獣電戦隊キョウリュウジャー・スーパーヒーロー大戦~史上最強のヒーローチーム 作:シャンディ
北アメリカ・ロッキー山脈の麓で二人の男女が何か、怖ろしいものに追われているように逃げ惑っている。
しかし奇妙だ……普通に想像すれば、男が女の手を握り、逃げるという場面を思い浮かべるだろうが、全くの真逆。
さらに男は端正な甘いマスクをしているが、顔中が傷だからけ、爆発にでもあったかのようなボロボロな服に出血や痛々しい痣も見受けられ、足も引きずっている。
「大丈夫ですか!?」
「なぁ……俺を置いて逃げるんだ」
「こんな事になってしまったのは全部ワタシの責任 アナタを置いて逃げることなどできません!」
「アンタのせいじゃないさ……封印を監視する俺の責任だ……アンタは利用されただけなんだから」
「でも!……」
「悪いが最早、俺ではアンタを守りきれない……これを……この獣電池を日本にいるトリン、そして獣電戦隊に届けてくれ」
「これは?……」
「俺のブレイブ………記憶埋め込んだ獣電池だ」
二人に忍び寄る邪悪な影……身体にゾウリムシを彷彿させるような意匠を持つグロテスクな戦闘員が大量に目の前に現れる。
「走れっ! このままでは本当に人間や地球は滅びてしまうぞ!」
男は傷だらけの身体に鞭を打ち、女を逃がす。
男は死ぬつもりでいることを察した女は目に涙を浮かべながら、男に背向け、駆け出す。
これでいいんだ……男の目にも一筋の涙が光っている。
「キョウリュウチェンジ! ファイヤー!」
男はサンバにも似た踊りをしながら、ブレイブ(戦士の魂)を燃え上がらせ、銃口を発射する。
「大地の勇者! キョウリュウブラウン! 荒れらせてもらう! 止めれるものなら止めてみろ!」
遥かな太古、地球に飛来した暗黒種・デーボス。
それと戦った当時の覇者が恐竜達であった。
賢神トリンは選ばれた恐竜達に機械の身体を与え、自らの魂を重ねて「獣電竜」とし、デーボスに反撃する。彼らの反撃を受けたデーボスは魂を氷漬けにされ、海に封印された。
そして現代、デーボスの部下達であるデーボス軍が復活。賢神トリンは選んだ人間を獣電竜と戦わせ、その勝負に勝った人間に「強き竜の者」=キョウリュウジャーに変身できる力を与えた。
彼はその一人、キョウリュウブラウンである。
「ゾーリ魔如きで俺に勝とうなどとは笑止千万!」
襲い来る大量のゾーリ魔を相手に拳を一突き。
キョウリュウブラウンの拳から砂嵐が発生し、大量のゾーリ魔達を吹き飛ばす。
砂嵐の奥から、黒い影がコツコツと不気味な足音を立てて、キョウリュウブラウンに近づく。
「さすがは代々最強と呼ばれるキョウリュウブラウンだ しかし……お前の命はここで尽きるのだ!」
黒い影が持っている剣がキョウリュウブラウンの右胸部に突き刺さる。
いや……むしろキョウリュウブラウンは敵に突き刺させたという表現が正しい。
「アストラス! 貴様の負けだぁ!」
「血迷ったか! ん……何だと!? 剣が抜けないだと!? 」
キョウリュウブラウンの右胸部に深く突き刺さった剣はキョウリュウブラウンの右手でしっかりと抑えられている。
「俺の力がお前に及ばないなど、はなから承知! 俺の狙いは最初から首に掛かっているその宝石だ!」
「キョウリュウブラウン……貴様!! やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
キョウリュウブラウンは最後の力を振り絞り、左の拳にありったけのブレイブを込め、黒い影の首元目掛けて拳を放つ。
その衝撃で、キョウリュウブラウンに突き刺さっていた剣が抜け、彼の胸から大量の血しぶきが飛び散る。
だが、その衝撃に反して、黒い影の首に掛かっている虹色の宝石は僅かに欠けただけ。
「虹玉を完全に破壊する事は敵わぬか……だが、貴様が奪い取った伝説のヒーロー達のブレイブは返してもらったぞ!」
「バカめが! お前の攻撃で割れたのは僅かなヒビにすぎない! ブレイブが戻り、戦う力を取り戻すヒーロー達は極数人だぞ!」
「十分だ! 俺達スーパーヒーローの力をナメるな! 貴様らに勝ち目などないのだ……」
「ほざけ! これから黒き意思様に献上する虹玉に傷をつけただけではなく、あの女まで逃がしおって! 許せん……トドメを刺してやる!」
「フッ……やれるものならやってみろ 俺の死は必ずや、ヒーロー達を突き動かすはずだ 俺なんかより遥かに強いヒーローや獣電戦隊が貴様達を必ず討つ!」
「黙れ!雑魚が!」
黒い影はは憎しみと怒りのままに、キョウリュウブラウンのボディを幾度も斬りつける。
徐々に視界が暗闇に包まれ、薄れゆく意識の中でキョウリュウブラウンは呟く。
「賢神トリン……まだ見ぬ我が仲間・キョウリュウジャー、スピリットレンジャー……伝説のヒーロー達よ このまま息絶える弱い俺を許してくれ……できれば、共に戦いたかった……」
いつしか、キョウリュウブラウンはうつ伏せ状態で息絶えていた。