【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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最終章 いよいよ決戦! エヒトVS僕ら!!
奥義91 魔王様が呼んでるし、シリアスしちゃうぞっ!


前回までのあらすじ

 

 

いよいよ最終章に突入したこの作品。

そろそろ完結ということで、ハジメ達は次回作に関する話し合いをすることにした。

 

シア「何でハジメさん達が!?」

ハジメ「僕としては、次回作はクロス抜きのオリ主ものがいいかなって。

    僕の原作ハーレムは据え置きで、更にオリ主には追加でオリヒロインやってもらおう」

ユエ「欲張り。それよりも、ここはありふれ登場人物全員性転換ネタをやるべき」

首領パッチ「いや、ここはオレが主人公のリゼロをやるというのはどうだ?」

シア(絶対リゼロ成立しない……)

ティオ「妾はいっそのこと完全な一次創作で……ストップじゃ!!」

シア「ゴチ!?」

 

大体こんな感じだった。

 

天の助「あれ!? オレのFate/Tokoroten Orderは!?」

シア「それじゃ注文ですよ」

 

 


 

 

 あれからしばらくするとユエ、首領パッチ、天の助の三人が目覚めたので、ハジメ達は氷雪洞窟の攻略の証を手に、氷の邸宅の外にある備え付けの魔法陣に乗った。

 すると、外にある泉がいきなり凍り、巨大な氷の龍が作り出される。どうやら、龍の首がスロープとなり、ショートカットになっているようだ。

 ハジメは天の助をおもむろに掴むと、地面に叩きつけてそのまま上に乗り、スロープを凄まじいスピードで滑り降りていった。

 

「これが次世代スノーボードだ!!」

(スノー)でも(ボード)でもないわよ」

 

 雫のツッコミを背に受けながら、ハジメ達は迷宮の外に出る。

 出た位置は魔人族領と人間族領のどちらにもすぐ迎えられるような中間地点といったところだ。おまけに雪原と平原の境目の近くでもあるので、一行はこの大迷宮を造った解放者の気配りに感謝した。

 ハジメ達は即座に平原へと移動する。

しかしそこには、白竜を中心とした数多の魔物と数百体はくだらない数の“真なる神の使徒„ノイント。

 そして白竜に騎乗するフリードと、灰色の翼を背中にはためかせる恵理の姿があった。

 

「久しぶりだなハジケリスト共。ここにいるということは、氷雪洞窟を攻略したということか」

「お前は確か……アドバーグ・エルドル。何の用?」

「名前全然違うですぅ!?」

「いわゆる声優ネタ」

 

 この状況でも何一つ変わらずハジケるハジメに対し、フリードは特に顔色を変えることなく淡々と話し始めた。

 

「……我が主アルヴ様は、どういうわけかお前達を居城に招きたいらしい。我らはその迎えだ」

「その前にいくつか聞きたいことがあるんだけど」

「……何だ? 言ってみろ。答えられることなら答えてやる」

 

 フリードがハジメの要求を受け入れたので、そのまま質問をする。

 

「それじゃあまず一つ目。何でアルヴ様とやらが地上にいるのさ?」

「……アルヴ様は我等魔人族の王、魔王様として地上に降臨しているのだ。エヒト様の眷属として、神界よりこの汚れた地上に降り立ち我らを導いてくださっている」

 

 どこか皮肉気に吐き捨てながら返答するフリードを気に掛けつつも、ハジメは次の質問をした。

 

「二つ目。僕らがお前の誘いを断ったら?」

「……これを見ろ」

 

 フリードが嘆息しながらそう言うと、空中がグニャリと歪んでどこかの景色を映し出す。空間魔法の一つ“仙境„――遠くの景色を映し出す魔法だ。

 その仙境には、ハイリヒ王国にいる筈の愛子やクラスメイト達に、リリアーナ王女が檻に囚われている姿が映し出されていた。

 愛子達を見て、ハジメは拳を握り締め、怒りを滲ませながら告げる。

 

「人質ってことね。……ああ分かったよ。行けばいいんでしょ行けば。お前を、お前らを……地獄に連れてってやるよ!!」

「やってみろ。できるものならな」

 

 ハジメの言葉に対し、どこか投げやりな態度で返すフリード。

 とても宣戦布告を受ける者の態度には見えなかったので、ハジメは思わず追加で問いかけてしまった。

 

「まあ行くけど、最後にこれだけは聞こうか。何だってそんな投げやりな態度で、悲し気な瞳をしているの? まるでるしあの解雇を知った時の山下さんみたいだ」

「誰よ山下さん」

「いきなりるしあの話題はルールで禁止スよね」

「ありハジはルール無用じゃろ」

「推しに恋人がいるのなら祝福しろ……鬼龍のように」

 

 質問するハジメ。ツッコミを入れる雫。その後で上から天の助、ティオ、首領パッチの順に思い思いのコメントを残す中、フリードは動揺の余り何も言えなくなる。

 事実、以前のフリードは魔人族の勝利と信仰の為に戦い、それを正しいと信じ切っていたので自信に満ちた目をしていたが、今の彼はやりたくもない仕事を無理矢理押し付けられている、中間管理職のような目をしていた。

 ここまで来ればハジメ達も察する。フリードは、エヒトの良いように操られていることを何一つよく思っていないものの、逆らうことができない状態なのだと。

 一方、鈴達は背中に灰色の羽を生やす恵理のことで頭が一杯だった。

 

「エ、エリリン……どうしたのその背中の羽……? ラ、ランドセルなの……? 天使の羽なの……!?」

「いや、前のままじゃ魚雷ガールには勝てないからね。魔王様から新たな力を貰ったのさ。これでボクは確実に、ハイドレート様の仇を討てる……!!」

 

 動揺する鈴とは対照的に、どこか熱に浮かされたような言動を見せる恵理。

 それに対し、光輝は鈴と同じく動揺しつつも、毅然とした態度で問う。

 

「何でだ恵理!? そんなにハイドレートとかいう奴が大事だったのか!? 俺達との友情は嘘だったのか!?」

 

 光輝の真摯な問いかけに、恵理は少しだけ驚いた様子を見せるも、すぐに平常に戻してから返答した。

 

「別に、鈴達と友達になったことに他意はないよ。何だったら、今からでもこっちに付くなら見逃してもらえるように便宜を図ってもいい。でもさ――」

 

 ここで恵理は一旦言葉を区切ったかと思うと、鋭い眼つきで光輝を睨みつけながらこう続けた。

 

「ハイドレート様はボクに命をくれたと言ってもいいお方だ。あの方のためならボクは命すら惜しくなかったのに、現実はボクの方が生き残ってしまった。他の闇マルハーゲの面々は、理由はどうあれボーボボと戦おうとすらしない」

 

 ここに来て、恵理の言葉には嗚咽すら混じった叫びが入り始める。

 

「だったらボクがやるしかないじゃないか! ボクの今はハイドレート様によってあるんだ!! それなのに忠義一つ果たせずに、忘れて生きろって言うの!? 過去が今より重いことが、そんなに悪いの!?」

 

 恵理の悲痛な叫びに、光輝達は何も言えなかった。なぜなら、友情や家族への愛はあっても、あそこまで強い感情を他者に向けたことはないのだから。

 話は終わった、とばかりに恵理は顔を背ける。それを見たフリードはハジメ達の前に空間魔法でゲートを出す。これを潜ればアルヴのお膝元、魔王城にまで行けるという寸法だ。

 しかしその横では、黒髪の太り気味の中年男性が、暗黒のオーラを体から発し、フリードたちが連れてきた魔物達を平伏させていた。

 

「何事!?」

「これ……さっき言ってた山下さんです」

「強いわね山下さん!?」

「わたしは山下。すべての記憶、すべてのそんざい、すべての次元を消し、そして、わたしも消えよう。永遠に!!」

「ネオエクスデスになってますけど!? どんだけショックだったんですかるしあのこと!?

 

 などという一幕もあったが、ハジメ達は特に気にすることなくフリードのゲートを潜っていった。後山下も。

 

「山下さんも来るんですか!?」

 

 


 

 

 ゲートに繋がれた先は、学校の屋上の広さ程のテラスだった。

 全員がゲートを通ったと同時にゲートは消失し、灰竜達と神の使徒のほとんどもどこかへ飛び立っていき、残ったのはハジメ達とフリード達、後は神の使徒が十体ほどだ。

 そのまま魔王城の中をしばらく進んでいくと、謁見の間にふさわしい大きな扉が現れる。

 扉を控えていた魔人族の兵士が「ふんぬー! ふんぬ――!!」と声をあげながら扉を開くと、部屋にはレッドカーペットがひかれ、奥には玉座。横には愛子達を入れた檻があった。

 

「ここにオーマアルヴ様がいらっしゃる」

「何でジオウみたいに言うんですか」

 

 フリードのよく分からない言い回しはともかく、ハジメ達は謁見の間へと一歩一歩入っていく。

 そして全員が入った後、玉座の裏から一人の男が顔をのぞかせた。

 男は金髪で紅い目をした美丈夫だった。溢れ出るオーラから、彼が魔王であるアルヴであることは、誰の目にも明らかだった。

 

(え? この人玉座の裏にいたの? 何で?)

 

 雫が脳内で疑問を覚えていると、前振りもなく魔王がこちらに話しかけてきた。

 

「久しぶりだね、()()()()()()

「アレーティア?」

 

 魔王の言葉にハジメ達が疑問を覚え、辺りを見回す。誰も、アレーティアという人物を知らないので、誰に話しかけたのか分からないのだ。

 しかしティオは憮然とした表情でユエを見つめ、見つめられている当人は愕然とし、震えながらも何とか絞り出すように、魔王に向けて応じていた。

 

「そんな、まさか……」

「ユエ?」

 

 心配気に見つめるハジメにすら目もくれず、ユエの視線は唯々魔王へと向かい続けている。

 

「……叔父、様?」

 

 声を掠らせ、瞳を見開かせ、手を震わせるユエ。

 未だ事情についていけないハジメ達。

 またしても何も知らない大泉洋。

 

(大泉洋関係ないですぅ!!)

「そうだよアレーティア。私だよ。三百年前から君は何も変わっていないね」

「サタンだからな。あ、間違えた。特別な吸血族だから」

「その二つ間違えないでしょ普通!?」

「……変わらないね。本当に」

「アルヴ様?」

 

 魔王のユエに対する、正しく昔馴染みと話すような態度を訝し気に見つめるフリード。

 すると次の瞬間、魔王が指パッチンをしたかと思うと、フリードや恵理を筆頭に神の使徒達が次々と倒れ始める。

 そしてハジメ達と魔王を囲むように金色の魔力光が辺りを包み、結界を形作った。

 

「止まるんじゃねえぞ……」

「これ死人が出る結界なの!?」

「それはほっといていいじゃろ」

 

 フリードは例のポーズで倒れ伏したが、それを気にする者はほとんどいなかった。

 そんなことより、ハジメは今できた結界について魔王に問い詰める。

 

「これは一体……!?」

「盗聴と監視を誤魔化す為の結界だよ。私が用意した別の音声と光景を外にいる者に見せているのさ」

 

 結界について淡々と説明する魔王。しかしハジメ達が聞きたいのは効果ではなく、意図である。

 それについても魔王は語り始めた。要約するとこういうことである。

 

 私は現魔王にして元吸血鬼の国の宰相、ディンリード・ガルディア・ウェスペリティリオ・アヴァダールで、神への反逆者だよ。

 そしてハジメ達がユエと呼んでいる少女の本名は、アレーティア・ガルディエ・ウェスペリティリオ・アヴァタールって言うんだ。

 私は神代魔法をうまく使って自身を改造し、今まで生き延びてきたよ。

 フリードは私をアルヴと言ったけど、それは私の中にはアルヴ様の意思も入っているからだよ。

 アルヴ様は元々エヒトの眷属だったけど、彼の振る舞いを見ておかしいと感じたから反逆を決めたよ。

 でも直接戦っても勝てないから、地上で対抗できる戦力を探すことにしたよ。

 アレーティアをオルクスに封印したのは、当時彼女の両親を筆頭に、周りがエヒト神への信仰に染められ、危害を及ぼされそうになったからだよ。

 人質はまあ……アレだよ。こうでもしなければ来ないかもしれないと考えたからだよ。

 そして時は来た! エヒト神と戦う時が!!

 

「ほ、本当に……?」

 

 それが、魔王の話を聞き終えたユエの最初のリアクションだった。

 彼女の不安げな声色を聞き、本当だ、とばかりに両手を広げる魔王。

 その行動を見たユエは思い出す。何かしらの結果を残したとき、“叔父様„はいつも彼女自身より嬉しそうな笑顔を見せて、優しく頭を撫でながら褒めてくれたことを。

 今の魔王は、あの時と同じ笑顔を浮かべている。

 

「さあ、共に行こうアレーティア」

 

 魔王の言葉がトドメになったのか、ユエは彼に向かって一歩ずつ歩いていく。

 その姿を何も言えず、ただ茫然と見つめるハジメ達。

 しかしここで、何かに気付いたティオが慌ててユエを止めにかかる。

 

「待つのじゃユエ! そやつの発言には――」

 

 ティオの言葉むなしく、ユエは既に魔王の懐まで迫っていた。

 だがここで聞こえるのは、久方の抱擁を祝う歓喜の声ではなく

 

「――決定的に矛盾がある、でしょ? ティオ」

 

 地獄の怨嗟も凍り付く、どこまでも底冷えしたユエの呟きと

 

 ド ゴ ォ

 

 彼女の右ストレートが魔王の顔面に炸裂し、そのまま吹き飛ばした音だった。

 

「「「「えぇ――――――――――――――――――っ!?」」」」」

 

 あまりの展開に驚くハジメ、首領パッチ、天の助、シアの四人。

 

「はい私また出番無し!!」

「俺もな」

 

 その後ろでは、香織と龍太郎が出番のなさを嘆いていた。

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