前回までのあらすじ
首領パッチ・ユエ・龍太郎 VS 宇治金TOKIO・銀次郎・ゼラチンマンの3狩リア。
3狩リアのメンツを見て、ティオはあることに気付く。
ティオ「こっちサイド、誰一人真拳使いがおらぬの」
シア「本当ですね」
ハジメ「やば……」
この時、ハジメは『今期の覇権と言われてるアニメを一話切りしてしまった』みたいな気分になった。
シア「例え分かりにくいんですけど!?」
天の助「マジかよ……」
そして天の助は『出かける五分前にお腹を壊してトイレに籠っている時』のような気分になった。
シア「だから分かりにくいですって!!」
はい本編入りまーす。
シア「これアバン!?」
ゴゴゴゴゴゴゴ午後〇紅茶
どこかジョジョっぽい効果音を醸し出しながら、首領パッチ、ユエ、龍太郎の三人は宇治金TOKIO、銀次郎、ゼラチンマンと相対していた。
しかし3狩リアは未だ始まらず、宇治金TOKIOは善滅丸を一つ取り出して飲んだ後、どこからかパジャマの上着を出現させて身に纏う。
彼が纏ったパジャマは、青地に小さな犬の柄をあしらった可愛らしいものである。
だが、そのパジャマを見た雫は体を震わせ、怯えながら叫ぶ。
「あ、あれは伝説の鎧ニャンニャンアーマーを恐れた当時の権力者が、対抗するために犬の邪霊パスカヴィルの力を宿させたと言われる
「あのパジャマそんな凄いものなんですか!?」
雫がもたらしたワンワンアーマーの説明にシアがツッコミを入れる一方、彼女の説明を聞いて天の助とハジメもまた戦慄した。
「ワンワンアーマーだと!?」
「まさかあの時の――」
七年前。ハジメがまだ小学生だったころ。
彼はその日、家庭科の授業の為に古着を手に入れるべく、古着屋にやって来た。次の授業で家にあるあまり布を持ってきて雑巾を作るのだが、あいにくこの前掃除して一斉処分したので、家に使わない布が無かった。
そして古着屋で、ハジメは適当な服を一枚手に取った。それは青地に犬の柄をあしらったワンワンアーマーだったが、彼はそれが伝説の鎧だとは知らない。
これでいいか、と思ってハジメはレジに行こうとするが、そこで宇治金TOKIOが声をかけてきた。
「なあ坊ちゃん。悪いけど、ワイはその鎧がどうしても欲しいんや。譲ってくれへんか?」
「……じゃあどうぞ」
突然の言葉だったが、別に断る理由もないので大人しくワンワンアーマーを渡すハジメ。
そして受け取った宇治金TOKIOは、ハジメに軽く頭を下げてレジに向かっていくのだった。
「――あの鎧か!!」
「そうや、七年前に古着屋で譲ってもらったあの鎧や!!」
「想像以上にどうでもいい因縁ですぅ!!」
「ワンワンアーマー古着屋に売ってたの!?」
伝説の鎧をめぐる二人の因縁に驚愕するシアと雫。
だが戦いは既に始まっている。敵も味方も既に揃い踏み、戦いの火蓋は切って落とされているのだ。
その証拠に――
「”蒼天〟」
ユエは既に魔法を発動し、六メートルほどの炎の玉を繰り出して相手を攻撃しているのだから。
「思いっきり不意討ちじゃねぇか!?」
「グダグダ抜かすな。オレ達は今、血で血を洗う殺し合いをしてるんだぜ」
「そう。それに……」
ユエの行動に憤る龍太郎。そんな彼をミニカーで遊びながら諫める首領パッチと、賛同しつつ敵に目線をやるユエ。
彼女が示す先には――
「夏真拳奥義、キンキン氷!」
宇治金TOKIOの奥義で作った氷の壁に、炎の玉が防がれている光景があった。
彼女の炎は氷の壁を少しずつ解かしており、それが水蒸気となって場が白い煙で満たされていく。
「ゲホゴホッ!!」
「うわっ、何だこれ!?」
「水蒸気煙いな!!」
(変なダメージ与えてる――――――!?)
更に煙はユエ達三人を咽させ、おまけに視界を奪う。
しかし、そこに一陣の風が吹きすさんだ。
否、それは間違っている。正しくは、風と錯覚するほどの素早さで銀次郎が動き、一メートル程の長さを持つ蕎麦包丁で首領パッチに斬りかかったのだ。
「蕎麦真拳奥義、連弾斬り」
銀次郎の蕎麦切り包丁が迫る中、首領パッチは咄嗟にドンパッチソードで防ぐべく構える。
しかし、銀次郎が包丁を一振りすると、ドンパッチソードは蕎麦に付いている薬味ネギレベルに斬り刻まれていた。
「そんなに!?」
これぞ銀次郎の奥義。蕎麦切り包丁は数多の麺を作るべく、一日に何度も振られる。その手間を解消するために生まれたこの奥義は、一振りで蕎麦十人前を賄えるほど敵を斬り刻むのだ。
「何ですかその力業な効率化は!?」
シアが銀次郎の奥義にツッコむ中、彼は首領パッチを斬るべく再び包丁を振るう。
だがここで、龍太郎が持っている技能“爆縮地〟を発動。一瞬で銀次郎の懐へ潜り込み、そのまま拳で殴りつける。
「“破拳〟!!」
「ごふっ!?」
龍太郎の拳は銀次郎の腹部を見事捉え、そのまま彼を吹き飛ばす。
「ふっ……」
だが銀次郎は軽く血を吐きながらもすぐに立ち上がり、笑みを浮かべて龍太郎に告げる。
「中々やるやんけワレェ。もう少しあっしを楽しませえ……」
「上等だ!!」
そのまま銀次郎は龍太郎に向かって斬りかかり、彼はそれを辛うじて躱しつつ、反撃で拳を繰り出し続ける。
一方、フリーになった首領パッチには、ゼラチンマンの魔の手が迫っていた。
「愛しの姫君と戦うのは心苦しいですが、これも定め。ゲルゲル真拳奥義、
「がぼぼぼぼぼぼぼぼ!!」
ゼラチンマンは首領パッチを自身の体内に閉じ込め、溺れ死にさせようとする。
しかしそれを放っておくユエではない。
彼女は懐からスタンガンを取り出し、スイッチを入れてからそれを二人に向かって投げつけた。
「奥義、紫電掌」
「「ぎゃあああああああああああああ!!」」
「スタンガン投げつけただけでしょ!?」
「虚淵先生申し訳ございません!!」
「今更じゃないですか、それ……?」
雫のツッコミはどこへやら、ユエが見せる余りの暴虐に、ハジメは思わず土下座をしてしまった。その光景にシアは軽く引きながら呟く。
一方、最初に氷の壁を作った後、今まで動いていなかった宇治金TOKIOがここで奥義を発動する。
「負けへんで! 夏真拳奥義、真夏のINAKA!!」
宇治金TOKIOが奥義を発動すると、辺りの光景は樹海の頂上から、田舎にある一軒家の縁側に変化した。
更に温度と湿度が真夏並になり、ユエと龍太郎は暑さのあまりうだり、首領パッチは溶けていた。
「あーつーいー」
「クソッ……なんだよこれ……全く動く気にならねえ……」
「このドロドロ加減。これぞ究極の柔軟体操。体の凝りに悩んでいるあなたは、今すぐ0120-
各々言葉は違えど暑さに参る三人。
「ん……もう我慢できない……」
途中、ユエが耐えかねて服のボタンを少し開け、胸元をパタパタさせて風を入れ始めると、彼女の美少女設定がまだ生きていることもあって、龍太郎はその光景から顔を逸らしつつも、目線は彼女の胸元へ向いてしまう。
「このロリコン」
「!?」
それに対し首領パッチがコメントした直後、家の台所から銀次郎が蕎麦を三人分持ってきた。
「ほら、あっし特製のもりそばでさぁ。良かったら食べなされ」
「わーいわーい」
「いいのか?」
「我蕎麦所望勢至」
銀次郎の持ってきた蕎麦を見て、各々喜びを見せる三人。しかしこれは裏でスタンバイしている宇治金TOKIOが仕組んだ罠だった。
(ククク……その蕎麦の汁にはワイ特製の毒を仕込んどるんや。これで奴らはジ・エンドやで!!)
内心で宇治金TOKIOがほくそ笑んでるとは露知らず、蕎麦に手を付ける三人。
まず龍太郎は蕎麦の麺を箸で取り、汁にたっぷりつける。これでたっぷり毒もついたのだが――
「何わやしとるんじゃワレェ! ぶちまわしたろか!?」
「えぇ!?」
ここでまさかの銀次郎によるインターセプト。
蕎麦に関して自分で作ってしまうほどに拘りが強い彼にとって、龍太郎の食べ方はNGでしかない。
銀次郎的には、麺に汁をつけるのは一瞬にして、蕎麦本来の味を楽しんで欲しいのだ。
しかしそんな思いは伝わらず、今度はユエと首領パッチが逆に文句を言い始める。
「あの、私蕎麦の上に海苔欲しい」
「たいがいにせーよ! これはざるそばやのうて、もりそばや!! 海苔はのせんで!!」
「オレ、蕎麦はワサビじゃなくてケチャップで食う派なんだけど」
「ケチャップ!?」
首領パッチのまさかすぎる発言に驚いてしまう銀次郎。
しかし彼はここで怯まず、自分の拘りについて語り、自分が望んだ通りの食べ方を理解してもらおうとする。
「ええ加減にせえよ!?」
だが銀次郎が語り始めるより先に、宇治金TOKIOが割り込んできた。
彼は敵を毒殺するチャンスを潰した銀次郎に向けて、思いっきり説教するつもりだった。
「もう面倒くさい。“凍雨〟」
「「ぐわあああああああああああああ!!」」
しかし面倒くさがったユエが双方を諸共倒し、争いは止まる。
そして宇治金TOKIOが作り出した世界も消え、全員元の世界に戻った。
「あ、戻ってきた」
それを見ていたハジメは、天の助、ティオ、鈴と四人で麻雀をやりながら反応する。
一方、銀次郎は元の場所に戻ってなお、自身の蕎麦を台無しにされたことについて怒っていた。
その為、近くにいた首領パッチに蕎麦切り包丁で斬りかかる。
これを防ぐ術は彼にないかと思われたその時。
「首領パッチ。これを使って!」
ユエが首領パッチに向かって卓球ボールと野球ボール、テニスボールにバレーボールと、合計四つのボールを投げる。
それらを受け取った首領パッチは躊躇なく、替えのドンパッチソードに向けて使用した。
「次元越えアナザー」
まず首領パッチは卓球ボールをドンパッチソードの二又になっている部分に押し込む。
そして次は野球ボールとテニスボールを、さっきの上に同じく押し込む。
最後にバレーボールをそっと添えればこれで完成。
「誕生! ドンパッチソードアナザーエディション!!」
(ボール押し込んだだけで何か誕生したですぅ――――――――――!?)
シアが内心でツッコミを入れている間にも、銀次郎の包丁は首領パッチに迫る。
しかし彼は金属音を辺りに響かせながら、ドンパッチソードでそれを受け止めた。
「あっしの包丁を受け止めた……!?」
「嘘だろ!? さっきは斬られてたのに!?」
この展開に驚いたのは銀次郎当人と龍太郎の二人。
そこに雫が解説を入れてくれた。
「龍太郎。さっきドンパッチソードが斬られたのは強度の問題じゃなくて相性の問題よ。蕎麦といえばネギ。だから蕎麦切り包丁でドンパッチソードが斬れたのよ」
「いや、ネギは蕎麦切り包丁で切らないだろ……」
雫の解説に光輝が思わずツッコミを入れるが、彼女はガン無視で話を続ける。
「だけどドンパッチソードがアナザーエディションしたことで、あれはネギじゃなくなった。だから、純粋な強度勝負に変わったのよ」
「そんな相性ゲーなんだこの戦い……」
雫の最終的な結論にハジメが感嘆する一方、首領パッチと銀次郎の鍔迫り合いも決着が見え始めていた。
徐々にドンパッチソードが蕎麦切り包丁を押し返し、銀次郎は不利に追い込まれる。
そして――
「オラァ!!」
首領パッチは、銀次郎の包丁を弾き飛ばした。
そして首領パッチはそのまま斬りかかるが、銀次郎はすぐに距離を取り、虚空から新たな包丁を二本取り出し、両手に持つ。
それと同時に彼も変身し、右半分は燃え、左半分は凍り付いた姿となった。
「この姿、
そう言うと銀次郎はその場から姿を消す。
「がはぁ!?」
それと同時にユエが斬られ、傷口は凍り付いていた。
「これぞ蕎麦真拳超奥義、音速斬り」
それだけ告げたと同時にまたも姿を消し、再び斬る。
「ぐばぁ!?」
ただし、今度は炎の包丁で、宇治金TOKIOを。
「何で!?」
「あああああああああ!! 溶ける! ワイの宇治金時が!!」
頭の宇治金時が溶けそうになり、必死で凍らせる宇治金TOKIOに対し、銀次郎は姿を見せないまま謝罪する。
「すいやせん……実は、この奥義は動きが早すぎて自分でも何斬ってるか分からないもんでして」
「百計の◯ロのパクリじゃろ、それ」
「僕は
「オレはアー◯ンだな」
銀次郎の謝罪を聞いて、ティオ達は思い思いの言葉を残す。
そこから少し離れた所で、ユエは不敵な笑みを浮かべながらこう告げた。
「私は斧手のモー◯ン。それはともかく、こんな技破るのはそう難しくない」
ユエがそう言うと、横の首領パッチと龍太郎に耳打ちし作戦を伝える。
「ゴニョゴニョ……ゴニョ〇ョ……」
「バク〇ング」
「ぎゃあ!?」
なお、この間に今度はゼラチンマンが斬られ凍っていた。
そんなことはどうでもいいとばかりに、龍太郎は首領パッチを掴み、上へと思いっきり投げる。
「いっけぇ――――――――――っ!!」
そして首領パッチが高度の限界点に到達した時、彼は一寸の躊躇もなく必殺技を繰り出した
「針千本!!」
「「「「「ぎゃあああああああああああああああああ!!」」」」」
「全員喰らってる――――――――――――――――――――!?」
首領パッチが全力でトゲを伸ばし、下にいる味方含む全員を突き刺した。
そして敵三人が倒れ、首領パッチが着地したと同時に、ユエは三人に向かって指をさしながら決め台詞。
「あなた達外道のチームワーク如きじゃ」
「オレ達には通用しないぜ!!」
「てめぇらが言うのか、それ……!!」
ユエの決め台詞を首領パッチが途中で引き継ぐ一方、自分も刺さるとは思わなかった龍太郎は、怨嗟を籠めながら味方二人を睨みつつ、その場に倒れ伏している。
だがそんなことはどうでもいいとばかりに、首領パッチはデュエルディスクを構え、魔法カードを発動した。
「魔法カード発動、融合! 融合するのはオレとユエだ!!」
「やるよ首領パッチ。次でトドメを刺す」
すると、首領パッチとユエの姿が徐々に混じり合っていく。
「という所で次回に続くのじゃ」
「あ、今回これで締めなんですね」
「ここで出さないってことは、作者、融合戦士のキャラデザ思いついてないだろこれ」
「すごーくおもしろいんだ! すごーくゆかいなんだ! ってね」
二人が融合していく光景を見ながら、ティオ達は呑気にコメントしていた。
『MORE DEBAN!!』
そして香織は、無言で上記の内容が書かれた看板を掲げながら仁王立ちしていた。
「って何で名前透明にされてるの!? しかもこの台詞まで!?」
「お可愛いこと……」
ちなみに、最後の台詞は鈴である。