【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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改めて言いますがこのSSはありふれとボーボボのクロスオーバーSSです。
なので序盤はありふれ成分が強めとなっております。多分。


というか今までがボーボボ一色すぎた。
これっていわゆる蹂躙クロスなんじゃ……。


奥義6 バカ達のいない地上&バカ達のいる奈落の底

 ハジケリスト三人が奈落の底へ落ちていく光景。それをただ黙って見ているクラスメイト達と騎士団員達。

 彼らはハジメ達が危険な目に遭っているとは思わない。否、遭っていたとしても何とかしていると信じて疑わない。

 一方で、自らの危機が無くなった訳では無い。

 

「皆呆けるな! ハジメ達なら生きている筈だから早く脱出するぞ! 俺達はまだ危機を脱しちゃいないんだからな!!」

 

 焼きうどんに人間一人とよく分からないのが二人、引きずり込まれるという光景を目にし思わず呆けてしまったが、正気に戻るのが一番早かったのはメルドだった。

 メルドはクラスメイト達と騎士達に必死に呼びかける。ベヒモスは奈落に落ちたといえ、トラムソルジャーを呼び出す魔法陣はいまだ健在で、続々と数を増やしている。

 

「光輝。お前が先陣を切るんだ。殿は俺達がやる」

「分かりましたメルドさん。皆、俺に続け!」

 

 メルドの指示で光輝が先陣を切り、トラムソルジャーを倒しながらついに階段への脱出を果たす。

 その後、三十階以上あるのではないかと思うほど長い階段を上りきると、そこには魔法陣が書かれた壁が。その魔法陣に罠が無いか確認してから、メルドが魔力を流すと壁が回転扉となって回転する。扉を潜ると、そこは元の二十階層の部屋だった。しかし休む暇はない。今度はそのまま地上まで進み、そして遂に一階の正面門へと辿り着いた。クラスメイトは皆我先にと脱出する。

 

「イヤッフゥー! やっと戻って来たあああああ!!」

 

 そして一番に脱出した鈴が喜びのあまり迷宮入口前の広場で、亀の甲羅を踏みつけながらピロリンピロリンと謎の電子音を発生させていた。

 

「いや無限1UPしてるわねこれ!?」

「何回やっても、ちびファイヤーマ○オになれないんだけど!!」

「知らないわよ!?」

 

 


 

 

 ホルアドの町に戻った一同は、宿屋に戻った途端檜山を責めたてた。人的被害はほぼ十割死なないであろう南雲ハジメ達だったので、檜山が泣きながら謝罪をし、これを光輝が許すことで一応の決着はついた。

 そして時間は流れ夜。幾人の生徒は話し合っているが、ほとんどの生徒は間近に迫った命の危機に疲れ果て、深い眠りについていた。

 そう、ほとんどである。話し合っている生徒以外の全てでは無い。

 その生徒は、ただ夜風を浴びたくて散歩しているだけだった。だが今は――

 

「ふーん、あの三人はバランスを壊すイレギュラーねえ……」

 

 何者かと会話をしていた。会話している生徒の声は聞こえるが、もう一人の声は聞こえず姿も見えない。

 

「え、あれであいつら死んだかって? ないね。あの三人がたかだか奈落に落ちた程度で死ぬなんてありえない。というか三人の内二人は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、あんな程度で死なれちゃ逆に腹立つし」

 

 ハジメ達を語るその口ぶりは、他のクラスメイト達の前では絶対に見せないであろう熱を帯びている。それは憎悪。ハジメ達、正確に言えば首領パッチと天の助に対し、この生徒は明確に憎しみを抱いている。

 その理由が会話相手も気になったのか、尋ねたようだ。

 

「ボクが昔、生涯を懸けて忠誠を誓った相手をあいつらに殺されたんだよ。だから復讐の機会を狙っていたんだけど、まだ敵いそうにないから潜んでるって訳」

 

 その答えに何を思ったのか。会話相手はどんな返答を返したのか、それはこの生徒以外に聞こえない。

 

「それ本当なら手伝ってもいいよ。他のクラスメイト達はちょっと可哀想だけど、あの方ほどの優先順位は無いし。だけど」

 

 そこで生徒は言葉を区切り、はっきりと断言した。

 

「ボクが忠義を誓うのはあの方だけだ。お前達を手伝うのはいいけど、心まで従えられると思うな」

 

 その言葉に対して会話相手は何も返さない。代わりに違う事を問いかけたらしい。

 

「バランス? ならこっちにしたことと同じことを向こうにもすればいいんじゃないの? 人が駄目なら物でもいいし。まあ人を呼ぶなら、ハジケリストを呼んだ方が良いと思うよ。これは一応忠告のつもりだから」

 

 生徒の言葉に何を返すわけでもなく、会話相手は気配を消した。どうやら、この場を去ったようだ。

 

「じゃ、ボクも帰ろうかな」

 

 


 

 

 それから翌日。クラスメイトと騎士達はハイリヒ王国王宮に戻った。とても迷宮内で実戦訓練を続行できる状態では無かったし、勇者の同胞が一時的に脱落した以上、国王にも教会にも報告は必要だった。

 帰還を果たし、ハジメ達の一時的な脱落を伝えると、王国側の人間は特に大きな反応を見せなかった。実の所、偉大なエヒト神に与えられたステータスプレートを狂わせる存在として、ハジメ達はエヒト神に敬虔な信者程忌み嫌われていたのだ。

 国王やイシュタルはそれを表だって見せはしなかったが、中には物陰とはいえハジメ達を悪し様に罵る者までいた。

 しかし、それを知った鈴が貴族に噛みついた。

 

「ハァ……ハァ……敗北者……? 取り消してよ、今の言葉……!?」

「取り消せだと? 断じて取り消すつもりはない」

「やめろ……!!」

「この数日の間、馬鹿騒ぎをしてまともに訓練もしない……。実に無意味な男達ではないか?」

「ハジメは鈴達に生き場所をくれたんだ! お前にハジメの偉大さの何が分かる!!」

「人間族はエヒト神に従わなければ生きる価値なし! ステータスプレートを狂わせる悪魔に生き場所はいらん!! 馬鹿ひげは敗北者として死ぬ! 神の秩序を崩す者には、お誂え向きだろうが!!!」

「馬鹿ひげはこの時代を作った大ハジケリストだ!! 鈴を救ってくれた人を馬鹿にすんじゃねぇ!! この時代の名が! 馬鹿ひげだァ!!」

「いや馬鹿ひげって誰!? ハジメのこと!?」

 

 という一幕があった。そしてもう一つ。

 

「我々は最大戦力を一時的にですが失いました。あのベヒモスすら危なげなく倒す存在をです」

 

 とメルドが進言したことで、ハジメを悪し様に罵った者には厳罰が下されることになった。

 それを受けてか、クラスメイトの中にはハジメ達が帰ってくるまで訓練は中止しよう、と言い出す者まで現れた。実の所、光輝がこの戦争に参加すると言い出してそれに便乗した者の大半は、真拳使いで強者のハジメをあてにしていた。自分が戦わなくてもそのうち帰れる、みたいな甘えがあった。しかし、今回のことでいずれ帰って来るにせよそれまでは圧倒的な戦力低下の中で戦わなければならなくなり、それに怯える者が多かった。

 教会としてはいい顔はしなかった。なんとか戦ってもらおうと、あの手この手で毎日復帰をやんわりと促してくる。

 それに猛抗議したのは愛子だ。愛子の天職は作農師という非戦闘職ながら、特殊かつ激レアな代物である。農地開拓に専念させれば、糧食問題は解決してしまう可能性が高い天職だ。

 そんな愛子は、戦えない生徒を無理矢理戦場戦場に送り出すような真似をよしとはしなかった。そして、教会側も愛子との関係悪化を恐れてそれを受け入れ、訓練は希望者のみとなった。

 結果、訓練するのは勇者パーティーと檜山パーティー、そして永山重呉のパーティーのみとなった。しかしそれも、ハジメ達が帰るまでの一時的なことになると騎士達は思っていた。

 さて、件のハジメ達は何をしているのだろうか。時は少し巻き戻る。

 

 


 

 

「痛っ……。ここは……? そうだ、僕は確か焼きうどんに引きずり込まれて……」

 

 ハジメが目を覚ますと、そこはやはり迷宮の中だった。周りは薄暗いが緑光石の発行のおかげで何も見えない訳じゃない。どうやら、床に寝かされていたらしい。

 

「そうだ。首領パッチに天の助は!?」

 

 ハジメがこの状況で最初に考えたことは、仲間のことだった。一緒に落ちた筈なのに姿がどこにも見えない。更に言うなら、自分達を引きずり込んだ張本人(?)の焼きうどんの姿も見えない。

 ハジメはとりあえず二人を探そうと、あてもなく迷宮を歩く。そうしてしばらくすると、どこかで戦っているかのような音が聞こえた。ハジメが音の発生源まで向かうとそこには

 尻尾が二本ある二尾狼の群れが。

 空中を蹴ることが可能で、上の二尾狼位なら一蹴できる蹴りウサギが。

 その蹴りウサギすら恐れるこの迷宮、この階層の頂点である鋭い爪を持った爪熊が。

 そして探していた首領パッチと天の助が。

 

「ら、らめぇぇえええ!! あっ、あああああっ! い、いやああああああ! そんなに激しくしない、でぇ! 私を求めないでぇ……っ!」

 

 エロゲ声優みたいなボイスで喘いでいる焼きうどん相手に、一丸となって攻撃を加えていた。

 

「MMOのレイドボス戦みたいになってる……!」

 

 それを見たハジメは思わず呟く。その声に気付いたのか、首領パッチがハジメに向かって叫ぶ。

 

「おいハジメ。早くてめえも手伝え!」

「いやこれどういう状況なの?」

 

 ハジメの疑問に首領パッチと天の助は、アメリカンな感じで手を広げ、やれやれと首を横に振った。

 

(こいつらぶっ潰したい……)

「オレ達は目が覚めてから、とりあえずハジメを探そうとウロウロしてたんだ」

「そしたら喘いでいる焼きうどんを見つけてな。とりあえず食糧を確保しようと思って戦ってたんだ」

「なんか魔物がいる訳は?」

「「知らん。そんなことはオレ達の管轄外だ」」

 

 ドゴォドゴォ、と何も考えていないバカ二人を膝蹴りで沈め、どうしたものかとハジメが考えていると、横から声がかかる。

 

「まあそう言いなさんな兄さん。確かにあんたらとわしらは不倶戴天の敵同士。じゃが少しぐらいなら、こうして肩を並べて未知の敵と戦うっちゅうんも、悪くねえとは思わんかい?」

 

 ハジメが声のする方を見るとそこには、タバコを吸いながらサングラスを掛け、任侠映画の登場人物みたいな口調で話しかけてくる蹴りウサギが一匹いた。

 ハジメはその蹴りウサギの耳を掴み

 

「何一時的に組んだライバルみたいなツラしてるのお前!」

「グバァ!」

「あぁん!」

 

 そのまま焼きうどんに投げつけた。そしてハジメは戦闘態勢を整える。

 

「まあとりあえず、後のことは焼きうどんぶっ殺してから考えるか」

「ぶっ殺すなんて言葉は使うな! ぶっ殺したなら使ってもいい!!」

「パチシュートの兄貴ィ!」

「いくぞハッジ!」

 

 いつの間にか復活した首領パッチが、ハジメに啖呵を切ってから焼きうどんに突撃する。

 そしてハジメは

 

「僕は今日、兄貴を超える!」

 

 ズダダダダダダダ、とマシンガンで首領パッチを強襲した。

 

「ぎゃああああああああ!!」

「キ モ チ イ イ……」

(マ○ー2のギーグみたいになっとる。怖っ)

 

 首領パッチの巻き添えで攻撃を受けた焼きうどんの言葉に、ちょっと戦慄する天の助。

 そんなことは知らないハジメは、首領パッチソード*1を上に掲げ叫んだ。

 

「ここが我らの死に場所と知れ! いざ、開戦だ!!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」

 

 ハジメの叫びになぜか魔物達が呼応し、一斉に焼きうどんにむかって突撃する。

 その後ろで天の助は

 

「なんか、最後の方で祈らなきゃ倒せなさそうだしぬつ像に祈っとこ」

 

 顔がぬになった仏像を手に、必死に拝んでいた。

*1
ただのネギ

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