【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義95 光り輝け勇者

前回までのあらすじ

 

 

ティオ「これはイケるのう」

天の助「二つ星、と言ったところでしょうか」

ハジメ「僕の腕を食べたあああああああああああああああああ!!」

 

大体こんな感じだった。

 

シア「猟奇的な食レポ!!」

 

 


 

 

 前回、バブウとアルヴに滅びをもたらすと宣言したハジメと首領パッチは――

 

「アハハ~待て~」

「ハジメ~そっち行ったぞ~」

 

 虫取り網とカゴを携え、昆虫採集に興じていた。

 

「何で!?」

「それっ!」

 

 やがてハジメは虫取り網を振るい、虫を捕まえようとする。

 

「やってくれまちゅね……!」

 

 しかし捕まったのは虫ではなくバブウだった。

 当然、虫と間違えられて捕まえられた方は怒り、ハジメに攻撃を仕掛ける。

 

「ベビー真拳奥義、突撃ラッシュ赤ちゃん!!」

 

 バブウから繰り出される無数の拳。これら一つ一つには確かな殺意が乗り、ハジメの命を狩り取ろうとしてくる。

 しかし――

 

「納豆真拳奥義、虫取り少年の舞い!!」

 

 ハジメは華麗で雅な足さばきで、バブウの連撃を巧みに躱していく。

 

「何ぃ!?」

「蝶のように舞い――」

 

 攻撃が当たらないことに驚くバブウ。

 やがて連撃が終わったと同時に、今度はハジメが攻撃を仕掛けた。

 

「バタフライナイフで刺す!!」

「凄くリアルに殺しに行った――――――!!」

 

 ドスッ

 

 突撃したハジメは、ナイフを突き立てる。

 だが対象はバブウではなかった。

 

「あ、あぁ……なんで、首領パッチが……?」

 

 なんと、首領パッチがバブウをナイフから庇い、自ら刺されに行ったのだ。これにはハジメも大慌て。

 一方首領パッチは息も絶え絶えになりながら、ハジメに語り掛ける。

 

「ハァハァ……オレには……虫さんが傷つくところを黙って見ているなんて、できないんだよ……!!」

「首領パッチ。お前が庇ったのは虫じゃなくて、バブウだよ」

「!?」

 

 ハジメの言葉に驚いた首領パッチは、思わず後ろへ振り返る。

 すると、そこにいるのは間違いなくバブウだった。

 

「虫じゃねえ!!」

「がはぁ!?」

 

 その結果、首領パッチはバブウをドンパッチソードで切り裂いた。

 

(何だったんですか今の流れ――――――――!?)

 

 全く意味のないムーヴにシアが内心でツッコミを入れる中、ハジメは刺されたショックで死にかけている首領パッチを必死に抱え、叫ぶ。

 

「死ぬな! 首領パッチ――――!!」

 

 しかし首領パッチはハジメの叫びに応えることなく、そのまま動かなくなる。

 

「首領パッチ! 首領パッチ!!」

 

 ハジメは首領パッチを振り回しながら、何度も地面に叩きつける。しかし反応はない。

 

「首領パッチ――――――!!!」

 

 そのままハジメは更に首領パッチを天の助と香織の元へ投げつけた。

 

「「ぎゃあああああこっち来た――――――――!?」」

 

 首領パッチが飛んできてダメージを受ける二人を無視して、ハジメはバブウを睨みつけ、涙を流しながら強く言い切る。

 

「よくも首領パッチを……絶対に許さない!!」

「いやトドメ刺したのハジメ」

 

 白い目で見つめる雫に構わず、ハジメは背後に変なランキングを出した。

 

「僕の許せないランキングのこの辺に食い込むぞ!!」

 

 

南雲ハジメが許せないものランキング

01位Windows10の更新

02位HUNTER×HUNTERの休載

03位転売ヤー

04位漫画のクソ広告

誰も得しないアニメオリジナル展開

06位首領パッチ殺害(NEW!!)

07位取っても取っても生えてくる雑草

08位昨今の巨乳インフレ

09位常態化している残業

10位前触れもなくふたなりが出てくる百合エロ同人誌

 

 

「それどれくらいなんですか!?」

「そーだそーだ! 分かんねえぞ!!」

 

 全く基準の分からないランキングにツッコミを入れるシアと首領パッチ。

 そう。彼は生きていたのだ。

 

「クリックリリックトラックメイカー!!」

「ぶはぁ!?」

 

 そのまま首領パッチは、ハジメの顔面に一発拳を叩き込んだ。

 

「ベビー真拳超奥義、おやすみマミィ!!」

「「ぎゃあああああああああ!!」」

 

 そしてバカ二人は、大量のガラガラを召喚するバブウの技で吹き飛ばされた。

 一方、気づけば光輝とアルヴが一対一で戦っている。どうやら、いつの間にか二対一と一対一の二つの戦場に分断されてしまったようだ。

 

「はあああっ!! “覇潰„!!」

「ふん。その程度で我にかなうものか」

 

 覇潰で自身能力を上げ果敢に攻め立てる光輝だが、攻められているアルヴは特に苦戦する様子も見せず、淡々と攻撃を受け流す。

 アルヴと光輝には、それほどの力の差があるのだ。

 

「今行くよ天之河君!!」

「させないでちゅ」

 

 このままでは光輝がまずいと、慌てて助けに入ろうとするハジメだが、バブウがここで立ちふさがる。

 複数戦の定石は、弱い者から潰すこと。イシュタルが死んだ今、間違いなく3狩リア最弱は光輝だった。

 

「どけ! 納豆真拳超奥義、納豆撒き!!」

「ショボっ!?」

 

 ハジメと首領パッチはバブウに向けて納豆を撒くが、そんなものが通じる訳もなく、先へ進めずにいる。

 しかし光輝には、アルヴとの差を少しでも埋める手が残っていた。

 

「“昇華„!」

 

 それがこの神代魔法。ハルツィナ樹海で習得した魔法で、光輝はまず自身の身体能力を強化した。これで少しはアルヴとの差が埋まるが、まだ足りない。

 

「“昇華„!!」

 

 なので今度は“覇潰„に“昇華„を使用。これで光輝は、限界突破の覇遂の更に一段階上の技能を習得し、即座に使用する。

 

「“限界突破・特殊派生 殉教者„!!!」

 

 光輝が発動させた瞬間、彼と聖剣から天へと光の柱がつき上がる。

 それは一生に一度の神技。発動させれば全スペックが十数倍化。ただし、効果はわずか十秒かつ、命を代価にして。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 昇華と殉教者によって高まった能力により、光輝はついにアルヴすらも圧倒する力を得る。

 だがこれも十秒間のみ。終わるまでに倒さなければ彼の命はない。

 

「こ、こやつ……!!」

 

 光輝が幾多も聖剣を振るい、体を傷つけ始めることに焦り始めるアルヴ。

 咄嗟に腕から障壁を出して光輝を突き刺そうとするが、それより早く勇者は敵の腕を斬り飛ばして阻止する。

 

「き、貴様ァァァァアアア!!」

「“天翔閃・震„!!」

 

 思わず絶叫するアルヴだが、構わず光輝は聖剣を大上段に構え、一気に振り下し、光の斬撃でそのまま敵を切り裂く。

 何もせずとも空間を引き裂くこの技が、昇華魔法と限界突破で更に強化された状態で使用されればどうなるか。

 答え、邪神すら滅ぼす。

 

「この、人形風情がァァァアアアアア!!」

 

 光輝に切り裂かれ、最早消滅が時間の問題になったアルヴは、呪詛という名の負け惜しみを目の前の勇者に投げつける。

 人間族と魔人族の戦争をより盛り上げる為だけに呼ばれた存在が、あろうことか呼び出した側に牙を突き立て、命を奪おうとしているのだ。飼い犬に手を噛まれるどころではない。

 しかしそれが現実。エヒト神の眷属、アルヴは勇者の手で滅ぼされる。

 そして勇者もまた倒れ伏し、自らの技能の効果でこの世を去る筈だった。

 だが――

 

 サラサラサラ

 

 まるで、勇者が背負うべき対価を代わりに払ったかのように、聖剣が粉微塵になっていく。

 これで光輝は助かる。

 ただし、彼は勇者として戦うことはできない。

 女神の祝福はもう、彼には与えられないのだ。

 

 


 

 

「「光輝!!」」

「光輝君!!」

「キンキンキラキラ金曜日!!」

「何で今それ言うんですか!?」

 

 光輝が倒れ心配する、幼馴染三人と鈴。

 代表して雫が駆け寄り様子を見るが、光輝は気絶こそしているものの死んでいないことを確認して安心する。

 しかしそれもつかの間。なぜならここはまだ戦いの場。敵陣営最後の生き残りバブウが、雫に対し不愉快そうな目で睨みつけたかと思うと、即座に奥義を発動した。

 

「ベビー真拳超奥義、赤ちゃんのお人形さん!!」

 

 バブウは嘴のようなものを生やした謎の生物を口から出し、雫に向けて突き立てようとする。

 だがここでハジメがインターセプト。

 

「納豆真拳超奥義、ダイズリックドングリャー!!」

 

 ハジメは咄嗟に納豆に見せるべくカラーリングした三メートルほどの大きさのドングリを取り出し、雫の盾にした。

 すると、彼女の代わりに刺されたドングリは、一瞬で子供向けの可愛らしい人形へと早変わり。これがバブウの超奥義の効果である。

 

「可愛くない人形でちゅね~。こんなのいらないでちゅ」

 

 だがバブウのお気に召さなかったのか、彼は即座に人形と化したドングリを半分に引きちぎる。

 そして再び雫に向き直ろうとするも、ここで再びハジメが動いた。

 

壊れた幻想(ブロークンファンタズム)!!」

 

 ハジメが叫ぶと同時に、人形と化したドングリは轟音を上げて爆発した。

 

(あのドングリ宝具だったですぅ――――――――――!?)

 

 まさかの真実にシアが驚く中、バブウは最早雫など眼中にないとばかりにハジメへと視線を移す。

 それが狙いだったハジメは不敵な笑みを浮かべて、バブウを挑発した。

 

「こっち見なよバブウ。片手間で相手できるほど、僕らは柔な相手じゃないぞ」

「貴様……!!」

 

 ハジメの挑発に怒りを露にするバブウ。この隙に光輝を抱えて離脱する雫。

 しかし挑発した当人も余裕があるわけではなかった。

 バブウから繰り出される圧倒的な威圧感は、少しずつだがハジメの精神を苛んでいく。元三大王の立場は伊達ではない。

 だがそんな隙を見せればつけこまれるのは火を見るより明らかなので、彼は必死に不適な態度を崩さない。

 

「ん?」

 

 ここでハジメはふと、光輝が倒れてから首領パッチが一言も話していないことに気づく。

 ハジメがそっと横を向くとそこには、体の色が黄色に変わり、手首には謎の黒い布を巻き付けている首領パッチの姿があった。

 突然変化した仲間を見て、ハジメは思わず取り乱す。

 

「何で首領パッチが黄色くなってるんだよ! 教えはどうなったんだ教えは! お前ら禁じられたパロネタを平気でつかってんじゃねえか! 分かってんのか!? パロディが脈絡ないのは作者が考えなしなせいだろうが!! ネタあんのかよ!? クソッタレ!!」

「『シン』は天の助じゃ」

「オレ!?」

 

 取り乱すハジメと、ティオにいきなり『シン』扱いされて驚く天の助。

 それらを無視して、バブウは目の前の男に問いかける。

 

「何者でちゅか? お前は」

「……怒んパッチ」

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