でろりんの大冒険   作:ばんぼん

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神託の勇者とディアナ姫

「うん。ずるぼんの飯には負けるが結構旨いな」

 

 綺麗に並べられた沢山の皿。その中の肉料理をほうばった俺は、率直な感想を述べて飲み込んだ。

 

「お主……そういう事は言わぬ方が良いぞ」

 

 隣に座るまぞっほが呆れた感じで諭してくる。

 

「ん? そう、だな……城のコックさんに悪いな」

 

 魔王軍侵攻開始から三日目の夜。

 仲間から疑惑の目を向けられる中、バランに連行された俺は仲間達とアルキード場内にやって来ていた。

 

 即座に尋問会が始まるかと思いきや、無言のバランに連れられ別棟へと移動した俺達を待ち受けていたのは、ソアラ王女主催の夕食会だった。

 バドミントンが出来そうな程の広い部屋に置かれた長方形の大きなテーブル。

 上座にソアラ王女。

 その横に俺、まぞっほ、するぼん、へろへろ、とパーティーメンバーが並んで座る。

 対面に座るのはディアナ姫、バラン、マリン、ノヴァの順だ。

 椅子一つにしても精巧な細工が施され、アンティーク調の室内は″これぞ金持ち″って感じである。

 文明レベルは前世が上でも、金持ちが好む文化レベルはヒケをとらない、と言うより手作業が基本なこの世界の方が、調度品のレベルは上かもしれない。

 

 まぁ、前世の高級な調度品を拝んだ記憶なんか無いし、他聞に想像を含んだ感想になっている。

 とりあえず、一つ確かなのは居心地はあまり良くない、と言うことだ。

 

 無駄に広い室内は死を待つだけだった病室を思い起こさせ、何より、この二人だ。

 

「まぁ、それはそれは。一度御相伴に預かりたいですね? あなた」

 

「うむ……しかしだ。この料理よりも、そこのオナゴの料理よりも、ソアラの作るモノこそが至高の一品と言えよう」

 

 居心地の悪い原因を生み出す二人は、夕食会が始まってから何かにつけてこの調子だ。

 

「まぁ……あなたったら」

 

 頬を染めたソアラ王女が照れ笑いしている。

 

 仲が良いのは大いに結構! だが、ずるぼんの料理を下に見るのは例えバランでも許さない!

 

「はぁ? 食いもしない内によく言うぜっ。工夫を凝らす、ずるぼんの料理こそ究極だ」

 

 親バカにして馬鹿夫婦。

 一体誰がこんなバランを想像した?

 夕食会が始まってからの僅かな時間で、バランが人の心を捨てて竜魔人に成ることは無い、と心配するマトリフの気持ちがよく判った。

 

「ちょ、ちょっと、でろりん! 止めなさいよ!!」

 

 まぞっほの向こうから顔を出したずるぼんが慌てて止めに入る。

 

「あん? 俺は事実を言っているだけだぞ?」

 

「そ、そうだわっ。事実と言うならそろそろ貴方の事実を話してよ?」

 

 柏手を打ったマリンが、とって付けたように話題の転換を図ってくる。

 

「ん? 別に構わねぇけど子供の前で話す事じゃないだろ?」

 

 ここに至っては隠し通せるモノでもないし、今更話した所で大した問題でもないだろう。

 既に大魔王は現れているし、目も付けられている。

 いっそ、何もかもをブチ撒けて大魔王の秘密を秘密でなくしてやれば・・・うん、黒のコアで吹き飛ばされる未来しか見えない。

 

 とりあえず、証拠は無いし核心部分を伏せつつ、適当に虚実交えて話してやれば、無理にでも納得するしかないだろう。

 その上で他言無用を約束してもらえれば、問題はない、ハズだ。

 

 問題なのは目の前に座る黒髪ロールのお姫様だ。

 

「子供じゃと? 何処にも居らぬでは無いか」

 

 そのディアナ姫が周囲を″キョロキョロ″しては見当違いの事を言っている。

 

 アルキードの姫″ディアナ″……バランとソアラの間に産まれた女の子。

 原作では登場すらしなかった人物であり、詳細は不明だった。

 

「子供はお前だっ。全く……いつまで居るつもりなんだ? 子供に聞かせるなら俺は何も話さないぞ」

 

 そう言い捨てた俺は、並べられた皿に視線を落として肉を切り分ける作業に入った。

 

「妾は子供ではないぞよ。姫じゃ」

 

「はぁ? なんだそりゃ?」

 

「知らぬのか? 姫はいずれこの国の主となり礎となる者の事じゃ。妾は姫である故、この国の為に働くそなたらを持て成し、話を聞く義務があるのじゃ」

 

「偉いぞ、ディアナ。よくぞ申した」

 

 目を細めたバランがディアナの頭を撫でると、癖毛が″ピョン″っと跳ね上がった。

 どうやら、癖毛を誤魔化す為の巻き髪らしい。

 

「いや、偉くねーし。ガキはガキらしく遊んでりゃ良いんだ。大体なんだ? そのフザケタ口調はっ」

 

「フザケてなどおらぬ。コレは王家に伝わる由緒正しき言葉なのじゃ。そなたの方こそ、なんじゃその口の利き方は!? 妾は姫であるぞ」

 

「はぁぁぁ? お前の親父や祖父が偉いのは認めてやるが、お前は単なる子供じゃねーか。一体、お前は何をしたんだ?」

 

「そ、それはじゃな……わ、妾は国に住まう民の為に日々祈りを捧げておるっ」

 

「はんっ。俺はその国民を護る為に世界樹で闘ってるっつーの」

 

「むぎゃ……そ、それは妾も感謝しておる。妾は小さい故に戦場に出られぬのじゃ……闘えるモノなら妾とて闘っておるぞよ」

 

 口調から我が儘姫に見えなくもないディアナ姫だが、そこはダイの妹、根は素直なもんだ。

 我が儘ではなく、姫としての役割を背伸びして果たそうとする余り、口調だけが変になっている。

 

「ハッハッハっ。語るに堕ちたな? 戦場に出られない……それこそお前が子供である証拠だ! 解ったらササッと飯食って歯を磨いて寝ろっ」

 

 一口サイズに切った肉を突き刺したフォークをディアナ姫に突き付ける。

 

「ちょっとでろりんっ、行儀悪いわよ?」

「ほっときましょ? 子供は子供同士話が合うのよ」

 

 眉をしかめたマリンと向かい合うずるぼんが勝手なレッテルを張ってくる。

 

 子供に合わせて遊んでやっているダケだと云うのに、我が姉ながら失礼なヤツだ。

 

「がーん……御父様、妾は、妾は…何の役にも立てない子供なのですか?」

 

 ショックを受けたのかディアナは、横に座るバランのマントを小さな手で掴んで引っ張っている。

 

「う、うむ……」

 

 言葉に詰まったバランが困り顔で俺を睨んでくるが、気にしない。

 

 例え姫様だろうが子供は子供だ。

 気にせず肉を口に入れた俺は、切り分ける作業に戻った。

 

「ふんっ。知らない様だから教えてやるぜ。子供は将来に備えて学んで遊んで成長して親の死に目を看取るのが役割なんだ。ガキが魔王軍の心配なんかしなくても大魔王は倒す! お前の親父がなっ」

 

「なによそれっ!? アンタじゃないんだ?」

 

「当たり前だろ? 大魔王バーンは神よりも強い……俺なんかが太刀打ち出来る相手じゃねーんだよ」 

 

「何っ!? バーンだとっ、それは間違いのない情報なのか!?」

 

 睨むバランの表情が、一瞬にして真剣なモノへと様変わりする。

 

 俺にとっては当たり前過ぎる情報だが、バランにとっては初耳らしい。

 

「あぁ、コレは間違いないぜ? 今日会った魔軍司令ハドラーも誇らしげに言ってたからな」

 

「それに、フレイザードやヒムなる男も″偉大なるバーン様″と言ってましたね」

 

 黙って食事をしていたノヴァが口元を拭きながら俺の言葉を捕捉してくれた。

 

「しかし、今日会ったハドラーのぅ……偶然にしては出来すぎとらんか? 魔王軍の侵攻に際してもお主はいち早く動きよった……正直に申してみよ、お主、大魔王が現れる事を知っておったな?」

 

 その一方で頼れるパーティーメンバーのまぞっほは、ここぞとばかりに核心をズバリと言い当てる。

 

「さぁな? とりあえずガキの前で話せる内容じゃねぇ」

 

「妾は姫じゃ! それにの……そこな魔法使いの言葉が事実ならば、妾はそなたに侘びねばならんのじゃ」

 

 ″シュン″と肩を落としたディアナが申し訳無さそうにしている。

 

「なんだそりゃ? 俺の方には詫びを求める理由が無いぞ」

 

「そなたに無くとも妾には有るのじゃ……強欲の勇者でろりん。妾の爺様が広めた名じゃ……御父様をこの国に留めるに必要な事じゃったかも知れぬ。しかしじゃな……その為にそなたという犠牲が産まれてしもうたのではないか? 本来で有ればそなたは神託の勇者として人々の、」

「くだらねぇっ」

 

 くだらねぇし腹も立つ。

 バランは何を考えてこんな事を考えるガキに育て上げたんだ?

 

「な、何がじゃ? そなたが真に神託を授かっておったなら、人々の尊敬を一身に集める事が出来たハズじゃ!」

 

「偉そうな口を利いてもまだまだガキだな? 良いか? 人々の尊敬を集めるだけが幸せとは限らない、ってか寧ろお断りだっ。俺はこの知識を活かして自分が生き延びる為に好き勝手にやってきたんだ。他の誰かにとやかく言われる筋合いは無い」

 

「黙っておった事に文句を言われる筋合いもない、そう言いたいのじゃな?」

 

「流石、まぞっほ。話が早い。俺が得た知識を俺の為に使う……なんの文句が有るってんだ?」

 

 肉を切り分け終えた俺は、ひとキレ口に含むと座に着く者の顔をゆっくりと確認していく。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい。ボクには何の事か分かりませんが、本当にでろりんさんは大魔王が現れる事を知っていたのですか!?」

 

「そ、そうよっ。そんな大事な事を知っていたなら、どうして何も言わなかったのよ!?」

 

「ただの子供が言って誰が信じるんだ? 初めて会った日の事を覚えているか? 大魔導士に会いに行った俺をマリンだって信じなかっただろ?」

 

「えっ…? あの頃からなの?」

 

 口を押さえたマリンが固まった。

 

「たかが剣……神が創りし最強の真魔剛竜剣って大層な銘が付いても、たかが剣だ。誰かさんの命を助けた代償に要求したら強欲扱いときたもんだ……一体俺にどうしろってんだ?」

 

 切り分けた肉を口に放り込みながら、2人にチクリと言ってやる。

 

「む……」

 

「ごめんなさい……私、何も知らなかったから……」

 

 言い過ぎたのか、マリンが涙ぐんでいる。

 

「ばっ、馬鹿、なんでマリンが泣くんだよ!? どっちみち俺は世間に話す気なんて更々無かった! お前が知らないんじゃなくて、俺がお前に知らせなかっただけだっ」

 

「で、でも……」

 

「良いんだよっ! 大魔王が現れると知った俺は自分が生き延びる為に修行に励み、装備を整えた! 俺の事実なんてのはたったのコレだけだ。マリンが気に病む事は何一つ無いっ……あっ」

 

 思わず言ってしまったが、マリンを泣かせる位ならコレで良い。

 

「ハドラーに会うたのはどう説明するんじゃ?」

 

「偶然だな。今のままじゃ俺はフレイザードを倒せない……だからアバン流奥義の一つ、悪を断つ剣を学びに行ったんだ。アバンの居どころは二日前の夜、パプニカのレオナ姫に確認済みだ」

 

「ホントかの?」

 

「え、えぇ……確かにあの日の夜、姫様に聞いていました」

 

「ふむ……筋は通っておるのぅ」

 

 まぞっほはマリンに確認を取ると、一応納得したのか口を閉ざしてチョビ髭を弄りだした。

 

「では、貴様が知るのは大魔王バーンと私の事だけという事か?」

 

 瞳を閉じて腕を組んだバランが簡潔に問うてくる。

 

「そうなるな……だが、俺の知る世界だとアンタは魔王軍と闘っちゃいねぇ……せっかく″あの日″助けたんだ……アンタが最強の騎士の一族だとしても、バーン相手に単身で挑む無謀は止めてくれよ?」

 

 正確な情報は伝えずに釘を差しておく。

 

「フ……その様な無謀な真似はせんよ」

 

 いや、原作だと単身で突っ込もうとしたくせにっ……とは言えない。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい! その……でろりんさんが見た世界ならバラン様は居ないんですよね!? じゃぁ人間はどうなってしまうんですかっ? 大魔王は誰が倒すんですか!?」

 

 良い具合に勘違いしたノヴァの言葉で室内が一瞬の静寂に包まれる。

 

「・・・さぁな?」

 

「答えられんのは、答えたくない世界、と言う訳じゃな?」

 

「え? もしかして、負けちゃうの?」

 

 勿体振ってはぐらかすと、まぞっほとずるぼんがおあつらえ向きの答にたどり着いた。

 俺としては詳しい事情は述べたくない。

 かといって余り嘘もつきたくない。

 勝手に誤った解釈をしてくれるなら願ったり叶ったりだ。

 

「さぁな? 既に俺が見た世界とは違うんだ……そんな事はどうだった良いだろ?」

 

「どうでも良くないぞよ……そなたの話が本当なら、いや、妾には解るのじゃ……そなたは嘘を付いてはおらぬ、だから御父様……この者に詫びてはくれませぬか?」

 

「はぁ!? バランに詫びられる理由がねぇっ! 断固拒否する!! 大体、嘘が解るってなんだ? エスパーか? エスパーなのか!?」

 

 バランに詫びないとイケないのはダイを拉致した俺である。

 ディアナを見るに、ダイが王宮で育たなくて良かった……一人称が″余″のダイなんか見たくない。

 心の底からそう思えてならないが、こんなモノは俺にしか通用しない自己弁護でしかない。

 

「驚く事ではないぞよ。妾は嘘にまみれた王宮で暮らしておるのじゃ。正贋を見抜く眼は自然と身に付くというものじゃ……欲を隠した悪しき者の進言であっても、進言が正しいなら使うのじゃ。それが王の勤めぞよ」

 

 八歳でコレか。

 俺が八歳の頃と言えば、世間の裏になんの疑問も抱かずサンタクロースを信じてた。

 世界や立場が違うと言えど、立派というより憐れにさえ見える。

 

「ふんっ……可哀想なガキだな」

 

「妾は可哀想でもガキでもないぞよ!」

 

 ムキになって否定するディアナは本心からそう思ってそうだ。

 

 やれやれだ……バランも子供は子供と教えてやれば良いのによ?

 

「良いか? 王とは個にして全! 即ち、個人で有りながら王……言い替えるならディアナは姫にして子供ってこった。王にだって個人的感情はある。つまり王とは個人の感情と全体の感情の二つを併せ持てる人物の事だ。そう言った意味では国の為に個人の感情を殺せるアルキード王は立派な王だ」

 

「そなたっ、爺様を恨んでおらぬのか!?」

 

 黒い瞳を大きく見開いたディアナが驚いている。

 

 食い付くトコそっち!?

 前世の漫画知識を元に王様論を語ってみたが、本物の王族の心には響かないらしい。

 

「それとコレとは話が違う。アルキード王に思う所は無くもないが、王としては正しかった……そう思うぜ? お陰様で人類の英雄となったバランが魔王軍相手に暴れてくれる。その分俺は楽が出来るって寸法だ。 これぞでろりん流奥義! リューイ・ハイシャック拳だ、ハッハッハ」

 

 高笑いする俺に二人を除いた一堂が″シラーッ″とした目を向けてくる。

 

「まぁ、あなた……責任重大ですね?」

 

 その内の一人、微笑みを絶やさないソアラ……おっとりしている様で、見透かした上でおっとりを演じている様に見える。

 俺の苦手なタイプだ。

 因みに、シラーッとしないもう一人は、ひたすらに喰い続けるへろへろだ。

 

「無論だ……私はディーノの分までお前達を護ってみせる」

 

 ディーノ……ダイの事は忘れていないらしい……って当たり前か。

 

 って、まてよ?

 

 ディアナはダイが居ないせいで王になる運命を背負い、過酷に生き抜ける様に厳しく教育されているのか?

 

 だとしたら、ディアナがこうなのは俺のせいと言えるのか?

 

 ・・・よしっ。

 

 逃げよう。

 

 触らぬ神に祟りなし。

 ダイの話題が出ない内にとんずらするに限る。

 

「さぁ、飯も喰ったし帰るぞ」

 

 テーブルに両手を突いた俺は″ガタッ″と椅子を鳴らして席を立つ。

 

「なぬっ!? もう帰るのかえ? 泊まっていけば良かろう。部屋なら沢山あるぞよ」

 

「却下だ却下。俺はお前と違って忙しいんだよ」

 

「忙しいってアンタ、こんな時間から何処行くのよ?」

 

「そうですよ! それにまだ話は終わってませんよ!」

 

「話って?」

 

 

「アバン様の事ですっ! 本当にアバン様はお亡くなりになったのですか!?」

 

 出来る男ノヴァは見逃してくれないらしい。

 

「何っ? アバン殿が?」

 

「あぁ、それ、な? アバンは生きている。俺は今からアバンに会いに行くのさ」

 

「それって……どうゆうこと?」

 

「簡単な話だ。アバンはハドラーとの闘いでメガンテを使って吹き飛んだ……アイテムのお陰で五体満足のままでな? それを遠目から見ていた俺は、ハドラーが撤退した後でアバンを捜索して助けたって訳さ。海洋に浮かぶアバンを探すのに手間取って見つけ出した時には日が暮れていた……俺は、マリンが心配でアルキードに戻ってきただけで、ホントは暢気に飯なんか喰ってる場合じゃないんだよ」

 

「嘘っ!?」

 

「嘘じゃな」

 

「はぁ? 嘘じゃねーしっ……全っく好き放題言いやがって……判ってると思うがアバンの事も俺の事も他言無用だぞ! 下手に吹聴されたら俺もアバンも殺される……アバンなんか実際に殺された様なモンなんだからなっ」

 

「ふーん? アンタが良いなら私は良いわ」

 

「俺はリーダーに付いていくだけだっ」

 

「ふむ……聞きたいことは山程あるがの……お主が口を閉ざすなら、これ以上聞かぬ方が良いのかの?」

 

「あぁ……今まで黙ってて悪かったな? 下手に話してアバンの様に狙われるのが怖かったんだ……結果的に俺は魔王軍から目を付けられているが、10年前に話してたらこんなもんじゃ済んでねぇよ。ホントは今でもお前達を巻き込みたく無いんだ……俺は、村を出たあの日、ずるぼんを護ると誓ったんだ。だが、現実はお前達の力をアテにさせてもらってる……情けない話だろ?」

 

「うぷぷ……語るに堕ちたとはこの事ぞよっ」

 

 綺麗に締めようと演説ぶった俺であったが、何故かディアナが口元を抑えて笑いを堪えている。

 

「あん? 何がおかしい?」

 

「話を聞くに、そなたは幼き頃から頑張っておったのであろう? ならば妾が頑張るのも変では無いのぞよ」

 

「はんっ、そんな事か……良いか? 俺は良い! お前はダメだっ」

 

「な、なんじゃそれは!? 道理が通っておらぬではないか!」

 

「ハッハッハ! 神託を授かった俺は規格外なんだよっ。俺に道理は通じねぇ。・・・まぁ、そんな訳で俺達は行くぜ?」

 

 

 ディアナを適当にあしらった俺は、バランを向いて退席の許可を求める。

 

「ふむ……腑に落ちん事も残るが、姉馬鹿である貴様がそこなおなごを危険に晒すとも思えぬ、」

「誰が姉馬鹿だっ! 家族を護るのは当然だ!」

 

「同感だな……それ故に私は貴様を信じよう」

 

「お、おぅ?」

 

「ちょっ、ちょっと待って下さい! ゴールドドロップの問題はどうするんですかっ!? 勝手に家族馬鹿同士で纏まらないで下さいよ!」

 

「む……そうであったな」

 

「誰が家族馬鹿だっ」

 

「お主等2人じゃな」

 

 茶を啜るまぞっほの呟きに一堂が頷いている。

 

「バランと一緒にすんなっつーの……俺は明日からパプニカに行く。 ゴールドに関しては適当に頼む」

 

「パプニカですって!? 神託と関係があるの!?」

 

 俯き加減だったマリンが顔を上げる。

 

 何かやる度に″神託、神託″言われたら面倒だな……。

 

「神託は関係ない。 ハドラーから仕入れた情報を元に動くんだ……馬鹿な兄弟子が馬鹿な事をやってるらしいんだ」

 

 ヒュンケルの事はダイ達に任せたかったが、原作よりも危険な感じがプンプンする。

 俺とアバンで確実に味方に引き入れる必要があるだろう。

 

 

 こうして、パプニカ行きを宣言した俺は、アルキードを後にするとロモスを経由してアバンの元へと向かうのだった。

 








漢字で書くと、竜威拝借拳。
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