波乱だつた修学旅行を終えて
今は新幹線で千葉に帰っている
結局あれから比企谷君と連絡が取れなくなってしまった。電話してもメールしても返事は来ない…同じクラスではないから中々見つけることも出来ないままここまで来てしまった。
昨日海老名さんに何があったのか聞いたのだけれど
告白して振られた事しか教えてはくれなかった
私の中でずきりと胸が痛む
走り去る際に見せた彼の悲しそうで苦しそうな顔
あんな表情は今まで見たことが無かった
「どうしたの雪ノ下さん?体調でも悪いの」
隣に座っているクラスメイトが私に話しかけて来た
そんなに訝しい顔でもしていたのだろうか
雪乃「いえ、大丈夫よ。少し考え事をしていただけ」
彼女はそっか…と言い沈黙が訪れた
御手洗に行き戻ろうとすると
彼が新幹線の外を見ながら黄昏ている姿が見えた
私は話しかけるか話しかけないか少し悩んだが話しかける事にした
雪乃「こんにちは、比企谷君」
八幡「…ぉう雪ノ下か」
彼の声は少し掠れたような感じで弱々しかった
雪乃「こんな所で何をしているのかしら?」
八幡「別に何でもねぇよ、外の景色見てるだけだ」
確かに周りから見ればそういう風にしか見えないだろうけれど、私から見れば外の景色も見えていないように見えた。
雪乃「嘘ね、ただ上の空になってるだけじゃない」
上の空は少し違うかもしれないけれど
他のことに意識が削がれて 何にも集中できてないからあらかた間違えではないと思う
八幡「…そうかもな」
雪乃「昨日何があったの? 話したくなければ言わなくてもいいのだけれど」
八幡「……」
雪乃「比企谷君、どうしてあんな表情をしていたの?」
八幡「っ!」
少し肩がビクッと震えていた
少し時間が経った頃に
言葉を紡ぎ始めた
八幡「俺は、人の好意を信じる事が出来なかった。告白された時、俺はその好意を疑ってしまった。信じる事が出来なかった 」
八幡「俺は…最低だ… こんな自分が大嫌いだ…」
本当に貴方らしい…人の好意に飢えて
その人の好意を信じる事が出来ない
それは今までそれを望みそして裏切られ続けた
からこうなってしまったのだろう
雪乃「私の、好意も信じられない?」
ギュッと優しく抱きしめた
私達以外誰も居ない新幹線のデッキで
彼を抱擁した
八幡「温かい……」
答えは返ってこなかったけれど
多分彼は私の事は信用してくれている
私も彼はどこか似ているから
八幡「雪ノ下は、暴言や失言は吐くけど…虚言は吐かないからな…」
私が昔彼に言った事だ…
「わたし、暴言も失言もはくけれど、虚言だけははいたことないの。」
雪乃「貴方はもう少し素直になるべきよ
でないと、貴方いつか限界を超えてしまうわ」
彼は自分一人で溜め込んでしまう
それがもし、ストレスとして蓄積されてしまったら
どうなるだろうか?答えを言うまでもないだろう
彼は壊れてしまう…
多分だけれど彼が溜め込むことができる
キャパは通常の人とは比べ物にならないほどに
大きいのかもしれない
だけれどそれは、無限ではない
だから危険なのだ。彼は自分が傷ついて
周りが良くなるのなら良しとしてしまう
彼自身が自分の限界に気がついていない
いや、限界などないと思ってるのかもしれない
それがものすごく不安なのだ
八幡「…あぁ ありがとな雪ノ下」
彼の頬に1粒の涙が流れていた