携帯獣異聞録シコクサバイバー   作:桐型枠

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苦汁を飲み込みてをつなぐ

 翌朝。「増えてる」という声と共に、オレは目を覚ました。

 

 

「んぃ」

 

 

 眼を開けば、目の前には黄色と青の塊が。お腹には心地よい温かさのふわふわした感触。チュリとリオルとチャムだ。

 適度に揺れてる感覚は、昨日みんなで協力して作ったハンモックだろう。コートを着てないせいで僅かな肌寒さを感じながら身を起こすと、苦笑するヨウタの姿が目に入った。

 

 

「おはよ」

「おはよう。その子は?」

「昨日、仲良くなった。ボール貰っていいか?」

「後で渡すよ。それで、情報収集はどうだった?」

「ん……あー……うん。自衛官さん、ごめんなさい……」

「特に企んでなかったんだ……」

「なんていうか……ちゃんと理解してくれてる人がいた。じゃあもうこれ大丈夫だろ、って」

 

 

 意外なことだが。

 でも、当然と言えば当然なんだよな。そこまでモラルが崩壊してるようなら、もっと日本はヒャッハーな連中が幅を利かせてたことだろう。

 言ってみれば創作におけるハッタリだ。誇張して見せることが、むしろより「らしく」感じられるような、そんな感じ。

 

 ハンモックから降りると、チュリたちも目を覚ました。移動先はだいたいいつもの定位置だ。リオルは肩に手をかけて背中に乗っている。

 ちなみにこれで合計約23キロ。リオルの加入で一気に十倍近く増えていた。

 

 

「リオルのそれ、前にクマ子にやられたよ」

「よく首無事だったな」

「進化前だったからね。進化した後は流石に無理」

 

 

 ……まあ、砕けるからな。

 もしかしてこういうの、かくとうタイプ特有の何かだったりするんだろうか。しないか。ローブシンがこんなことやってると思うと引くし。

 

 ハンモックにしていたコートとマフラーを回収して再び身に着ける。これでだいたい準備よし、と。

 

 

「今何時だ?」

「八時少し過ぎ。十時になったら集まってくれって言ってたよ」

「分かった。その前に朝食済ませよう」

「うん。ポケモンフーズは用意してもらってるよ」

「ん。用意し……て……『もらってる』?」

「ん? うん、レイジさんに」

 

 

 ……それ、マズくないか? 朝木が? ポケモンフーズを? あの、ズバットに明らかに格下に見られて滅茶苦茶にナメられてる朝木が?

 確か、ポケモンフーズってドッグフードとかみたく包装されてたような……? と思ったのもつかの間、車の方から野太い悲鳴が聞こえてきた。

 

 

「ええっ!?」

「ちっ、やっぱりか!」

 

 

 急いで駆けつけてみると――そこでは、凄惨な光景が広がっていた。

 頭からポケモンフーズをひっ被って地面に倒れる朝木。そして、そんな朝木を意に介さず、ポロポロ落ちてるポケモンフーズを食べて回ってるズバットとニューラ……。

 

 

「うわぁ……」

「こらっ、ズバット! ニューラ! ダメ!!」

「ニュ……!?」

「ズバッ!?」

 

 

 少しヒいているところで、隣にいたヨウタがいつになく真剣な声音で二匹を威圧した。

 ズバットは車の屋根の方に逃げようとし、ニューラは倒れた朝木を盾にしようと身を屈める。しかし、ヨウタはそんな二匹に、ライ太の入ったボールを投げる。瞬時にライ太のハサミに捕まえられた二匹は、逃げようにも無駄だと理解してすぐに暴れるのをやめた。

 

 

「…………」

「ニュッ!? ニュァァァ……」

「ズバババ……」

「ありがとう、ライ太。二匹(ふたり)とも! これはみんなのための食べ物なんだ。自分たちだけで勝手に食べようとしちゃダメじゃないか!!」

 

 

 すげえ。レインボーロケット団に対してのそれとはベクトルが違うが、いつになくヨウタが怒ってる。

 いや、あれは怒ってるっていうか叱ってるって感じだが。

 チュリたちも、なんだか怒ったように二匹にかかっていった。こっちは自分たちの食事を台無しにされて本当に怒ってるようだ。

 

 

「よ……ヨウタ君は頼もしいな……」

 

 

 あ、起きた。

 

 

「あっちじゃ生まれた時からポケモンと接する機会があっただろうからな」

「け、経験の差だな……じゃあ、仕方ないな、うん……」

「『仕方ない』で済ますなよ。本当ならアンタがやってないといけないことだろ」

「そりゃあ……そうだけど……」

「あいつらと仲良くなれなきゃ、身も守ってもらえないって分かってるか?」

「でも、もう自衛隊いるし、俺が協力する必要も無いんじゃあ……」

 

 

 ……何言ってんだこいつ? オレは思わず眉をひそめた。

 

 

「それ、関係ないだろ。オレたちに関わろうと関わるまいと、レインボーロケット団の連中はもう四国のあちこちにいる。野生のポケモンだっているんだし、ポケモンたちに守ってもらわなきゃいけないことには変わりないじゃないか」

 

 

 そう指摘すると、朝木はきょとんとした表情を浮かべていた。言っている意味は分かってるが、何でオレがそんなことを言うのか、分かってないような顔だ。

 何だ、オレってそんなに何も考えてないように見られてるのか? あんまり否定はできないが、間接的にでもそれを臭わされると腹立つな……。

 

 

「ンだよ」

「……か、勝手に野垂れ死ねとか言われるかと」

「はぁ? 何でそんな悪趣味なこと言わなきゃいけないんだよ」

「アキラちゃん、俺のこと嫌いだろ?」

「ちゃん言うな。嫌いは嫌いだよ」

「ぐ……」

 

 

 そういう風に推測してたくせに、いざ言われたらショック受けるって何だよ。

 そりゃ好きとは言えないだろ。ウジウジしてる上にめんどくさいし、日和見主義で信念も感じられない。オレの主義からはあまりにも遠い人間だ。オマケに「ちゃん」とまで言いやがった。イラッと来るぜ!

 

 

「けど、じゃあ死んでいいと思ってるかってのは別だろ。ただ『嫌い』なだけで死ねだの殺すのだのと、本気で言うほど品性を欠いてるつもりはない」

 

 

 そこまで行ったら、もうただ「憎い」だけだ。

 それこそ、敵――ランスに対してなら、オレも言葉にしかけたことがある。あの辺は……戦闘中だから言葉が荒くなってしまうというのもあるが。

 

 

「そ、そうか……」

「何でそこが直結しちまうんだか分からないんだが、何なんだ? 確かに、軽口で言うやつもいるだろうけど……この状況で迂闊にそんなこと口に出せるもんじゃないだろ」

「……たまーに、何やってても否定されるような、そんな感じがして」

「自意識過剰」

 

 

 本当この男ネガティブだな。それもある種の予防線だろうか? この人格を形成するうえで、何を経てきたんだか分からねえ。

 そう思って少し訝しんでいると、朝木は少し考えてからこう切り出してきた。

 

 

「な、なあ……アキラちゃん。話聞く限り、俺ってもう降りてもいい……んだよな?」

「ちゃん言うな。……アンタも別に敵じゃないだろ。自衛隊の人らも味方になってくれるかもしれない。で、人に迷惑かけないって言うんなら、降りたって別に構わない」

「そっか……」

 

 

 ていうか、それが目的だったんじゃないのかよ。何でことここに至ってこんな神妙な顔を?

 どうするんだよ、と聞くと、朝木はたっぷり十秒近くもうなった後で、ようやく口を開いた。

 

 

「やっぱ降りないよ」

「何で?」

「まだ、ニューラもズバットも全然懐いてくれる様子が無いし……あと、結局レインボーロケット団のヤツらはいるんだから、君らの近くにいた方がむしろ安全じゃないかって……あ! それと、ほら、子供だけで行かせられないだろう!? やっぱり!」

「最後の建前だろ」

「ヴッ」

「バレて心苦しくなる嘘ならつくなよ」

 

 

 ほんと……マジでこいつ……なんか……どうしようもねえな!

 ある意味、これも人間の自己防衛本能に従った結果なんだろうか。いっそ清々しいくらいイラッとさせられるが、協力してくれる事実はありがたい。

 さっきも言った通り、こいつのことは人間的に「嫌い」なだけであってそれ以上ではない。それなら、割り切って戦うには充分だ。

 

 

「二人とも、準備できたよ!」

 

 

 そうこうしているうちに、ヨウタが準備を終わらせてくれたらしい。ありがたい。

 バイクのボックスに入れてたばーちゃんのおにぎりを持って行って、これで朝食の準備は完了。

 ……持たされたのが二人分だっただけに、三人で分けるとちょっと少ないけど、ま、いいだろ。

 

 

 

 〇――〇――〇

 

 

 

 それから少し経って、午前十時ちょっと過ぎ。オレたちは自衛隊の人たちの張った天幕で改めて顔を突き合わせていた。

 あちらの出席者は、隊長さんを含む数名。夜中ずっと起きてたのか、どの人も目の下にうっすらと隈ができている。

 ……こうして改めて苦労してる姿を見ると、昨日疑ったことが本当に申し訳なく思えてくる。謝りたいような気もするが……うん、分からないだろうし置いとこう。

 

 今回、代表して話を進めることになっているのはヨウタだ。オレはその隣で、適宜相談を受けることにしている。もっとも、オレの頭でどれだけ適切なアドバイスができるか分からないが……。

 

 

「――――では、まず現状を確認しましょう」

 

 

 言って、隊長さんは四国の地図を示す。各県庁所在地と剣山には赤く「〇」が記されており、レインボーロケット団の首領格の人間たちの所在が分かりやすくなっている。

 

 

「我々がいるのがここ、伊予郡です。各県庁所在地及びほとんどの市町はレインボーロケット団に占拠されております。現在、解放されていると言えるのは伊予市周辺のみ。このまま手を打つことができなければ、物量差に押されてこの街も占拠されてしまうでしょう」

 

 

 ……改めて確認すればするほど絶望的だ。戦うことができる人間の数だけ考えても、百倍も千倍も差がある。

 加えて、と隊長さんはそれぞれの〇印の上に小さな駒を並べた。

 

 

「それぞれの県庁所在地には、伝説のポケモンを持ったトレーナーがいます。松山にグラードン。高松にゼルネアスとイベルタル。徳島にカイオーガ。高知にレシラムとゼクロムが出現しておりますので……」

「なるほど、だからイヨの市役所にマグマ団の幹部が……」

 

 

 ダークトリニティがいたから、もしかしたらゲーチス……プラズマ団かと思ったが、どうやら違ったようだ。

 まああいつ、相当有利な盤面にならなきゃ前線には出てこないだろうしな。自分が絶対的に安全になったと確信しなきゃ何もできない・しないタイプだ。

 

 

「アサリナ・ヨウタ君。一つ聞きたいのですが……伝説のポケモンに、普通のポケモンで対抗できるものなのでしょうか?」

「普通は、足止めがせいぜいだと思います。相手にもよりますが……今、レインボーロケット団が手中に収めているものに関しては、ほぼ不可能です」

 

 

 いわゆる「幻のポケモン」だとか「準伝説」と呼ばれているようなポケモンになると、ある程度戦えるようにもなる……と思う。出自そのものは特殊だが、体格や戦闘力そのものは群を抜いてるというほどじゃないからだ。強いのは間違いないけども。

 

 

「トレーナーを直接倒すのは?」

「それは……アキラ……あの、隣の彼女にも言われたのですが、ちょっと難しいです。伝説のポケモンの攻撃をかいくぐった上、脇を固める手持ちのポケモンをどうにかしないといけませんから。それに、仮に倒せても、制御を失った伝説のポケモンが暴れ出す可能性が高いです」

 

 

 ……いい手だと思ったんだけどなぁ、闇討ち。邪道であることには間違いないけど、こっちも被害出さずに終わらせられる可能性あるし。

 

 

「つまり、伝説のポケモンには伝説のポケモンでもって対抗するしかない」

「はい」

 

 

 ヨウタがそう断言すると、隊長さんたちは苦渋に満ちた表情を浮かべた。

 

 

「……恥を忍んで、頼みたいことがあります」

「どういった内容でしょうか」

「レインボーロケット団を倒すのに、力を貸していただきたい。そのために……笠井、データを」

「はい」

 

 

 と、何やら書類をこちらに寄越してくる女性隊員。これは……気象情報か?

 徳島では豪雨。愛媛では日照り、各所で竜巻や急な落雷、吹雪や気温の異常下降が見られる。

 一通りのデータを見ながら、ふとした拍子に何か気付いたように、ヨウタは「もしかして」と呟いて、バッグの中のロトムに呼びかけ、何らかのデータを呼び出し始めた。

 ……何に気付いたんだ?

 

 

「――――伝説のポケモンが、この世界に来てるかもしれない?」

「「!」」

 

 

 そこで、オレと朝木もようやくそのことに気が付いた。

 そうか! 最初にウルトラホールが開いた時、ポケモンが山ほどこっちの世界にやってきた。その時に伝説のポケモンが紛れ込んでたってこともありえないわけじゃないんだ。

 で、この気象情報。竜巻はトルネロス、落雷はサンダーやライコウ、ボルトロス……吹雪なんかはフリーザーって線もあるか。何にしろ、ヤツらの手に渡ってない伝説のポケモンがいる可能性は否定できない!

 

 たとえそうじゃなくても、ほしぐもちゃんが復活すれば、ウルトラワープライドで伝説のポケモンに会いに行くという選択肢も取れる。

 レインボーロケット団も、伝説のポケモンがいると知れば狙ってくるのは間違いないが……反撃の手段としては、今のところ最適だ。

 

 

「残念なことですが、我々では伝説のポケモンと出会っても、捕獲どころか戦うことも……まして、対話にすらならないでしょう。しかし、君たちならば」

「……そうですね。伝説のポケモンとでも多少戦えますし、僕たちなら、たとえレインボーロケット団の連中と出会っても戦って突破できます」

 

 

 ……ただ、それは全てが「かもしれない」という、希望的観測に基づいて立てられた筋道だ。

 けど、まっとうな考え方でどうにかなるなら、自衛隊の人たちがとっくの昔になんとかしているだろう。ワラにでも蜘蛛の糸にでも、何でも縋らなきゃ、今はどうにもこうにもなりそうにない。

 

 

「分かりました。僕たちに任せてください!」

 

 

 ヨウタもそのことを理解して、隊長さんの提案に大きく頷いた。

 オレも、異論は無い。あっちもホッとしたような――それでいて、小さく無力感を覚えたような表情で頷きを返した。

 

 

「ご協力、感謝いたします」

「こちらこそ、ありがとうございます。お恥ずかしながら、僕たちだけじゃ方針も定まらなかったと思います」

 

 

 ……うん、まあ、そこはホント、うん。なんとかしないとな。いやマジで。

 頭脳労働できる人がいないと、このままじゃただ突撃するだけのアホの集団になりかねない。

 いや、ヨウタはそこのとこ例外か。地頭は良いし、年齢を重ねればもっと頭も良くなるだろう。

 

 ともあれ、と気を取り直すように、ヨウタはバッグからモンスターボールを取り出した。

 

 

「では、あの、これ。お渡しします」

「!? これは……」

「モンスターボールです。ゼニガメたちを入れてあげてください」

「しかし、こんな数……いいのですか?」

「はい。余分に一つお渡しします。調べて新しく作ったりしてくれれば、普通の人でも野生のポケモンに対抗できるようになるかもしれません」

「これは……ありがたい。我々も、皆さんを全力でバックアップさせていただきます」

「本当ですか? ありがとうございます!」

「やったな、ヨウタ」

「うん……!」

 

 

 うん。実際、こうして協力を取り付けることができたのは大きい。人や町を守ることを生業にしている人たちだけあって、肉体面でも頼りになるし、知識も申し分ない。

 ちょっと贔屓目は入ってるかもしれないが、これ以上心強い人たちもそうはいないだろう。

 

 

「つきましては一名、連絡員として同行させたい者がいるのですがよろしいでしょうか?」

「は……? と……連絡員? えっと、アキラ?」

「単に自衛隊の人たちと連絡を取るにもしても、専用の設備が必要になるのかもしれない。国防に関わることだから、機密事項も多いと思う。その関係じゃないか?」

「あ、そうなんだ。分かりました。すみません」

 

 

 実際、通信機とか無いもんな、オレたち。普通の携帯とロトムくらいのものだ。それにしたって絶対のものじゃないし、盗聴の危険性はある。やっぱりそういうところは、専門の人たちに任せた方が都合は良いだろう。

 

 

「ありがとうございます。東雲!」

「はっ!」

 

 

 と、自衛官としての顔を覗かせた隊長さんに応えるようにして、後ろに控えていた男が一人、前に進み出る。

 東雲、と呼ばれていた……あ、あの人昨晩女性隊員に殴られてた人だ。

 

 

「東雲ショウゴです。これより皆さんの護衛及び本隊との通信を担当させていただきます。よろしくお願いします!」

「あ、はい。よろしくお願いします」

「どうも」

 

 

 最敬礼――と言うにはやや軽薄な印象を覚える敬礼を向けながら、東雲という人はオレたちに笑みを向けた。

 

 

「さて、では最初の目的地はどのようにされますか?」

「……伝説のポケモンって言ったら、まあ、あそこじゃないか?」

「あー……そうなる? なるよね……」

「二人とも、何の話?」

「「鳴門海峡」」

 

 

 鳴門海峡。徳島、鳴門市と淡路島との間に存在する海峡のことを言う。

 この海峡、何が最も有名かと言えば――間違いなく、渦潮だろう。

 誰が呼んだかリアルタンバシティ。ジョウト地方のマップを見ると分かるが、だいたいうずまき島の位置があの辺にあたる。

 もしも、仮にだが――伝説のポケモン、ルギアが存在するとしたら、そこに間違いない。

 

 

「では、一旦松山は避けた方が無難でしょう」

「そうですね。じゃ、今治(いまばり)を経由して宇摩(うま)……直に徳島に行くと、剣山の近くを通ることになるから迂回して……って感じで」

「了解しました。では、こちらの方で最適なルートを選定しましょう。しばらくお待ちください」

「はい! あ、そうだ。皆さん、少し時間はありますか?」

「は? ええ、多少は……」

 

 

 ヨウタの言葉に僅かに首をかしげる隊長さんたち。オレたちも何も聞いてないけど、ヨウタのやつ、一体何を始める気なんだ?

 

 

「じゃあ、この際ですからポケモンの扱いについて、皆さんで学んでみませんか? 僕が教えますから!」

「え?」

「は?」

 

 

 …………そういうことになった。

 

 

 

 

 

 〇――〇――〇

 

 

 

 

 

 天幕の裏、誰の視界にも入らない場所で、内部の話に耳を澄ませる影がある。

 自衛隊の迷彩服を着用した男だ。彼はその顔を半分溶かし(・・・)て本来の顔を露出させると、持参してきたホロキャスターに向けて報告を述べた。

 

 

「――――奴らの次の目的地は、イマバリだ」

 

 

 その一言以上には何も告げることなく、男は再び潜り込む。驚くほどの緻密さ、精巧さを備えた変装に、気付く者はいなかった。

 

 ――本質を()る、ただ一匹(ひとり)を除いて。

 

 









隊「ポケモンの扱いについて学ぶ場でポケモンと格闘技を始めてる人がいるのですが」
ヨ「彼女は色んな意味で特例なので無視してください」


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