私の召喚サークルがバグってる件について。   作:シーボーギウム

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本当に申し訳ない()

模試終了!首を怪我!次の週に39.8度の熱!!頭痛!!!

という地獄のような日々を送ってました()
それもあって今回過去一短いです。




反撃

 痛みに身体が支配される。

 久しい感覚だ。とはいえ、あの時(・・・)ほどではないが。

 

「―――――――」

 

 どうやら鼓膜が死んだらしい。テッラと思わしき人影が何かを言っているが、何も聞き取れなかった。

 霞む視界に真っ白なギロチンがギリギリ映る。その上ではテッラが腹の立つ笑顔を浮かべていた。生憎四肢の骨は全て折れておかしな方向を向いている。先程のように避ける事など到底不可能だ。

 

「―――――――」

 

 何言ってるのかは未だ分からないが、どうやらそろそろ私を殺すつもりのようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃあ、そろそろ(・・・・)反撃するか(・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がっあっ!?」

 

 激痛の困惑、と言ったところだろうか?こちらを見る全てが予想外、といったその表情を侮蔑する。

 ざまあみろ、と。

 

「な……にをぉ…………!!?」

「…………まずは……感謝しよう。疲労困憊の……絶望的な状況になったおかげで…………地面から螺子を……生やす方法を…………思い出せたからな…………」

 

 テッラの言葉を聞こえぬが故に無視して告げる。まぁ、未だに物理的にダメージを与える方法は見当も付かないのだが。

 

「さて……」

 

 カルデア支給の礼装を魔力を流して起動させる。起動方法はレイシフト前に聞いていたのでつつがなく済んだ。

 回復魔術の組み込まれた礼装で、まずは自身の右腕の傷を表面だけ(・・・・)治す。次に折れた四肢の骨をヒビぐらいが残る様に(・・・・・・・・・・)治した。

 ゆっくりと立ち上がると、全身を激痛が襲った。思わず涙目になるが耐えて立ち上がる。本来なら痛みでのたうち回ってても良いぐらい痛みだ。何せ折れた肋骨が内蔵を傷付けたらしく少し動くだけでもクソほど痛い。恐らく肺も傷付けられている為呼吸をするだけで痛い。

 痛みに慣れている(・・・・・・・・)私でなければ、とうに気絶していただろう。

 

「おー……見事に……串刺しだな…………」

 

 私の目の前には、地面から生える無数の螺子に串刺しにされるテッラがいた。

 そしてその身体には、私と同じ傷が刻まれている。能動的な却本作り(ポジティブブックメーカー)によるものだ。

 

「あっ……がっ…………」

「動く……なよ…………」

 

 テッラが動けないのを確認し、ベルトを外す。金具の付いていない方を軽く左手に巻き付ける。

 そうして簡易的に作り出した武器(・・)を振るい、金具によって、テッラの目を抉った(・・・・・)

 

「があァァァァ!?!!!??」

 

 ベルトの金具が当たる直前に能力を解除したためにテッラは螺子の支えを失って地面に落ちた。身体中にあった傷は消えたが、代わりに目を抉られた痛みにのたうち回っている。

 テッラが痛みで動けない内に、再び、能力によってテッラを串刺しにし、行動を制限する。抉られた目が復活し、代わりに全身に私と同じ傷を負う。やはり激痛に叫びを上げた。

 

 後は、繰り返しだ。

 

 目を抉り、螺子で貫き、目を抉り、螺子で貫き、目を抉り、螺子で貫く。その度にテッラの肉体を激痛が襲う。何十回何百回とそれを繰り返し、心を壊す(・・・・)

 やがて、もはや何度繰り返したか分からなくなった所で、テッラは目を抉ろうと全身に傷を負おうと一切の反応をしなくなってしまった。

 念の為に両目を抉り、四肢の骨を折り、万が一にも抵抗出来ないようにする。そのうえでテッラをうつ伏せに寝かせ、ベルトを金具を通して首に巻き付けた。

 

「ふっ」

 

 その首を全力で絞め上げる。ベルトの革がギチギチと嫌な音を立てる。今の自分が出せるギリギリまで絞めた所でベルトを金具で固定した。

 テッラの顔が段々と青く、そして白くなっていく。明確に死に近付いていくテッラを見て思わず吐き気を催すが、耐えた。

 

(大……丈夫…………母さん達程グロくない(・・・・・・・・・・)………………)

 

 激痛に何度も意識を飛ばしかけながらも、テッラの死を見届けるべくどうにか意識を保つ。

 正確な時間感覚すら失われた状態でどれだけの時間が経ったのだろうか。ようやく、テッラは空気に溶けるようにして消滅した。

 そこで限界が来て、倒れる。意識が薄れ、目の前が真っ暗になっていく。

 

(礼…………装……治……療…………し…………)

 

 私の意識は、そこまでだった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ―――へぇ、君は面白いね。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 血塗れの悠が、地に伏していた。

 悠が転がっている地面は、血で真っ赤に染まっている。

 音が遠い。手が震える。

 

「―――い!―ん――!」

 

 マシュが、何かを言っている。

 皆が、悠を助けるべく動いてくれているのに、私は何も出来ずにいた。

 

 悠に手を伸ばそうとして、私の意識は闇に落ちた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ……………………教…………室?

 

「ま、君に見覚えはないだろうね。そりゃそうさここは僕のイメージで作られた場所だからね」

 

 …………誰…………ですか…………?

 

「意識がまだ朦朧としているんだろう?無理にこちらを向いたりしようとする必要は無いよ」

 

 ………じゃあ………お言葉に…………甘えて…………

 

「うん、そうするといい。何せ本来なら君は眠りっぱなしで意識の浮上すら有り得ない状態なんだぜ?僕が無理をさせているんだから遠慮はいらねーぜ」

 

 …………それで…………あなたは…………?

 

「種明かしが早いんじゃつまらないだろ?まずは僕の話に付き合ってくれよ」

 

 …………はぁ…………?

 

「いやぁ僕のいた世界は僕が死んだ扱いになっている内に一段落ついちゃってね。暇で色んな世界を見て回ってたわけなんだけど、そんな時に君の世界を見かけたってわけさ」

 

 ………………

 

「しかし君は凄まじいね。およそ週刊誌には載せられないようなクソ重い人生送っておいてそこそこまともな精神性なのは。まぁ根本的には過負荷らしいけど(・・・・・・・・・・・・・)

 

 ………………なぜそれを………………?

 

「へぇ、死にかけてる割には鋭い殺気を出すじゃないか。いいねそういうの、好みだぜ。まぁ大概茶化すのはやめて本題に入ろうか」

 

 ………………

 

「まず僕が君に会いに来た理由は、実は一言文句を言ってやりたいってのがあってさ」

 

 ………………文句…………?

 

「うん。初めは興味が湧いただけだったけどさ。いやぁその能力だとかズレ(・・)だとかに対しての認識が勘違いも甚だしいもんだから思わずね」

 

 …………勘違い…………?

 

「君の能力やズレ(・・)はそんなちゃちな(・・・・)もんじゃないぜ。それこそ世界に影響するレベルのヤベーものだ」

 

 ………………………………は?

 

「信じられないのも無理は…………っとそろそろ時間みたいだね」

 

 ちょっ、待っ…………!

 

「最後にヒントを渡しとこうか。そのうち君のそれ(・・)に取り込まれちまうだろうけど、まぁ返してもらわなくてもいいや」

 

 待って……!貴女(・・)はっ…………!

 

「そういえば言ってなかったね。そうだねぇ、僕の事は親しみを込めて―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――『安心院さん』とでも呼んでくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 


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