【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義85 もう一人の自分登場! 尺を使わないバカから処理します

前回までのあらすじ

 

 

テレビ『内閣府の決定により、日本ではこれから履歴書に志望動機の項目、また面接において志望動機を質問することを法律で禁止いたします。違反した場合禁固五年、もしくは一千万円以上の罰金が――』

就活生「もうあの人類史に存在することが間違いだった存在が駆逐されたんですね!! ヤッター!!」

ユエ(私達は今から……この異聞帯(ロストベルト)を……!!)

 

大体こんな感じだった。

 

シア「あの就活生に何があったんですか!?」

天の助「いや実際、志望動機考えるのは結構面倒くせえよ」

 

 


 

 

 ハジメ達が門をくぐると、猛烈な光が視界を覆いました。

 その光はとても凄まじく、彼らの視界はあっという間に覆われてしまいました。

 

「何で急に昔話調!?」

 

 いやもうマジヤバイっていうか~、正直目に悪いんですけど~。

 

「誰ですかこれ!? この場にいるでしょ!?」

「ヤベバレた!!」

 

 シアのツッコミでボロを出したのは首領パッチ。そう、さっきまでの地の文は彼が書いていたのだ。

 しかし、そのことにどうこう言う前に光は完全に一行を包み、晴れたときには既にハジメ一人になっていた。

 

「僕視点だったの……!?」

 

 よく分からない驚愕を見せながら、辺りを見回すハジメ。

 そこもまたミラーハウスであり、細い通路の行き当たりだった。三方を壁に囲まれ、前に進むしか道がない。

 

「金太負けるな 金太負けるな キンタマケルナ」

 

 ハジメが歌いながら十分くらい進んでいると、中央に巨大な氷柱がある部屋にたどり着いた。

 その柱もまた鏡のようになっており、彼はなんともなしに映りこんでいる自分自身を見る。

 

「うーん、地味なキャラデザ。やっぱり魔物食べて白髪化しておけば良かったかな」

『本気で言ってるのか?』

 

 ハジメ一人しかいない空間のはずなのに、別の誰かの声が響く。

彼が声の主を探りみると、声のした場所は鏡の中。そこにはさっきまでと異なり、白くなった髪と服を着た、まるで鏡写しのようなハジメの姿があった。

 

「白オンリーだとこれはこれでバランス悪いな」

 

 ハジメの戯言を聞き流しながら、鏡の中のハジメ、以下白のハジメは上半身から少しずつ体を出し――

 

「おしまインザミラー!!」

『へぶっ!?』

 

 きる前に、ハジメは目の前の相手の顔面にハイキックを叩き込んだ。

 白のハジメは蹴られた勢いで全身が弾き出され、飛ばされる。

 対しハジメは白い方の着地点を予測し走って先にたどり着いてから、拳を構え、宙を舞う白い自分に叩き込んだ。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ裁くのは――」

 

 ハジメの拳の連打は白い自分を宙に縫い留め逃がさない。そして最後には

 

「僕の腕力だッ――――――!!」

『ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!』

 

 腕を思いきり振りかぶり、白いハジメを殴り飛ばした。

 白いハジメは宙を舞ったかと思うと、やがて地面に叩きつけられ無様に転がる。

 元のハジメはそんな相手に対し、無造作に蹴り飛ばしてからこう言い放った。

 

「さっさとかかってこい」

『それはあれだけ殴って蹴り飛ばした後から言うことか!?』

 

 ボロボロになり、体をフラフラさせながらそれでも懸命に立ち上がろうとする白いハジメ。

 対し、黒いハジメはつまらなさそうに息を吐くと、冷たく見下しながら話し始める。

 

「いやもう、こうやって自分の2Pカラーが出てきてる時点であれでしょ? どうせペ〇ソナ4的なヤツでしょ? 自分が心の底で思ってる嫌なこと言ってきて、これが本当のお前だ~さあ受け入れろ~、みたいな?」

『まあそうだけどさ……』

 

 ハジメの身も蓋もない言い回しに呆れる白いハジメ。だが的を射ているのか反論はせず、代わりに彼の口から出てくるのは愚痴である。

 

『クソ。本来なら完璧にコピーしたうえで、僕の言い分を本体が否定する度にこっちの能力が上がる仕様なのに、ハジケリスト(こいつら)自分を受け入れすぎだし、まともにコピーも出来やしない』

「……なんかごめんね」

 

 思ったより怒涛に愚痴が飛んできたので思わず謝ってしまうハジメ。

 だが白いハジメはそれを鼻で嗤ってから、最後に問いかける。

 

『……げんた誰ごす?』

「我は汝……汝は我……」

『正確には僕はお前の一部だけだよ。じゃあね』

 

 それだけ言い残し、白いハジメは陽炎の様に消え去った。

 同時に、部屋の奥の壁の一部が溶けだし、新たな通路がハジメの前に現れる。

 

「他の皆は大丈夫かな……大丈夫か」

 

 仲間を心配しつつも、それでも信頼しながら、ハジメは通路を進み始めた。

 

 


 

 

 一方その頃、天の助もまたハジメと同じように、中央に巨大な氷柱のある部屋で己の2Pカラーと相対していた。

 

『ところてんは主食になれない。オレはさっきもそう言ったよな?』

「テメェ……!!」

 

 水色の天の助の反対、すなわち赤みがかったオレンジ色の天の助は嘲笑し、本物を憤らせる。

 

『なるわけないだろ! あんな腹持ちしないものが主食には!!』

「黙れぇぇぇぇええええ――――――――っ!!」

 

 なおも続くオレンジの天の助の挑発に本体の怒りは頂点に達し、魔剣大根ブレードで斬りかかる。

 

 ガキィン

 

 それをオレンジも同じく大根ブレードで受け止め、互角の力で鍔迫り合いを始めた。

 

「うおおおおおおおおお!! オレは必ずところてんを主食にしてみせる!! 無理を通して道理を蹴っ飛ばしてでも! オレを、オレ達を誰だと思ってやがる!!」

『いやところてんの主食化を望んでいるのはお前だけだろ!! というか何だこの力は!? 押されているだと!?』

 

 しかし鍔迫り合いの均衡はあっさりと、本体の優勢という形で崩れ去った。

 

「無駄ァ!!」

 

 そのまま天の助はオレンジの剣を弾き飛ばし、ここで彼はジャンプし、そのままプルプル真拳の奥義を発動させる。

 

「プルプル真拳奥義、ところてんソーラー・システム!!」

『ぐわああああああ!! 溶ける――――――――っ!!』

 

 すると、天の助の背中がソーラーパネルへと変化し、どこからか光がパネルを照らして増幅させ、オレンジを溶かしていく。

 

『オレの、負けか……!!』

 

 オレンジは特に抵抗することなく敗北を受け入れ、大根ブレードを残して溶けてなくなった。

 天の助はそんな彼の姿を見た後、彼が残した大根ブレードを地面に突き刺し『オレンジのはか』と油性ペンで書いてから、先に進む通路へと向かった。

 何故墓を作ったのか。その答えはこの一言に詰まっている。

 

「同じところてんを愛した男だから」

 

 


 

 

『悪こそ正義だ!』

 

 首領パッチもまた、水色の偽物と戦っていった。まずは舌戦から。

 

「何言ってんだこいつ」

『正義は悪と知ったのだ!』

「じゃあお前はなんだよ」

『オレは悪だ! 悪こそ正義だ!』

「いや正義が悪だったらお前は正義だから悪だろ」

『だが悪は正義だから俺は正義だ!』

「話が合わねえ! お前が間違ってると気づけ!!」

『うあああああどういうことだ死ね!』

 

 舌戦に負け、ドンパッチソードで斬りかかる水色。

 その攻撃を首領パッチは躱した後、水色に向かって奥義を叩き込んだ。

 

「醒鋭孔!! 体の痛みは数倍になる……!」

『ぎゃああああああああああ!!』

 

 首領パッチに奥義を打たれ、悶え苦しむ水色。

 やがて少しずつ体が崩れていく水色に目をくれることもなく、首領パッチは開かれた通路を進みながら小さく呟いた。

 

「オレには三人の兄が居た……トキ。ジャッカル!! そして最後にこれは、バイクのエンジン音……」

 

 


 

 

 次は香織のターン。

 彼女もまた、偽物である香織と激闘を

 

「あのさ、前の話で内心の嫌な部分を突き付けるヤツあったよね? まあそれはいいとしても、何で私達だけ張り出すの? ひどくない?」

『いや、私に言われても……』

「言っておくけど、私出番ないの気にしてるからね? ハーメルンだとなんだかんだハジカオ、なんて言われて流行ってるのに、この小説(ありハジ)では遠藤君(くうきわく)なの、おかしくない?」

『だから、その……』

 

 繰り広げていなかった。というより、香織が偽物を完全に圧倒していた。

 とはいっても、当初はそうではなく、偽物がペースを握ろうと気にしている出番についてネチネチ言おうとしたのだが、香織が完全同意した挙句、好き勝手に愚痴り始めたので現在こうなってしまった。

 

「あぁ~、私もヒロインになって目立ちたいな~!! 別に南雲君が好きとかそういうあれじゃないけど~!!」

『ヒロインになれないの、そういうこと言ってるからじゃない?』

「あ、やっぱりそう思う?」

 

 偽物の発言に思わず納得してしまう本物。しかしいつまでもこうしているわけにはいかない。

 香織は杖を構え、偽物へと向かっていく。そして――

 

「最初はグー! じゃんけんぽん!」

『あっちむいてほい!!』

 

 二人の戦いが始まった。

 この激闘に決着がつくのは数分後。その後の描写は、また後で。

 

 


 

 

「これは、格ゲーでよくある同キャラ対決じゃな。特殊イントロの一つでも用意しておくべきじゃったかの?」

『フフフ。その必要もあるまい。なぜなら、ここでおぬしは死ぬのじゃからな!!』

 

 大迷宮の一角で、ティオと偽ティオが拳を交える。

 偽ティオの右ストレートがティオの顔面を狙うが、首を左に少し傾けすんでの所で躱し、右腕を掴みそのまま背負い投げに移行した。

 しかし偽ティオはあえて投げられる方向に自ら体を流すことで、ティオの想定以上に前のめりになり両足を地面につけて着地し、口からブレスを放って攻撃する。

 

「ぎゃあ! 目が~、目がぁ~!!」

『ぬるいの』

 

 ティオが顔面にブレスを受けて悶えている隙に、偽ティオは体制を整え直してから回し蹴りを相手に叩き込んだ。

 蹴りにより本物はノーバウンドで壁に叩きつけられ、ティオはカハッと息を吐く。

 

「うぐぐ……この程度の責めで妾が興奮するとでも思うたか?」

『そうやって道化を演じるのは楽しいか?』

 

 不敵な笑みを浮かべながら立ち上がるティオに対し、偽ティオは何の感情も見えない真顔で本物に対して問いかけ始める。

 

「何を……」

『先程の部屋でも聞こえておったじゃろ。“ぬしはハジケリストなどではない〟と。』

「……」

 

 偽物の言葉に口ごもってしまうティオ。そう、それを誰かに言おうとしなかったが、確かに聞こえていたのだ。

 それは彼女自身も薄々考えていたことである。

そもそも彼女は、ハジケリストが何かを知らない。ハジメ、天の助辺りは多少察している節はあるが、彼らですら正確に理解していない。

 とあるキングオブハジケリストですら『言葉で言い表せるほど安っぽいものではない』と称するものを、ハジメに浣腸されたあの日に初めて、ハジケリストに出会ったティオが理解できているわけがないのだ。

 だとしても――

 

「だったら、どうだと言うのじゃ……!!」

『なんじゃと……?』

 

 ティオの居直り発言に、思わず動揺する偽物。

 それに構わず、本物の言葉は続く。

 

「おぬしも妾なら分かるじゃろ。例え妾が実はハジケリストでなくとも、ご主人様達は今更妾への接し方を変えるとも思えん。それに――」

 

 ここでティオは右手を胸元に寄せ、強く握る。

 それは、今まで持っていたものを改めて握り直すような、何か強い気持ちの表れの用だった。

 

「妾にハジケリストの誇りが無くとも、竜人としての誇りがある。ならば妾には、それで十分じゃ。というわけで死ねい! 岩山両斬波!!」

『がはぁ!?』

 

 本物の予想外の返答に理解が及ばなかった偽物は、ティオの空手チョップで頭を割られ殺され、消滅した。

 これにて、ティオVS偽ティオの戦い、決着。

 

 


 

 

 ハジメが通路を進んでいくと、奥から金属同士が打ち合う音が聞こえてくる。

 彼が慌てて通路の奥まで走っていくと、そこでは雫ともう一人、ハジメと同じように色が真逆の雫が、刀で鍔迫り合いをしていた。

 ただし、はたから見るとまるで色の違う雫が、本体の雫を押し倒しているようにしか見えないが。

 この光景を見て、ハジメは思わず叫んだ。

 

「こいつらうまぴょいしたんだ!!」

「『してないわよ!! というかうまぴょいって何!?』」

 

 ハジメの言葉に、雫二人は敵同士とは思えないほど一致団結してツッコミを入れてきた。

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