偽典・女神転生ーツァラトゥストラはかく語りき 作:tomoko86355
当時は、ナナシ(後の妻となる月子が名前が無いと不便だという事で付けてくれた名前)と名乗っており、16代目の元で厳しい訓練を受けておりました。
しかし、魔法意外、体力と膂力が並み以下だった為、周りの訓練生から大分、馬鹿にされていたみたいです。
「何故、それ程までに強くなりたいのだ?」
右掌に出来た血豆が全て潰れ、激痛で刀が握れない少年に向かって雪の様に白い肌を持った黒髪の美女が言った。
奈良県の山深い山地。
平安時代に設立され、以降、陰陽道で日ノ本の国を陰から支えて来た超国家機関『クズノハ』。
その聖地とされるのが『葛城の森』と呼ばれる封印されし地であった。
毎年、優秀な悪魔使いを輩出するこの土地は、強力な結界で覆われ、葛葉由来の血縁者意外、足を踏み入れる事が許されぬ秘境であった。
「決まってんだろ・・・・強くなって周りの連中に認めて貰う為だよ。」
苦痛で顔を歪ませ、粗い吐息を吐き出しながら、少年は自分を見下ろしている女を睨み付ける。
深夜帯、既に人の気配など微塵も感じぬ訓練場。
そこで、左目に薄汚れた包帯を巻く少年と黒髪の美女が照らし出されている。
「ふん・・・・成程、葛葉の縁者ではない故、周りの心無い連中に酷い言葉でも浴びせられたか・・・。」
口元に弧を描く微笑を浮かべ、女が疲労で動けぬ少年を見下ろす。
土埃と汗で顔が斑模様に汚れ、服も激しい訓練で擦り切れている。
左腕は、肩の付け根から消失しており、邪魔なのか袖が硬く結ばれていた。
「う、煩せぇ!一体何者なんだよ?アンタ!毎回、毎回、俺の修業の邪魔しやがって!」
漆黒の外套に黒のパンツと皮のロングブーツ。
組織『クズノハ』でこんな格好をした召喚術師も符術師も見た事が無い。
しかし、女は至極当然と言った様子で誰にも咎められる事無く、広場の片隅で訓練生の様子を眺めている。
そして、居残って修練に励む自分をからかうのだ。
「おっと、これは失礼した・・・・ 私の名は鶴姫。 16代目・葛葉ライドウの番をしている。」
「え?・・・・16代目の番・・・・?」
女―鶴姫の思わぬ言葉に、少年は眼を見開いて驚く。
16代目・葛葉ライドウと言えば、歴代ライドウの中でも文武両道に優れた高潔な人物として有名だ。
様々な武勇伝を持ち、四大魔王(カウントフォー)の一人、魔帝・ムンドゥスと覇権を争った大悪魔・アビゲイルを封印した事で、闇社会で一躍その名を轟かせた。
「嘘吐けよ!16代目の番は、魔獣・ケルベロスだろ!」
組織にいる若手連中の中で、羨望と尊敬の念を集める16代目の名前を出して無知な自分をおちょくっている。
そう勘違いした少年は、全身の毛を逆立てて怒りを露わにした。
「うーん、そう言われてもなぁ・・・・説明すると少々面倒なのだが、アレも一応私なのだ。」
思案気に指先を顎に当て、鶴姫は野良猫の様に爪と牙を剥き出しにして警戒する少年に溜息を吐いた。
「訳の分かんねぇ事言ってんなよ!修行の邪魔だ!どっか行っちまえ!」
シッシッと手で追い払う。
足元に転がる『無銘の刀』を拾い上げ、杖代わりにして何とか立ち上がった。
「そんな身体でまだ修練を続けるのか・・・・? とんだマゾヒストだな。」
誰の眼から見ても、少年が疲労困憊なのは一目瞭然だ。
そんな呆れる鶴姫を完全に無視し、少年は大木の枝に吊るされた鉄板へと向き直る。
ロープで括り付けられたソレは、魔具の材料として使用される魔界の鉱物―ウルツァイトで出来た分厚い板であった。
血豆が潰れ、破れた皮膚から絶えず鈍痛が少年を襲う。
しかし、歯を食いしばってその痛みに耐えると刀を強く握り正眼に構えた。
刺突で魔界一硬いとされる鉱物のウルツァイト製の鉄板を叩き割ろうとしているのだ。
そんな少年を、数歩離れた位置で腕組みをした女が眺める。
結果は、最後まで見なくても分かり切っているのだが、敢えて口に出す無粋な真似はしなかった。
「はぁ!!」
裂帛の気合と共に、鉄板に向かって必殺の一撃を繰り出す。
しかし、無情にも刀は弾き返され、ダメージが少年の躰を突き抜けた。
勢いを殺せず背後の硬い地面に叩き付けられる少年。
血が付着した柄が手から離れ、”無銘の刀”は、少年から少し離れた位置に突き立った。
「前から何度も言っているだろう・・・お前は剣士(スレイヤー)には向かない、どちらかと言えば魔導師(マーギアー)だ。大人しく、精霊魔法や法術の修業をした方が良いのではないのか?」
大の字に倒れる隻眼の少年を呆れた様子で眺める。
魔導師として類稀な才能を持つこの少年は、五大精霊魔法を巧みに操れる他、封印術や結界術等の数法術士系の魔法も使う事が出来る。
それだけでも、組織内では天才の部類に十分入るだろう。
素直に魔導師(マーギアー)としての修練を積んで行けば、『八咫烏』の中でも精鋭部隊で有名な十二夜叉大将に入る事も夢ではない。
「・・・駄目なんだよ・・・そんなんじゃ・・・・何時までも、彼女に甘える訳にはいかねぇんだよ・・・。」
「・・・・彼女?」
少年から出た言葉に女が首を傾げる。
この女に指摘されなくても、少年自身、自分が剣士(スレイヤー)に向かないのは良く理解している。
前の躰ならいざ知らず、この脆弱な肉体は魔力に秀でていはいるが、体力面と力が哀しい程乏しい。
おまけに内在する闘気が常人以下で、近接戦闘になるとすぐにボロが出る。
自分は、誰かのサポート役に徹して初めてその真価が発揮される。
嫌と言う程、判ってはいる・・・・判ってはいるが決して認めたくはない。
「何すんだよ?」
何とか上半身を起こした少年の傍に女が跪くと、その腕を取った。
血塗れの右掌に己の手を重ねる。
途端に、回復魔法の暖かい波動が掌を包んだ。
「この躰はお前だけのモノではない。 内にいる少女を想うのであれば、大事に扱ってやらねば可哀想だろう。」
「・・・・・っ!!」
見透かされている。
自分の中にもう一人いる事をこの女は知っている。
驚愕で目を見開く少年に、鶴姫は苦笑を浮かべた。
そして、立ち上がると地面に突き立っている少年の愛刀『無銘の刀』を引き抜く。
「至極僅かな闘気だけでも、この板を割る事は可能だ。」
刀を正眼に構え、ウルツァイト製の分厚い板へと狙いを定める。
「お前の場合は、闘気の流れが乱れ、力が分散していた・・・・それでは、一生掛けてもあの板は割れない。」
剣の切っ先に意識を集中する。
口からゆっくりと息を吸い、腹腔の中心、丹田へと空気を送り込む。
「一点集中・・・・点の力は大岩をも穿つ・・・。」
再び口から先程吸った息を吐き出す。
刹那、鋭い刺突が放たれ、刀の切っ先がウルツァイト製の板・・・・丁度中心辺りに深々と突き刺さった。
「なっ・・・・・。」
余りの速さに目が追いつかなかった。
見開かれる少年の視界の中で、魔界一硬いと謳われる鉱物・・・・ウルツァイト製の板が粉々に砕け散る。
「まぁ、こんなところだ・・・修行も結構だが、程々にしておけ、壊してしまっては元も子も・・・。」
そう言いかけた鶴姫は、足元で土下座する少年を見つめて言葉を止める。
「た、頼む!俺をアンタの弟子にしてくれ!」
「・・・・・・小僧・・・貴様、自分が何を言っているのか判っているのか?」
呆れ返った様子で、足元で頭を下げる少年を見つめる。
この少年には、既に優秀な師がいる。
己の番であり、組織『クズノハ』の中でも英傑と周りの人間達から称賛される16代目・葛葉ライドウだ。
こんな言葉を主人の宗一郎が聞いたら、どんな反応が返ってくるだろうか?
「今の言葉は聞かなかった事にしてやる・・・・今日のところは大人しく宗一郎・・・16代目の屋敷に帰って休め・・・。」
「い、嫌だ!アンタがうんと言うまで俺は帰らない!」
そんな鶴姫の言葉に対し、少年は頑として引き下がる様子は無かった。
額を地面に擦り付け、尚も懇願する。
「俺はどうしても自分の力だけで強くなりたいんだ!これ以上、ネミッサの負担になりたくないんだ!頼むよぉ!」
血を吐く様な少年の独白。
ネミッサと言う悪魔の力で自分が生かされているという事実を、この少年は痛い程理解している。
その上で、彼女の膨大な魔力に頼って魔導師の資格を得る事に強い抵抗感を持っているのだろう。
あくまで他人の褌で相撲は取りたくない、と言ったところか。
「・・・・何故、そこまで強さに拘る(こだわる)?今のままでは満足出来ぬか?」
「・・・・・っ!!」
黒髪の女は、土下座する少年の前に跪くと、ゆっくりと言い聞かせる様に言った。
「番の私が言うのも何だが、宗一郎は馬鹿でお人好しで、すぐに人に騙される。 私が武芸の師になったとしても何も文句は言うまい。 しかし、番である以上、主人の面子を立てねばならん。 私の言いたい事は判るな?」
次代のライドウを継ぐ為に、組織の目付け役であるマダム銀子が連れて来た少年。
他者の血を取り入れる事を嫌う風習があるこの組織では、当然風当たりも相当強かった。
地に落ちたライドウの名を返上する為に、態々、外部から優秀な人材を連れてくる等浅ましいと陰口を叩かれている事も知っている。
否、もっと酷い事を言われているかもしれない。
「判ってる・・・・先生は大好きだし尊敬してる・・・俺のせいで先生が周りの奴等から白い目で見られてるのも・・・。」
大悪魔・アビゲイルを討伐し、組織『クズノハ』の中でも英雄として知られる16代目・葛葉ライドウ。
だが、周りが彼に対し、称賛の言葉のみを称えている訳ではない。
その理由は、自分と彼の愛娘にあった。
「俺は・・・俺は、悪魔と融合した化け物だ。 周りの奴等がその事で俺を責めるのは一向に構わない・・・・本当の事だし、才能がまるで無いのも知ってる。 でも・・・でも、月子お嬢様まで悪く言われるのは我慢出来ねぇ!あの人は関係ねぇだろ!」
悔しさでボロボロと残った右眼から涙が零れ落ちる。
自分が化け物と罵られるのは、まだ耐えられる。
しかし、生まれ持った病気のせいで、周りの連中から謂れも無い迫害を受ける16代目の愛娘が不憫で堪らない。
「成程・・・・お前の気持ちは良く判った・・・。」
この少年は、16代目の愛娘に恋をしている。
生まれつき遺伝子疾患と軽度の発達障害を持つ彼女は、その障害故に人の悪意が理解出来ず、赤子の様に純粋だ。
もしかしたら、過去に幾度か月子の優しさに救われた経験があるのかもしれない。
「ナナシぃ・・・何処にいるのぉ?」
その時、遠くから少女の声が聞こえた。
16代目・葛葉ライドウの愛娘・月子だ。
一向に屋敷に帰って来ない少年を心配して、修練場まで探しに来たのだ。
「あ、月子お嬢様・・・。」
ピンク色の花びらが散った可憐な着物を着た濡れ羽色の長い黒髪を後ろで結い上げた美少女。
長年の闘病生活の為か、肌が蝋の如く白く、発育不全の為、年齢の割に背丈が驚くほど低い。
「そんなにあの少女を護りたいのか?」
「・・・・・?」
顔に付いた泥と涙を拭いもせず、呆けた表情で、目の前の女剣士を見上げる。
そんな少年に対し、鶴姫は困った様に苦笑を浮かべると、徐に立ち上がった。
「彼女に対する気持ちに嘘偽りがないのなら、明日、この時間にもう一度此処に来い。闘気の使い方を基礎からみっちりと叩き込んでやる。」
それだけ言って、女剣士は闇に溶け込む様にして消えた。
あれから幾月の月日が流れたのだろうか?
もう長すぎて思い出す事も叶わない。
高層ビルが犇(ひし)めくレッドグレイブの都心部。
アールデコ調のビルの突端に、黒髪を短く刈り上げた10代半ば辺りの少年が、身体を丸めて夜風に身を任せている。
隻腕の少年―17代目・葛葉ライドウは、古傷だらけの右掌を何気なく眺めた。
昼夜問わず、刀を振り続け、掌の皮膚が破れ血を流しても止めなかった。
その為か、所々皮膚が変な風に硬化し、歪な形に変形してしまっている。
無骨過ぎる手、 でも妻の月子は働き者の綺麗な手だと褒めてくれた。
「はぁ・・・感傷に浸るなんて・・・俺もまだまだ未熟者だな・・・。」
番のクー・フーリンを失って5日が経とうとしていた。
未だ傷は癒えず、身体に痛々しい包帯と頬には大きな絆創膏が貼られていた。
(あの馬鹿のお陰で、大分マシにはなったけど、本調子って訳にはいかねぇからなぁ。)
溜息を零し、摩天楼の光に照らされる夜空を見上げる。
三日間の昏睡状態から目覚めた直後に、ダンテに犯された。
自分の心無い言葉が彼を煽り、レイプと言う暴挙に出させたのだが、そのお陰か、無意識に彼から大量の魔力を吸い上げる形となった。
自分の治癒魔法で、幾らか動ける様になったが、流石に現場復帰するのは難しい。
正式に契約した番が居ればまだ話は違ったが、ライドウ自身、クー・フーリン以外のパートナーを作る気は毛頭無かった。
「日本に帰れば、まだ状況は違うと思うんだがな?」
「お袋さん・・・。」
腰に下げたガンホルスターに収まっているGUMPから、御目付け役兼指南役の魔獣・ケルベロスが、電子音声で話しかける。
「まぁ、その身体では日本に帰るのは当分無理だな・・・あの子倅が言う様に暫く世話になるしかあるまい。」
マレット島での激闘で負った傷は、想像以上に重症だった。
本当なら、ベッドに安静にするべきなのだが、幾ら小言を言ったところで、この悪魔使いが言う通りにする筈が無い。
幸い、組織のお目付け役であるマダム・銀子には、事の経緯を全て伝えてある。
傷が完治するまで、そこで待機していろと許可は出たが、いつ何時、事態が急変するとも限らない。
「新しい番を作る気はもう無いのか?」
「・・・・・今は・・・志郎意外考えられない・・・。」
お袋さんの言いたい事は判る。
魔力特化型のライドウにとって番と言う存在は必要不可欠だ。
今は、骸が植え付けた巫蟲(ふこ)がるからまだ何とかなってはいるが、それでも限界は必ずある。
「まぁ、クー・フーリンを失ったばかりだからな・・・しかし、何時かは必ず決めねばならん事だ。」
「分かってる・・・・傷が癒えて日本に帰ったら、次の番を探すよ。」
組織に戻れば、名を上げたい剣士(スレイヤー)達が、挙(こぞ)ってライドウの番になりたがるだろう。
並み以下の実力しかない剣士でも、SSクラスのライドウが後衛役を務めれば、100%の確率で必ず勝たせてしまう。
かなり昔の話になるが、Bクラスの実力しかない銃剣使い(バヨネット)が、ライドウと組んだお陰で魔王クラスの上位悪魔を討伐した事があった。
ライドウは、その鋭い観察眼で、上級悪魔の動きを全て読み、的確な指示を与え、魔法の多重発動を駆使して、その銃剣使いを完全にサポート。
結果、死傷者を最小限に止め、魔王クラスの大悪魔を倒す事に成功した。
そんな経緯がある為、無名の新人達や中々目が出ない悪魔狩り達は、ライドウをパートナーにしたがる。
おまけにどんな美女ですら足元にも及ばぬ美貌。
ライドウがその気になれば、パートナーなど引く手あまたなのは言うまでもない。
「もー、それなら俺っちを番にすれば、万事解決っしょ?」
頭上から降って来た声に伏せていた顔を上げると、何時の間に現れたのか、神父姿の浅黒い肌をした青年が、隣に立っていた。
マレット島で仲魔にした魔神・アラストルだ。
本来、魔具なのであるが、支配する気が全くない主人のお陰で自由気ままに人間ライフを楽しんでいた。
「俺っちなら、人修羅様のお役に必ず立てますし、伽のお相手も完璧にこなしちゃいますよ?」
桃色思考全開の魔神に、大分引き気味になるライドウ。
マレット島で、圧倒的なまでの実力差を見せつけられたお陰か、この悪魔はライドウにぞっこんだ。
オルフェウスとの契約が切れてからは、枷が外れたせいか、自分を番にしろとしつこく付き纏って来る。
「ばっかねぇー!アンタみたいな中級悪魔何て、ライドウが番にする筈がないでしょ!」
GUMPに収納されていたハイピクシーのマベルが実体化して現れる。
この変態悪魔を愛する主人の半径500m以内に近づけては、ならない。
「ひっでー!俺っちは上級悪魔だって何度言えば判るんだ!このチビ妖精!」
「何よぉー!マレット島の時は、ムンドゥスにビビって何も出来なかった癖に!」
「あんな化け物、俺っちだけじゃどーにも出来ないっての!」
「皆が命懸けで戦っていたのに、アンタはブルブル震えていただけじゃない!ビビり野郎!」
「ビビりって言うなぁ!!」
眼前でしょうもない言い争いを始める二人に、ライドウはやれやれと肩を竦める。
しかし、そんな二人のお陰か、落ち込んでいた気分が大分、上向きになった。
視線を再び、眠らない街―不夜城の繁華街へと向ける。
3年前にダンテの双子の兄、バージルと、元ファントムソサエティのダークサマナー、シド・デイビスによって引き起こされたテメンニグル事件。
その傷跡は未だ残るものの、復興は大分進んでいるのか、元に日常へと戻った人々がせわしなく公道を行き来している。
『僕達、悪魔召喚術士(デビルサマナー)の役目は二つある。 悪魔から人を護る事、悪魔と強い信頼関係を築く事、両者はとても違う様に見えて、実は凄く似ているんだよ?』
ふと、師である16代目の言葉が脳裏に蘇る。
確かに師の言う通り、自分達、悪魔使いは、人の天敵たる魔物の力を行使しなければ、とても無力で脆弱な存在だ。
そして、悪魔と強い信頼関係を築けば、例えどんな大悪魔であろうと打ち勝つ事が出来る。
自分の盾となり、剣となったクー・フーリンがそれを証明している。
幾度、彼のお陰で窮地を脱する事が出来たか分からない。
ライドウは、レッグポーチから使い古したジッポライターを取り出す。
それは、遥か昔、まだ人間だった時に入っていたハッカーグループ、 スプーキーズのリーダー、桜井雅弘が愛用していたライターだった。
鶴姫の正体は、現在、御目付け役兼指南役をしている魔獣・ケルベロス。