【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義98 もうちょっと続く修行パートというか準備パート

前回までのあらすじ

 

 

 富、名声、性癖。この世の全てを手に入れた男、性癖王、ハジメ・D・ロジャー。

 彼の死に際に放った一言は、人々をネットの海に駆り立てた。

 

ハジメ「僕の買ったエロ同人か? 欲しけりゃ買い戻せ。

    探せ! この世の全てをメルカリで売り飛ばしてきた!!」

 

 男達は、同人誌を目指し夢を追い続ける。

 世はまさに、大童貞時代!

 

 

 だいたいこんな感じだった。

 

シア「もうワンピはいいです」

 

 


 

 

 早々にレベルアップを終えた光輝、雫、香織の三人は聖地エターナルを各々で散策していた。

 エターナルは修行の地ではあるが、別にショッピングモールとしての機能がないわけでは無い。

 なので、修行を意識しなければ見て回ってそれなりに楽しい場所ではあった。

 

 

 まずは光輝の目線から。

 彼は喫茶店に来ていた。なぜかと言えば、単に少し小腹がすいたからだ。しかしここで彼は驚くべきものを目撃する。それは――

 

「新入りぃ! 次は六番テーブルにアルティメットガパオライスもってけ!!」

「はいマスター!!」

 

 結界術をお盆代わりにしてデカ盛りのガパオライスを運ぶ友人、鈴の姿だった。それを見て光輝は驚きの余り思わず叫ぶ。

 

「鈴!? 一体何をやってるんだ!?」

「修行!!」

 

 光輝の問いに力強く返答する鈴。しかし彼女も流石にこれだけじゃ足りないと分かっているのか、即座に説明を補足し始めた。

 

「鈴はこの喫茶店に入ってビビっと来たの。鈴、結界術そんなに使って無いなって。だから結界術の修行をしてるんだ」

「そ、そうか……」

 

 鈴の理にかなっているのかそうじゃないのかよく分からない説明に、光輝は物凄くリアクションに困ってしまう。

 しかしこの修行で鈴の結界術は間違いなくレベルアップした。

 後初めてのバイトで社会経験のレベルもアップした。

 

(二つ目は今必要か!?)

 

 

 一方その頃、香織はバッティングセンターへ来ていた。

 ツボ押しマッサージで体が軽くなったので、気持ち運動がしたくなったのだが、そこには先客がいた。

 

カキーンカキーン課金しろっ、そのソシャゲ存続のために! ただし財布の中身と相談しながらだ!!

 

 何回も聞こえるボールを打ち返す音のする方をみると、シアが一心不乱に救世鈍器ピアニカソードを振るってホームランを打ち続ける姿があった。

 

「あんっ♡あんっ♡あんっ♡」

 

 更にボールが飛んでいく先を見ると、打たれたボールがバッティングセンターによくある、ホームランの的部分に縛られたティオの尻に直撃しよがり続けている。

 そして彼女に当たったボールは真下に落ちていき、そこにあるピッチングマシーンへとセットされ、再びシアの元へ撃ちだされていく。

 この一連の流れでシアは体力がレベルアップし、ティオは耐久力がレベルアップした。

 

「え、永久機関が誕生してる……!!」

 

 そして香織は、さながらピタ〇ラスイッチのように見事に完成されている目の前の光景を見て、明るい未来の可能性に胸をときめかせるのだった。

 

 

 雫はドラッグストアに来ていた。理由は龍太郎が入っていくのを見かけ、つい気になってしまったからだ。

 後を追った先で彼女は驚愕の光景を目にする。

 

「うおおおおお!! 兄ちゃん頑張れ!!」

「そこにポーン指してどうすんだよ! すぐ取られちまうだろうが!!」

 

 まず雫の目に入ったのは、大勢の野次馬が何かを取り囲んで盛り上がる光景。

 彼女が人込みをかき分けて中を見ると、そこには――

 

「これでどうだ!!」

「まだまだ甘いですね。拳も指し手も!」

 

 チェスとボクシングを交互に繰り返す龍太郎と、薬剤師のおじさんの姿があった。

 

「何この光景!?」

「チェスボクシングじゃよ」

 

 ツッコミを入れる雫に対し、野次馬の一人であるお爺さんが訳知り顔で説明してくる。

 ちなみにチェスボクシングとは、チェスとボクシングを融合したスポーツである。

チェスボクシングの試合は、1試合11ラウンドで構成され、チェス(早指しチェス)6ラウンドとボクシング5ラウンドの試合を交互に行うことによって進められる。それぞれのラウンドの間には、1分間の休憩がとられる。

勝利条件は、先に、チェスでチェックメイトをするか相手の持ち時間(9分)を使い切らせるか、ボクシングでノックアウトまたはテクニカルノックアウトを取ることとなる。11ラウンドで勝敗が決まらない場合は、ボクシングの判定で勝敗を決める。最終ラウンドまで戦った場合、45分程度で終了する。

 以上、Wikipediaより引用。

 

「実在するスポーツなの!?」

「ホッホッホ。見識が甘いのお嬢ちゃん」

 

 驚く雫に対し、露骨に見下してくるお爺さん。彼女は思わず滅茶苦茶イラっとしたが、特に何か行動に移すことはなかった。

 そうこうしているうちに、龍太郎と薬剤師のチェスボクシングの試合に決着がつく。

 

「これで終わりです!!」

「ぐわああああああ!! だって俺チェスのルールとか分かんねえし……!!」

「明白すぎる敗因ね!?」

 

 龍太郎と薬剤師の試合は、龍太郎の敗北で幕を下ろす。

 しかしこの試合で彼は、戦闘において思考や戦略を他人に預けるだけでなく、時に自分でも考えることが大切であると気付き、レベルアップした。

 

「これ負けてもレベルアップするのね!?」

「艦これの演習もそうじゃろ」

「ごめんなさい私それ分かりません」

 

 

 そして最後の一人、誰とも遭遇していないハジメは今、飲食店が集まっているエリアを孤独に爆走していた。

 

「うおおおおおおお! 僕はあの店でレベルアップするぞ!!」

 

 ハジメが一直線に目指す先には、ショッピングモールには正直似つかわしくない高級料亭がある。

 とても一見さんが入れるような店ではないが、それは彼も分かっている。

 なので――

 

「とみせかけてこっち!!」

 

 ハジメは高級料亭ではなく、近くにあったコンビニの窓に勢いよく飛び込んだ。

 そのままの勢いで彼はお菓子コーナーへとひた走る。

 

「いちご大福はある!?」

「よく来ましたね……人の子よ……」

 

 ハジメが問うと、お菓子コーナーの一角にあった甘納豆が神聖な光を放ちながら浮かび上がり、彼を優しく歓迎する。

 

「さあ、力を授けましょう……私を食しなさい……そうすればあなたは新しい力を得られます……」

 

 甘納豆が温和な口調で自ら食べられることを望むと、ハジメの口へ少しずつ近づいていく。

 しかし――

 

「いらない!!」

 

 ハジメは目の前まで来ていた甘納豆をわしづかみにし、そのまま偶然あくびをしていたコンビニ店員の口に投げつけた。その勢いで店員は思わず甘納豆を飲み込んでしまう。

 飲み込まれてしまった甘納豆は即座に店員の前歯を体当たりで全て砕いて脱出し、いきなり凶行を起こしたハジメに問う。

 

「なぜです人の子よ……なぜ私を拒絶するのです……」

「お前はお呼びじゃないんだよ!!」

 

 右手の中指を立ててキレるハジメに対し、甘納豆は何も答えなかった。

 代わりに姿を十メートルはあるだろう巨大な人型に変え、ハジメに襲い掛かる。

 

「消えなさい人の子よ……あなたは世界を蝕む……」

「行くぞアマナットットムジカの究極召喚! エヒトと戦う前の腕試しだ!!」

 

 こうして、ハジメと甘納豆の一大決戦が幕を開けた。

 

 

 そして二時間後。

 各々レベルアップを終えた一行は、エターナルの入口に集まっていた。

 

「皆さんどうでした修行? 私はかなり腕力が上がったと思うですぅ!」

「妾は、耐久力が……」

「俺は頭脳が」

「鈴は結界術」

 

 各々修行の成果を語る一行。しかしそこにハジメの姿はない。

 するとどこか遠くから、何やら騒がしい声が聞こえてきた。

 皆が声のする方を見ると、そこには何やら神輿を担ぎあげるハッピを着た男達の姿がある。

 

「あれ何でしょう?」

 

 気になったシアが近づいてみると、神輿の上には見覚えのある少年と、彼を崇める民衆の姿が。

 

「救世主ハジメ様万歳! ハジメ様万歳!!」

「アマナットットムジカの究極召喚、討ち取ったり――――――――っ!!」

「何してたんですかこの二時間!?」

 

 余りに理解不能な光景に、シアは全力でツッコミを入れるのだった。

 

 


 

 

 ハジメ達がエターナルで修行している同じ頃、首領パッチと天の助はライセン大迷宮に来ていた。

 理由は、エヒト戦に向けて一人でも戦力を手に入れるべく、エヒトに恨みを抱いているミレディを勧誘するためだ。

 

「オラァ! ミレディ出てこんかい!!」

「エヒトんちにカチコミ行くぞワレェ!!」

 

 二人は改造学ランにリーゼント、手にはそれぞれ割れたビール瓶と木刀を携えミレディを戦いに誘う。

 すると呼ばれたミレディはセーラー服で現れ、二人と同じノリで対応しようとする。

 

「へぇ……そんなおもしろそうな“決戦(ケンカ)„に、アタイも連れてってくれるってのかい……?」

「何言ってんだこいつ」

「普通に話せや」

「…………殺す」

 

 突然すぎる二人の梯子外しにミレディは真剣に殺意を滾らせるも、その前に今現在何がどうなっているのかを尋ねる。

 それに対し天の助が今までの事柄を簡潔に説明した。

 するとミレディは一旦奥に行き、中から斧を手に戻ってきた。

 

「これあげる! これは私達解放者が神殺しの概念を付けた槍! 名付けてロンギンヌ!!」

「いや斧だろ」

 

 どう見ても斧なものを槍と言い張るミレディに、天の助は思わずツッコミを入れる。

 しかし彼女は慌てることなく、斧なら持ち手とは逆の柄の部分を指差しこう言った。

 

「いやこれ槍だから。ここちゃんと刺さるから」

「どれどれ」

 

 ドスッ

 

「ぎゃあ!?」

 

 ミレディの言葉を聞いた首領パッチは、とりあえず天の助を斧でいうなら柄の部分で突き刺してみる。

 すると確かに突き刺さったので、首領パッチはこれが槍だと確信した。

 

 ドスッドスッドスッ

 

「ぎゃあぎゃあぎゃあ!?」

「すげえ、本当に槍だったのか」

「だから槍だって言ってんじゃん」

 

 ドスッドスッドスッ

 

「何でボクチンをこんなに刺すんですか!?」

「時代は医学より暴力を必要としている……」

「誓いの時は来た。今私はあなたを超える」

 

 首領パッチと天の助が最終決戦ムーヴをしている横で、ミレディは一人思いにふける。

 

(いよいよだよ皆……今度こそ、絶対にエヒトからトータスを解き放つ!!)

 

 


 

 

 こうしてやるべきことを終えた一行は、決戦までそれぞれで行動を始めた。

 光輝達は未だ攻略していない大迷宮をめぐり、一つでも多くの神代魔法を手に入れようとする。

 シアとティオはそれぞれ一度故郷に戻り、戦力を集めて決戦に備えようとする。

 ハジメ、首領パッチ、天の助、ミレディの四人は復活したアマナットットムジカの究極召喚を今度こそ完全に討ち滅ぼす為、別口の決戦に臨む。

 そして三日が過ぎ、いよいよエヒトとの決戦の火蓋が切って落とされるのだった。

 

「何かミレディちゃんだけやってることおかしくない!?」

「これはこれで世界の危機だから……」

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