一方的に通話が打ち切られ、しばらく部屋に沈黙が訪れた。
テレビは、少し前から砂嵐を映すだけになっている。インターネットも、まともに使えない。
空には相変わらずオーロラがかかったまま。空間の歪みがはっきりと眼に見えて、さっきまでの出来事が夢や幻ではないということを示している。
――――うろたえるな。
無理やりにでも、自分の心を奮い立たせる。
ふざけてる、ありえない、そう自分に言い聞かせて現実を誤魔化し続けるのはやめだ。もうそんな段階はとうに過ぎた。
オレ自身のことだって、十二分に現実からかけ離れてるんだ。今更、悪の組織が現実世界に現れるなんてことで、歩みを止めるわけにはいかない。
「ッ!」
「!?」
「!?」
軽く自分の頬を叩いて気合を入れる。それと同時に、ヨウタたちも我に返ったようだ。
よし――持ち直した。
「ボーッとしてても仕方ない。動くぞ」
「動くって……」
「……まずは情報を手に入れる。ロトム、ネットの方を頼む」
「分かったロ!」
スマホ……は、ネット環境が必要なものも、使えなくはないが、大元の本体サーバーに繋がらなかったりして意味が無い。
じゃあテレビはどうだろうか? チャンネルを回してみると、地方局のケーブルテレビはなんとか映るようだった。この辺は有線放送の利点だな……こんな機会が今後二度とあるか分からないが。
『――情報が入りました。鈴井さん?』
『はい、こちらつるぎ町です。先程の天変地異から、大きな地鳴りが……』
「ん……」
どうやら何か進展があったようだ。
つるぎ町……っていうと香川……いや、徳島だっけか。あー……と……確か剣山が徳島だから徳島だな。うん。
たしか……サカキたちはどこかの森の中にいた。一応そういう場所も無いではないが、平地で木々が林立しているような場所もかなり限られる。そう思うと、剣山にヤツらがいるという考え自体はそう的外れじゃないか……?
と。
『きゃあっ、地震が……あ、ああっ!? ご、ご覧ください! 剣山から、剣山の山頂から何かがせり上がってきます! 塔でしょうか!? 全長数十メートルはあるのではないかという巨大な塔が我々の前に……』
『避難してください! 危険ですので速やかに避難をしてください!!』
叫ぶようにして周囲に呼びかける警官の声によって遮られてはしまったが、カメラはその状況の全容を映してくれていた。
唸る地面、倒れる木々、弾け飛ぶ砂礫。そして、アナウンサーの言葉の通りに――山頂からせり上がってくる虹色の「R」のマークが燦然と輝く、趣味の悪い超巨大建築物……。
あまりの事態に、ヨウタが白目をむいて泡を吹きそうになっている。ロトムなんかはもう既にショート寸前だった。
かく言うオレもわけのわからなさのせいで意識が飛びそうだ。オレ今何見せられてんの?
いや分かってるんだ。これはとんでもなく恐ろしいことだって。
周辺住民に気付かれること無く剣山に資材を運び込み、超高層建築物を作ったって手腕もそうだ。現代社会のそれを大きく上回る技術に、計画を漏らさず成功に導く手腕、そして隠密性……戦慄するにも余りある。
だが何より。
「アホかあいつら!?」
「アホなんじゃないかな……」
絵面があまりにマヌケすぎる。
何故地下から生やす。何故巨大な「R」の文字を虹色に輝かせる。どっかのアべンジャーズタワーじゃねえんだぞ。いや明らかにあっちの方が慎ましいわ!
これ考えたの絶対ゲーチスだろ。あいつ確か「ブラック・ホワイト」の最終決戦の時「Nの城」を地中からドーン! みたいな仕込みしてたはずだし……。
「クソッタレが……」
……だが、マヌケであっても同時にそれだけ「派手」だということは確かだ。パフォーマンス性も高い。
シンプルで派手ってことはそれだけ人目を惹きやすいってことだ。この物理的・概念的に封鎖されてしまった四国に残された一般人も、各メディアも……明確な異変が起きれば、全てがそれに注目する。
――嫌でも、誰もが注目する。
『――――シコク全域に宣言する』
当然、ヤツはそこに一石を投じた。
一瞬の砂嵐ののちにテレビの画面が切り替わり、サカキの姿が映し出される。中継しているのは、先程のタワーの外周部だろうか。異常な色合いをした空のもと、強風に打たれながらも、ヤツは悠然とたたずんでいた。
『我々はレインボーロケット団。
それを人々が信じようと信じまいと構わない。ヤツは自分勝手に、自分の理屈だけを捏ねて言葉にして発する。
大仰な手ぶりで自分の言葉を飾り、より観衆に伝わりやすく、何よりも威圧感を与えるようにして、ヤツは演説する。
『遠大なる世界征服の野望のため、この地方は、我々が占拠し、支配する』
既にヤツらはそれを実現すると決めているからだ。実現できると確信しているからだ。
これは決定事項の通達なんだ。聞く者が理解していようがいまいが関係ない。
『これよりシコクは、我々レインボーロケット団の名のもとに変革を遂げる! その手始めこそがこれだ!』
「……ロロ!?」
「どうしたんだ、ロト……まさか!? アキラ!」
「……クソッ、あいつらマジかよ!?」
画面の中のサカキが手を振り上げるのと同時に、ロトム図鑑から大きなアラームが鳴り響く。外……上空を見やれば、今までに例を見ないほどに巨大なウルトラホールが開き――その内側からは、まるでそれ自体が一つの生物であるかのように、無数のポケモンが連なって「こちら」の世界へとなだれ込むのが見えた。
――――やりやがった、あの野郎!!
オレはつい、ウルトラホールがごく自然に……偶然開いて、ポケモンを飲み込んで、こちらの世界に送ってくるのだと解釈していた。
しかし、きっとそうじゃない。アチャモもバチュルも、偶然こっちにやってきたんじゃない。あいつらの実験の結果、こっちにやってきたんだ。
オレの近くに現れたのは、「Fall」という最も導線の引きやすい人間がいたから。そうして確実に成功させられるという確信を得たことで、ヤツらはこの……侵略を開始するというタイミングで、恐らくは野生のものだろうポケモンを、大勢こちらに引きずり込んだ……。
「ロトム、反応は!?」
「百……千……二千、三千……万……ロロロ、計測不能ロトーっ!」
「……最ッ悪だ……!」
人類にポケモンに対抗する手段は無い。今しがた、ヤツらの手によって丁寧にすりつぶされた。
「こちらもポケモンを持っていれば戦えるのじゃが」、とは、初代ポケモンでの有名なオーキド博士の台詞だ。ポケモンに対してはポケモンの持つ力で対抗しなければならない、ということだろう。モンスターボールの技術も無いオレたちの世界の人間じゃあ、野生のポケモンにすら勝てるはずがない。
……このままポケモンが雪崩れ込んだら、起きるのは極限の混乱と破壊だけだ。
『ポケットモンスターよ。この世界へようこそ』
続けて、サカキは腰元に備え付けてあったボールから、一匹のポケモンを繰り出した。
全身に毒針を備えた、紫色の表皮を持つポケモン――ニドキングだ。
『我々の世界には、ポケットモンスターと呼ばれる生き物たちが至るところに住んでいる。人々はポケモンと共に暮らしたり、戦ったりしているが……私は、このポケモンを悪事に使っているのだ』
その語り口はまるでオーキド博士のそれを思わせるが、言っていることはまるで真逆。
歓迎ではなく、嘲り。絶対的強者の立場から来る驕りと、自らの勝利を確信しているが故の愉悦だ。
『君たち、ポケモンのいない世界の人間では、野生のポケモンに対抗する術は無い。我々に逆らう術もまた、無い。抵抗は無意味だ。だが、服従すれば身の安全は約束しよう。ポケモンを操る術を与えよう。我こそはと言う者は、このレインボーロケットタワーのもとへ集え! 繰り返――』
「――――だあああああ、クソッ!!」
「あっ、アキラ!?」
居ても立ってもいられず、オレは思わず開け放した窓から飛び出した。
あいつらをこの世界でのさばらせちゃおけねえ! 一人残らずこの世界から叩き出す!!
その意志を胸に走り出そうとしたところで――。
「待った!」
「ぐえーっ!?」
……同じく窓から飛び出してきたヨウタに服を掴まれ、オレはその場に倒れることになった。
お……思ったより速いじゃないかヨウタ……! やるなこいつ! というかオレこんな動けなかったっけ? あれ?
「な、なんだよ……!?」
「なんだよじゃないよ! 冷静になってよ、アキラに何ができるって言うんだ!」
「殴る蹴るくらいできらぁ!!」
「じゃあポケモンは倒せるの!?」
「それは……」
そう言われて、ミュウツーの圧倒的な力を思い出す。
あれを基準にするのはどうかと思うが、戦闘の余波程度でオレたちを吹き飛ばしてのけたヤツの念力を思えば、人ひとり捩じ切るくらいは簡単にやってのけるだろう。
「……悪い。先走った」
「ホントだよ……いくらなんでも無茶だって」
「だからって黙って見てられるか。アイツら、好き勝手やりやがって……」
「仮にやるとしても、少なくともチュリやチャムが成長してからじゃないと無理だよ」
「……そう……だな」
多分ヤツら、団員自体はそこまでレベルは高くないんじゃないかと思う。だったら進化した直後でも多少はなんとかやれそうだが……
がしがしと頭を掻きむしる。こういう時に回りくどいこと考えるのは正直苦手だ。
「……あいつら、サカキを倒せばどうにかなると思うか?」
「分からない。サカキだけじゃなく、他の五人も大きな組織を束ねてきた人たちだ。頭を挿げ替えて同じことをする可能性は高いよ」
「だろうな……サカキは名目上の首領で、実質は六人全員が同じだけの立場って考えるべきか」
と、そこでふと思い当たったものがある。ヨウタには、少し酷なことを聞くようだが……。
「……なあ、あの、サカキ以外の五人……あいつら、倒せてなかったのか?」
「きっとあの人たちはこの世界に逃げてきたんだよ。みんなは、あんな人たちに負けてない」
「そう……そうだな。そうに違いない」
聞けば、ヨウタはアローラの仲間たちへの信頼を滲ませながら、はっきりとそう返した。
野暮なことを聞いちまったらしい。確認のためとはいえ、悪いことをしたな。
けど、それを聞いたことで、更にオレたちの現状が分かった。分かってしまった。
――戦えるのがヨウタ一人じゃ、絶対にマズい。
ヨウタはサカキを追い詰めるほどの実力を持っているようだが、仲間に他の五人の対処を任せて一騎打ちに持ち込んだからこそ、ああまで追い込めたんだ。ゲームの主人公のように、個人で無双してたわけじゃない。
……この世界に、悪の組織のボス五人を押し留めることができる人間はいない。オレも力を貸すつもりだが、それでも今のオレたちじゃ力不足も甚だしい……それでいて、現状は切羽詰まってる。
「……だったら」
あいつらははっきりと「四国全域を占拠する」と宣言したんだ。なら、すぐにでも団員を主要な市町へ送り込み、制圧していくことだろう。それはオレたちのいるこの街だって例外じゃない。サカキの方からはオレとヨウタが一緒にいるってことが分かってるんだ。最優先目標に設定してる可能性すらある。
じゃあ逃げるか……って、そういうワケにもいかない。この街にはばーちゃんがいる。知り合いも大勢いる。戦う力も無いような人たちを見捨てるなんて、できるわけがない。
男として――そう。そうじゃん。男として! 男の
「逃げるわけにはいかないだろ……!」
「……あれ? なんか話飛んでない?」
「……ごめん。脳内完結してた」
「せめてこっちに話してくれないかな……」
「ヨウタだけに任せるなんて男が廃るって話だよ。だからオレも逃げねえ」
「何かニュアンスが違う気がしたけど、そういうことにして納得しておくね」
「すまねえ」
バレてる。
……まあ大丈夫だろ。オレの事情は説明してるし。そもそも街の人たちを守りたいって思いそのものは事実だ。
まあ……多少な? 受け取り方は色々あるだろうけどさ。オレだって個人の利益くらい考えるって話だ。
「……よし!」
気を取り直して立ち上がる。
己を知り、敵を知れば百戦危うからずとも言う。今はまだ敵のことは分からなくとも、自分たちのことならちょっと調べれば分かるというものだ。
「ヤツらが来るまで、まだ少し時間がある。その間にチュリとチャムがどれだけのことができるか確かめないと」
「そうだね……あ、手伝おうか?」
「いや、ヨウタは休んでてくれ。まだみんな本調子じゃないだろ?」
「でも――」
「でももだってもねえよ。ヨウタたちが本調子にならなきゃオレらに勝ち目は無いんだ。そこんとこ分かってくれ」
「……うん。分かった」
幸い、チュリもチャムも怪我はしてない。オレも体力的には万全だ。
奴らがいつこっちに来るのだか分かったものじゃないが、本拠地が剣山だとすれば多少の時間はある。太陽も月も出てないせいで薄暗いから時間の感覚が曖昧になるが……短めに見積もって、一晩と言ったところか。
「まずは……っと、二匹とも!」
「ヂッ」
「ピヨッ」
庭にモンスターボールを放って二匹を出してやる。話はそれとなく聞こえてたのか分からないが、チュリはかなりやる気を出している。対照的にチャムはややビビり気味だ。まあ、しょうがないだろう。いきなりこんなことになったらそりゃビビる。
「じゃあ、まずは何ができるかを確かめてかなきゃな。ロトム、『わざ』のリストとか出せるか?」
「お任せロト~」
ふよふよ浮いてきたロトム図鑑の画面に、バチュルのデータが表示される。レベルで覚えるのは……ふむふむ。
「じゃあ……『エレキネット』」
「?」
「……無理か」
チュリは小首を傾げるだけで何も出そうとはしなかった。つまりまだレベル15には達してない、と。
「じゃあ『れんぞくぎり』……と……ヨウタ、ロトム、耳塞いでくれ。『いやなおと』!」
「ヂヂヂッ」
「うっ……と」
続けて指示を出すと、「れんぞくぎり」は繰り出せなかったが、爪と爪を擦り合わせることでちゃんと「いやなおと」は出た。
なるほど、どちらかと言うと音波……振動で不快感を与えることの方がメインなわざなのか。それで姿勢を崩すなりすることで、「ぼうぎょ」が下がる……と。
「……ってことはだいたいレベル7以上12未満……ってところか」
「前線でガンガン敵を倒していくっていうのは難しいだろうね。チャムの方はどう?」
「ピヨッ……」
「えーっと……チャム、『すなかけ』」
「……ピ……ッ!」
「……できないっぽいな」
全身に力を込めて何やら足元を蹴ろうとしている……というのは可愛らしい姿だが、「すなかけ」はまだできないか。
「じゃあ、『ひのこ』。地面に向かってな」
「ピィ~!」
チャムの嘴から吐き出された火が地面を焼く。
火の勢いそのものは大したことがない。が……。
「おおっ! すごいぞ!」
「ピヨッ!」
うん、「ひのこ」はちゃんとできるな! 吐き続けられるのは数秒ほどだが、それもこの体でできるならかなりのものだ。充分充分。
たしか、アチャモの吐き出す炎は摂氏千度ほど。ぶっちゃけた話ろうそくの火の方がまだ温度は高いって話だが、継続して放射し続けられるってだけでも、生物としては十二分にすごい。
「よしよし、よくやったなー。あ、チュリ。『いとをはく』とか、『くものす』ってどんな感じになるんだ?」
「ヂッ!」
片手でチャムの頭を撫でさすりながら問いかけると、ほんの少しむっとした様子を見せながらも、チュリは全力で糸を伸ばした。
蔵にくっついた糸の先を追って、チュリが飛んでいく。前に進むたびに収納されていく糸は、なんだか掃除機のコードを見ているようでもあった。
そして動きを止めたところで、オレの方にむかって「くものす」を発射! オレとチャムの目前で広がり切って直撃することまでは無かったが、なるほど。こんな動き方もできるのか。
「こんな動きができたんだね。飛び跳ねるのは知ってたけど……」
「オレとしては、なんか馴染みのある動きなんだけどな……」
主に映画の中で。
ビル街の間をすいすいっと……糸を伸ばして飛び回って……っていうか。ほら、つい最近も、
……思い返してみるとあいつほぼデンチュラでは? いや今はそれはいい。
「……ゲームに合わせて言うなら、レベルはだいたい10手前くらいってところかな」
「ゲームに合わせればな。つかヨウタ、お前分かって言ってるだろ?」
「あんまりゲームゲームって言われると、僕としてもちょっとムッとするんだよ」
「分かってるって。でも、オレからすると一番分かりやすいからさ……」
「現実だと、身に着けた実力以上の能力を発揮することもできるってことは分かってるよね?」
「大丈夫だって、それを導くのもトレーナーの役目、だろ?」
「うん、分かってるならいいよ」
火と、電気。それに糸。これだけ使えるなら色々なことが考えられる。
圧倒的な戦力を誇るレインボーロケット団に対して、オレたちはたった二人。そんな相手に勝とうと思うなら、それなりの立ち回り方というのは絶対に必要だろう。
……ま、地力があるに越したことは無いんだけどな……。
「……あ、そうだ、あれだ。『ふしぎなアメ』って無いか?」
「ごめん、こっちに来る前に使った」
ですよね。
レインボーロケット団のボスとの対決が控えてるってのに出し惜しみなんてするワケないよな。そりゃそうだ。
「ま、無いなら無いでなんとかやるっきゃねーか」
「ポジティブだね……」
「人は配られたカードだけでやりくりするしか無いモンだからな」
だからこそ、日々の積み重ねが重要になってくる……ってハナシなんだが、こういう時に限って、その積み重ねをする前に動かなきゃならない。
それでもやらなきゃならないことには変わりないんだ。やるだけのことはやるさ。
「……じゃ、一通り分かったししばらく休むか」
「え、もういいの!?」
「これ以上下手に体力使っても、アイツらが急にこっちに来たりしたら戦えなくなるだろ。備えとこうぜ」
「あ……うん、分かった」
オレはまあいい。問題はヨウタだ。無理にでも寝かせとかないといけない。
何せまだ……えーっと……11だっけ12だっけ。まあ、少なくともオレより六つは年下だ。砂浜での戦いのことを思えば、疲労が溜まっているのが当然くらいに思った方がいい。今元気なように見えるのは、年齢的にそれを自覚できる状態じゃないってだけだ。
「部屋用意しとくから、ちゃんと休んどけよ」
「アキラこそ」
「言われなくても寝るっての」
「ならいいんだけど」
オレだってチュリに電撃食らったり、ミュウツーとソルガレオの激突の衝撃で吹き飛ばされたりで色々ダメージあるし、寝ないわけにはいかない。
そんなわけで、適当な応接間に布団を敷いて、ヨウタにはそこで寝てもらうことにした。オレは引き続き自分の部屋で何かできることは無いかと探して……まあ、ネットもテレビもまともに使えないので、11時を回ったところでやめて寝ることにした。
――――翌朝。目を覚ますと、ヨウタの姿は応接間に無かった。