこに雫にぶつかっていった。

 

「雫さん! 私達はツッコミを募集しています! ハジケリスト五人の中にツッコミは私だけという地獄の救世主に、あなただけがなれるんです!!」

「それあなたが助けて欲しいだけじゃないの!?」

「……だったら、どうだっていうんですか……!!」

「居直られても困るわよ!!」

 

 珍しくボケ倒すシアに、雫がツッコミを入れ続ける。

 すると、いきなり巨大な目玉が雫達を襲う。それをティオは無言で防ぎ、シアと雫を抱え目玉から距離を取った。

 

「その辺にしろ。お前らも、ハンスも」

「……ああ」

 

 三つ目の男が巨大な目玉をいくつか周りに配置し不敵な笑みを見せ、ハンスは特に感情を見せずに従う。

 これでハジメはスタンピングから解放され、それを柔軟体操しながらゲラゲラ笑って眺めていた首領パッチと天の助は、不満気な表情を見せる

 

「何黙って見てるのさ二人とも!」

「「がはぁ!?」」

 

 ハジメは二人を容赦なく蹴り飛ばした。

 

「固めてやる! お前らなんか二人とも石膏で固めてやる!!」

「やめて! あたいの美容パックが!!」

「オレのプルプルボディが! 食欲をそそる柔軟な肉体が!?」

 

 二人の必死の命乞いにも耳を貸さず、ハジメは黙々と石膏を二人に塗りたくる。

 そして一分後。

 

「どすこい、どすこい!」

「つっぱりつっぱり!!」

 

 そこには立派な力士と化した二人の姿が。

 

「これでよし」

「何で!?」

「あなた達は、何者?」

 

 ハジケるバカ三人を無視して、ユエは三人の男に問う。

 その問いに、三つ目の男はニヤリと笑って答えた。

 

「オレはクリムゾン。元裏マルハーゲ四天王にして、今は魔人族側の神の使徒ってところか」

「私はコンバット・ブルース。旧毛狩り隊Eブロック隊長だ」

「スライム盛りだ、喰え」

 

 三人が自己紹介を終え(一人していないが)、クリムゾンが指をハジメ達に突き付けて宣言する。

 

「オレは貴様らに3狩リアを挑むぜ! 元の世界に帰る為になくなく魔人族の力になってやったが、ボーボボの仲間がいるなら話は別だ」

 

 強い宣言。それは、絶対に借りを返すという彼の誇りだろうか。しかし――

 

「「「「……3狩リアって、何?」」」」

 

 ありふれ側のメインメンバーには、言葉の意味が伝わっていなかった。

 そこに雫が割って入る。

 

「3狩リアは、元々旧毛狩り隊の隊長がトリオとなって戦う連携布陣のことよ。もっとも、今では単なる三対三のバトルロイヤルとして使われているけどね」

「シズシズ……」

 

 しっかりと解説してくれた雫に対し、なぜか鈴は不安気な視線を向ける。

 

「解説役なんて、二軍落ちと同義だよ」

 

 訂正、酷い理由で視線を向けていた。

 一方、ハジメは説明を聞いて理解したのか、得意気な顔でメンバーを選定する。

 

「そういうことなら、3狩リアのメンツは僕と首領パッチと、ティオの三人を選ばせてもらう!!」

「オレの出番か! ハジケまくってやるぜ!!」

「よしっ! 妾の初陣じゃ!!」

 

 ハジメの言葉に応じて、二人は意気揚々と飛び出して来た。

 しかし、ティオは飛び出して来たと同時にハジメに掴みかかる。

 

「妾、やっと初陣なんじゃけど!?」

「ごめんて」

 

 戦闘パートでほぼ出番がなかったティオは、ぶっちゃけ出番に飢えていた。

 一方、バトルメンバーからハブられた天の助は余裕の笑みを浮かべ小さく呟く。

 

「――この戦い、オレは『見』に回らせてもらうぜ」

「凄い風格を感じる……!」

 

 ユエが慄く中、戦いは始まった。




コラボ編、やっと消化開始。
遅くなって本当にすいませんでしたぁ!!
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