「先制攻撃は主人公である僕が決める! 納豆真拳奥義、スピア・ザ・チクワーブ!!」
「ちくわぶ!?」
ハジメが奥義を発動すると、虚空から大量のちくわぶが出現し、豪雨のような勢いでチンチロ姫達へと襲い掛かる。
しかし――
「退厄鬼真拳奥義、粒々餡子セレナーデ!!」
たいやキングも奥義を発動。すると、大量のつぶあんがまるで津波の様に押し寄せ、ハジメ達へと襲い掛かる。
ここでハジメは慌てることなく天の助の頭を掴み、優しくこう言い放った。
「良かったね天の助」
「何がだよ」
「早速真っ向勝負の時間だ――――――――――!!」
そう言うと、ハジメは天の助をつぶあんの津波へと投げつける。
「うおおおおおおこうなったらヤケだ!! あの餡子、オレが全部食う!!」
「本当にやけくそね!?」
そう天の助は叫びながらつぶあんの津波へと落ちていく。
そして五分後。そこには、餡子を食べつくした彼の姿があった。
「食べきった―――――――――!?」
更には、ところてんと餡子が混ざり合った結果なのか、天の助は五メートル程のサイズに巨大化していた。
彼は息を荒げて言う。
「フシュー……負ける気がしねえ」
「ところてん派の仲間に、コンニャクに、ゼリーに、報いるために進み続けるんだ。死んでも、死んだ後も。これは、天の助が始めた物語だろ」
力に溺れる天の助は、拳を振りかざしチンチロ姫達に向かっていく。
これに対し、彼女は地面においてあるどんぶりに向かってサイコロを二つ振った。
⚄⚄
「サイコロ博打真拳超奥義、ゾロ目巨神兵!!」
出目が五ゾロだったので、チンチロ姫は大きさが今の天の助と同じくらいの、頭がサイコロで体はメカニカルな巨神兵を二体召喚した。
「成程。サイコロ賭博真拳は、出た目に合わせて奥義が発動するのね」
雫が冷静に分析をする一方、巨神兵二体はそのまま天の助を二対の拳で貫く。
「ぐはっ!?」
攻撃を受けた天の助は吹っ飛ばされ、衝撃で元の大きさに戻った。
そして役目を終えた巨神兵二体はそのまま姿を消した。
「次はワシだ。社長真拳奥義、雇用契約!!」
田中はそう言うと懐からスマホを取り出し、電話をかけ始めた。
「もしもしワシだ。田中だ。今から天ぷら騎士団に出動を命じる」
「もはや技じゃない!! 天ぷら騎士団って何!?」
そして電話から五分後、全身に鎧甲冑を身に纏った一人の男が、息絶え絶えになりながらこの部屋に入ってきた。
「すみません社長……この迷宮難易度高すぎて、道中で私以外全滅しちゃいました♡」
「役立たずめ!!」
騎士の男を田中が蹴り飛ばしていると、そこに天の助が叫びながらクロスチョップをして飛び込んできた。
「オレを買え――――――――――――っ!!」
「がはっ!?」
天の助が社長をクロスチョップで倒したかと思うと、そのまま馬乗りになって詰め寄り始めた。
「お前社長なんだろ!? 金があるんだろ!? ならオレを買え!! そして的確なマーケティングで売り出して見せろよ!!」
「くっ、この金にならん産業廃棄物め……!!」
「全くだよ!!」
「「ぐばぁ!?」」
ハジメが天の助と田中を蹴り飛ばしている一方、チンチロ姫はまたもどんぶりに賽を振るう。
「お前達、何をしておる!!」
⚁⚃
「サイコロ博打真拳奥義、サイコロマシンガン!!」
チンチロ姫の奥義が発動すると、彼女の背後に大量のマシンガンが現れた。
そしてそこから、弾としてサイコロが発射され、ハジメ達を襲う。
「「「ぎゃああああああああああああ!!」」」
マシンガンを喰らい続けるハジメ達。
しかし何もできないわけでは無い。この状況でハジメは、懐から沢山のウニが入っているダンボールを取り出した。
「絶対それ懐に入らないでしょ!!」
「今更そういうこと言っちゃう?」
「いやんなことより、ウニじゃどうにもならねえだろ!!」
「そう言わないであげてよ。見てみなよ、こいつらのこの顔を」
ハジメがそっとダンボールを開けると、中ではウニが目をキラキラ光らせ、自身満々の表情を浮かべながら、ハジメ達に向けて強く宣言した。
「俺達はやりますぜ! 必ずマシンガンに勝ちます!! だから信じてくだせえ。ハジメの兄貴、雫の姉御。あとついでに天の助」
「何でオレだけぞんざいなの?」
「そうまで言うからには見せてもらうよ、ウニの力を! 協力奥義、ウニ乱舞!!」
ハジメ達がダンボールにあるウニをそれぞれ掴み、敵に向かって投げつけ始めた。
すると、ウニはサイコロを弾き、チンチロ姫達を狙い撃つ。
「何よこれは!?」
「痛っ! ワシにウニが刺さる!!」
「異物混入が……!!」
的確にダメージを与えるウニ。しかしここで問題が発生した。
「ハジメ、ウニがもうねえ!!」
「「大丈夫」だよって 僕は笑って言うんだよ」
(RADWI〇PS?)
ハジメが歌いながら応対すると同時に、どこからともなくオレンジの丸い着ぐるみを天の助に被せる。
更に頭にヘタを付けて準備完了。そのままハジメは天の助を敵三人に向けて、勢いよく蹴り飛ばした。
「奥義、ボンタン爆弾!!」
「「「「ぎゃああああああああああああああああ!!」」」」
「ウニは――――――――――――――――――!?」
天の助を爆弾に敵三人を吹っ飛ばすハジメ。
しかしここで、たいやキングだけは爆風にうまく乗り、ハジメへと飛び掛かってきた。
「退厄鬼真拳超奥義、鯛焼爆弾ラプソディー!!」
「させないわ!!」
たいやキングがたい焼き型の爆弾を取り出して攻撃する間際、雫が刀で斬りかかって攻撃を妨げる。
彼は咄嗟に爆弾を近くに捨て、鉄板で刀を受け止めたが、この状態のまま膠着状態に陥った。
しかし彼女はなんてことないように見せながら、たいやキングに語り掛ける。
「さっきから観察していれば、あなたはハジメ達のハジケの後にカウンターを仕掛けるように攻撃をしてたわ。だったら、ハジケリストじゃない私が戦えば強さも減ると読んだのよ」
「くっ、
「ならばそれは、ワシが補おう」
二人の力が互角で押しあっている中、田中が大鎌を装備し、雫へと迫ってきた。
「今度わが社で発売予定の、このカマボコでできた大鎌、かまぼこサイズでな」
「それ絶対売れないわよ!?」
「ワシのセンスを馬鹿にするでない! 社長真拳奥義、
田中はかまぼこサイズを構えて雫に斬りかかるが、そこにさっき爆弾になった天の助が復活し、そのまま大鎌で斬られた。
「えっ? ってぎゃああああああああ!!」
「この奥義は派遣社員に大ダメージを与えるもの! どうやら貴様は派遣社員のようだな!!」
「そうだったんですか!?」
衝撃の事実に今回ここが初登場のシアが思わずツッコミを入れる中、田中は再び雫に斬りかかる。
しかし今度はハジメが立ちふさがった。
「させない!!」
「ふん!!」
しかし田中は構わずハジメを斬り捨て、高笑いを始めた。
「フハハハハハハ!! 今の学生はこの不況下、正社員の道は狭い! そして派遣社員など、いくら働き方改革などと言っても社長にとっては切り捨てやすい駒であることに変わりはない!! ならば学生にもダメージを与えられるのが必然というものだ!!」
得意気に笑う田中は、この奥義に自信があった。
正社員ならいざ知らず、派遣社員、そして未来の派遣社員候補である無職や学生には、確実に大ダメージを与えられると。
しかしその目論見は、脆くも崩れ去った。
「……そんな技、僕には効かないね」
「何ぃ!?」
田中がふと気づくと、そこには斬られたにも関わらず傷一つないハジメの姿が。
彼は不敵な笑みを浮かべて言い放つ。
「なぜなら僕は、ゲーム会社の社長を父に持つ社長令息! そして既に仕事場で社員に混ざって働いている! つまり、既に正社員の内定を得ているに等しいんだよ!!」
「馬鹿な!? 縁故採用だと!? それでワシの奥義が効かなかったというのか!?」
「待て!!」
ハジメの言葉を聞いて動揺する田中に代わって、ここで食って掛かるのは光輝だ。
「お前が社長の息子だとしても、学校だと寝てばかりな奴が、社会でやっていけると思うのか!?」
「あれ家で会社の手伝いを夜通しさせられてたからなんだけど……まあいいや。うちの会社はフレックスタイム制を導入している! よって問題なし!!」
「そういうことだったとは……!!」
「いや、そもそも何で今光輝さんが突っかかってるんですか!?」
光輝が突如突っかかることに、シアからツッコミが入る。ちなみに彼女は今回ここが最後の出番である。
とはいえそれはそれとして、ハジメはスマホを携えて田中に向けて告げる。
「さて、今ここにあるスマホはSNSアプリを開いている。この状態でもし、L食品社長、現役JKに向けて暴力を振るおうとしてた、と呟けばどうなるかな?」
「貴様……!!」
「炎上怖くない奴いる!? いねえよなぁ!?」
「そのスイッチを押させるな――――――――ッ!!」
「いいや! 限界だ、押すね!!」
田中の抵抗むなしく、ハジメの投稿はすぐさまネットの海を駆け巡る。
そしてすぐに、実はまだいた天ぷら騎士団の男が社長に報告する。
「社長! L食品の株が大暴落です!!」
「あ……あぁ、そんな……こんなことが、なぜ私の身に……!?」
意気消沈し崩れ落ちる田中を背に、雫とたいやキングの競り合いにもまた決着の時が訪れようとしていた。
「はあああああああ!!」
雫は今まで鉄板と鍔迫り合っていた刀を一旦離し、素早くまた鉄板に向けて振り下ろす。
当然、それは鉄板で受け止められるが、今度は即座に上から鞘を叩きつけ、勢いを増させる。
これぞ八重樫流剣術“兜断ち„。唐竹割りの要領で敵の兜をたたき割る技である。
「うおっ!?」
鉄板が割れてバランスを崩し、よろめくたいやキング。
その隙を突く為雫は一旦刀に鞘を仕舞った、かと思うとまた抜刀。
下から斬り上げ、その勢いで相手を宙に浮かせた状態で回し蹴りを叩き込み、最後に鞘の横薙ぎで追撃する。
これもまた八重樫流。そこに伝わる抜刀術“登龍„だ。
「お前達、しっかりおし!!」
仲間二人がやられ、慌てたチンチロ姫はまたどんぶりにサイコロを振ろうとする。
しかし――
ドパン
サイコロがどんぶりに落ちるより先に、天の助の銃弾が彼女のどんぶりを打ち砕く。そのせいで、彼女のサイコロは地面をただ転がるのみ。
「ションベンだ。チンチロ姫」
天の助が宣言すると、チンチロ姫の投げたサイコロから黒いオーラが発せられ、彼女に纏わりつき、電撃を浴びせ始めた。
「あああああああああああああああああ!!」
電気ショックを浴び、痛みで悶えるチンチロ姫。
ションベンとは、チンチロの際にサイコロを一つでもとんぶりから零してしまうこと。この時は、無条件で敗北扱いとなるのだ。
もちろん、これはチンチロではなく3狩リアなので、敗北扱いにはならないが、代わりにペナルティは存在する。
これがサイコロ賭博真拳のデメリット。出目に出せる奥義が左右され、ルールによってペナルティを受けるのだ。しかし、彼女はまだ怯まない。
「まだよ……! どんぶりの代わりなんていくらでも……!!」
「安心しなよ。そんなにギャンブルがしたいのなら、僕が考えたギャンブルで遊ばせてやる!!」
未だ諦めないチンチロ姫に向かって、ハジメは強く宣言した。
「何だって!?」
「納豆真拳究極奥義、
そのままハジメが奥義を発動すると、空に巨大なスロットマシーンが浮かび上がる。
一方その頃、首領パッチはというと。
「オレの! 出番がねえだろうが!!」
「ごはぁ!?」
出番が無かったので、龍太郎に八つ当たりをしていた。
「妾達も出番がないのじゃ」
「鈴もだよ!!」
「私のヒロイン度数が、下がる!」