【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義46 グリューエン大火山到着! 火山でオススメのファッションって何ですか?

前回までのあらすじ

 

ハジメ「前回の嘘あらすじ、あれ元ネタはドキドキ文芸部の一周目ラストなんだけどさ、伝わらなかったじゃん」

ティオ「そうじゃの。伝わっておらぬな」

ユエ「元ネタ言っちゃうんだ」

首領パッチ「で、もう一回元ネタ見返してきて思ったんだ」

天の助「これネタにするの難易度高いなって」

ハジメ「だけどさ」

 

三バカ「もう一回やらせてください!!」ドゲザ

シア「リベンジ希望!?」

ユエ「まさかの土下座とは」

ティオ「恥も外聞も無いのう」

 

こんな感じだった。

 

 


 

 

 シアは呆れ果てていた。

 

「よし、遅れは取り戻した! 待ってろ首領パッチ!!」

「来るか……!!」

 

 シアは現在、どういう理屈か不明だが雲に乗って空を飛んでいた。

 そして彼女の眼下に広がるのは、二台のラリーカーがレースをしている光景だった。

 先行している車には首領パッチとティオのペアが、後ろから追い上げている車にはハジメとユエがそれぞれペアとして乗り込んでいた。

 そんな彼らが現在走っているのは砂漠。彼らの進む先には巨大な砂嵐が、まるでラ〇ュタの龍の巣の如く吹き荒れている。

 

「ふっ、永劫に吹き荒れる砂嵐(エンドレスデザートストーム)が来やがったか……」

 

 首領パッチは吹き荒れる砂嵐を見て、ハンドルを回し回避して回り込もうとする。

 なぜならこの砂嵐は遥か昔からずっと吹き荒れ、消えることがない。

 勿論この嵐の中の地形はある程度世間に認知されているものの、砂嵐で前が見えにくいことと、どこからサンドワームが出てくるか分からないため、車で走るのは難しくレースでは避けられる傾向にある。

 故に首領パッチはその定石に従う。だが――

 

「ここだ! 首領パッチに勝つにはここしかない!!」

 

 ハジメはなんと、首領パッチとは逆にアクセルを吹かしまっすぐ砂嵐に向かって突っ込んでいく。

 

「何を考えてんだハジメ!? 死ぬぞ!!」

 

 信じられないハジメの選択を見て思わず叫ぶ首領パッチ。しかしハジメの車は止まらない。

 

「うおおおおおおお!! 父さああああああああん!!」

 

 そのまま砂嵐に突っ込み、以降ハジメの車が戻ってくることはない。

 それを見た首領パッチは――

 

「行けるかだと……」

 

 ハンドルを切り返し、砂嵐へと走っていく。

 

「行くしかねえだろ!」

 

 彼にあるのはレーサーとしての意地。

 安全なルートを行くほうがゴールする可能性は高くとも、ハジメが砂嵐を抜けてしまえば自分達が二位になることは確定。首領パッチにそれは認められない。

 だから彼は自ら無謀へとひた走る。たとえそのせいで何が起きたとしても。

 

「負けられねえんだよ!!」

 

 だがそれはそれとして、首領パッチ達は砂嵐に突っ込んだ瞬間サンドワームに食べられた。

 しかし、雲に乗っていたシアが二人を助けたので事なきを得た。

 

「私、これの為に雲に乗せられてたんですか……?」

 

 シアの呟きが嵐の中に消えていく。

 ちなみに彼女の問いに対する返答はイエスである。

 

 


 

 

 グリューエン大火山、そこは地上には池のようなマグマ溜まりが、空中にはマグマが川のように流れるとんでもない迷宮だった。

 しかし、ハジメ達はこの程度で怯むような性格ではない。

 

「ここ、PKおとこかくうえとか出てきそうだ」

「早く炎のリングを取りにいくのじゃ。天空の盾を手にいれねばならぬ」

「元ネタが古いですぅ!!」

「ここなら……アタシの肌もバッチリ焼けるわ! 今年の夏はモテさせてもらうわ!!」

 

 現にハジメとティオは好き勝手なことをのたまい、首領パッチは水着を着用し台車の上にビーチチェアを載せてそこに寝転がっている。そのまま彼はユエに台車を押すよう迫った。

 一方、ユエとしてはそんな指示に従う義理はないので、首領パッチが乗った台車を適当に蹴り飛ばすことを返答とした。

 そのまま台車はマグマへと緩やかに向かっていく。このまま落ちると誰もが思ったが――

 

 ブシャァ

 

「ぎゃああああ!?」

 

 その前に壁から噴き出したマグマが首領パッチにかかった。彼はマグマであっという間に黒焦げだ。

 それを見たハジメとユエは慌てて首領パッチの元へ駆け寄る。

 

「首領パッチ大丈夫!? 多分大丈夫だと思うけど」

「フ、フフフ……これでライバルとの差はバッチリつけたわよ……」

「やっぱ大丈夫だった」

「ぬかった……。私は吸血鬼だから、日焼けもすぐに回復してしまう。そこを巧みに突いてくるなんて……」

 

 マグマを浴びて黒焦げになりながら喜ぶ首領パッチを見てハジメは安堵し、ユエは巧みな戦略に震えを隠せない。

 一方、後ろでは――

 

「壁からいきなりマグマが出てくるなんて……」

「気をつけねばならんの」

 

 シアとティオがこの迷宮の危険度を認識していた。

 それから、たまにマグマを誰かが浴びつつ小石ほどの静因石を集めながら迷宮を進んでいくと、ハジメ達の前方にモンスターが現れる。

 そのモンスターの外見はさながら雄牛で、全身にマグマを纏い、口から火を吐く炎属性の極致というべき牛だった。

 目の前に現れた牛に向かってシアが一歩踏み出し、ハジメ達に言う。

 

「ハジメさん、ここは私に()らせてください」

「うん。いいよ」

「妾、シアの戦闘シーンを初めて見る気がするのじゃが」

「実際あんま戦ってねえしな」

 

 シアの宣言を聞いて大人しく引っ込む一同。ちなみに喋っていないユエは一人クリームソーダを嗜んでいる。

 一方、牛はシア達の会話を聞きなめられていると解釈したのか、怒りを見せながらシアに向かって火を吐く。

 

「どっせい! ですぅ!!」

 

 しかしシアは、吐きかけられた火をピアニカソードの一振りで切り払い無力化する。

 

「そういえばシアの武器そんなのだったね」

「これハジメさんが渡したんですけどね!?」

 

 シアは久々に見せたピアニカソードに対するハジメのコメントにキレつつ、己の脚力を十全に活かし牛のインファイトへ一瞬で踏み込む。

 そしてそのまま跳びあがり、迷うことなく頭にピアニカを叩き込んだ。

 

「兜割り、ですぅ!!」

 

 兜割りを食らい頭蓋がへこんだ牛は、何一つ抵抗することなくマグマ溜まりに沈んでいく。

 その光景に手ごたえを覚えつつシアはハジメ達へと向き直った。

 

((((強っ……怖っ……))))

「何でビビってるんですか!!」

 

 しかしそこにいるのはビビり倒しているバカ四人。シアは当然怒る。

 

「いやだって、兜割りとか想定してないし」

「一人だけパワーバランスがおかしい」

「他の誰に言われてもまあいいですけど、ハジケリスト(ハジメさん達)には言われたくないですぅ」

 

 今一つ納得していないシアを尻目にハジメ達は迷宮を進んでいく。その過程で魔物にも当然出会うが

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

 という感じでガンガンなぎ倒していった。

 

「何で急に忍殺!?」

「きちんと一ツイート分に収めてやがる……!」

 

 そうこうしていると今までの欠片のような大きさの静因石とは違う、巨大な静因石を発見した。ハジメは早速確保し宝物庫にしまうと、マグマの流れが少し変わった。

 どうやら、静因石にはマグマの流れを阻害する効果があるらしい。これに気付いたハジメ達は、じゃあマグマの流れが強く阻害されている所に静因石がたくさんあるのではと考え、探し始めた。

 数分後、あっさり目的の場所を見つけたハジメ達は静因石を回収する。しかしそれは大いなる間違いだった。

 静因石により阻害されない本来のマグマの流れ。それはハジメ達の現在地を容赦なく通るものだったのだ。

 マグマの流れから逃れようとするものの、そんな時間はない。そこでハジメは奥義を発動する。

 

「タタミ流奥義。防炎畳“春風の袂で„!!」

「名前が全く炎を防ぎそうじゃないですぅ!!」

 

 ハジメは奥義で畳を六畳ほど出現させ、そこを全員乗せる足場代わりにした。ちなみに後ろではユエがノートパソコンをいじっている。

 

「何かしろやお前――――――――――!!」

「がはぁ!?」

 

 さっきから何もしていないユエにキレた首領パッチがドロップキックを決める。そのままユエはマグマにダイブした。

 

「おあちゃ――――――――――っ!!」

 

 マグマからマ〇オ64ばりの勢いで飛び上がり、タタミに復帰したユエはそのまま首領パッチと殴り合いを始める。

 その光景を無視して、シアはユエがパソコンで何をしていたのか気になって画面をのぞき込んだ。

 

 

oozon漫画レビュー

商品画像

(心眼で捉えよ)

作品名:〇っち・ざ・〇っく 1

評価:☆×一万四千

発売日:2019年2月27日

出版社:芳〇社

レビュー

テンプレなき〇ら作品かと思えば、ギターの上手いぼっちな少女が人との出合い関わることで成長していくその様はまさしく青春。

しいて言うなら、主人公のキャラが濃すぎて他のキャラが薄く見えるのが難点か。

しかし主人公である以上テンプレではいけないのだ。そう考えるとこの完成度はむしろみごt

 

 

 画面に映し出されているのは途切れた漫画レビューだった。

 

「ユエさんは何でそんなことしてるんですか!?」

「アニメ化はよ、という気持ちを込めている」

「しかしアレだね。こう、作品名の一部を〇で隠しているとパロディ系のエロCG集みた――」

「殺しますよ?」

「ヒィッ! すいません!!」

 

 ハジメの度が過ぎた失言のせいでシアの本気の殺意を受けて平謝りする横で、次はティオがノートパソコンを動かしている。

 再びシアが画面を覗き込むとそこには――

 

 

oozon漫画レビュー

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(心眼で捉えよ)

作品名:シャン〇リラ・フロンティア

~クソゲーハンター、〇ゲーに挑まんとす~ 1

評価:☆×一万四千

発売日:2020年10月16日

出版社:講〇社

レビュー

なろうから書籍化を飛ばしいきなりコミカライズに前例はあるものの、流石にマ〇ジン本誌はこれが初。

おまけに連載開始前からPVが動画サイトに投稿され、おまけにテレビCMにまでなる予想外。

もうここまで来たら結果云々を言うのは野暮だろう。

 

 

 再び漫画レビューだった。

 

「まだ発売してないんですけど!!」

「PVと一話で十分じゃ……!!」

「ところで発売日書いてるけど、ソースどこ?」

「アマ〇ンで見たのじゃ」

「というか今気づいたんですけど、評価の星の数おかしくないですか!?」

 

 今更といえばその通りなシアの疑問に答えるのは、いつの間にか首領パッチを殴るのをやめたユエだ。

 

「このサイトは星一つから一万四千まで、という細かい評価ができることがウリ」

「細かすぎですよ!?」

 

 どう考えても欠陥としか思えないシステムにシアがツッコミを入れる後ろで、次は首領パッチがノートパソコンのキーボードを叩く。

 シアはそろそろ飽きつつもとりあえず画面を覗き込む。

 

 

oozon漫画レビュー

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(心眼で捉えよ)

作品名:禁断の愛(プルニカル・ロマンス) 私は心太、あなたは寒天

評価:☆×壱

発売日:301X年〇月プル日

出版社:集〇社

レビュー

キャッチコピー:プルプル界のロミオとジュリエットから分かる地雷臭。

某少女漫画家の原稿が落ちた時の代替が、予想外の好評を得てしまって単行本化した汚点。

ネットで受けたからといって、何でもかんでも本にすればいいわけではないことの体現。

ところてんの王子と寒天の王女のラブロマンスという設定も、どこまでも一発ネタでしかない。

 

 

「何この漫画!? というか凄まじい酷評ですね!!」

「これは……少女漫画家である僕の母さんが原稿を落とした時に、天の助が書いてくれた代原の単行本!!」

「身内の漫画にこの酷評ですか!?」

「シア。確かに天の助は友達だけどそれとこれとは別だよ」

「本来批評とは……身内だからといって甘やかすものじゃねえ!!」

 

 ハジメと首領パッチの迷いのない断言に、シアは何も言えなかった。

 こうして漫画レビューを見ている間にもタタミに乗ったハジメ達は流され、気づけば迷宮の最奥にたどり着いていた。

 そこに待つものを、彼らはまだ知らない。

 

「というかどういう構造なんですかこの迷宮」

「ビフォーア〇ターに依頼する?」

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