前回と違って、この章はギャグ盛りだくさんの予定です。
奥義67 久々登場! アサシン系兎人族!!
前回のあらすじ
僕は高校生ハジケリストの南雲ハジメ。
幼馴染で仲間のシア・ハウリアと競馬場に遊びに行って、ところてんまみれの怪しげな男たちの取引を目撃した。
取引を見るのに夢中になっていた僕は
首領パッチ「ハニワ原人め! 死ねぇ!!」
ハジメ「がはぁ!?」
背後から近づいてくるもう一人の仲間に気付かなかった。
僕はその男にこんにゃくゼリーを飲まされ、目が覚めたら……
ハジメ「これが私……?」
体がモビルスーツになっていた。
南雲ハジメが生きていると奴らにバレたらまた命を狙われ、周りの
ティオ博士の助言で名前を隠すことにした僕は、シアに名前を聞かれ咄嗟に
ハジメ「僕は……マグマ団団長オルガ・マツブサだぞ……!」
と名乗り、父親が厨二病をやっているシアの家に転がり込んだ。
ロボになってもハジケは同じ。
敗北なしの名モビルスーツ。
借金は、いつも一円!
ハジメ「母さん。僕の、ピアノ……」
首領パッチ「ニコルゥゥゥウウウウウ!!」
シア(またですか!?)
魔人族による王都襲撃から四日、ハジメが説教を受けて死んだ日から一日が過ぎた。
ハジメ達はそろそろ出発し、かねてから行くつもりであるハルツィナ樹海を目指そうとしたのだが、そこにリリアーナが待ったをかけ、ある頼みごとを持ってきた。
「帝国に行きたい?」
「はい。今回の王都侵攻について、帝国と話し合わねばならないことが山ほどあります。使者は既に送っていますが、私が直に乗り込めばより話が早く纏まります。ですが馬車で行くとなると一か月以上かかってしまいます。そこで南雲さんに、速く移動できるものを用意していただけたら、と」
「それはいいけど、次の日まで待ってね。明日になったら、城の庭に作ったフォーク畑でお望みのものが採れるから」
「いや、勝手に変な畑作らないでもらえますか?」
リリアーナの頼みを快諾するハジメ。
彼女としてはありがたかったが、だからといって勝手に畑を作られては困るので、それはそれとして文句も言っておいた。
そして翌日。リリアーナは護衛の騎士数人と、光輝パーティを連れ、あと魚雷ガールが勝手についてきてフォーク畑へとやってきた。
なぜ光輝達が居るのかというと、ハジメ達に同行し、彼らと同じく神代魔法を手に入れる為である。ちなみに他のクラスメイト達は神代魔法を手に入れる旅には参加せず、王都を守るか城に怯えて引きこもっているかのどちらかだったりする。
そんな彼らがフォーク畑で目撃したもの。
それは、全長百二十メートルほどの大きさを誇る空飛ぶ船。そう――
「飛行船ができてる――――――――!?」
「ホッホッホ。この時期のフォーク畑は飛行船が生るからのう」
ツッコミを入れる雫に対し、白髭を生やした首領パッチが誇らしげに語る。
当然、雫以外の勇者パーティとリリアーナ達は唖然としていたが、ハジメ達は面倒くさいので一切干渉せず、適当に飛行船に押し込んで一行は出発した。
「どうじゃ? この飛行船は二百人以上乗っても大丈夫なうえに、オートパイロット機能までつけて、更に馬車を使えば数が月はかかる帝国まで、一日半でつくことができる優れものじゃぞ」
「明らかなバランスブレイカーですね!!」
飛行船が空を飛ぶ中、今度はティオが得意気に飛行船について解説し、それを聞いたリリアーナが驚き叫びながらも、なんとか量産化できないかとティオに尋ねた。
「まずフォーク畑に植えるフォークを厳選する必要があるのじゃが……」
「ふむふむ」
(リリィが訳の分からない解説を真剣に聞いている……)
雫がそんな光景をなんともいえない表情で見つめている中、他の面々は飛行船を各自探索していた。
なにせこの飛行船は二百人以上乗っても問題ないくらいに広く、更にはお風呂場など娯楽施設も充実しているのだ。暇つぶしにはもってこいである。
そんな飛行船の一角にて、ハジメの首領パッチの二人はなぜか――
「帝国で、ところてんを主食にしたいんだ」
天の助から悩み相談を受けていた。
内容はいつも通りだが、彼には勝算があるらしく、二人に力を貸すよう頼みこんでいる。
「頼む、帝国を制圧してところてんを主食にするんだ! あいつらは実力主義だって聞いたから、力で制圧すれば皆ところてんを食べさせられる!!」
天の助は帝国が実力主義を掲げていることを利用して、帝国の主食をところてんにすることを企んでいた。しかしそこに二人が待ったをかける。
「本当に、それでいいのかい?」
「力で抑えつけて主食を変えても、それに何の意味がある?」
「だって……! だって……!!」
淡々と諭す二人に対し、天の助は泣き崩れてしまった。
「本当はオレも分かってるんだ……でもそんな甘ったれた精神じゃ、ところてんを主食にできなくて……!」
「地道にやればいいじゃん。少しずつ、前に進んでいけば」
「お前昔を思い出せよ! もっと純粋だったあの頃をよ!!」
泣き続ける天の助に対し、二人は優しく慰めの言葉をかける。
そんな彼らの言葉に心打たれ、やがれ泣き止んだ天の助は二人に問う。
「なあ。ところてんが主食になる日が、いつか来ると思うか?」
それは天の助の心からの問い。
優しい言葉を求める、彼の甘さ。そんな感情をハジメと首領パッチは――
「何言ってるの?」
「無理に決まってんだろ」
バッサリ切り捨てた。
「貴様らぁ! ゆ“る”さ“ん”!!」
「RX。今日こそお前の最期だ」
魔剣大根ブレードを取り出し、ハジメに斬りかかる天の助。対し首領パッチ達もまた、ドンパッチソードを取り出し迎撃を始めた。
一方、ここまで台詞が無かったユエは、ハジメ達の戦いに気付いてウザそうにしたかと思うと、懐からスイッチを取り出して推し始める。
「ハァハァ……スイッチ尊い。マジ無理……!」
「限界オタクになったですぅ!?」
すると、ハジメ達が立っている場所の床がパカッと開き、彼らは成すすべもなく落下していった。
「「「わああああああああああああああああ!!」」」
(落としたですぅ――――――――――!!)
「「「サンタさーん!
「コミカライズ決定おめでとう」
「この辺は怒られたら消しますからね。本当に」
ここはライセン峡谷の一角。
そこでは、涙目になりながら逃げる兎人族数人と、彼らを追いかける帝国兵の姿があった。
実は帝国は先日、魔人族に襲われた。それを返り討ちにしたものの国内は疲弊。そこで、労働力の補充と慰安を兼ねて、帝国は亜人族を捕まえに来たのだった。
その帝国兵達の後方には、捕らえた亜人族の一人である少女が収容されている移動用馬車が。中には二人の見張りである帝国兵がいた。
そして――
「「「バアアアアアアミヤアアアアアアアアアン!!」」」
その馬車に、謎の叫びをあげながら落ちてくるバカ三人の姿があった。
彼らは勢いのまま馬車の天井を突き破った。
「「着地!!」」
「「ぐばぁ!!」」
そのままハジメと帝国兵の内一人を下敷きに、首領パッチと天の助は着地。
「お約束だからよ、止るんじゃねえぞ……」
ハジメはいつもの通りに死に、帝国兵は下敷きになって何もできず気絶。
「な、何だてめえら!?」
ここでもう一人の帝国兵が、多少状況に戸惑いながらも首領パッチ達に対し武器を突き付けて威嚇する。突如馬車の屋根を突き破ってやって来た謎の襲撃者相手なら、当然ともいえる対応だろう。
しかし目の前のバカ三人にそんな常識は通用しない。する訳がない。
「まあまあ。落ち着いてサボテンのスムージーでもどうぞ」
「いらんわ!!」
首領パッチが謎のスムージーを帝国兵に渡そうとするも、彼はそれを突っぱねる。
だがそれが逆に首領パッチの逆鱗に触れた!
「あぁ!? ええからスムージー飲めや! ミキサー作ったお百姓に申し訳ないと思わねえのか!?」
「知るか!!」
急にキレ始めた首領パッチに対し、思わず叫んでしまう帝国兵。
「じゃあところてんマグナムを召し上がれ!!」
「「ぶべっ!?」」
そこに追い打ちをかけるようにハジメが、帝国兵にところてんマグナムを喰らわせ、彼はあっさり気絶した。
このタイミングで、今度は馬車の騎手が中の様子を見ようとするのだが――
「納豆真拳奥義。怪奇! 人面人間『木下』!!」
「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
ハジメが手に持った納豆を伸ばし、鞭のように叩きつけることで、一撃で騎手も気絶させた。
ここまでやってから、彼らはある疑問に行き当たる。
「ノリでぶちのめしちゃったけど、この帝国兵達は何してたの?」
「「さぁ……?」」
ハジメの疑問に首をひねるバカ二人。
まあ帝国は実力主義らしいし、その礎になれたならいいでしょ。と三人は自己弁護をしながら、馬車の外に出る。
そこで彼らが見たものは――
「「いやああああああ! 首無し死体がいっぱいあるよ――――――――!!」」
首と胴体が切り離されている帝国兵の死体が数多横たわっている、地獄のような惨状だった。
その光景にハジメと天の助は思わず抱き合って怯えるが、首領パッチは一人驚愕した顔を見せる。
「こ、これはまさかデュラハンランド!」
「デュラハンランド!?」
『デュラハンランド。それは首無し騎士が集まる最後の楽園。デュラハンは皆ここを聖地とし、そこを目指すために生きるという(民明書房より)』
「――らしいぜ」
「凄いところ来ちゃった! デュラハンとペアチェキとか撮れるかな!?」
「いや絶対違うだろそれ!?」
首領パッチの説明にハジメが感激し、天の助がツッコミを入れていると、そこにさっきまで追われていた――ハジメ達は見ていないが――兎人族達がやってきた。
やってきた兎人族にハジメ達は見覚えがあった。
「お久しぶりです、ハジメ殿!」
それもその筈。何せ彼らはハウリア。魚雷ガールに鍛え上げたことで、亜人族随一の精鋭となった元最弱の兎人族なのだから。
「君達はハウリアの……名前なんだっけ?」
とはいえ、ハウリアの数はなんだかんだ言って多いので、名前を覚えていないことも多い。なのでハジメは少々申し訳なさを覚えながらも、目の前のハウリア達に尋ねた。
しかし、尋ねられた彼らはむしろ得意げに名乗り始めた。
「俺の名は、”必滅のバルトフェルド〟!」
「私は、”疾影のラナインフェリア〟!」
「私は、“空裂のミナステリア〟!」
「僕は、“這斬のヨルガンダル〟!」
なぜか、痛々しい二つ名を添えて。 それにハジメ達はげんなりする。
「「だっせぇ……」」
「カッピョイイ……」
訂正、首領パッチだけはノリノリでハウリアの二つ名に目を輝かせていた。
そんな彼らに必滅のバルトフェルド、ちなみに本名はバル、が話しかける。
「ちなみにハジメ殿の分も用意してありますぜ」
「恐ろしいこと言わないでよ!?」
バルの台詞を聞きたくないとばかりに耳を手で塞ぎ、いやいやと首を振り始めるハジメを尻目に、天の助はあることを尋ねた。
「お前ら、こんなところで何してるんだ?」
「ああ、それはですね……」
天の助の質問に答えるヨルガンダルこと、本名ヨル。
以下、要約するとこういうことである。
フェアベルゲンに魔人族が攻めてきたぞ!
ハウリア、他の亜人族に思うところは多々あるけど一応助けたよ。
でも国は疲弊しちゃった。するとその隙をついて今度は帝国が攻めてきたんだ~!
帝国に亜人族がいっぱい攫われて、ハウリアはそいつらを助けに来たんだぞ!
で、今に至る的な?
「なるほどぉ……」
「オレとお前の」
「そめごろぉ! そめごろぉ!?」
ヨルの説明に各々頷くバカ三人。
彼らが後ろに振り替えると、そこにはハジメ達が落ちてきた馬車以外にも沢山の馬車があり、その全てに亜人族が囚われていたというのだ。
なのでハジメは決断した。
「とりあえず、この亜人族達をフェアベルゲンに送り届けるか……」
ちょっとくらい寄り道してもええやろ、と呟きながら、ハジメは飛行船にいるユエに電話をかけ始めるのだった。