【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義53 悪食をやっけろ! ちなみに悪食は巨大クリオネの事ね。後やっけろは誤字じゃないから!!

 ハジメ達が萎えきっていたとしても、巨大クリオネの触手は容赦なく彼らを襲う。

 

「ならオレが存分にもてなしてやるぜ!」

 

 この状況に天の助は自身を船盛にすることで対抗した。

 しかしクリオネは天の助を避け、他を襲っていく。

 

「ぴえん」

「知ってた」

「クソうぜえ」

 

 いつも通り食べてもらえず嘆く天の助に対し、ユエと首領パッチは冷たく吐き捨てた。

 一方、触手に襲われそうになるティオは懐からあるものを取り出す。

 

「ならば妾が芳香剤でもてなそうぞ」

「それじゃ無理ですよ!?」

「ごほっ! がはっ! 海の水と芳香剤が混ざって気持ち悪いのじゃ……!」

(むせてる―――――――――!!)

 

 しかしシアのツッコミとは裏腹に、触手はティオの持っていた芳香剤を奪い取り、そのままクリオネ本体が食らう。

 

 ――ガハァ! ゴフォ!!

 

 そしてすぐに吐き出した。

 

(こっちも!?)

「“凍棺〟」

 

 クリオネがむせている隙に、ユエが魔法でクリオネの周りの海水を凍らせ、包囲する壁を作った。

 動きを阻害されたクリオネは、触手で氷の壁を必死に叩いている。

 

 ドンドンドン ドンドンドン ドンドンドンドンドンドンドン

 

(三三七拍子!?)

 

 謎の三三七拍子にシアが戸惑う一方、氷の壁はクリオネの攻撃により少しずつだがひび割れていく。

 これを見たハジメは大慌てで、ある奥義を繰り出した。

 

「ならばこの技だ! 納豆真拳水中奥義、魚魚(ぎょぎょ)操りの舞アナザー!!」

 

 そう言ってハジメはリコーダーを取り出し、そのままB’zのもう一度キスしたかったを演奏し始め、更に傍らで首領パッチが熱唱していた。

 

「曇る窓優しく響かせて 流れる歌が悲しかった」

「微塵も舞ってないですぅ――――――――!!」

 

 ハジメの演奏と首領パッチの歌。その二つは見事なデュオとなって海中に響き渡り、魚達を呼び寄せる。

 そう。パトカーに救急車、それに路線バスとトラックのミニカーの集団がここに集結した。

 

「魚じゃない!!」

「そういうこと言っちゃダメだよシア。僕も彼らもこの星に住まう同じ命じゃないか」

「集まってるの命ですらありませんけど……」

 

 シアの言葉をハジメはそっと無視し、何事もなかったかのように首領パッチに話しかける。

 

「首領パッチ、アレを!」

「JUST WILD BEAT COMMUNICATION 雨に打たれながら」

「なぜガン〇ムW!?」

 

 ハジメの呼応に合わせて首領パッチが歌い始めると、集ったミニカー達が一斉に巨大クリオネに向かって突貫し始めた。

 

「完全に歌で操ってるじゃないですか!! これハジメさんの技ですよね!?

 

 この時、ミニカーが一斉に泳ぐことで生じた海流に対し、なぜか天の助はそっとそうめんを置く。

 

「流しそうめん!?」

 

 そうめんが流れた先には――

 

「うえぇぇ~~ん、流れが速くてそうめんが取れないよぅ……」

 

 そうめんが取れなくて泣くユエの姿があった。

 

「何ですかこの光景!?」

 

 それはそれとして、ミニカーの集団とそうめんは一直線に巨大クリオネの元へと向かう。

 しかし、クリオネは頭にある口を大きく開き、食道と触手をハジメ達の前に曝した。

 

「やだ、怖い!」

「僕もだよ、パチ美さん」

 

 それを見た首領パッチと天の助は互いに抱き合い

 

「インスタ映え狙えるかも」

 

 ハジメはスマホで写真を撮っていた。

 そしてミニカー達とそうめんは、クリオネが開いた口の中へと一直線へと進み、そのままどんどん食べられて行ってしまった。

 

「引っ張った割に何の役にも立ってないですぅ!!」

「全然ダメじゃねーか!!」

「ぶはぁ!?」

「ならここはオレに任せてもらおうか! ちょっと技の発動に時間かかるから時間稼ぎしてくれ!!」

 

 ミニカーによる攻撃が失敗に終わった後、ハジメは首領パッチに殴られる。

その後に勢いよく名乗りを上げたのは天の助だった。

 しかし、それを聞いた皆の反応は冷ややかだ。

 

「さっきおもてなしに失敗したじゃん」

「これ以上粋がんな」

「私、期待、持てない」

「無理じゃろ」

「皆酷い!!」

 

 バカ四人の総スカンにちょっと泣きそうになる天の助。それでも彼は怯まなかった。

 

「いやこれは絶対イケるから! オレを信じてくれ!!」

「じゃあ駄目だったら……君のぬのハンカチを全部廃品回収に出す」

「メルカリですらない……だと!?」

「そもそも引き取ってもらえるんですか?」

 

 天の助の必死の言葉に心を打たれたハジメは、キツメの交換条件を出し、不承不承とばかりに彼の言葉を受けて入れた。

 

(全然心打たれてないですぅ……!)

I am the bone of my tokoroten.(体はところてんで出来ている。)

「まさかの無限の剣聖(アンリミテッドブレイドワークス)のパロディ!?」

「今令和なのに」

「Fa〇eは現在進行形で人気コンテンツじゃから」

 

 天の助の詠唱に女性陣が思い思いのコメントを残す一方、クリオネの触手は容赦なく彼らに襲い掛かる。

 それを迎え撃つのはハジメと首領パッチの二人だ。

 

Kanten is my body,and konnyaku is my body.(血潮は寒天で、心はこんにゃく。)

 

 ハジメは天の助の詠唱に呼応するように奥義を繰り出す。

 

「納豆真拳奥義、レールガン!!」

 

 ハジメは電車のレールを取り出し、ガンガンとクリオネの触手を殴り始めた。

 

「レールでガン!?」

Unaware of beginning.(たった一度の敗北もなく、)Nor aware of the end.(たった一度の勝利も無し。)

 

 天の助の詠唱が未だ続く中、今度は首領パッチが奥義を発動した。

 

「ハジケ奥義、かまぼこウォール!!」

 

 首領パッチが手をかざすと、そこには視界を覆うほどの大量のかまぼこが現れる。

 

「これ壁になりますか!?」

Stood pain with inconsitent tokorotens.(売れ残りはまた独り。)

 

 シアのツッコミと同時にクリオネの触手はかまぼこの壁をあっさり貫く。

 しかしその瞬間、クリオネはなぜか動きを止めた。

 その理由を首領パッチは得意げに解説する。

 

「甘いな。このかまぼこは、レモン千個分の酸っぱさだぜ」

「酸っぱくて動き止めたんですか!?」

My hands will never hold anything.(スーパーで細氷を砕く。)

 

 シアがツッコミを入れる一方、天の助の詠唱もいよいよ佳境に入っていた。

 ここまでくれば、もはやハジメ達は見てるだけで十分。

 

――――yet(けれど、)

 

 クリオネが酸っぱさに慣れ、少しずつ動きが良くなっていく。

 でも――

 

my flame never ends.(この生涯はいまだ果てず)

 

 触手が天の助の方へ向かい始める。

 だが――

 

My Unsold body was(売れ残りの体は)

 

 触手が天の助を貫きそうになる。

 しかし――

 

still(それでも)

 

 天の助の詠唱は――

 

“unlimited tokoroten works”( ところてんで出来ていた――――!!)

 

 ここで終わり、技が発現した。

 

「というかこの詠唱、美遊兄の方なんですね」

 

 シアの何気ない感想と共に、景色が切り替わる。

 

 


 

 

 天の助が出した技により、場所は海中から月一つない闇夜の雪原へと変貌した。

 ここは強く吹雪いており、辺りには食べ残され、凍り付いたところてんが散乱している。

 

「無限にところてんを内包する世界。オレにはこの全てが、墓標に見えるよ」

「墓標と言うか廃棄所では?」

「食品ロス。ダメ、ゼッタイ」

 

 天の助の何気ない呟きにシアとユエがコメントを添える一方、ハジメと首領パッチは巨大クリオネを囲んでボコっていた。

 クリオネはいきなり地上に出たせいで動きが圧倒的に悪くなり、更にこの雪原の寒さに耐えかね、少しずつ凍り始めていたのだ。

 

「囲んでボコる。これぞ新選組の奥義だ!!」

「お前を封印できるはずだ! オレに、ラ〇ダーの資格があるのなら!!」

「セリフの温度差が激しすぎませんか!?」

 

 凍り付いたところてんで巨大クリオネを殴り続ける二人。

 その後ろではティオがギャ〇ンラウザーを取り出しダイヤの5、6、8のカードを通す。

 

『ドロップ。ファイア。ジェミニ』

 

 通したカードの名を告げるギャレンラ〇ザーのシステムボイスが流れ、ティオに三枚のカードの力が宿る。

 そして次に告げるのは、三枚のコンボによって発動する技名だ。

 

『バーニングディバイド』

「ご主人s「ジャミゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォ!!」

「シャ〇子!?」

「まちカ〇まぞく。二期決定おめでとう」

 

 バーニングディバイドのシステムボイスの後にご主人様と叫び、(ブレイド)十五話ごっこする気満々だったティオは、横からシ〇ミ子と天の助に叫ばれ一番大事なところを取られてしまったので、茫然自失としそうになる。

 だがその前に天の助が飛び上がったので、慌ててティオも一緒に飛び上がる。

 そのまま巨大クリオネに対し、二人で宙返りを決めながらキックを叩き込んだ。

 攻撃を喰らったクリオネは爆発するも、未だ原形をとどめている。

 そこにユエが、何も書かれていない遊戯王カードを投げつけ、カードの中に吸い込ませ封印した。

 カードは風切り音をあげながらユエの手元に戻っていく。だが――

 

 ザクッ

 

「痛い! カードが手に刺さった!!」

「格好つきませんね!?」

 

 ユエの醜態にシアがツッコミを入れる中、天の助の技が解除され、凍り付いたところてんが散乱する雪原から元の海中へと戻った。

 

「がぼぼぼぼぼぼぼ!!」

「溺れてる――――――!! 完全にこの状況を忘れてましたね!?

 

 戻った途端、なぜか天の助だけが溺れていた。

 それを見たハジメが納豆真拳で潜水艇を出し、慌てて全員を収容する。

 そしてやっと一息付けた一行。そこでユエがハジメにこう尋ねる。

 

「私、海水でベタベタだからシャワー浴びたいんだけど。ここにある?」

「僕も浴びたいけど、無い!!」

「そんな……!?」

 

 ハジメの言葉を聞いてショックを受け、その場にへたり込むユエ。

 だがそれは全員の総意でもあった。

 全員、磯臭くてたまらなかったが、それを我慢して彼らはエリセンを目指す。

 とりあえず、体を洗うために。

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