【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義45 水とオアシスと、時々、患者。

前回までのあらすじ

 

 

ハジメは朝起きてこない幼馴染の首領パッチを起こす為、彼の部屋にやって来た。

 

ハジメ「起きろバカ」コンコン

 

部屋の扉をノックするハジメ。しかし返事はない。

 

ハジメ「入るよ」ガチャ

 

ハジメが部屋に入ると、そこには――

 

首領パッチ「」チーン

天の助「た、助け……」プラーン

 

地面に倒れ伏している首領パッチと、逆さ吊りにされている天の助の姿が。

それを無視して、ハジメは思わず呟いた。

 

ハジメ「この部屋のエアコン、いつみてもちっちぇな」

 

 

大体こんな感じだった。

 

シア「何の話ですか!?」

ユエ「たまにやるこの嘘あらすじ。前書きに書いてるとここすき機能が使えないことに気付いたから本編に統合した」

ティオ「統合したのか……妾以外の奴と」

ユエ「ちなみに今回のだけじゃなく今までのぶん全部」

ティオ「お前と統合するのは……妾だと思っておった」

シア「ティオさん。すみませんが何のパロディか分かりません」

 

 


 

 

 ハジメとユエは領主親子と護衛の兵士を連れ農業地帯へとやってきた。二百メートル四方を優に超える広さで、普段はとある植物を育てているが、今は都合よく休耕期らしい。

 

「“壊劫„」

 

 ユエは早速右手の人差し指を天に掲げ、魔法を発動させる。

 すると指先に魔力が集まり、黒い正方形が形作られる。

 そしてユエはそのまま遥か空高くジャンプし、黒い魔力を地面に投げつけた。

 

「くたばれフリーザ――――――――――ッ!!」

「フリーザ!?」

「どっちかっていうと見た目的にはフリーザが撃ちそうな技なんだけど」

 

 ビィズがツッコミを入れ、ハジメが好き勝手な批評をする中、ユエの魔法が地面に衝突した瞬間、辺りには轟音が響き、砂煙で視界が奪われ、爆風が巻き起こりランズィが吹き飛ばされそうになるのを護衛の兵士達が押しとどめるというハプニングがあったが、ビィズはそれよりも目の前の光景に唖然とし、支えられているランズィも護衛の兵士達と一緒に息子と同じ表情を見せていた。

 彼らの目の前にはさっきまで無かった二百メートル四方の、深さは五メートル程の巨大な穴が誕生していた。

 しかしこれで終わりではない。ユエはまだ貯水用の置き場を用意したに過ぎないのだ。

 ユエはハジメの元へ向かい、右手の人差し指をハジメの首にある動脈に突き刺した。

 

「ハジメの生き血を私に頂戴。魔力補充しなきゃいけないから」

「えげつねーな。悟る暇もなしかよ……」

「搾りカスだッ!!」

 

 ユエに血を吸い尽くされたハジメは、干物となってその場に倒れ伏す。その様はさながら水分不足で干からびた死体にしか見えない。

 そんなハジメにビィズ達はドン引きしていた。

 

「“氾禍浪„」

 

 ハジメの干物という自らが生み出した衝撃光景を無視して、ユエは魔法で水を作り出し貯水池へと貯めていく。

 その後ろでは、ハジメが包帯で全身グルグル巻きになり、何事か呻いていた。

 

「ヴォー……ヴォー……」

「ミイラになったぞ!?」

 

 やがて水を貯め終わりユエが後ろを振り向く。するとそこには――

 

「’Cause this is thriller,thriller night」

「何というキレのあるダンスだ!」

 

 マイケル顔負けのダンスを踊りながら、スリラーを熱唱するミイラと化したハジメの姿があった。そのダンスの切れ味にビィズは最早敬意しか払えない。

 しかしユエは何一つ臆することなく近づき、どこからかオカリナを取り出して口にくわえ、同時に3DSを構える。

 

「XYRXYR」

 

 そしてユエが3DSにコマンドを入力すると、くわえているオカリナから音が鳴りいやしのうたが演奏された。

 

「どういう仕組みなんだそのオカリナ!?」

 

 ビィズは叫ぶが誰もその問いには答えない。

 その代わりにハジメのミイラ化は解け、一枚のお面が地面に落ちた。

 

「ギブドのお面を 手に入れた!」

「何このメッセージ」

 

 ユエとハジメはそれだけ言ってオアシスへと向かって歩いていく。

 ビィズ達は何が起きているのかさっぱり理解できないが、とりあえずハジメ達を追いかけた。

 

 


 

 

 ハジメ達と別れたティオと天の助は、兵士の一人に案内されオアシスへと向かう。

 その道中、兵士からオアシス汚染原因の調査はオアシスとそこから流れる川に、各所井戸と地下水脈まで行ったが、オアシスの底の方は未だ調査が及んでいないことを知る。

 その話を聞いた二人はとりあえずオアシスの底を調査することにした。

 

「となると、釣りじゃな」

「YES♪」

 

 オアシスにたどり着いた二人は早速釣り竿を用意し、糸を垂らす。

 そして数分後、天の助の竿に引きがきた。

 

「フィィィィィィィィィィシュ!!」

 

 天の助が勢いよく引き上げると、そこにはオアシスの主デコトラの姿が!

 

(トラックが主!?)

「ブルン……ブルルン……」

「ほう、なるほどな」

 

 主がデコトラなことに兵士が内心でツッコむ一方、天の助はデコトラの懸命な訴えを聞く。

 傍からはデコトラがエンジンを吹かしているようにしか聞こえないが、天の助は確かな意思を感じ取った。どうやってかは誰も知らない。

 やがて天の助がデコトラの話を聞き終えると、すぐに翻訳してティオ達に伝える。

 

「おい、こいつの話によるとオアシスの底に巨大なスライムが沈んでいて、そいつが汚染しているらしいぞ」

「何ですって!?」

「つまり、そのスライムを釣り上げれば解決じゃな」

 

 天の助の言葉に驚く兵士と、不敵な笑みを浮かべるティオ。二人はどこまでも対照的だ。

 その直後、今度はティオの竿に引きが。彼女は勢いよく竿を引き上げると、そこには十メートルはあろうかと思えるほどに巨大なスライムが、鎮座ましますとばかりにここに降り立った。

 

「何だそのスライムは!?」

「アンガジ公国公式マスコット、きょだいスライムくん?」

「そんなマスコットはいない!!」

「たーべるんごたべるんご」

「食わん!!」

 

 そして巨大スライムがオアシスから現れた瞬間、ユエのボケにツッコミを入れながらビィズ達がティオに向かって走ってきた。

 ティオはビィズへスライムについての説明をする。

 

「あれがオアシス汚染の元凶じゃ。主であるデコトラもそう証言しておる」

「デコトラ!?」

「ところで天の助は?」

 

 ユエの質問にその場にいた一同は天の助がいないことに気付き、キョロキョロと探す。

そしてティオがふと目線をあげると――

 

「それそれ~!」

「やったなコイツ~!」

 

 いつの間にか水着に着替えた天の助とハジメが、スライムをプール代わりにしてスライムのかけあいをしている姿があった。

 

「遊んでる――――――――!?」

「何をしているんだあの二人は!?」

「「ぐわあああああああ!! 毒が――――――――!?」」

「言わんこっちゃない!!」

「大変じゃ!」

 

 毒で苦しむハジメと天の助を見たティオはすぐに跳びあがり、スライムに入っている二人を引きずり出し、いつの間にかユエが用意した五右衛門風呂にそのまま叩き込んだ。

 

「デトックスデトックス」

「「ぎゃあああああああ!! 熱い――――――――!!」」

(新手の拷問!?)

 

 兵士が驚く中、余りの風呂の暑さに二人のみならず風呂自身も溶け、やがて混ざり合い一つの物体へと成り代わった。

 

「俺はエクシアで行く」

「「ガン〇ムになった――――――――――――――――!?」」

 

 ビィズと兵士のツッコミが二重奏(デュオ)で響き渡るが、エクシアはそれを無視してスライムのコアにデコピンを決める。

 それだけでコアは破壊され、スライムは何かする間もなく消え去った。

 

「……凄くあっさり死んだ」

「世の無常じゃな」

 

 ユエとティオがその光景を好き勝手に評する横で、役目を終えたエクシアがハジメと天の助、そして風呂へと戻っていく。

 そしてエクシアが分離する絵面が言葉にできないほどキモいから、ビィズ達は直視できなかった。

 

 


 

 

 オアシスの汚染を解決したハジメ達は、神代魔法と静因石を取りに行くべくグリューエン大火山へ出発する。その為にシアを迎えに行ったのだがそこで目にしたのは――

 

「アタシこんな生活もう嫌! もっとクリエイティブな仕事がしたいの!!」

「待ってください首領パッチさん!!」

 

 泣き叫びながらハジメ達の元へ走る首領パッチと、それを追いかけるシアの姿だった。

 そのまま首領パッチはユエに向かっていき、顔面にストレートを叩き込む。

 

「くたばれぇ!!」

「ぐばぁ!?」

 

 回避することもできずそのままパンチを食らい、吹き飛ばされるユエ。

 

「中々いいパンチ……これなら世界も十分狙える」

「ボクサー!?」

 

 しかしすぐに起き上がり、なぜかそのままパンチを褒めるユエ。

 そんなハジケリストにとっての日常風景を無視して、ハジメは首領パッチに何で泣いているのか尋ねる。

 

「首領パッチ、何で泣いているの?」

「嫌なのよ! こんなカードをひたすらドローして発動するだけの人生!! 代わってよ! 代わりなさいよ!!」

「いや無理でしょ」

「天職:決闘者(デュエリスト)あっての回復方法だぞ。代われねーよ」

 

 首領パッチの懇願をあしらうハジメと天の助。汚染で苦しむ人々を回復させられるのが彼しかいない以上、冷たく見えるが仕方のないことだ。

 しかし首領パッチは、何を思ったのかステータスプレートの決闘者(デュエリスト)の部分をペリペリと剥がし、そのままデュエルディスクに張り付ける。

 

「こうすれば、デュエルディスクを付けさせれば代わりを託すことができるぜ!!」

「剥がせるんですかステータスプレートのその部分!?」

 

 まさかの事態にシアはツッコミを入れるが、それはそれとして一行に「まあ、代われるなら代わってあげようか」という空気が流れ始める。

 しかし次に行うのはダンジョン攻略。だからハジメは慎重に代打の選出をすることにした。

 

「まず熱耐性のあるティオとツッコミのシアは必須」

「うむ、そうじゃな」

「私の選出理由納得いかないんですけど」

「次にパーティインした首領パッチ。そして主人公だから僕も入る。……つまり天の助かユエに抜けてもらうことになるね」

「いや待って」

「おかしいだろうがよぉ!?」

 

 天の助かユエに抜けてもらおうとするハジメだったが、当の二人がハジメの肩を掴んで、勢いよく凄む。

 

「主人公だからパーティに必須という考えは古い」

「ドラ〇エ3もク〇トリも主人公をパーティから抜けるだろうが!!」

「どっちも例え古いですぅ!」

「むしろ最近の方が必須じゃね?」

「というかどっちも終盤以降だよね、それ」

「ド〇クエ3に至ってはクリア後じゃからな」

 

 しかし二人の言い分はハジメのみならず、その他全員にもやんわりと否定された。それでも二人は怯まない。

 

「全属性魔法が使える上に、メインヒロインの私は重要なはず」

「ハジメ、ゲームと現実を混合するな!!」

「いやメインヒロインじゃないし、ゲームを例えに持ってきたのそっちなんだけど」

 

 二人の発言を冷たくあしらうハジメ。するとユエはそんな態度で見切りをつけたのか、今度は天の助に矛先を向ける。

 

「離脱するのは天の助で……いいと思う」

「ユエてめぇ!!」

 

 ユエの突然すぎる発言に怒る天の助だが、彼女は淡々と言葉を続ける。

 

「だって暑い所に行くんだから傷むでしょ、ところてんだし」

「……はっ!?」

 

 ユエのセリフに思わず声をあげる天の助。

 

「いや、砂漠に来ている時点で今更だと思いますけど」

「シア。何かを始めるのに、今更なんて言葉はないんだ!!」

「いいこと言ってますけど誤魔化せないですぅ!?」

 

 シアは後ろで正論を言うが、ハジメに封殺された。

 そして天の助はすっかり残る気になり、デュエルディスクを装着してこの場を去っていった。

 それを見送ってからユエは一言。

 

「ここで離脱イベントなんて、クリ〇トルートまっしぐら」

「お前は物事をあせりすぎる」

「この小説はサム8語録使わないと死ぬんですか?」

「そうとも言えるし、そうでないとも言えるのう」

「勿論だ。やっとらしくなってきたな」

(ウザいですぅ……!!)

 

 バカ三人の語録責めに、シアは静かにキレるのだった。

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