【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義72 ついに決着! ハウリアVS帝国!!

前回までのあらすじ

 

夕立の助「さあ、素敵なパーティーしましょ!」

 

 大体こんな感じだった。

 

シア「出来てませんけど」

ハジメ「それよりアニメ艦これ二期に出るのか夕立ィ!?」

ユエ「時雨主人公だから出るでしょ」

 

 


 

 

 突如闇に乗じて現れた襲撃者達。その集団を見てハジメは叫ぶ。

 

「お、お前等は――――――っ!!」

 

 その集団の頭に生えている特徴的な兎耳。

 その集団の腰あたりについている特徴的な尻尾。そう、こいつらは

 

「ハウリア共!!」

『共っ!?』

 

 アサシン系中二病兎人族、ハウリア一行だった。

 ハジメがその事実に驚いている一方、シアとティオはやたらと冷淡だった。

 

「こんな引っ張る必要ありました?」

「オチが思いつかなかった弊害じゃろ」

 

 まさか娘にそんな反応をされているとは露とも知らないハウリア族長、カムは地に崩れ落ちている帝国住人を他のハウリアが縛り上げている状況を背景にしながら、ガハルドに対し威圧的に話しかける。

 

「四年ぶりだな、ガハルド」

「いやちょっと前に会っただろうが。俺もてめえらの尋問に加わってただろ」

「ああ、覚えているとも。まさか我々に対し“俺のものになれよ〟などと言うとは思いもよらなかった。まあ、私の貞操は亡き妻に捧げているがな」

「そういう意味でてめえらを求めたわけじゃねえよ!?」

(何この流れるようなコント!?)

 

 カムとガハルドのやたら流暢なボケツッコミに、内心で思わずツッコミを入れてしまう雫。

 その後ろではコソコソとハジメとユエは彼らを見ながら話していた。

 

「まさかのカム×ガハルド?」

「僕は逆カプかな」

「ボーイズラブタグはゲイルじゃなくてこの為に……?」

「人の父親で何を想像してるんですか!?」

 

 二人の想像にシアがキレた所で、カムはハウリアの一人に椅子を用意させ、ガハルドを座らせる。

 

「まあ……座れよ」

「ああ」

 

 カムの提案に素直に応じ、椅子に腰かけようとするガハルド。しかし――

 

「まあ大変。天井裏でエリンギが集団訴訟を起こそうとしているわ。早く制圧しないと!」

 

 鈴が椅子を必要としていたため、持って行ってしまった。そのせいでガハルドは尻から地面に落ちてしまう。

 

『ブフッ!!』

 

 その光景を見ていたシアを除くハウリア一行は思わず吹き出してしまった。

 

「性格悪っ!?」

「まあ、そうされるだけのことはしましたけどね」

 

 雫とシアが目の前の光景に思い思いのコメントを残す中、鈴は椅子でこの部屋の天井裏に上がろうとする。

 

「自由を我らに!!」

「がはっ!?」

 

 だがそこで天の助が鈴の首筋にラリアットを叩き込んだので、エリンギ達の訴訟はめでたく成立した。

 そして首領パッチは――

 

「む――っ! むぅ――――!!」

「ククク……今のうちにこのガキを、一流ザッハトルテ職人にするためのトレーニングを始めるとしよう」

 

 縛られている銀髪碧眼の可愛らしい七、八歳くらいの女の子。この帝国の王族の一人であるアリエルにたいして、口をガムテープで塞ぎ、ザッハトルテ作りを見せて暗記させようと見せつけていた。

 

「その行動に何の意味が!? というかザッハトルテ限定!?

「より大いなる善のために」

「ザッハトルテで!?」

 

 首領パッチの全く意味のない行動に雫がツッコミを入れている間に、カムがガハルドに対して要求を言い放つ。

 

「さて、ガハルド・D・ヘルシャーよ。我々は貴様等に要求がある」

「だろうな。言ってみろ、聞いてやる」

「……無様に敗北し、地に堕ちた分際で随分と態度が大きいな。そんな態度で偉ぶっても滑稽なだけだぞ? 実力主義を掲げながらも、自らには適用できない三下だと宣言しているようなものではないか」

「てめぇ……!」

 

 ガハルドの挑発的な口ぶりを鼻で嗤うカム。その言い分に反論ができなかったガハルドはただ、苦虫を嚙み潰したような顔で目の前にいる兎人族を睨むことしかできない。

 そんな皇帝に構わず、カムは要求を告げる。

 

「要求は四つだ。一つ、現奴隷の解放。二つ、樹海への不可侵・不干渉。三つ、亜人族の奴隷化・迫害の禁止。四つ、その法定化と法の順守。以上だ」

「そんな要求を帝国が呑むと思うか?」

「呑ませるとも」

 

 ガハルドの疑問に対し、カムは不敵な笑みをもって応える。

 しかし、そこに皇太子であるバイアスが割って入ってきた。彼もガハルドと同じく縛られ地に倒れ伏しながらも、凄絶な怒りを瞳に携え喚き散らす。

 

「ふざけるなァ! 薄汚い獣風情が誰に口をきいている! お前等全員殺してや――」

「ギョラテレポート」

「ごはぁ!?」

 

 すると、いきなり魚雷ガールがテレポートしてやってきて、丁度バイハスの上に着地した。その衝撃で彼は呻いている。

 

「いいですよ魚雷ガールさん! もっとボディを抉るように、速く鋭い一撃をそれにお願いします!!」

「リリィ!?」

 

 そんなバイアスの様子を見ていたリリアーナが、ここぞとばかりにテンションを上げまくり、いい笑顔で魚雷ガールにもっと攻撃を要求するが、彼女は聞く耳を持たず話を進めた。

 

「カム。この“誓約の首輪〟をあの皇帝につけさせなさい」

「おい、なんだそれは?」

 

 魚雷ガールがどこからか取り出した首輪について尋ねるガハルド。

 するとちゃんとした説明が彼女から飛んできた。

 

「それは、月刊雑誌『魚雷通信』の定期購読特典で手に入れたアーティファクトよ。効果は、あなたが口にした誓約を、あなたとあなたの親族に命を以って遵守させるわ。一度でも首輪を外したり、誓約を違えるとこんな風に――」

 

 そこで魚雷ガールが指を自身の後ろに指す。そこには、犬が一匹すまし顔で寝ころんでいた。

 

ワォン(え、何)?」

「犬になって死ぬわ!!」

「バリバリ生きてるじゃねえか!!」

 

 すると、いきなり魚雷ガールは犬の首を掴み

 

「何かこの犬キモイ!!」

「ワォ――――――ン!!」

「ぶん投げやがった!!」

 

 投げられた犬は、最終的になぜか香織の首元に収まる。

 

「やだ、まさかの犬マフラー? この夏来るかも……!!」

「こねぇよ」

 

 香織の言動に冷たくツッコミを入れる龍太郎。

 それと同時にカムとガハルドの話は進む。

 

「さて、それでは我々の要求を、この首輪をつけた状態で呑んでもらおうか」

「断る。それで俺らが死んだとしても、帝国は瓦解などしない。確実に万軍を率いてフェアベルゲンを今度こそ滅ぼすぞ。そうして欲しくなかったら、ハウリアは俺に忠誠を誓え。今なら俺直属の一部隊にしてやるぞ」

「論外だ」

 

 一触即発の雰囲気で互いに睨みあうカムとガハルド。

 しかし、ここで場の雰囲気にそぐわない、楽し気な曲が辺りに流れ始める。

 

『ハァ 踊り踊るならチョイト東京音頭 ヨイヨイ』

「東京音頭!?」

「本当に雰囲気にそぐわないですぅ……」

 

 流れている曲に雫とシアがツッコミを入れていると、いきなり入口のドアから轟音が響く。

 

「「「「ぐわあああああああ!!」」」」

 

 すると、外からドアを突き破りながら四人のハウリア達が飛ばされてきた。

 この場にいる全員が一斉にドアの方を見ると、そこには禍々しいオーラを纏う大鎌を担いで仁王立ちしている、金髪縦ロールでティオとタメを張るレベルの胸を張った、足にはピンヒール、服はパーティードレスというゴージャスな服装の少女がそこにはいた。

 少女は勢いよく叫ぶ。

 

「ジャズが聞こえたら、私が来た合図ですわ!!」

「今流れているのは東京音頭ですけど」

 

 少女のテンションとは裏腹に、シアは冷淡にツッコミを入れた。

 

「ここで一旦アバン入れまーす」

 

 


 

 

「この青空に約束を―って、どう略せばこんにゃくになるのか未だに分からない」

「あれは一回ローマ字にして、省略してから日本語表記に戻すんだよ」

(何の話?)

 

 


 

 

 突如現れた謎の少女。

 彼女の登場にハジメ達とハウリア一同は困惑を隠せないが、そんなことは関係ないとばかりに、彼女は大鎌を勢い良く振るう。

 それだけで斬撃が、格闘ゲームの剣士キャラの飛び道具的に、カムとガハルドに向かって飛んでいく。

 

「避けろバカ!」

 

 だが斬撃が二人に届くより先に、首領パッチがカムを蹴り飛ばして回避させ、事なきを得た。

 

「パ……パチータには見えていた……! な……なぜだ……そ……そんなに実力がアップしたというのか……!?」

 

 なお、ユエが首領パッチの動きを見て、勝手に戦慄していたが、関係ないので余談である。

 

「で、ダリナンダアイツイッタイ」

「トレイシー皇女殿下……」

 

 ハジメがいい加減痺れを切らし、鎌を構えた少女についてガハルドに尋ねるが、その前にリリアーナが小声で呟いた。

 

「トレイシー? ブ〇ーチに出てきた?」

「それ滅却師(クインシー)ですぅ」

 

 ハジメの小ボケにシアが軽くツッコむ中、ガハルドが問いに答えた。

 

「あいつはトレイシー・D・ヘルシャー。俺の娘で、この国の皇女の一人だ」

コケェ(へぇ)~」

「何でパーティーにいなかったんだ?」

「それはな――」

 

 ガハルドの言葉にハジメは鶏みたいな顔で返すが、天の助は新たな疑問が生まれたので問う。それに対し、ガハルドは返答しようとするが、その前にバイアスがトレイシーに向かって叫ぶ。

 

「おいトレイシー! 早くこの縄を解け!! そしたらあの獣共を――」

「せからしゃぁ!!」

 

 しかし、バイアスの叫びは途中で途切れることになる。

 それもそのはず。なぜなら彼の首は、トレイシーの大鎌によって割かれてしまったのだから。

 

「殺した―――――――――――――――!?」

「あの切れ味は只者じゃない。あれは一口サイズにカットするデモンストレーション……完全に天の助を食べる気」

「それはないですぅ」

 

 トレイシーの凶行に雫が驚きのあまり叫ぶ一方、ユエは一人で勝手に戦慄していた。

 そんなことは関係ないとばかりに、トレイシーは二つに裂けたバイアスの、首から上の方に向かって唾を吐きかけ、冷たく蔑みながらこう言った。

 

「負けも素直に受け入れられない蛮族が、私に口利くなんてナンセンスの極致ですわ!!」

「この流れは、マズイな……」

「ああ。ハジメが死ぬのはいいけど、あの皇太子じゃギャグにならねえ」

「僕の人権は? ……まあ今はいいや。納豆真拳奥義、緊急手術(エマージェンシー・オペ)!!」

 

 天の助と首領パッチが作品展開に危惧を覚え、ハジメは一抹の疑問を抱くものの、今はそれどころではないと判断して奥義を発動。

 すると、会場の壁に手術室の扉が生まれ、三人はそこに首が取れたバイアスを運び込む。

 

『えっと、ここはねりけしをとろろで和えて……』

『ところてんをねじ込んでおこう』

『ハジメ。そこのチャウグナー・フォーンの鼻とってくれ』

 

 中で何が起きているのか誰も予想できない音声が聞こえてくる中、手術は進む。

 そして五分後。出てきたバイアスの姿は

 

「ピピピピピー。コレカラハ、ボク、ミンナノ為ニ、ガンバルゾイッ!」

 

 全身メタリックに加工され、手にはドリル、足はキャタピラを装備。喋り方も片言になっていた。

 

「ロボよこれ――――――――!?」

「落ち着いてシズシズ。ロボは古いよ」

 

 変わり果てたバイアスの姿を見て思わずツッコミを入れる雫だが、鈴が優しく諫める。

 一方、そんな彼の姿を見たトレイシーは一言、こう漏らした。

 

「何だか知りませんが、とにかくよしですわ!」

「よくはないですぅ……」

 

 仮にも兄がロボになったとは思えない反応だが、帝国は実力主義。人間でいたいならそれ相応の力を得るべきだった、と彼女は思っている。

 だがそんなことはもうどうでもいい。それより重要なことが彼女はある。

 

「それより先程ハウリアが話していたことは聞かせてもらいましたわ。いいでしょう、私とハウリアの内一人が決闘して、私に勝利できたのならその要求、受け入れて実行いたしますわ!!」

『なっ……!?』

 

 トレイシーの発言。それは帝国の人間からすれば、到底受け入れられるものではなかった。

 今なら例えここにいる全員が殺されても、最終的には亜人族に勝てる。にも関わらずあえて敗北の可能性を上げるような真似は……などと主張する帝国のお偉方たち。

 しかしそんな彼らの批判の視線を、トレイシーは蔑みの視線で返し、鼻で嗤った。

 

「はぁ? 貴方がたもバイアスお兄様と同じ運命を辿りたいと?」

「当医院ハ被験者ヲイツデモ募集中デース!」

「マッドサイエンティスト生えてるですぅ――――――!!」

 

 更にその横では、白衣を着た首領パッチがメスを取り出しながら脅しをかけてくるせいで、帝国の人間に怯える以外の選択肢はなかった。

 

「で、どういたしますのハウリア? 私と戦うか、私に怯えるか。好きな方を選びなさい。それにふさわしい対応をさせてもらいますわ!」

「いいだろう。その決闘、族長たるこのカム・ハウリアが受け――」

「待ってください」

 

 トレイシーの決闘の誘いを受けようとするカムだが、そこでシアが待ったをかける。

 そしてそのまま、彼女はこう切り出した。

 

「その決闘、私がやります」

「シア!?」

 

 カムはシアの突然すぎる言葉に驚く。だが彼は見た。

 彼女の力強い瞳を。彼女の消して揺らがない意志を。だから彼もまた決断した。

 

「……頼んだぞ、シア」

「はい! ですぅ!!」

「クサヴァーさん!! 見ててくれよ!!」

「本当に気持ち悪いよ」

 

 ドパンドパンドパン

 

「だからよ、止まるんじゃねえぞ……」

 

 なお、余計なことを言った首領パッチはハジメに射殺された。

 

 


 

 

トレイシーとシアの決闘を見ていたユエは、後にこう語る。

 

 

「王女とシアの決闘? 結果なんて分かっている」

 

「え? トレイシーは強い? 確かに、ハウリア四人が飛んできた時は驚いた。でもそれだけ」

 

「シアはもっと強かった。……もし、それ以外に違いがあるとするなら」

 

「膝――だったと思う……」

 

 


 

 

 トレイシーとシアの決闘は、一進一退の戦いだった。

 大鎌を振るうトレイシーは、遠距離から斬撃を飛ばし大理石の床を抉りながらシアに迫る。

 だがシアは斬撃を時に躱し、時にピアニカソードで受け流しながらトレイシーの懐に潜り込んだ。

 ガキィン!

 そして金属音を響かせながら大鎌とピアニカの鍔迫り合いが始まる。

 この鍔迫り合いはどちらが押しきれるかが勝負。互いに筋肉を使い、いかに相手の体勢を崩すかに神経の全てを捧ぐ。

 その戦いを制したのはシアだった。彼女は咄嗟に力を抜くことで、トレイシーの体勢を前のめりに崩したのだ。

 本来なら一瞬にも満たない筈の隙。しかし、トレイシーはパーティーということでめかしこんだのが災いした。靴がピンヒールなせいで、普段より体勢を整えるのに時間がかかってしまうのだ。シアはその隙を見逃さない。

 そのまま降りてきたトレイシーの体に、シアは膝蹴りを叩き込む。

 ここでトレイシーの思考を痛みで奪い、次にシアはピアニカソードで相手の顎にアッパーを叩き込む。これで、上半身は無防備に打ち上げられた。

 そしてこれでラスト。

 

「ですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですです」

 

 トレイシーの無防備な体に、シアは拳とピアニカで、目にも止まらぬ速さの連撃を放ち続ける。

 最後に

 

「でぇぇぇぇぇすぅぅぅぅぅ!!!」

 

 ピアニカソードで強烈な一撃を喰らわせ、トレイシーを壁に叩きつけ、彼女を気絶させた。

 誰がどう見ても完璧な、シアの勝利である。

 

「ふぅ~……」

 

 トレイシーに勝利したシアは、息を吐き、この場にいる皆に向かって宣言した。

 

「この戦い、私の勝利ですぅ!!」

 

 その言葉に、ここにいるハウリア全員が歓声を上げるのだった。




ハーメルンのありふれ二次でトレイシー出したの多分これが初めてだと思う
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