【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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読者募集キャラの応募が想像以上にたくさん来て、心底ビビりました。ありがとうございます。
全キャラ登場は無理ですが、五キャラくらい出す予定ですので、良ければ楽しみにしていてください。


奥義74 ニセモノ×マモノ×ホンモノ

 入口が開いたハルツィナ樹海に向けて歩を進めるハジメ達。

 この状況で、ユエは天むすを食べながら歩いていた。

 

「天むすはおいしいなあ」

 

 何気なく呟く彼女に、白衣を纏った怪しげな首領パッチの影が。

 

「クククおいしくないさ」

「誰だキサマ!」

 

 思わず叫ぶユエには目をくれず、首領パッチは檻を虚空から召喚してティオを閉じ込め、更にその上に爆弾を置く。

 

「この爆弾はハジメが大樹の中に入ると爆発する! さらばだ!」

「ご主人様――――!」

「大変。私がハジメを止めないと爆発してティオが死ぬ! 早く何とかしないと!」

 

 現状を説明口調で話しながら、ハジメを探すユエ。しかし、当のハジメは既に大樹の入口を通過し、中に入ってしまっていた。

 

「ということは……」

「仗助――――ッ!!」

 

 ユエの健闘むなしく、檻の上に置かれた爆弾は爆発した。

 

「「「ぐあああああああああああああ!!」」」

 

 そのせいで檻の中にいたティオと傍にいたユエ、首領パッチは爆発で死んだ。

 そこに後ろから天の助が通りかかる。

 

「なんて事だ、三人が死んでしまった!」

「「「イキテマス」」」

 

 三人の惨状に驚いた天の助は、思わず神様を呼ぶ。

 

「神様! 神様――――――――――!!」

「はい」

 

 すると、今度は白髭とアカザの杖を携えたハジメが雲に乗って空からやって来た。

 天の助はハジメに求める。

 

「時間を巻き戻して!」

「お客様の料金プランだと難しいですね。生き返りなら可能ですが」

「じゃあそれで」

「「「イキテマス」」」

 

 こうして三人は生き返り、彼らはハルツィナ樹海へ突入していった。

 

(いや今の何よ!?)

「あんまり考えすぎちゃダメですよ」

 

 なお、この一連の流れを見ていた雫は内心でツッコミを入れ、シアは諦め気味にスルーしていたがそれはまた別の話。

 とにもかくにも、バカ騒ぎをしていた五人含め、全員がハルツィナ樹海に入る。

 すると、全員が入ったと同時に入口が閉まり、辺りは完全な闇に閉ざされる。

 更に、次の瞬間には床から強烈な光を発する魔法陣が現れ、彼らを激しく包み込んだ。

 

「目が、目がぁ~!!」

 

 鈴の視界を破壊したかと思うと、彼らの視界は暗転した。

 

 


 

 

「っ……ここは……!?」

「指さし確認!」

「あっち・こっち・どっちだ!?」

 

 光が晴れ、視界を取り戻したハジメ達の目に映るものは、木々の生い茂る樹海だった。

 その中で光輝が辺りを見回すと同時に、ティオと天の助は仲間の無事を確認する。

 

「ご主人様。全員無事の様じゃ」

「生存確認、ヨシ!」

「言い回しが良しじゃないですぅ」

 

 全員の無事を確認し、ハジメが安心したところでいきなり――

 

 ドロドロドロドロ

 

「ドロヘ〇ロ!」

 

 首領パッチが赤錆色のスライムと化し、形を失って崩れ、そのまま地面のシミとなった。

 

「わあああああああああああああ!?」

「何これ!? 何これ!?」

「妾こんなの聞いておらんのじゃが!?」

 

 突発的に発生したSAN値チェックものの光景に、香織と鈴、それにティオは大慌てだ。

 しかし、天の助は冷静にスライムの一部を拾い、顕微鏡で細胞を確認し、ある結論を出す。

 

「皆聞いてくれ。この首領パッチは偽物だ、DNAが違う」

「何だって!?」

 

 天の助の言葉に驚く光輝。彼の言葉に構わず、天の助は説明を続ける。

 

「オレは前に、首領パッチの正体が気になってヤツの毛をこっそり手に入れ、DNA鑑定したことがある」

「首領パッチさんって、毛ありませんよね?」

「その結果、ヤツのDNAはエッフェル塔と一致していた……!!」

(生き物ですらない――――――――――!?)

 

 衝撃の真実に思わずツッコミを入れてしまうシアと雫。ここで、天の助の言葉を聞いたハジメがあることに気付く。

 

「待って。じゃあ他にも偽物が紛れ込んでいるんじゃ……?」

 

 ハジメの言葉にざわめく一同。誰もが周りの人物を見回し、本物か偽物かを見極めようとし始めた。

 そんな彼らに対し、ハジメは叫ぶ。

 

「皆動くな! 一歩でも動いたら偽物とみなして殺す!!」

「殺すんですか!?」

 

 ハジメの殺意の高さにシアは思わず叫ぶが、彼女以外の一同は指示に従い止まる。

 

『…………』

 

 高まる緊張、隠しきれない不安と焦燥。

 その空気がどれほど続いたか分からなくなった時、ティオがいきなり動き出した。

 

「ぬしが偽物じゃな!!」

 

 ティオは走り出し、そのまま腕でユエの腹を貫く。しかし彼女から血は出ず、首領パッチの偽物と同じように赤錆色のスライムとなり、地面のシミと化す。

 ティオのこの行動を見た後、ハジメは彼女に近づき

 

「動くなって言ったじゃん!!」

「あひぃん♡」

 

 尻に蹴りを叩き込み、蹴られた彼女は勢いよく倒れこんだ。

 倒れ伏し、心持ち尻を突き上げた状態のティオに対し、ハジメが問う。

 

「それで、何でユエが偽物だって分かったの?」

「……普段のユエなら、この状況じゃとご主人様を撃ち殺すに決まっておるからのう」

「「「なるほどなー」」」

「そこは納得するところなのか……?」

 

 ティオの返答に納得するハジメ、天の助、シアの三人。そんな彼らに対し、光輝は心底困惑していた。

 

「よし。さっきの殴りごたえでティオも本物だと分かった! もう面倒臭いから後は全員ブチのめす!!」

「強行すぎるわよ!?」

 

 ハジメの力業すぎる発言に雫はツッコミを入れるが、彼は構わず仲間に向かって殴りかかっていく。

 

「まずはお前だ天の助!!」

「オレ!?」

「死ね抜刀斎!!」

「剣心!?」

 

 叫びながらハジメは天の助の顔面を殴りぬき、彼の顔面はそのまま弾丸となってあらぬ方向へと飛んでいく。

 だが天の助は赤錆色のスライムへは変わらずそのままだ。これで彼は偽物ではないと証明された。

 

「ならば次はシアに雫。ぬしらじゃ!! うおおおおおお!!」

 

 ハジメの凶行を見て、なぜかハイテンションになりながら、シア達の元へ駆け出すティオ。

 

「ていっ」

 

 そしてぺち、という音が響いたような気がするレベルでシアに緩くデコピンをかまし、次は

 

「とうっ」

「痛っ」

 

 雫に対し弱めにしっぺをして、彼女は軽く痛がった。

 これを見てティオは不敵に微笑み、告げる。

 

「二人とも本物じゃな」

「こんなんでいいんですか!?」

「お次はオレだ。はああああああ――」

 

 シアと雫が本物だと確認した天の助は、香織と鈴の二人へ向けて跳んだ。

 

「プルプル真拳奥義、フライング天ちゃんプレス!」

「「何この扱いの差――――――――――――!?」」

 

 天の助のボディプレスをまともに受けた二人は成すすべなく吹き飛び、きりもみ回転で吹っ飛んでいく。だが赤錆色はどこにも見えない為、彼女達もまた本物だった。

 

「これで最後だ! 行くぞ天之河君!!」

 

 ここでハジメが拳を構え、光輝に向かって突撃する。

 だが光輝も負けてはいない。彼もまた拳を突き出し、ハジメに対抗すべく構える。

 ハジメは構わず右ストレートを光輝の顔に向けて放つ。対し光輝は、ハジメの右ストレートに沿うように、左のストレートを同じく顔面に叩き込んだ。

 

「「このドぐされが――――――――――!!」」

「えぇ――――――――――っ!? まさかのクロスカウンター!?

 

 互いの顔面に互いの拳を叩き込みあった二人は、まるで鏡合わせのように逆方向へと飛んでいく。だが二人ともなぜか笑みを浮かべ、お互い相手が赤錆色のスライムにならず、偽物でないことを確認し合っていた。

 

(そういえば、勢いで忘れていたけどハジメが偽物かどうかは確認してなかったわ

ね……)

 

 この光景を見て雫が一人内心で呟きながら、まだ真贋が確かめられていない最後の一人、坂上竜太郎へと視線を向ける。

 しかし、そこで彼女の視界に映ったものは――

 

「愛してくれて、ありがとう……!!」

 

 天の助の顔面を腹に受け、赤錆色のスライムとなりながら消滅していく龍太郎の偽物の姿だった。

 すなわち、偽物と入れ替わっていたのはユエ、首領パッチ、龍太郎の三人ということである。

 

「ならまずは、本物のユエ達を探すことから始めようか」

「そうだな」

 

 この状況において当然とも言える決定をしたハジメと、それに同意する光輝。

 それからしばらく歩いていると、人間の幼児位の大きさで、スズメバチのような魔物が彼らに襲い掛かってきた。

 しかし――

 

「蜜よこせオラァ!!」

「女子力上がりそうなスイーツ食わせるのじゃ!!」

「ハニーところてん! ハニーところてん!!」

 

 熊のコスプレをしたハジメ、ティオ、天の助の三人によりハチミツを奪われたうえで、スズメバチ達は殺されていく。

 

「魔物相手じゃなかったら強盗殺人では?」

「これはいわゆるハック&スラッシュというものだよ」

 

 ハジメ達の凶行の一方、光輝達も同じ魔物を真面目に頑張って、なんかいい感じに倒していたが、長くなりそうなのでここでは省略する。

 

「何で私達の戦闘描写は雑なのよ!?」

「そんな真面目な小説じゃないし……」

 

 雫の正当な抗議をハジメが受け流しながら再び歩いていると、三十分ほどしてからまたも魔物が群れで現れる。

 それは猿のような魔物であり、見かけに相応しい動きでハジメ達を翻弄しようとする。

 だが――

 

「天翔閃・震!!」

 

 光輝の聖剣を振るうことで生じた、空間そのものを切り裂くような巨大な光の斬撃が、魔物の群れの大半を滅し

 

「水月・漣!!」

 

 雫の納刀状態から回転しながら抜刀し、全方位を切り裂く八重樫流抜刀術が残りのほぼ全部を切り裂く。

 これで猿の魔物は残り二匹。だがここで二匹は思わぬ行動をとった。

 なんと、この魔物の固有能力“擬態〟により、二匹はそれぞれハジメ達の仲間の姿に変身する。

 魔物達が選んだのはユエと香織。それも二匹とも服を乱しつつも、肝心な部分は見せないように腕や足で隠しながら、頬を赤らめていた。

 

「露骨な色仕掛けで来たね。まさか、テコ入れ……!?」

「多分違うですぅ」

 

 ハジメは魔物達を警戒するが、当の二匹は彼らに目もくれずただお互いに見つめ合い、やがてどちらともなく瞳を閉じ、そのまま互いの唇を重ね合わせるかのように顔を近づけていこうとする。

 

「これ以上必須タグを増やすような真似はさせない!!」

「やっちゃいなよ! そんな偽物なんか!!」

 

 二匹の行いが、この小説にガールズラブタグをつけなければならないようになり、これ以上初見が離れそうな作品にすることを防ぐべく、ハジメは香織(本物)の声援を受けながら、手榴弾を投げつけた。

 

「キラークイーン、第一の爆弾!!」

「「サヨナラッ!!」」

 

 二匹の魔物は轟音を響かせしめやかに爆発四散! 樹海そのものを振動で揺らしつつも、魔物達は完全に消滅した。

 辺りに漂う静寂。かと思うとすぐに、どこからか何かを叩く音が聞こえる。

 その音は軽く、例えるなら軽いもので硬いものを叩いているような音だ。

 

「何の音ォ!?」

 

 天の助が音のする方へ叫びながら走っていき、ハジメ達はそれを慌てて追い掛ける。

 そしてたどり着いた先には、ゴブリンの群れがいた。

 ゴブリン。それはファンタジーものの作品なら大抵登場する、定番のモンスター。それが迷宮に現れるのは、おかしなことではない。

 ただしそれは――

 

「グギャ! グギャギャギャギャギャ!!」

 

 一匹のゴブリンが他の同族相手に、どこにあったかも分からない台の上にバナナをいくつも置いたうえで、ハリセンを台に叩きつけながらバナナのたたき売りをしていなければの話だが。

 

「何でゴブリンがバナナ売ってるんですか!?」

「あのゴブリン、ユエじゃね?」

「鈴も負けてられない!!」

 

 シアがツッコミを入れ、天の助が疑惑を提示する中、鈴は一人手に持てるほどのダンボールを持ち、ゴブリンの群れに突貫していく。そして――

 

「さあさ、よってらっしゃい見てらっしゃい! こちらにおわすは美味しいバナナ! このバナナを売る為に、鈴ははるばるハルツィナ樹海にまでやってきました!!」

 

 鈴も対抗してバナナのたたき売りを始めた。

 

「そっちも!?」

「ウザい!!」

 

 一人と一匹がバナナのたたき売りで対抗する中、ハジメは容赦なくマシンガンを取り出し、他のゴブリン諸共一斉掃射で片づける。

 

「やかましいッ! うっおとしいぞッ!!」

「「ぎゃあああああああああああああ!!」」

 

 ハジメのマシンガンでバナナの売り手以外は全滅し、売り手の方も息絶え絶えとなっていた。

 それでもゴブリンの方はなんとか立ち上がり、ハジメに何かを訴えかける。

 

「グギャ……グギャグギャ」

「日本語話せ!!」

 

 ハジメはそんなゴブリンを殴り倒した。

 

(理不尽ですぅ――――――――――!!)

「流石ハジメ……甘えがない。今はゴブリンになってるけど、私はユエ」

 

 殴り倒されたゴブリンは、フラフラしながらそれでも立ち上がり、衝撃の真実を告げる。そう、ゴブリンの正体は変身させられたユエだったのだ。

 しかし――

 

「いや、それは気付いてた」

「妾もじゃ」

「!?」

「見りゃ分かるよな」

「ですよね」

「!!?」

 

 仲間の容赦ない言葉には、流石のユエも驚いて声も出なかった。

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