前回までのあらすじ
なんか学パロが始まった。
シア「ざっくりしすぎですぅ!!」
「ホーホケキョ! ホーホケキョ!!」
「ホトトギスではない! ウグイスだ!!」
ユエとハジメはウグイスの真似をしながら、目的地であるラーメン
ラーメン
「「朝から疲れた……」」
「でしょうね」
ウグイスの真似をしたせいで高校に着いた途端に疲れ切るハジメとユエ。そんな二人に対し、辛辣なツッコミを入れるのは、二人の友人であるシア・ハウリアだ。
トレードマークのウサミミを揺らす彼女は、天真爛漫で明るく接しやすい上に、この学校では数少ないハジケリストにツッコミを入れられる枠として、男女問わず人気の高い。彼らの友達だ。
こうして合流した三人はそのまま歩き、教室へとたどり着く。
その扉の中で見たものは――
「さあ、泣け! 泣いてルビーの涙を流すんだ!」
「う……。うぅ……がんばルビィ……」
「くそっ! 強情な奴め! これでもか!!」
クラスメイトの白崎香織と谷口鈴が、担任であり英語教師であるティオ・クラルスを苛めている現場だった。
「どういう状況ですか!?」
「……ん。ここで〇サロが人間を滅ぼすことを決意する」
「もっと親のピ〇ロ見て」
「親のピサ〇って何!?」
シアがツッコミをバカ二人に入れていると、ハジメ達がいる方の教室の扉とは逆の扉から、ポニーテールの美少女、香織達と同じくハジメのクラスメイトである八重樫雫が入ってきた。
「二人とも何してるのよ!?」
「鈴は悪くねえっ! ティオ先生がやれって言ったんだ!!」
「いや、クラルス先生が『妾を上手く苛めたものには、内申点をくれてやる』って言うから……」
「思った以上にいかがわしいわね!?」
二人が雫に弁解している間にティオは何事もないかのように立ち上がり、小さくこう呟く。
「やはりこの二人では物足りぬの……む?」
ここでティオは、さっきから傍観していたハジメ達の存在に気付き、思わず飛び掛かった。
「ご主人様ではないか! やはり妾を満足させられるのは、ご主人様しかおらぬ!!」
ハジメをご主人様と呼びながら、空を跳ぶティオ。
彼女は容姿、スタイルともに抜群なので、そんな相手がこうまで迫ってくれば男なら喜びの一つでも覚えるのが筋かもしれない。
しかしハジメとしては、なぜか分からないうちに自分を主と呼んでくる変態教師、以上の何者でもなく、そんな相手に迫られても嬉しくはなかった。
「納豆真拳奥義、エンド・オブ・エクレア牧場!!」
「ああああ♡ぁあぁあぁぁぁ♡ぁっあ♡あぁ♡ぁ!あ♡♡ぁ!ああぁぁぁぁ♡あ♡」
「思った以上に全力で仕留めにかかった―――――――――っ!!」
「喘ぎ声ジェネレータ本当に便利」
ハジメがティオを全力でぶちのめし、彼女が悦びに打ち震えながら崩れ落ちる。
(いや、あんな教師が高校にいるのはいくらなんでもダメじゃない?)
それから時は流れ放課後。
あらゆる瞬間に覚える違和感にずっと苦しむ一日だったが、気のせいだと考え、特に部活に所属していない彼はユエと共に大人しく帰宅する。
「ただいマンドリル地獄変!」
「近日公開予定」
すると、家にいたバカ二人が出迎えてくれた。
「お帰リンカーンのファッションチェック!」
「モスバーグ……」
天の助の言葉で落ち込み始める首領パッチを尻目に、ハジメ達は自分の部屋に荷物を置きに行こうとする。
だがここで天の助がハジメに声を掛けた。
「おうハジメ。そういえば明日だよなアレ。気合入れろよ」
「……明日ってなんかあったっけ? 京田辺出身限定瓶割りロックフェスとか?」
「何言ってんだお前」
天の助の言葉に心当たりがなかったハジメは思わず聞き返すが、そこに答えをもたらしたのはユエだ。
「明日、キングオブハジケリストを決める大会の会場に出発。モンゴルで開催だから、飛行機に乗る」
「あ、そっか明日か! いっつも親の仕事を手伝うのに忙しくて出られないから忘れてたよ」
「今年はなぜか暇だからって、お前滅茶苦茶はしゃいでたじゃねえか」
「そうだったそうだった」
よく考えれば用意も終わらせてたじゃん、と何で忘れていたのかすら不思議に思うハジメ。
そんな彼に首領パッチが激励をする。
「頑張れハジロット……お前がナンバー1だ。お前ならきっと、オレを超えられる」
「パチータおめぇ……」
首領パッチの激励に一瞬感激するハジメだが、ここで彼は今までで一番の違和を感じ取った。
(違う)
彼の名前は、大半のハジケリストにとって特別だ。
西暦2957年から3006年の間、キングオブハジケリストの栄冠を手に入れ続けた伝説の男。
そんな彼が同格と認めたハジケリストはこの世でただ一人。それはハジメでもユエでもティオでもなければ、ところ天の助ですらない。
その名はボボボーボ・ボーボボ。マルハーゲ帝国を滅ぼした、ハジメの世界の伝説。
それほどでなければ首領パッチには届かない。
そうでなければ同格足りえない。
そして南雲ハジメは、そこまでの高みには届いていない。
彼はありふれたハジケリストだ。例え納豆真拳の正当伝承者でも、ハジケリストの格には何の関係もない。
ここまで考えて、ハジメは気付いた。
(これは、僕の理想だ)
美少女に囲まれていたあの状況も。
自分のハジケに余計な邪魔が入らないのも。
首領パッチに自分を超えていると言ってもらえたのも。
全部ただの夢。現実では叶わない妄想を、迷宮の仕掛けで見せられている状態に過ぎないのだ。
それら全てを理解したハジメの行動は早かった。
「ふん!!」
「「がはぁ!?」」
まずハジメは首領パッチを掴んで振り回し、天の助を殺す。それから首領パッチを家の外に投げ捨ててから、ユエに向かって納豆を突き付けた。
「ハジメ、どうしたの?」
「うるさい。ここから出せ」
戸惑うユエに構わず、ハジメは眼前の少女を脅しつける。
彼の瞳を見て、最早虚飾は通用しないと判断したのか、ユエの形をしたナニカは問いかけた。
「何で拒むの? ここはあなたにとっての理想だったはず。ここにいれば、全ての夢が叶うのに」
「そうだね。僕もそう思う。でもここは、あまりにも理想的すぎる。だけど分かるんだ――」
「……?」
ハジメの言葉の意味が分からず、首をかしげるナニカ。
その振る舞いを見て、彼の心には強い怒りの炎が灯り、叫ぶ。
「言う筈がないだろうあんなことを!!
それは血を吐くような叫びだった。
「ハジケリストを、侮辱するなァァァ!!」
バリィィィン
彼の叫びは世界を割る。
割れた世界はさっきまでのハジメの自宅ではなく、何もない白一色の空間だった。
この光景を見たナニカは、観念したようにハジメに向けてそっと刀を差しだす。
「……何で刀?」
「ここから出るのなら、この刀で自分の頸を斬って」
「鬼滅仕様!?」
まさかの展開に思わずハジメは叫ぶが、この割れた世界の道理は曲がらない。
諦めて彼は刀を頸に沿え、思いっきり押し込んだ。
「うおあああああああああああ!!」
叫びながら頸を斬り、出血で意識を失っていくハジメに向けて、ナニカはユエとは違う、やわらかで包み込むような声色で彼に優しく語り掛ける。
「強いね、君は……」
「あああああああああああああ!!」
最後の最後でとてつもない悪夢と化した夢から、勢いよく目覚めるハジメ。
「ハァ……ハァ……」
息を必死に整えながら辺りを窺うハジメ。
すると、ここは洞の中であり、周りには自分も含めて巨大な琥珀のようなもので寝かされていることと
「えっと……ドンパッチ! こうか?」
「全然違え」
「!?」
ドンパッチゲームで遊んでいる光輝と首領パッチを見て、先に二人が目覚めていることを把握した。
ハジメは思わず首領パッチに駆け寄り尋ねる。
「首領パッチ! 僕のハジケってもうお前を超えてるかな!?」
いきなりすぎるハジメの問いに、首領パッチは鼻で嗤ってこう返した。
「ハァ? んな訳ねぇだろ! この首領パッチ様を超えるなんて、千年早いっつーの!!」
「ハハハ……だよね」
首領パッチの悪態百パーセントの答えに、ハジメはここが間違いなく現実だと認識して、ホッと息をつく。
とはいえ、この言われようには安心と共に思うところもあるので――
「それはそれとしてぶん殴る!!」
「ぐばぁ!?」
「何をしているんだ南雲は!?」
ハジメの突然の凶行に驚く光輝。
とりあえず事情を説明し、なんとか光輝を納得させたハジメだったが、ここで疑問が沸き上がる。
「この試練って、理想の世界を夢で見せて、脱出できないとダメって奴なんだろうけど、二人はどんな夢を見たの?」
「俺は、ハジケリストや真拳使いがいなくて、マルハーゲ帝国と南雲が存在していない世界だったな。違和感激しすぎてすぐ目覚められたけど」
「ふーん。まあ僕の世界にも天之河君はいなかったから、お互い様かな」
互いの言葉にそこはかとなくイラつき、睨みあうハジメと光輝。
一方、首領パッチは空気を読むことなく質問に答えた。
「オレもなめこ汁のプールで泳いでたんだけど、熱いから三秒で目が覚めたんだよな」
「流石首領パッチ、底が知れないね……」
理想の世界を三秒で脱出する首領パッチにハジメが驚愕していると、ここでユエとシアが目覚めた。
「悪い夢……いや、いい夢……だった」
「カ〇スヒーロー!?」
涙を流すユエに対し、台詞にツッコミを入れるシア。
なお、この二人が見ていた夢は原作と一緒なので説明はしない。
「「略された!!」」
扱いに二人が抗議していると、今度はティオが目覚める。
「う~む、まあ、悪くはないのじゃが……どこかこう、違うというか、のう?」
難しい顔をしながら夢に対する批評をするティオを見て、内容を察したユエ達はげんなりした。
一方、ハジメは無言でティオの元へ近づき、一発拳を鳩尾に叩き込む。
「ドMソムリエ!!」
「ごふっ!? やはりこれじゃ……こうでなくてはの……!!」
ハジメの拳を受けて一人テンションが上がるティオ。
そんな彼女の横では、他の仲間も目を覚ましつつあった。最初は香織だ。
「悪い夢……いや、いい夢……だった」
「すみません。そのネタはもうユエさんがやってます」
「「「被っちゃった!?」」」
まさかのネタ被りに驚愕する香織と、思わず一緒にツッコんでしまった雫と鈴。
特に鈴はヘコんでしまう。
「そんな……鈴がやろうと思ってたのに先に二人も……」
「ネタを取り合う必要ないでしょ!?」
雫の言葉に、そうだけど……と返しながら目を逸らす鈴。
更に横ではいつの間にか龍太郎も目を覚まし、残りは天の助一人となった。
「俺の扱い、何か雑じゃね?」
「妾と代わるかの?」
「嫌です」
親切で申し出た提案を袖にされ、ちょっと興奮するティオ。
彼女を全員が無視して天の助を待つこと二十時間、ついに彼は目覚めた。
「やはり豆腐とは……オレの手で決着をつけねば……!」
一人決意を固め、現実と戦う覚悟を決めている天の助に、二つの魔の手が襲い掛かる。
「遅いんだよコラァ!!」
「待たせすぎじゃボケェ!!」
「ぎゃあ! 何、何事!?」
天の助に向けて、ハジメと首領パッチが殴る蹴るの暴力を加える。
本来ならシアや雫が止めに入るのだが、流石に待ちくたびれていたので、そんな気にもなれなかった。