初投稿です。
この偉大な作品達を扱うのは大変恐縮ですが、少しでも楽しんでくれたら幸いです。
第三次忍界大戦。
それは、風の国を拠点とする忍の里の一つ、砂隠れの里で起こったある事件が原因で勃発した。
里の長である三代目風影が、突如行方不明になったことである。それによって混乱した砂の里を狙って、他の国の忍里が動き出したのだ。
事件は、第二次忍界大戦が終結して平和になると思われた矢先のことだった。
砂隠れの里、岩隠れの里、木の葉隠れの里、雲隠れの里、霧隠れの里。これらの忍里を有する五ヶ国は忍五大国と呼ばれ強国として名前を馳せている。
しかし、同じ大国でも環境などによって変わる経済格差に不満がたまり、風影の死を引き金に爆発してしまった。
戦争が勃発し、集中的に攻撃された里は何も砂隠れの里だけではない。豊富すぎた国力と富を持っていた木の葉隠れの里も、他里による子供の言い訳じみたでっち上げで、相次いで宣戦布告されたのだった。
豊かな資源に恵まれた火の国木の葉は、他国からの嫉妬や恨みを買っていることが多く何かと狙われやすい。そんな背景を顧みた各里の上層部は、五大国同士で挟み撃ちにすれば、いくら最強と謳われている木の葉の里でも、数の力で押し切れる、と云う結論に至っていた。
そしてついに忍五大国の内の一つ、雲隠れの里は、現在の戦況を好機と悟り動き出した。
木の葉隠れの里が、土隠れの里と大規模な戦闘を開始したのだ。木の葉と土の、国境線付近で起きたそれは、雲隠れの里にとって木の葉を挟み撃ち出来る絶好の位置であり、常に伺っていた狙いそのものである。
故に雲は、主力部隊を木の葉に向けて総攻撃を仕掛けた。
雲の忍達は、この作戦で確実にあの木の葉を失墜させることを意気込み、またそれが現実的なものであると信じて疑わなかった。そのはずが――。
「散れ、千本桜」
戦場に不釣り合いなほど立派な装束に、白い羽織を纏った男が、ぞっとするような冷たい声でつぶやく。
すると、男が持つ刀から発せられた斬撃が周囲に解き放たれて、彼を中心とする美しい桜吹雪を演出した。
「ぬああああっ」
また幾人か、雲隠れの忍が全身から血を噴き出して倒れる。
雲隠れの精鋭部隊はたった一人の木の葉の忍に苦戦をしいられていた。
「クソっ、もう五人がやられた! どうやって近づけばいいんだ!」
雲の若い忍の一人が、認められない現実に絶叫する。
「落ち着け。いったん距離をとれ」
この部隊を率いている特徴的な帽子を被った隊長と思わしき青年が指示をだす。その声と共に一斉に後退する雲隠れの忍達。
部隊に号令を出した青年ドダイは、歯を噛みしめて、目線だけで周囲を見渡した。
残り十五人。奴がたった刀を二振りしただけで、精鋭の四分の一の人数が地に落ちた――。
「接近戦では分が悪い。連携して忍術で崩すぞ」
ドダイたち雲忍の精鋭部隊は、先ほど第一の任務を成功させたばかりで、現在は『木の葉の拠点を叩く』という、第二の任務に向かう途中だった。
彼らの前に、立ちふさがるように現れた木の葉の忍はたった一人だけであり、数的有利であったことと、後に敵の拠点を潰す、という二点を顧みて、ドダイはチャクラを温存させるように部下に命令を下していた。が、敵の実力を考えたら、そんな悠長なことは云っていられない。即座に戦法を切り替える。
「「「「雷遁・サンダーボム」」」」
数人の雲忍が一斉に、敵に向かって電撃を打ち出す。電撃は、敵である木の葉の忍の周辺の地面をも巻き込み爆発を起こした。舞い上がった砂煙で敵の状態が見えない中、一人の雲忍が、敵が倒れ伏している事を祈るようにつぶやいた。
「やったか……」
しかし、そんな思いなど関係ないと言わんばかりに、木の葉の男は桜の花びらで砂煙を吹き飛ばした。
「雲隠れの精鋭と聞いていたが、どうやらそれほど大した強さはないと見える」
木の葉の男は、桜の花弁状に飛ばした斬撃を、防壁代わりにして周囲を固めて雲忍の攻撃を防いでいた。その余裕と挑発とも取れる言葉からまだ本気を出していないことは誰の目をからしても明らかだ。
そして雲忍は、なぜ木の葉が五大国最強と謳われているのかを理解することになる。
「くっ、華麗な剣技とそのいで立ち……そなたが木の葉に舞う千本桜『朽木白夜』に違いないな! 噂では、黄色い閃光に次ぐ実力と聞く。だが我らにも雷影様から承った使命がある。たった一人の敵を前に引くことは許されん! 押し通させて頂く」
ドダイが睨みつけて言葉を返すが、木の葉の忍、朽木白夜と呼ばれた男は特に気にした風もなく悠然といった。
「兄らの思いなど、私にとって意味はない。木の葉に攻め入りあまつさえ、この朽木白夜を、あの『たわけ者』以下と断ずるとは……ずいぶんと驕りがすぎる」
瞬間。
朽木白夜から、猛烈な殺気があふれ出した。
「うっ!!(なんて殺気、なんてチャクラ量だ! 木の葉は化け物の巣窟かっ!?。これでは他の連中が……)」
白夜からの殺気を受けて、生き残ったほとんどの雲忍が恐怖に顔を歪めて、足をすくめていた。
そんな折、
「あ、ありえん! この我が震えているだと! 神になりうる存在のこの我がっ!!」
恐怖で足がすくんでいる雲忍の中の一人、その中でもひと際年若い少年が急に叫んだ。年は十五歳ほどで、耳たぶが異様に長く頭にはバンダナを巻いている。二十人からなる雲上忍部隊の中で、最年少で若いが、先ほどの白夜の攻撃で倒れることはなかったため確かな実力はあった。
彼の名はエネル。三代目雷影の実の息子である。兄同様、小さいころから将来を有望視され、次期雷影とも言われるほどの才能を有していた。
だが、もてはやされ、天狗になった彼はこの場にて初めての挫折を味わっている。
今まで受けたことがない屈辱を受けることによって冷静さを保つことが出来なくなった少年は、次にとった行動のせいで、順風満帆すぎた今までの付けを払うこととなった。
「あってはならぬ! この我が臆するなぞ! あってたまるものか!!」
「エネル様!!」
「まてエネル! 勝手に一人で飛び出すな!」
高すぎた自尊心よりに暴走した少年を、必死に呼ぶ彼の側近や、声を張り上げ制止させようとする隊長ドダイの声を無視して、エネルと呼ばれた少年は単身で白夜に突っ込んだ。
「なるほど。その脆弱な身の丈で神を自称するとは、余程無様な死を望むと見える」
呆れ、侮蔑の表情をもってゆっくりと目を閉じた白夜にむかって、エネルは電撃を身にまとい、背負っていた三叉槍を思いきり突き刺す。
その速度は並みの忍者なら避けるのは困難なほど速かったが、
「おそい」
エネルの一撃は、朽木一族に伝わる特殊歩法『瞬歩』によって空を切り、白夜はいつの間にエネルの背後に移動していた。
「多少浅かったが、まあよい……」
白夜がそう言葉を零した後、少し遅れてエネルの腹から左肩にかけて切り傷が生まれ、血が噴き出しエネルは倒れた。
「エネル様!!」
サングラスをかけたエネルの側近の男が、エネルを助けに向かおうとするが、桜の色の斬撃に邪魔され間合いに入ることも許されない。
「貴様らはただでは帰さん。驕りに満ちた報いをうけさせてやろう」
刀にチャクラを集め、桜の花弁状の斬撃を放ちながら、白夜は続ける。
「その程度の距離で、私の千本桜の範囲と思うたか」
先ほどよりもさらに増やされた桜の花びら。雪のように舞う桜吹雪だが、当然のようにひとかけらも当たらずに避け切ることは不可能に近かった。
「まずい!〈熔遁・護謨玉〉」
ドダイは印を結び、土遁と火遁を組み合わせた熔遁で身を守るべく、ゴム状の球を自分と味方に包み込ませていく。しかし、全ての人数を包み込める時間はなかった。
「〈土遁・鉄の防壁〉」
サングラスをかけたエネルの側近の男オームが、それをカバーすように鉄の壁を発動する。が、それでも間に合わず、三人の雲忍たちが桜の餌食となった。
対峙してから数分という短い時間で、二十人もいた雲忍はおおよそ半分に減っていた。それを悲しむ暇がないほど、次から次へと桜の花弁がドダイたちを襲う。
ゴムの壁も鉄の壁も、数秒ほどで切り裂かれ、壁としての機能をなくす。
迫りくる桜吹雪とそれを操る男は、景観ならば美しく感嘆な声が漏れるであろうが、実際にそれが作り出した現実をみると、雲忍にとっては死神に他ならない。
「ぐ、きりがない」
お互い穴を埋めあいながら連携して、白夜の千本桜を退けていた雲忍たちであったが、絶え間ない攻撃に防戦一方で、少なくない切り傷が蓄積されつつあった。
「こんなところか」
白夜が呟いた軽い口調と共に、永遠とも思われた斬撃の地獄は止まった。
「はぁはぁはぁ・・・・動けるのはもう・・・・」
ドダイが周りを確認すると、立っているのはたった八人。それも立っている全員が肩で息をしており、多くの切り傷を負っている。
方や白夜の方は、あれ程の攻撃の後にもかかわらず、息一つ乱さずチャクラ切れの様子も全くない。
『不可能』
ドダイの頭にはその言葉がよぎる。
戦闘開始時の二振りで、五人の仲間が葬られた後直ぐに撤退をするべきだった。
第一の任務を、『誰一人欠けずに成功』させた事で緩みが生まれたのだ。敵をたった一人と高をくくり、実力差を考えず、無謀な作戦を実行してしまった。
部下の無駄死に。
ドダイにその言葉が重くのしかかるが、何もかも諦めて投げ捨てるわけにはいかなかった。
「すまない皆。私の責任だ……いくらでも恨んで構わない。最後に一つだけ命令を聞いてくれないだろうか……」
ドダイが諦めきれない理由は、エネルの存在だった。
エネルは白夜に切られて倒れ伏したが、未完成である雷遁チャクラモードを発動していた。
雷遁チャクラモ―ドとは、エネルの父である三代目雷影考案の術。兄である機関棒のエーも会得しており、電気の神経操作による速力と視力の強化に加えて、纏ったチャクラで防御力と攻撃力を上げるという攻防一帯の絶技だ。
エネルはまだチャクラが足りず未完成だったが、それでも防御力はそれなりのもの。切られて血を流し倒れてこそいるが、まだ死に至るほどではなかった。つまりエネルはまだ息をしている。
またドダイは、作戦開始前に雷影から直々に『息子であるエネルを頼む』と託されていた。
「私の命はどうなってもいい……ッ!! しかし、エネルの命だけは何としても、ここで落とさせるわけにはいかん」
雷影の期待を裏切り部下を死なせて、重要な任務失敗の汚名を被ってでもドダイは、将来確実に雲隠れの発展に貢献するであろう、雷影の息子だけは助け出したかった。
「あの人の息子のために命をかけてくれるか?」
死期を悟ったように、穏やかな表情をしたドダイが生き残った仲間に問いかける。
「当然」「んんっ、んん」「我らは、エネル様の側近だ」「ほっほほーい」
その問いにいち早く答えた四人は、年下のエネルを慕う側近の達だ。
サングラスをかけて、頭をスキンヘッドにしたオーム。
蜘蛛のように特徴的な髪形をした、腕をクロスさせ上唇を噛みながら何かを言っている男、ゲダツ。
パイロット帽子を被り、割れたゴーグルをつけた少年、シュラ。
ふざけたような掛け声で、風船のように膨らんだ体の男、サトリ。
彼らは傷だらけになりながらも力強く答えた。
「隊長、水臭いことは言わないでくださいよ」
「俺は隊長についてくって決めてますから」
「忍になった時から覚悟はできてますよ」
残りの三人は、ドダイと長い付き合いになる部下達だった。
「ありがとう。ならば、誰でもいい!! エネルを救いだし撤退しろ!!!」
「「「「「了解!」」」」」
生き残ったドダイ達精鋭部隊は、目標を『エネル救出』の一点に定め、全員がすべてを出し切ると覚悟を決めた。
「どうやらまだ削り足りないようだ。先ほども言ったが、ただでは帰さん。貴様らには糧になってもらう」
白夜がそう言い切ると、彼の背後から舞い落ちていた桜の花びらが再び舞い上がり、ドダイたちに襲い掛かった。
「そう何度も食らってたまるか」
桜をよけるために散開したドダイ達だが逃げ回っているだけではなかった。エネルの次に若い少年、シュラが叫びながら印を結ぶ。
〈火遁・火龍弾〉
シュラの口から吐き出された炎は、白夜の側面から襲い掛かるが、自動で動いているかのような桜の花弁によって防がれる。しかし、攻撃はそれだけでは終わらない。
〈風遁・風玉の術〉
風船のような体を持つサトリが、シュラの吐き出した炎めがけて風の球を三発繰り出した。
「いったん離れろ!」
炎吐き終えたシュラが、叫ぶ。瞬間――。
消えかかった炎にサトリの風玉が接触。大爆発を起こした。
「風の性質変化で火遁の威力を上げたか……」
爆炎を難なく防ぎそうつぶやく白夜だが、その視界は煙で防がれている。
雲忍達からも白夜の状況が見えないが、彼らが攻撃の手を止めることはない。
「これで倒せるとは思ってない〈連続・鉄の鞭〉」
エネルの側近オームは、特殊な術を使う。雲隠れの里が位置する雷の国のみで採取できる特殊な金属『鉄雲』を扱う一族である。
白く、雲のように軽い金属を自在に操り、鞭のように煙内にいるであろう白夜に襲い掛かる。
「やはり、生きている」
オームは鉄の鞭を弾き飛ばす金属音を聞いてこれでは白夜を倒すに至らないと判断した。だからそれで終わらせず、オームは鉄の鞭を四方八方から繰り出しながら、少しづつ桜の花びらを叩き落とした。
エネルの側近の中で随一の実力を誇るオームにとって、千を超える花びらを叩き落とし、一瞬だけ人が通れる道を作るくらい容易かった。
「今だ、ゲダツ!!」
「ジェットパンチ!」
かねてより、印を結びチャンスに備えていたゲダツは、オームの決死の叫びに反応して高速の突進を繰り出す。腕の肘から、大量の風遁チャクラを噴出して爆発したように加速した。その速度は先ほどエネルが行った突きよりも早い。
視界が防がれた状況での高速の奇襲は、確かに白夜を追い詰めていた。しかし……、
「くっ、まだ足りぬか……」
あまりの噴出力に、肘部分の服が破け散り、転がるように動きを止めたゲダツが悔しそうに呟やいた。
ゲダツの速攻は白夜の髪の毛数本分を吹き飛ばすに留まった。ここまでやって与えたダメージが髪の毛をちぎっただけ。だがそれでも確実に近づいていた。
「まだだ!!」
「「「雷遁・連携サンダーボム」」」
ドダイの三人の部下たちが、連携して爆発する電撃を三方向から打ち出す。
爆発により再度砂煙が舞い、敵の視界を奪う。
「熔遁・ゴム紐」
その隙をついてドダイは、白夜の背後に横たわるエネルを救出するためゴムの紐を伸ばす。
しかし。
それを大人しく見ているほどこの男は甘くない。
白夜は、地面から垂直になるように刀の切っ先を上に向け、自身の顔の前に近づけた。
瞬間……、
舞っていた桜の花弁同士が至る所で、吸い込まれるように合わさり、桜色の手裏剣を型取った。その数は一瞬のうちに、百を超えるほど。
「舞え、千本桜・桜花手裏剣影分身」
白夜が発した凪のような静かな声を皮切りに、桜色の手裏剣が高速回転しながら、白夜を中心とする円を描くように動き出す。
百を超える手裏剣の刃が織りなすそれは、まるで竜巻の如し。
「まずい!」
手裏剣による猛攻は、ドダイのゴム紐がエネルに巻き付き引っ張り出していた時だった。
紐が引き裂かれ、重みの感触が消えるのが最後、迫りくる手裏剣の対処により、ドダイは他に意識をさく余裕が一切なくなった。
「クソぉぉっ!」
桜色の手裏剣による竜巻が止んだのはその少しあと。
白夜の周りは、雲忍による無数の切り傷によって噴き出した血の跡が滴っていた。
「ほう……ただの羽虫かと思ったが、多少は評価を改める必要がある」
顔の表情をまったく変えずに言葉をこぼした白夜の目には、しぶとく目的をなそうとする雲忍の姿があった。
「はぁ、はぁ、すまない……サトリ、よくやった」
息も絶え絶えに呟いた誰かの言葉には覇気はない。
彼らの視線の先には、風船のような体をもつサトリが、その大きな体を存分に使ってエネルに覆いかぶさって盾となっていた。
今もなお、意識を保っている雲忍は七人。
先の攻撃でエネルをかばったサトリが死亡し、生き残った者も数本の手裏剣が突き刺さっている。まともに立ち上がる事も厳しそうだ。
「この程度でいいだろう。出てこい白丸」
白夜は傷だらけの雲忍をひとしきり眺めたあと、普段より少し声を張り上げた。
「はい、父様」
大き目な岩の影から出てきたのは小さな影。この血みどろな風景にはふさわしくない子供、少年だった。
何で、白丸なんて名前にしたのか。
改めて見たら白夜と似すぎてて、ものすごく見にくい。
適当に名前つけたの失敗でした。以後気をつけます。