私の召喚サークルがバグってる件について。   作:シーボーギウム

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思いつきで書いたら完成したので投稿。


序章
救いの手


 ドーモ、ドクシャ=サン。テンセイシャです。

 

 いきなり忍殺語で申し訳ないが、許して欲しい。ぶっちゃけこれぐらいふざけてないとやってられないのだ。何故かって?そりゃあ………

 

ここがカルデアかぁ(・・・・・・・・・)………」

 

 転生後の世界の幼馴染と共に、突如カルデア(南極)に拉致られたのだから。

 これで確定したのだ、私が人理修復の手伝いをしなければならないと。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 この世界が何なのかを理解したのは中学校に上がった頃だ。

 

『藤丸立香です!!気軽に話しかけてきてね!!』

 

 流石のコミュ力お化けも緊張まじりだったのが印象的だった。そう、藤丸立香、かの人類最後のマスターがクラスメイトだったのだ。同姓同名の誰かとか疑うまでもないくらいに藤丸立香だったのだ。

 初め、私は彼女に出来る限り関わらないようにしようと思っていた。

 結論から言おう、無理だった。

 とにかくあいつはグイグイ来るのである。交流が広すぎて友達を一人でも作ろうものならその友達から知り合い、友達となし崩し的に関わりが深まっていくのだ。何故か部活にも入っていないのに先輩方とまで交流があるので全く隙がない。

 んで、結局友達になったのだ。そこからはもう吹っ切れて思い切り仲良くなった。元々人付き合いが嫌いな訳ではなかったというのも勿論ある。

 それから判明するあいつの抜け具合に付き合っていたらいつの間にか周りから「保護者」なんて言われ始める始末だ。結果、献血ボランティアに行くというあいつに付き合っていたらまさかの私まで適正100%らしく、半ば拉致気味にカルデアまで送られたという訳だ。

 

「起きろぉ!!」

「いったぁ!?」

 

 という訳で所長の説明中にも関わらずガン寝していたバカの後頭部を引っぱたく。私とこいつを挟んでいたマシュ嬢や所長、他のメンバーの方々の視線が集まってくる。

 

「オルガマリー所長、申し訳ございませんが藤丸立香(このバカ)の説教の為に退出させていただいてもよろしいでしょうか?」

「え、えぇ…………き、許可します…………」

「感謝します」

 

 未だ後頭部を抑えて悶絶するバカの首根っこを掴んで引っ張っていく。ごめんねマシュ嬢、わざわざ着いてきてくれて。

 

「えと、先輩のお部屋はこちらです………」

「ありがとうねマシュ嬢、わざわざ付き合わせちゃって。おら元凶」

「ありがとねーマシュ!」

「い、いえ………それでは私はこれで………」

 

 ペコリと礼をしてからマシュ嬢は先程私達がいた部屋へ小走りに戻っていく。この後爆発が起こる訳だが、彼女を上手く引き止める理由も無い為仕方がない。

 ひとまずは、こいつの説教とロマンとの顔合わせを優先だ。

 

「あのー悠さん?そろそろ離し「あ゛?」なんでもございません………」

 

 こいつのおかげで爆発から逃れられるとは言え、話の途中で当たり前のように爆睡するこいつの根性はどうにか叩き直さねばならない。

 それじゃあ爆発までのあと僅かな説教(日常)を謳歌するとしよう。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「悠!!手伝って!!」

「どうした!?」

 

 いきなりの大声を上げたあいつの方へ駆け寄る。そこには巨大な赤熱する瓦礫に挟まれたマシュ嬢がいた。

 あぁ、見た光景だ。

 

「熱いから気を付けて!」

 

 藤丸の忠告通りに袖を伸ばしてから瓦礫と床の間に手を差し込み、持ち上げる。ビクともしない上に、こんな事をするまでもなく彼女と藤丸に関しては間違いなく助かるのだが、それでも藤丸が助けようとするのを諦めるように言おうとは思わなかった。

 

「手を…………握ってください…………」

 

 藤丸がマシュ嬢の手を握る、私は傍らで床に座った。いよいよだ、いよいよ世界を救う為の地獄の一年が始まる。

 

 何かに引っ張られるような感覚に襲われる。そして―――

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「クソァァァァア!!」

 

 レイシフトは成功した。流石は適正100%だ。しかし爆発直後のレイシフトだった為か手を繋いでいた藤丸とマシュ嬢はともかく、私は全く別の場所へ飛ばされてしまった。

 要するに、

 

「危ねぇ!?」

 

 スケルトンまみれの中、己の身一つというハイパー鬼畜モードである。

 一番はじめに襲って来たスケルトンの剣をどうにか拝借(強奪)出来たのは不幸中の幸いだった。それのおかげでどうにか立ち回れているが、ぶっちゃけ数日前までただの(?)女子高生だった私にこの状況は絶命まっしぐらだ。

 

「だぁっ!!邪魔くせぇ!!」

 

 乱雑にスケルトン(槍)の頭部へ剣を叩き付ける。側頭部からパキャ、と音を立ててしゃれこうべが地面に落ちるのを確認してから、槍を奪い取りつつ再び逃げる。ここにサーヴァントの攻撃まで加わっていたら一体どうなっていたのだろう。

 どうにか鈍足なスケルトン共を撒いて路地裏へ逃げ込む。知能がクソほどもないスケルトン共はこれで見失ってはくれるが、追い付かれれば再び追いかけっこが始まる。どうにか完全に身を隠せる場所はないかと辺りを見回すと、丁度自分がもたれかかっているビルの裏口の扉が開いていた。急いで中に入って扉を閉める。

 

「やっと一息付ける………」

 

 レイシフト直後から走りっぱなしだった事、周りが火の海な上に瓦礫だらけで足場が悪い事、更にはスケルトン共に命を狙われ続けるという極限状態が続いていた事が相まってかなりの疲労が溜まっていた。雑に使った為に刃こぼれが更に進んだ剣を投げ捨て、奪った槍を杖替わりに中を散策する。正直かなりやばい現状である事には変わりがない。もしも死亡判定くらって放置されでもしたら笑い事にもならない。

 

「これは…………?」

 

 割と必死だった私が二階に上がった所で目にしたのは、フロア一つを使って描かれた魔法陣だった。

 

「てことはこのビル魔術師の拠点かよ………」

 

 実はとんでもない所に忍び込んでいたらしい。とはいえここまで素通りなのだ、防衛システムやら何やらは完全かは分からないが止まっているのだろう。

 そしておそらく、あの魔法陣はサーヴァントの召喚用の物だ。

 

「どうにか使えないかな………」

 

 詠唱文と、魔力リソース。触媒は無くてもどうにかなるが、魔力を練ることが出来ない私には何かしら魔力の篭った何かが必須だ。詠唱に関しても、素に銀と鉄、閉じよ(満たせ)×5と部分的なもの以上には思い出せない。

 三階に上がると、非常に運のいいことに魔力リソースとなりそうな拳程の大きさの結晶が一つ転がっていた。素人目に見ても、何かしらの力が篭っているのが分かる。

 

「もろご都合主義だなぁ………」

 

 何やら作為を感じずにはいられないが、今は自分の幸運のおかげだとでも思っておこう。

 

「詠唱文……詠唱文…………」

 

 四階は図書館だった。絶対に何かしらの力が働いている。この後にやばい事が起きそうな予感がヒシヒシとこちらに近付いてきているような気がするが、努めて無視しつつ英霊召喚用の詠唱文を探す。

 

「あった…………!!」

 

 英語で書かれている上、火災の影響か所々が焼けて読めなくなっている。何故燃え尽きなかったし、と思いはしたが、魔術文献なのだからそういうプロテクトがあっても不思議ではないだろう。英語に関しても、前世の方で苦労したので今世では必死こいて勉強したため、一人で海外に行ってもどうにかなる程度には自信があるし、なんなら英語で書かれているおかげで焼けて歯抜けになった部分を綴られているスペルから予想できそうだ。何とか希望が見えてきた。

 しかし突如、喜色満面な私の顔を曇らせることが起きた。

 

 ボッ!!

 

「へ?」

 

 ドゴォォォォォン!!!と、何やら半刻程前に聞いたのと似たような破壊音が、空気を切るような音の後で聞こえてきた。窓の外に目を向けると、だいぶ離れた位置にあるビルが半分程の位置から消し飛んでいた。ドゴォン、ドゴォン、破壊音は何故かこちらに近付いてきている。しばらくして、破壊音の主がギリギリ肉眼で確認出来た。

 

「ヘラ……クレス…………!!?!?」

 

 何で動いているとか、何故私の方に迫っているとか色々疑問は尽きないがそんなことどうでも良くなる程度にはかなりやばい。ちゃんと召喚出来るか分からないが四の五の言ってる場合ではなくなってしまった。

 詠唱文と結晶を手に急いで二階へと駆け下りる。結晶を魔法陣の中心辺りに投げ、魔法陣の外へ出てから詠唱を開始する。詠唱中にも破壊音がどんどん大きくなっており、恐怖から声が震える。

 

「誓いを此処に!我は常世総ての善と成る者!我は常世総ての悪を敷く者!!」

 

 自然と詠唱に力が入る。破壊音の主は、ついに私がいる場所の二つ隣にあるビルを破壊した。

 

「汝三大の言霊を纏う七天!抑止の輪より来たれ!天秤の守り手よ!!!」

 

 「■■■■■■■!!!」

 

 ヘラクレス壁を盛大に破壊しながら私のいる階へ突っ込んできた。あまりの衝撃にあくまで咆哮だけだというのに数メートル吹っ飛びながら両手を顔の前に持ってきて、目を瞑る。

 しかし、私の予想に反してガラス片やコンクリート片が飛んでくることはなかった。

 なぜなら―――

 

「無事ですか、マスター(・・・・)?」

 

 たおやかに腰まで伸びるポニーテールを携え、妙に長い日本刀を手にした英霊(サーヴァント)が、私の目の前でそれらを弾いてくれたからだ。よくよく中空を見ると、ワイヤーらしきものが蛇の如くのたうち、瓦礫やガラス片等を切り裂いていた。

 

「サーヴァント、セイバー」

 

 そう短く告げた彼女は、Tシャツをへそが見える程短く裾結びし、左足の裾を根元までぶった切ったジーンズをはいている。腰にあるウエスタンベルトには、抜刀出来るのか疑問になるほど長い鞘を取り付けている。

 

「嘘ぉ…………」

 

 思わずそんな言葉が洩れる。何せ彼女はこの世界の住人じゃない(・・・・・・・・・・・)のだ。神の世界の住人だとかそういう訳でもなく、完全な異世界の存在。

 

「救いを求める声を聞き、推参しました」

 

 彼女は天草式十字正教の女教皇(プリーステス)にして、魔術師達にとってのミサイルとまで揶揄される、十字教最強の存在の一人である、

 

 聖人(・・)

 

「私の魔法名にかけて、貴女を必ず救いましょう」

 

 その名は―――

 

Salvare000(救われぬ者に救いの手を)

 

 ―――神裂、火織。

 

 

 

 

 

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