携帯獣異聞録シコクサバイバー   作:桐型枠

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ちからをすいとる赤き翼

 

 

 ――その赤い光を目にした時、ある者は絶望を抱いた。

 ある者は激憤し、ある者は嘆き、ある者は歓喜し、またある者は恐怖に震えた。

 

 様々な感情が交錯するその中心、「デスウイング」が炸裂したそこで――――さも何事も無かったかのように、刀祢アキラは佇んでいた。

 

 

「「「は?」」」

 

 

 当然、その場の全員――本人含め――から、困惑の声が上がる。

 そんなことは関係ない、と言わんばかりにイベルタルに殴りかかるカプ・コケコの戦闘音と鳴き声をバックに、時間が止まったように誰もが動けずにいた。

 

 

 ――不発?

 ――それとも、当たってない?

 ――タイムラグがある?

 ――効かない特異体質?

 

 

 当惑と憶測、疑問と混乱が渦巻く中、一番最初に動いたのは――当事者である、アキラ本人。

 作戦の失敗を感じ取った彼女は、まず目の前のフラダリへと襲い掛かった。

 

 倒せない、殺せない、再起不能にもできない。だが、一時的に行動不能にはできるし、能力は人間のままだ。ならば、この場から一時的に遠ざけて安全に逃走することはできる。

 呆然としているフラダリの背に向けて全力の掌底を放つと――ぽす、と。気の抜けたような音が、両者の耳に届いた。

 

 

「―――――」

 

 

 同時に、確信する。

 ――あの力(・・・)が消えた、と。

 由来不明、原因不明の謎の超身体能力。時に疎みはしたが、それでもこの地獄のような情勢下では絶対に必要だった「力」が、消えた。

 

 

「成程、当たってはいたようだ」

「あうっ!?」

 

 

 突き出された腕をつかみ、吊り上げるようにしてフラダリはアキラを目の前に持ち上げる。

 先程の「デスウイング」は、確かに直撃した。彼女の身体を縛っていたツタがボロボロに朽ちているのが、その証拠だ。では、何故無事なのか?

 

 

「そういえば君は、『Fall』だったな」

「それがどうした……!」

「となれば――――『オーラ』か! 偶発的にでもあれを取り込む体質になっていたのだとしたら……いや、あるいはそもそも、そのための技術があるのだとすれば……!」

 

 

 ウルトラビーストやぬしポケモンなどが纏う謎の光――「オーラ」。「Fall」もまたウルトラホールを通って他の世界に行ったことがあるという関係上、それを纏うこともありうるだろう。

 人間より遥かに膨大、かつ強大な生命力を持つポケモンを更に強化させるほどの力だ。人間がそれを取り込めばどうなるか……その実例がアキラだということは、充分にありうる。

 誰かにそういった施術を施されたのか、あるいは単なる偶然か。サカキが彼女の身柄を求めるのはそれが原因か。いずれにせよ、フラダリにとっては間違いなく、刀祢アキラという存在は研究対象としてひどく魅力的に映った。

 

 だが、当人(アキラ)にとってそんなことは関係ないし、どうでもいい。

 フラダリに吊り下げられながらも、アキラは自分の身体の状態を確かめる。視力や聴力は格段に落ち、筋力などは見る影もない。

 しかし、それだけだ。思考力が落ちたわけでも、再び記憶が失われたわけでもない。

 

 

「――――」

 

 

 冷静に、冷徹に。

 アキラは残った左手に握った刀で、フラダリの目と鼻を瞬時に削いだ(・・・)

 

 

「がッ――――」

 

 

 悲鳴を上げるような間も与えず、腕を振り払って顎に蒼い稲妻を纏った掌底を入れる。脳震盪と電気刺激によって意識を飛ばし、崩れかけた膝に足を入れて体重をかけ、皿を砕いて逆向きに圧し折る。更に、完全に行動不能に陥ったその体を、巴投げの要領でパキラへと向けて投げ飛ばした。

 

 

「!?」

「フ、フラダリ様!」

「パキラ様、いかんゾ!」

「――!?」

 

 

 そして、その忠誠からフラダリを庇いに向かうパキラ。その行為の危険性を感じ取ることができたのは、彼女からやや離れた場所にいたクセロシキだった。

 

 

「――――」

 

 

 紅い眼光が、フラダリの身体を盾に地を這うようにして迫る。

 その速度は先程よりも遥かに遅い――そのはずだと言うのに、パキラの目に映るアキラの姿は、明らかに捉えづらい。

 

 

「ッ、ヘルガー!」

 

 

 よって、ポケモントレーナーとしてパキラはそれに対応するべく自身のヘルガーを繰り出し――。

 

 

「ルオオオオオオオァァッ!!」

「ギャンッ!!?」

 

 

 ――空から、流星のように蒼い炎をたなびかせながら落ちるリュオンが、勢いのままヘルガーの胴部を「グロウパンチ」で殴り抜いた。

 顔を見ることも声を交わすこともなく、波動によって通じ合ったアキラとリュオンは、即座に己のなすべきことをしに動きだす。リュオンはヘルガーを食い止めに、そしてアキラは――パキラへ。

 振り抜く刀がその首を落とさんと鈍く光る、その時だった。

 

 

「キキィィィ!」

「!」

 

 

 クセロシキの出したクロバットの翼が、その凶刃を寸でのところで食い止めた。

 金属同士が打ち合うような鋭い音が一瞬響いた直後、ポケモン相手では不利と悟ったらしいアキラが刃を滑らせ刀を戻す。それによって負わせた手傷は、せいぜいが薄皮一枚程度のもの。服を斬ってはいても、そこから先へは届かない程度のものではあったが。

 

 

「――――()ったぞ」

 

 

 引き戻し、肩に担いだ居合刀の先端には――パキラの所持するペンダント型のメガストーンが引っ掛かっていた。

 

 

「な!?」

「あれは、パキラ様のキーストーンだゾ!? あっ」

「ッ、クセロシキ! 戦いに集中なさい!」

「――――」

 

 

 アキラはその、露出したパキラの肌に目を奪われかけたクセロシキに追撃を――かけなかった。

 

 

(今のオレじゃあ、追撃は不可能……)

 

 

 それは単純な能力の問題だ。

 超常的な筋力と速度、耐久力によって全てを破壊しながら突き進んでいたのがこれまでのアキラだが、それらは全て失われた。そうでなければあるいは、近くに落ちている石でも拾って投げるか、それができないようなら、手に持っていた居合刀を投げつけていただろう。

 しかし、現在のアキラは刀が相当に重く感じてしまうほどに筋力が萎えてしまっている。石を投げたところで行動不能に至らせることはまずできなかった。

 

 他方、そのアキラの動きを観察しながら、戦慄している者がいる。クセロシキだ。

 

 

(あれほどの動き……普通じゃないゾ。それをなしているのは……)

 

 

 イベルタルのポケモンとしての能力やフラダリの言動から、彼はアキラの能力が格段に落ちていることを推測していた。

 超常的な力を失った以上、彼女はただの人間……それも、外見通りの筋力しか持ち合わせていない力無き少女でしかない。それでもこの戦闘能力を維持しているというのは――。

 

 

(あの少女の体術! 尋常ではない努力で培った、我々ポケモントレーナーには及びもつかないほどの戦闘技術だゾ……!)

 

 

 それだけの体術――「体を動かすための技術」が無ければ、あれほどの筋力を正しく活かすことはおろか、まっとうに日常生活を送ることもできなかったことだろう。

 クセロシキとしても、イクスパンションスーツという人間の身体能力を文字通り「拡張」する装置の開発者であり、人間の機能についてよく知る科学者だからこそ、それがいっそうよく分かった。

 

 あるいは、イクスパンションスーツを使ったとしても、ただの人間同様の力しかないあの少女に肉弾戦で勝てるかどうか――。

 にわかに好奇心が首をもたげかけたその時、パキラの胸元から声が上がる。

 

 

「イベルタル、『デスウイング』!」

「!」

 

 

 その声に瞬時に呼応したのはイベルタルだけではない。アキラもまた、それに反応して即座にその場を飛びのいていく。

 もう復帰したのか、とアキラが内心で毒づいたのもつかの間、イベルタルが赤い光を放ち――それは、明後日の方向へと飛んで、消えていった。それは、まるで「そちらにこそ標的がいる」かのような挙動であり、困惑するパキラたちの様子からもそれが本来想定されたものではないことが推測できる。

 

 

「ッ――パキラ、あの少女はどうなった……!?」

「いえ、イベルタルが妙な方向に……」

 

 

 その様子に、アキラは内心でやったか、と安堵の息をつく。彼女の瞳には、先程――異常身体能力を失うまでの鮮明な視界ほどではないまでも、カプ・コケコが誘導したイベルタルに対し、遠方から幾多の攻撃が行われているのが見えた。事前に計画していた通りの、仲間たちの攻撃だ。

 

 イベルタルの攻撃は、どのような防御をも貫く一撃必殺の暴威だ。しかし、その攻撃は常に一方向……イベルタルの向いている側にしか作用しない。そこを、側面から叩くことで意識を逸らす。

 万が一、アキラが作戦に失敗し、その上で生還できる可能性がある時になんとかして逃がすべく、ナナセが提案した作戦だ。大いに危険が伴うが、その分イベルタルとフラダリを分断できた場合のメリットは大きい。

 絶対に当たってはならないという技の性質とポケモンたちの出せる機動力の関係上、担当は主にヨウタとそのポケモンたちだけだ――が、無論、そのことについてフラダリたちが知る由は無い。

 

 

「今だ、ヨウタ!!」

「!?」

 

 

 そこで、アキラは思い切りブラフを放った。

 あらぬ方向に声をかければ、当然ながらフラダリたちは最大戦力であるヨウタを気にかけざるを得ない。背後から強襲されれば、いかに元四天王とそれを超える実力を持つ悪の組織の首領と言えど、敗北は避けられない。

 

 

「リュオン!」

「リオ!」

 

 

 自然、思い切りそれに引っ掛かってしまった三人を尻目に、アキラは脇目も振らずに逃げ出した。

 更にその途中、拾い上げたフラダリの元の腕から、指輪に加工されたキーストーンを抜き取り懐に収める。そのいっそ鮮やかとすら言える手並みに唖然とする気持ちを隠し切れない中、それでもなんとか我に返ったパキラがヘルガーに続いて二体目のポケモンを繰り出す。

 

 

「カエンジシ!」

「ガアァウ!」

「!」

「ヘルガー、カエンジシ、『かえんほうしゃ』!」

「――結べ(・・)!」

「――――!」

 

 

 新たに現れたのは、ひと房の赤い鬣を持つメスのカエンジシ。ヘルガーと並んで放つ火炎が、ひと塊の巨大な火球となって襲い掛かる。

 そうしてリュオンに直撃する――その直前、アキラが手にしたパキラのキーストーンが光を放ち、リュオンの持つルカリオナイトと結びついた。元来膨大な量を誇るその波動が更に膨れ上がり、宙を蹴って回転し、天地を逆転しながら放つ「みずのはどう」によって火炎の大半を消し飛ばす。

 

 チ、とパキラの口元から舌打ちが漏れた。

 ――既にこの少女はメガシンカを「もの」にしている!

 

 

「憎たらしいわね、貴女……憎らしすぎて……むしろ、可愛らしく思えてきたわ」

「黙って死ね、変態ババア」

「口が減らないこと。クセロシキ、フラダリ様が回復されるまで時間を稼ぐわ」

「は、はいだゾ! クロバット、回り込むんだゾ!」

 

 

 ポケモンの中でも有数の速度……「すばやさ」を持つクロバットならば、ただの人間を追い抜いて回り込むことは至極容易だ。それこそ、不意を討たれて後手後手に回ったとしても。

 あるいは、これまでと同様の身体能力があったなら、強引にでも振り切って突破できた可能性はあっただろう。

 それはアキラ自身、無意識下でまだ感覚を切り替えられていないことの証左だ。彼女は自分の迂闊さに舌打ちした。敵はそんな事情など、汲み取ってはくれない。

 

 

(三対一……)

 

 

 絶望的な戦力差だ。リュオンがメガシンカしているとはいえ、それでできたのは二匹の「かえんほうしゃ」を散らして威力を削ぐところまでだった。普通に考えればそれも破格の能力だが、現状ではやや不足がある。

 ダメージは浅い部分で留まっているが、このまま攻撃を続けられればそれも破綻する。そこへダメ押しとばかりにけしかけられたクロバットが、完全に戦局をフレア団側に傾かせていた。

 

 

「……何でボールホルダー持って来てなかったんだよ」

「リオ……」

 

 

 やや恨めしげに小さく問いかけるアキラへ、リュオンは申し訳なさそうに顔をしかめた。

 とはいえ、それも難しい話ではある。高層建築か飛び降りながら奇襲を行い、そのまま肉弾戦に移って時間を稼ぐ……などという芸当は、余計な荷物を持った状態ではおよそ不可能だ。よしんばできたとしても、受け渡す相手であるアキラの手がふさがっている。

 理想論にしてもあまりに無茶が過ぎると気付いたアキラも、小さく反省した。

 

 とはいえ、あまりにも窮地が過ぎる。この状況から抜け出すには、手が足りない。

 なんとか光明を見出そうと、彼女は波動による周辺感知を行い――。

 

 

「今だ!」

 

 

 再び、声を上げた。

 しかし、それに引っ掛かるクセロシキとパキラではない。

 

 

「バカのひとつ覚えだゾ」

 

 

 クセロシキは、嘲りと失望を隠さずそう呟いた。

 何をしてくれるかと思えば、あまりに芸がない。これで勝とうとするにしろ逃げようとするにしろ、浅はかだ。

 

 ……それでもあるいは、もしかすると、うん。ありえなくはない、のかも、しれない。

 

 倫理観を捨ててなお捨てきれなかった小市民性……とも呼ぶべき臆病さが、僅かにクセロシキの視線をアキラから外させた。

 その時、不意に彼の視界に青いものが移った。見覚えの無い、青い塊だ。

 

 ぐんぐんと大きくなる――近づいてくる――それは、本来であればあるべき空気を裂く音や衝撃波といったものを発することなく、無音でやってくる。

 クセロシキが「あ、まずいゾ?」などと、ややのんきにも感じられるような思考が浮かんだ時には、もう遅い。

 

 

「おら――――っ!!」

 

 

 裂帛、と言うにはやや幼さを感じさせる掛け声と共に、ユヅキが載った青い鉄塊(メタング)がクセロシキとパキラ、そして動くことができず地面に横たわるフラダリを目がけて超高速で吶喊した。

 高さ1.2メートル、重さ200キロオーバーの鉄塊。ジェット機と衝突してもなお傷一つつかないという驚異的な耐久力を用いた「とっしん」、あるいは「アイアンヘッド」の応用。

 サイコパワーを用いて空気の影響などを遮断することで無音かつ前兆無く途方もない勢いで叩きつけられたそれは、勢いそのまま破滅的な衝撃をもたらし――地面が炸裂するように、爆ぜた。

 

 

「ッ……!」

「きゃあっ!」

「ぬおおおおおお!?」

「っしゃあっ! 天に竹林地に内家の拳、悪党よここできさまらの命運は」

「バカ言ってないで逃げるぞ」

「おあー」

 

 

 体操選手もかくや、というようなぬるりとした動きで着地したユヅキ。そのままポーズを決めて口上を述べんとしたその瞬間に、その手をアキラに掴まれ駆け出した。

 砂煙が周囲を包む中、アキラとリュオンはそれでも波動によって正確に周囲の物体の位置を特定できる。見当違いの方向に命令やポケモンたちの技が飛んでいく中、アキラたちの足取りは極めて正確だった。

 

 

「あ、お姉コレ」

「んぁ? あれ、何でお前がオレのバッグ持って……」

「チャムくん? だっけ? あの子が持って来たよ」

 

 

 チュリは10センチにも満たない体高ゆえに、アキラが持ち歩くようなバッグなどを運ぶことは難しい。

 とはいえ、ポケモンは基本的にその気さえあるなら自分からボールの外に出ることができるものだ。リュオンがアキラを助けに駆けつけるのと同時に、チャムがボールから出て他の仲間のもとに連絡に向かったとしてもおかしなことではない、とアキラは考えた。

 

 

「悪いな――ユヅ!」

「見えてる! メロ! 『サイコキネシス』!」

「――――」

「キキィ!?」

 

 

 と、そんなアキラたちの前に立ちふさがろうとした影がある。視界が悪い中でなお、超音波でアキラたちの行き先を察知したクロバットだ。

 羽ばたかせた四枚の羽根で砂埃を払うことで、他のポケモンたちの視界を晴らして追撃を行おうとしたのだろう。しかし、その動きはメロの念動力によって強制的に止められていた。

 

 

「リュオン!」

「ル――オァッ!!」

「ギイイィ!!」

 

 

 そこへ叩き込まれる、雷電を纏った拳。メガシンカによって強化された波動を伴うそれは、身動きの出来ない状態のクロバットの顔面に吸い込まれるようにして叩きつけられ、牙と翼を砕きながら遥か彼方へと吹き飛ばした。

 おお、と小さく感嘆の声を上げながらも、ユヅキはやや不満げにアキラへ問いかけた。

 

 

「あのままやってたら、パキラとクセロシキって倒せなかった?」

「無理だ。ユヅ、そこ樹ある」

「おけー」

 

 

 スパリとその意見を切って落としながら、アキラは桜の馬場裏手の木立を抜けていく。

 その表情は常と同じく涼やかに見えるが、額には少なくない汗が浮かんでいた。それは、ただの疲労だけが原因というわけではない。

 

 

「パキラの攻撃を軽減できたのは、あいつが手加減してたからだ」

「手加減? されてたの?」

「あいつの目的はオレを捕らえること。多少いたぶることは想定内だろうけど、それ以上に『殺さないこと』が大事なんだ」

 

 

 故に、パキラはリュオンを倒し、その上でアキラを捕らえられる程度に手加減した程度の「かえんほうしゃ」を使わせていた。

 本当にそのつもりなら、あの程度では済まなかっただろう。波動を扱えるからこそ、アキラにはそのことがよく分かった。

 

 ただでさえ、元とはいえ四天王という肩書を持つ女だ。それも実力不足から職を辞したというわけではなく、単に悪の組織に立場を替えただけで、実力そのものは一切衰えていない。他の幹部とは一線を画す実力を持っていると言っても過言は無いだろう。奇襲で精神的に優位を保っていたからこそ、ここまで食らいつくことができたのだ。ユヅキの乱入が無ければどうなっていたことか……と、アキラは軽く唇を噛む。

 

 

「それよりヨウタがイベルタルにやられることの方がマズい。急ぐぞ」

「うん、わかった!」

 

 

 作戦が失敗した今、最優先するべきは自分たちの戦力を失わないことだ。

 中でもヨウタを失ってしまえば、そのままレインボーロケット団に敗北することに繋がりかねない。

 

 姉妹(きょうだい)は、脇目も振らずに駆けていく。

 街に立たされた石像を見れば、きっと怒りが再び噴き出すことを理解しているから。

 ここで敗走を選んででも、生き残ってレインボーロケット団を倒さねばならないと理解しているから。

 

 

 

 


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