ところで、この小説とは全く関係ありませんが作者の別作品である『転生者総合掲示板雑談スレ』が昨年の大晦日に完結しました。
タイトルにリンクを付けたので、よかったら読んで下さい。
前回までのあらすじ
ティオ「おぬしらにはこれから殺し合いをしてもらうのじゃ。でなければこうじゃ」
天の助「ぎゃあ!!」ボン
ユエ「そんな……天の助につけられた首輪が爆発して……!」
ハジメ「くっ、どうして僕らが殺し合いだなんて……!」
大体こんな感じだった。
シア「何でいきなりデスゲームが始まるんですか!?」
ティオ「フフフ、おぬしにもいずれ分かる時がこようぞ」
首領パッチ「うるさい死ね!! 波ァ―――――――ッ!!」
ティオ「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」
シア(主催者があっさり死んだですぅ――――――――!!)
扉のその先は、やはり迷宮だった。
おまけに、今度は迷宮だけでなく、入口のところにあった鏡のような氷が壁となり、まさしく鏡の迷宮という有様だった。
それをハジメ達はずんずんと迷宮を進んでいく。
「ずんずんずずんずんずんずんずん」
「マリオのスター取った時みたいなリズムでずんずん言われましても」
しばらくは魔物もトラップも現れず順調に進んでいく一行だったが、唐突に雫が足を止めたかと思うと、辺りをキョロキョロと見回し始めた。
「八重樫さん、どうかしたの?」
「トイレか?」
ドパンドパンドパン
心配したハジメと首領パッチが雫に問う。なお、首領パッチはユエが即座に射殺した模様。
そんな彼を天の助は嘲笑しながら見下すと、神妙な顔で雫に向けて優しく言う。
「お花摘みなら気にする必要はありませんよ、レディ?」
「言ってることそんなに変わってないですぅ」
天の助の発言にシアが冷たい瞳で見つめる中、雫は必死に首を横に振りながらこう言った。
「違うわよ、そうじゃなくて……今、何か、声がしなかった?」
「声? そんなのした?」
雫の発言を受けてハジメが皆を見回しながら尋ねるが、誰も彼の質問に対し肯定をしなかった。
「気のせいじゃねえのか?」
「いつも
「あぁん?」
気のせいと考える龍太郎。
雫を心配する光輝に対し、発言内容につい凄んでしまうハジメ。
ともかく、ひとまずは気のせいということで決着がつき、雫当人もそう思ったのか特に反論することなく、再び迷宮を進み始める。
しかし数分後
「――っ! また……!!」
「あ、今度は私も聞こえた! これは激アツリーチ!!」
「何でパチンコ風に言うんですか」
雫だけではなく、今度は香織にも声が聞こえた。
更に、それと同時に
| かおり:ぶっちゃけ かげうすキャラになるまでわりともてあましてた
|
何故か、香織が聞こえた内容だけファミコンのゲームメッセージ風に壁に貼り出されていた。
「何で!? 何で私だけ貼り出されてるの!? 雫ちゃんには何もないのにこの嫌がらせ酷くない!? ひょっとして雫ちゃんも持て余されてたりしたの!?」
「いや、私はそんなこと言われてないけど……」
「香織さん、作者から持て余されてんですね」
「原作ヒロインの姿か? これが……」
叫ぶ香織に対し戸惑う雫と、全く容赦なく言葉をぶつけるシアとユエ。
その後ろでは、二人にのみ聞こえる声についてハジメ達が話し合っていた。
「これアレだよね。幻聴とかじゃなくて、特定個人に向けて発するメッセージみたいなものだよね。何故か知らないけど白崎さん宛のは皆に見えるようになってるけど」
「これがささやき戦術って奴か」
「いや、違うだろ……」
天の助の的外れな発言に光輝が控えめなツッコミを入れる中、今度はシアと鈴が顔をしかめる。どうやら、今度は二人に向かってメッセージが届いたようだ。
それでも進もうとするハジメだったが、ここでティオが、全員のメッセージが聞こえるか表示されるまでしばらく待ったほうがいい、と止めにかかる。
彼女の意見は、トラップやモンスターが襲い掛かってくる状態でメッセージが聞こえて心が乱されるくらいなら、安全な場所で聞こえた上で、メンタルケアしてから進んだ方がマシ、というものだった。
ハジメ達も反論が思い浮かばず、とりあえず言うとおりにしてみることにした。そして数分後、ほぼ全員のメッセージが出そろった。結果は――
| りゅうたろう:キャラうすいんだよ ハジメ:たたかうことをだれよりきらっていたおまえ ハジケはかのうであるとかみのコデックスにきていされてはいても さいきんだったころのセフィロスにたたかってないよな《 |
| てんのすけ:ところてんはしゅしょくになれない ▼ |
大半は当人に聞こえるだけだったが、香織に加え、龍太郎、ハジメ、天の助の合計四人が壁にメッセージを貼り出されることになった。
「俺キャラ薄いの!?」
「僕とセフィロス一切関係ないし! というかノムリッシュネタは前やったじゃん二年以上前だけど!!」
「オレだけファミコンじゃなくてゲームボーイなんだけど!? 何の差だよ!?」
メッセージというか最早ただのキャラディスに対し、思わずツッコミを入れまくる三人。
それはそれとして、実はこの中に一人だけ仲間外れがいる!
それは――
「あの、ボク……何にも聞こえないんですけど……」
一人だけ、声が聞こえることも壁に貼り出されることも無かった首領パッチである。
彼はこの現状に対し駄々をこね始めた。
「どうしてボクだけ何も聞こえないの――? ボクも何か聞きたいの――――――!!」
「いいじゃん別に。壁に貼り出されてるの見れば分かる通り、いいこと言われてないし」
「やだやだやだ――――――――――!!」
いつまでも駄々をやめない首領パッチに困ったハジメは、LINEでユエに相談することにした。
「坊やはよい子だねんねしな!!」
「ぶっ!?」
相談の結果、ハジメは首領パッチの顔面に膝蹴りを叩き込んだ。
「相談した意味!!」
「結局普段通りじゃないですか」
首領パッチを力業で黙らせたハジメ達は、メッセージについてはあんまり気にしないようにしよう、と結論を出して再び進んでいくことにした。
そうしてしばらく歩いていると、巨大な門が一行の視界に入る。一応羅針盤を確かめるも、目的地は間違いなく門の先を示している。
「あれが出口だ」
「本当に本当に、なんて遠い廻り道……」
「羅針盤を使ってるから最短距離でしょ」
真っすぐに門へと向かおうとするハジメ達だったが、それを塞ぐように、両手にそれぞれハルバードとタワーシールドを持つ、五メートルほどの大きさの氷でできたゴーレム、フロストゴーレムが十一体現れた。
「……何か、多くね?」
「そんなこと言ってる場合か! 〝天翔剣・震〟!!」
ゴーレムの数の多さに少々怯む首領パッチに対し、光輝は窘めながら攻撃を振るう。
ただし、攻撃はゴーレムではなくハジメに向かった。
「危なっ」
「ぎゃあ!?」
ハジメは咄嗟に天の助を盾にすることで防ぐが、光輝の突然の行いに戸惑う。一方、彼に対し横にいたティオは凄み始めた。
「おうおうおう! いきなりウチの若いもんに手を出すとはどういう了見じゃ!!」
「盾にしたのは南雲だろ! ってそうじゃなくて、俺は確かにゴーレムを狙ったんです!でも気づいたら南雲を……!!」
「言い訳するでない! この天の助を見よ!!」
「うわ――ん! 斬られたところが痛いよ――――!!」
光輝に斬られ泣き叫ぶ天の助。彼の胸にはその時の傷か、くっきりと『ね』の文字が刻まれていた。
「いや、そうはならないだろ!?」
「なっとるやろがい!!」
困惑する光輝に対しキレ始める天の助。
一方、話を聞いていたハジメは一瞬だけ考える素振りを見せたかと思うと、すぐに鈴を殴り飛ばした。
「え、何で鈴殴られたの?」
「やっぱりそうか」
これである確信を得たハジメは、すぐに皆に対し説明する。
「皆聞いて! これはおそらく迷宮の仕掛けで、攻撃ターゲットが強制変更されてるんだ!! さっき僕は白崎さんを殴り飛ばそうとしたけど、攻撃は気付いたら谷口さんの方へ向かってた!!」
「私殴られかけてたの!?」
「なら攻略は難しくない」
ハジメの言葉に一同が様々な理由で驚くより先に、ユエは最適解にたどり着き、早速魔法の詠唱を始める。
彼女の選んだ最適解とは――
「上級魔法でぶち殺す……! 全員纏めてぶち殺す……!!」
「恐ろしいまでに力業で解決する気ですね!!」
「しょうがないな……」
ユエが味方諸共巻き込むつもりでフロストゴーレムを倒すつもりだと知ったハジメは、味方を守るために懐からある物を取り出した。
「納豆真拳奥義、
「
謎の造語に雫が驚いている間にもハジメは皆に薬を渡し終え、即座に飲ませようとする。
「みんな!! “
「飲みたくなくなるですぅ!!」
一部文句を言う人もいたが、それでもほぼ全員が素直に薬を飲んだ。それを見届けてから、ハジメも後に続こうとする。しかし――
「ハジメ、オレは粉薬を『おくすり〇めたね』が無いと飲めないんだ! 何で薬ってあんなに苦いんだよ! 甘くすればいいのに!!」
首領パッチ、まさかの服薬拒否。これにはハジメも大激怒。
「飲んでよそこは! というか薬は苦くないと効いた気がしないとか言う人がいるし、甘くしてたら子供がお菓子感覚で飲みすぎて危ないでしょ!! 色々大変なんだよ薬作る側もさ!!」
(その薬はハジメが作ったものでしょ!?)
途中から怒りの方向性が変わっていくハジメだったが、面倒になったので彼は別の方法をとることにした。なお、雫は鋼鉄となっているので喋れず内心でツッコミを入れている。
「ああもう面倒くさい!!」
まずハジメは首領パッチを放っておいた状態でP〇3のコントローラーを持ちながら、R1ボタンを押し続けて加速する。
そのまま彼は、斜め四十五度で硬直している状態で鋼鉄となった天の助に向かって突っ込んでいく。そしてハジメの足が天の助の体に触れた瞬間、持っているコントローラーの△ボタンを押した。
すると、放置されていた首領パッチがスケボーに変形してハジメの元に凄まじいスピードで向かっていき、彼の足元に収まる。
そしてそのまま天の助にぶつかったかと思うと、二人はスピードを維持した状態で上に向かっていった。
「凄い跳んだ――――――――――!?」
ハジメ達が魔法の有効射程外に移動したのを見届けたユエは、即座に詠唱を終えて魔法を発動する。
「契約に従い、我に従え、氷の女王。来れ、とこしえのやみ、えいえんのひょうが。全ての命ある者に等しき死を。其は、安らぎ也。『おわるせかい』」
「ユエさん! それ違う吸血鬼の魔法ですよ!!」
ユエの魔法は辺り一帯を一気に凍らせたかと思うと、即座に砕け散る。
それすなわち、氷なのに凍ったフロストゴーレムも同じく砕け散ったということである。
同時に皆の鋼鉄化も解け、空に逃げていたハジメ達も地上に戻ってきた。
ベチャ
「ぎゃあ!!」
首領パッチをクッション代わりにして。
こうして一行は、フロストゴーレムを退けたことに特に感慨もなく、目の前の門の先に進んでいくのだった。