【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義59 天使(ノイント)vs馬鹿(ハジメ)

前回までのあらすじ

 

パチ治郎「オレとや〇やの絆は、誰にも引き裂けない!! 太陽拳!!」

累の助「ぐわあああああああああ!!」

 

 竈門パチ治郎により下弦の伍、撃破。

 

シア「太陽拳で!?」

ユエ「まあ、エシディシも太陽拳で死ぬし」

 


 

 神山にて開幕となったハジメ達vsノイント。戦いの始めを飾ったのはハジメのこの言葉だった。

 

「ノイントは僕が抑えるから、ティオは先生を神山から出して!」

「了解じゃ!!」

 

 ティオに指示を出したハジメは、ノイントへと突撃していく。

 

「うおおおおおおおおおお!!」

 

 そしてそのまま建物の外へジャンプして飛び出し、ノイントの手首を掴みながら叫んだ。

 

「陽菜! 一緒に帰ろう! お前は晴れ女なんかじゃない!!」

「帆高!! って――」

「「あああああああああああああああああああああああああ!!」」

 

 ハジメに掴まれたノイントは成すすべなどない。そのまま二人とも地面へと落ちていった。

 

「天〇の子ですよね!? あれは完全に天気〇子でしたよね!?」

「東京が水没することによって生まれる経済損失って、どれくらいじゃろうか……」

「それ今考えることですか!?」

 

 愛子のツッコミを挟みつつ神山から脱出した二人。しかしここで問題発生。ティオは愛子を神山から連れ出した後、どこに連れて行けばいいのか分からなかった。

 無論最終目的地はさっき決めたのだが、流石に戦闘中に送り届けられる距離ではない。

 だが近くに安心して愛子を預けられる場所もない。その上でティオが出した結論はこうだ。

 

「愛子殿。妾はこれからご主人様に加勢するが、そなたはなるべく離れておいてほしいのじゃ」

「は、はい!」

「とは言ってもあんまり距離を取るのは不安じゃろうから、つかず離れずで頼むのじゃ。具体的に言うと、幼馴染同士が高校生になって意識しだした後の、昔みたいな近い距離は恥ずかしいけど、かと言って離れるのも嫌、みたいな主張を無言でしておるくらいの距離じゃ」

「難しい注文ですね!!」

 

 こうして話が纏まった二人はハジメの元へ向かう。ティオの先導で愛子は後ろに続く形で走り、たどり着いた先で見たものは――

 

「ママ~! スイッチで夏に出る月〇リメイク買ってよ~!! ちゃんとインサイダー取引止めるから~!!」

「わがまま言わないでください。どうせ型月作品なんてまた延期に決まっていますよ」

「そんなことないもん! きのこ約束守るもん!!」

 

 ノイントの足に縋りつきながらゲームをねだるハジメの姿だった。

 

「駄々っ子になってる―――――――――!!」

「今加勢するぞご主人様!!」

 

 その姿を見てティオはハジメの元へ駆け出していく。

 

「お姉ちゃ~ん! ボト〇ズのBlu-ray Box買って~!!」

「八万円以上するもの買うわけないでしょう!?」

 

 そしてハジメと同じくノイントの足元に縋りつき、駄々をこね始めた。

 

「ティオさんも!?」

「買え! 買わぬか!! 妾にボ〇ムズの一気見をさせぬ気じゃな!! この人でなしめ!!」

(しかも逆ギレした――――――――!?)

「いや、私は神の使徒ですし。人間風情と同一視されたくありません」

 

 今、愛子の眼前に移る光景は、羽を生やした非人間的な美女に縋りつき、醜く自らの欲求をぶつける着物の美女。

 だがそれが逆にハジメの逆鱗に触れた!

 

「自分で買え!!」

 

 ハジメはハンマーをどこからともなく取り出し、ティオとついでにノイントに向けて躊躇なく振るう。

 

「「ぎゃああああああああああああああああ!!」」

「えぇ――――――――――っ!? 南雲君の方が先に駄々こねてたのに!?

「それはそれ。これはこれ」

 

 愛子のツッコミにハジメが理不尽な返答をしたところで、ティオはノイントに覆いかぶさる形で一緒に倒れた。

 

「邪魔です」

「あぁん!」

 

 その状態でノイントは持っているハリセンでティオを吹き飛ばしてから起き上がり、それを大剣に変える。

 

「ハリセンを大剣に変えた……!?」

「いや、まず何で最初はハリセンだったのかが分かりませんけど!?」

「ハリセンにそんな機能、必要?」

「確かにそうですけども!!」

 

 吹き飛ばされたティオが未だ倒れたままで、ハジメと愛子が話す中、ノイントは三人など目に入らないとばかりに一人呟く。

 

「やはりハジケは効率が悪い。普通(シリアス)に戦うのが一番です」

「は?」

 

 ノイントの呟きが聞こえたハジメはさっきまで愛子と話していたことすら忘れ、何を言っているのか確認の為に聞き返す。

 しかしノイントはハジメの問いに呆れたように嘆息した後、律義に返答した。

 

「効率が悪いと言ったのです。ボケ殺しを誘導する為に少し使ってみましたが、あまりにも理解不能です。受ける必要のないダメージを受け、する必要のない行いにわざわざ手を染めなければならない。それを効率が悪いと言って何が悪いのか」

「」

 

 ノイントの物言いにハジメは最早言葉が出ない。

 確かに彼女の言い分にも常人の視点なら一理はある。味方殺しどころか味方への攻撃がメインになるなど日常茶飯事。理解不能で脈絡のない真似を理性的に行わなければならない、というのはハジケリスト以外からすればやってられないだろう。

 だが人生をかけてバカをやるのがハジケリスト。理性を以って狂気を振るうという矛盾をこなしてこそ一流。ハジケができても戦いに活かせなければ、その場のノリでなく事前のネタ合わせがなければ動けなければ二流。戦うだけでいいなら他にいくらでも道はある。

 そしてノイントの台詞は二流のものですらない。例えるなら、初めて触った格ゲーで適当なキャラを選んでプロゲーマーに挑み、負けたからと言ってそのキャラが弱いと嘲ったり、ゲーム自体をクソゲーと罵るようなもの。

 そんな彼女の言い分を、ハジケリストとしての誇りを持って生きているハジメが聞いて怒らない筈がない。それも怒りのボルテージはマックスを一気に飛び越え、最早大声を出すのも億劫になる程に。

 

「何だと? お前。お前はもう黙れ。ハジケリストのことを喋るな」

「単に感想を言ったまでですが」

 

 ノイントの変わらない言葉に、ハジメの殺意が一気に噴出する。その殺意をまともに向けられてしまえば、常人なら卒倒してもおかしくはない。

 事実、ハジメから少し離れて後ろにいる愛子は、直接向けられたわけでは無いから気絶こそしていないものの、彼の殺意に圧倒されて声も出ない。

 そしてハジメは愛子を気にかけないまま、ノイントに攻撃を仕掛けた。

 

「納豆真拳奥義、三個果物弾(スリー・フルーツ・ボムズ)

「フレイ〇ード!?」

 

 しかし愛子からツッコミの声は出た。

 ティオはそれを見て少し安心する一方、ハジメの足元には三個ドリアンが現れ、彼の足で一個ずつノイントに向けて蹴りだされていく。

 

「何で蹴るんですか!?」

「仕方ないじゃろ。掴んで投げるという仕様がドリアンにはないのじゃから」

「それマ〇オサンシャインのドリアン!!」

 

 しかしハジメが放ったドリアンは、ノイントの背にある銀翼を用いることで宙を舞い、苦も無く回避されてしまう。

 

「ならば“嵐焔風塵〟!」

 

 回避した直後のノイントに今度はティオが魔法で追撃する。しかしノイントは銀翼で体を覆うことでティオの魔法を防御した。

 更にノイントは防御するのみならず、反撃として翼から羽を弾としてハジメ達へと撃ち出していく。

 

「危ない!!」

 

 羽を撃ちだされたハジメは咄嗟に愛子を庇うべく、彼女の前に立ちふさがった。

 

「奥義、ドMガード」

「ハァハァ……もっとよこすのじゃバルバトス」

(攻撃の追加要求してる――――――――!?)

 

 ティオを盾にして。

しかし彼女はノリノリで喜んでいた。なんだったら追加の攻撃を希望していた。

 一方、ノイントは何一つ感情が見えない冷たい目でハジメ達を見つつも、何かを待っているように神山に意識を向けている。

 すると、神山から聖職者と思われる人間が百人ほど出てくる。そのうち一人にハジメと愛子は見覚えがあった。トータスにやってきた時、一番最初に出会った現地人。誰であろうイシュタルである。

 ハジメ達が一体何を、と思った瞬間イシュタル達は手を組んで祈りのポーズを取りながら一斉に歌い始めた。その光景はどこか荘厳さを感じさせ、彼らが合唱している歌が聖歌だとハジメに感じさせた。

 

「ぐぅ……!?」

「これは、一体何じゃ……!?」

「体が……!?」

 

 イシュタルを筆頭にした聖歌が辺りに響き渡ると同時に、ハジメ達の体に変化が起こる。

 体から力が抜け、魔力が霧散していく。おまけに光の粒子のようなものが纏わりつき、動きを阻害する始末。

 

「イシュタルですか。なかなかいい仕事をする駒です」

 

 イシュタル達の魔法にノイントは無感情な目で彼らを見ながら、淡々と評価をする。

 もしもその言葉を彼らが聞いていれば、喜びのあまり昇天してしまうかもしれない、ノイントから贈る最高峰の評価だった。

 しかしハジメ達はそれどころではない。体をうまく動かせない三人は、今できる精一杯で行動する。

 

「くっ、妾が今できる動きはこれだけじゃ!!」

 

 ティオは力を振り絞り、ドット絵となって手足をバタバタさせる。これが今の彼女の精一杯だ。

 

「何ですかこれ!?」

 

はなす
  きた

にし   ひがし

 →みなみ

 

「愛子殿! 少し力を貸してもらうのじゃ!!」

「これ完全にファミコン版のド〇クエ1ですよね!?」

 

 ティオは愛子に向かってドット絵のまま近づき、そのまま愛子をお姫様抱っこで抱き上げた。

 

「それで、この状況に何の意味が?」

「妾のドット絵が増える」

「増えたから何だっていうんですか!?」

 

 愛子がティオにツッコミを入れまくる一方、ハジメもまた自分にできる行動を必死に取っていた。

 

「これが僕のありったけだ……!」

 

 そう言ってハジメはジャンプからジャンプキック。実はこれが最速の移動方法。故にこれを繰り返せば

 

「ドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエ」

 

 ほらこの通り。素早い移動も可能になる。

 

「滅茶苦茶機敏に動いてる――――――!? ほらこの通りと言われても分かりませんけど!!

「悪〇城TASじゃのう」

 

 愛子のツッコミが炸裂する中、ハジメはさらに移動を加速させる。

 

「ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ」

 

 最早凡人の目にも止まらない高速移動だ。このまま彼はイシュタル達の聖歌を止めに行こうとする。しかし――

 

「“劫火狼〟」

「ぎゃああああああああ!!」

 

 ノイントの魔法により爆炎が巻き起こり、ハジメの魂胆はあっさり瓦解した。

 ハジメを妨害したノイントは、特に何の感慨もなさそうに言う。

 

「念には念を入れて準備しましたが、思ったより大したことはありませんね、イレギュラー」

 

 そのままノイントはその場で大剣を振り上げ、ハジメ達にトドメを刺そうとする。

 しかし彼女は忘れていた。この場に居ないもう一人の存在を。

 一時的に追放しただけで、未だ無効化されていない一番の強者を。

 

「解釈違い!!」

「ごはぁ!?」

 

 いつの間にかつけられたVRゴーグルを外して手に持った状態で、魚雷ガールがノイントの背中に突撃した。

 それによりノイントは成すすべなく地に堕ち倒れ伏し、魚雷ガールもまた着地する。

 そのまま彼女が告げるのは、ゲームの内容に対する抗議だった。

 

「ソフトン様はあんな風に媚びた声は出さないわ! ソフトン様はもっと凛々しいの!! というか――」

 

 ゲームへの不満からかヒートアップしていく魚雷ガール。

 しかしその矛先は徐々にノイントから、この状況でなおも聖歌を歌い続けるイシュタル達へ向かい始める。

 

「あんた達さっきからうるさいギョラ――――――――!!」

『ぐわああああああああああああああああああああああ!!』

 

 聖歌によるデバフもなんのその。魚雷ガールの突撃でイシュタル達は吹き飛ばされ気絶した。

 これによりハジメ達のデバフも解除され、元通りの動きが可能となる。

 

「おお、魔力は戻らぬが動くのには支障はないの!」

「デバフがないのなら後はガチンコだ」

 

 元通りになったハジメは未だ倒れ伏しているノイントの元へ向かう。

 だが追撃の為ではない。

 それは誇りを汚した者へ、己の怒りを叫ぶために。

 

「立てよド三流! 僕達とお前達との、格の違いってヤツを見せてやる!!」

 

 ハジメの心からの堂々とした叫び。

 しかし次の瞬間、堂々と布告した彼に対し、なぜか後ろからティオがこっそりと肩を叩き、小声で問いかけた。

 

「何故、いきなりハガ〇ンなのじゃ?」

「いやほら、原作の僕って片腕義手のうえに錬金術で戦うじゃん? だからつい」

「ああ、成程のう……」

「ふざけすぎ!!」

「「ぎゃあああああああああ!!」」

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