携帯獣異聞録シコクサバイバー   作:桐型枠

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だくりゅうに沈む海岸線

 

 

 到着したレジスタンスの拠点は、惨憺たる有様だった。

 

 元からある程度想像はできたことだ。わざわざオレたちに安否確認を頼むということは、「連絡が取れなくなった」ということ。

 中継局がある以上、携帯は生きているのだから誰にも連絡が取れないということは――そういうことなのだろう、と予想はできた。

 しかし、まさか。

 

 

「沈んでる……」

 

 

 ――目的地が丸ごと海中に没しているなどと、誰が想像できようか。

 海岸線が、まるごと抉り取られている。隣接している山もその中ほどから円形に山肌が露出してしまっていた。土砂崩れも起きたようで、海の中も土色に濁ってしまっている。

 道も……当然ながら、寸断されていた。

 

 

「これ、アクア団かな。カイオーガ?」

「かもな……」

 

 

 既にここは徳島。アクア団の勢力圏内だ。

 アオギリが直接出張ってくるというのも……すこぶる嫌な話だが、充分ありうることだった。

 しかし昨日の今日で伝説伝説また伝説とかもう勘弁してくれ。ヨウタも倒れてるのにあんな怪物と何度も相対したくない……。

 

 

「道がねえ……」

 

 

 朝木が呆然とした様子で頭を抱えている。そうだ。それも大きな問題だ。

 島田島までここからおよそ10キロ。よりにもよって迂回路の無いこの道が寸断されているとなると、一度道を戻って徳島市内を経由しないといけなくなる。そうなると……レインボーロケット団――の中でもアクア団――と出くわす可能性がより高まる。疲労もピークに達している今、消耗を避けるためにもそれは勘弁したい。

 

 迂回するにしても、舗装されていない山道は避けないといけない。

 となると……うーん……力を失った今、オレが運ぶってワケにはいかないし。

 

 

「……ポケモンたちに、道を作ってもらえばよいのでは……?」

「……あっ」

「あっ」

 

 

 小暮さんの一言で、オレたちもようやく気付いた。というか、オレたちみんな「こっち」の世界の人間だから、単純にポケモンに頼るって発想が足りないんだよな……。

 戦闘手段としてポケモンの能力を活用するって方法はすぐ思い浮かぶけど……なんだろう、この歪さ。

 アレだな。一緒に日常を過ごした経験っていうものが、圧倒的に足りない。これに関してはその辺の弊害だ。

 

 

「強度に問題はありますが……氷で、橋を作ってもらえれば……このまま、進めるかと」

「おう、氷橋(すがばし)ってやつか。金田一でやってた*1よな」

「すが……?」

「きんだいち……?」

「カ゜ッッッ」

「あっ、分かった! 氷橋うおおおおおってやってるやつ!」

「あ、あれか! 犯人たちの*2ってやつ!」

「えっ何それ今度は俺が知らない……」

「え?」

 

 

 ……えっ、初めてのパターンだ。何だこの逆ジェネレーションギャップ。

 いや、まあ、概要を知ってるならいいか。とにかく……氷の橋を架ければ、向こう岸に渡るくらいならなんとかなるだろう。使えてもこれっきりだろうけど。

 

 

「皆、少しいいだろうか」

 

 

 と。とりあえずの筋道を立てたところで、東雲さんがこちらに呼びかけてきた。

 何かあったのだろうか。

 

 

「どうしたんです?」

「……生存者がいないかを確認したい。いる可能性は……低いだろうが」

「そうですね。分かりました。オレは手伝うけど、みんなは?」

「ウチも手伝う!」

「…………」

「……あ、コレ俺も手伝う流れっすね」

 

 

 東雲さんの提案に対して承諾の意を告げたオレとユヅ。それに続いて控えめに手を挙げた小暮さんを目にして、完全に朝木も手伝う流れになった。

 救助や捜索というという目的において、朝木のゴルバットの能力は非常に有用だろう。手伝ってくれないと、正直ちょっと困るのは確かだ。

 ……っと、そうだ。

 

 

「ヨウタ、起きてるかー」

「……う゛」

「いや無理して返事しなくていいぞ」

 

 

 トラックの中に向かって呼びかける。

 一応ヨウタにも了承を取っておこうかと思ったんだが、ダメか。起き上がるのも返事するのも厳しそうだ。

 鎖骨が折れてたり肋骨が折れてたりしたらそりゃそうなる。

 

 

「この辺に生存者がいないか確かめるのに、ラー子とモク太、あとマリ子に力借りたいんだけど、いいか?」

 

 

 尋ねると、ヨウタは首を小さく縦に振って見せた。承諾してくれたらしい。

 全員が出払うのは問題だし、ともかくまずはライ太をボディガード役に立たせ、リュオンにも「いのちのしずく」を使うついでに警護を頼む。これでひとまずはよし、と。

 

 

「よし、みんな頼んだ!」

 

 

 言って、オレがボールから出したのは、ヨウタから許可を取って力を借りることにした三匹と、チュリとチャムだ。

 それから先日加入したばかりのドラメシヤも――シャルト、という名前をつけたあの子にも手伝ってもらうことにする。

 ドラメシヤはゴーストポケモンだ。その性質上夜目がきくし、常に浮遊しているから、この環境下でも「一旦下に降りる」というようなことがやりやすい。その上障害物もすり抜けることができるので、救助にはうってつけのポケモンと言えるだろう。

 

 

「ヂッ」

 

 

 まず、チュリの仕事は明かりを確保することだ。

 オレたち六人のポケモンの中で、実はでんきタイプのポケモンはコケコを除けばチュリだけだったりする。

 なのでちょっと……いや、だいぶ……かなり……うん、心細いというか、電力的に心許ない部分はあるんだが、仕方ない。

 

 通電性の高い糸を利用して糸球を作り、周辺に貼り付ける。

 電力の供給元はオレだ。謎耐久力を失ったオレは今、電磁発勁を使うと結構な負担が発生するようになった。波動である程度まで耐えられるようにすることはできるが、以前のような電力は発揮できないというのがまたもどかしい。

 謎筋力も失ったので、土砂をかき分けたりということもできないのでその辺に立って、簡易電球に電力を供給し続けるしかない。そしてついでのようにチュリに電力吸われてる。

 

 オレって何なんだろう……オレはコンセント……?

 

 

「チャムたちは東雲さんたちの手伝い頼むよ」

「バシャ」

「メ~」

 

 

 割り振りとしては、チャムを含むほのおタイプのポケモンたちが、電球糸球で照らせないようなピンポイントな場所を炎で照らして捜索。シャルトが「すりぬけ」を利用してそのサポート。モク太とラー子、それから東雲さんのワシボンのように空を飛べるポケモンに空から見てもらって、マリ子やしずさんのようなみずタイプのポケモンは海上と海中を捜索、というところ。

 あとは山の中なんかのちょっと人が分け入るには難しいような場所もも、ポケモンたちに見て来てもらう……くらいだろう。

 

 

「……ふぅ」

 

 

 可能性が低いながらも、それでも生存者の捜索を優先するのは、単に人道的な考え方から……ではない。

 昼間に行った病院、あそこで東雲さんたちはオレたちに代わって――想像が正しければだが――あまりに残酷な人間の所業を目にしているはずだ。

 病院を出る時も、誰一人として他所の避難所などに連れていくような人がいなかった。それはつまり、そういうことだろう。

 

 高松での敗走の件もある。この有様を見てなお「もしかしたら生存者がいるかもしれない」という考えに縋りたくなる気持ちも、痛いほど分かった。

 あのままだと、以前のオレのように心を壊してしまう。だから、率先して協力を申し出たという面はあった。

 

 

「朝木」

「ん? あー……うん。だな」

 

 

 もう完全に日も暮れた。野営の準備を始めて欲しい、と軽くジェスチャーで朝木に伝えると、あいつもばつが悪そうな顔をしながらそれに応える。

 次に、小暮さんに近づいて後ろから声をかける。気配を隠していたせいかひどく驚かれて体が跳ねかけたのは申し訳ない。

 

 

「あの、いいですか」

「……あ、は、はい。何でしょう……」

「……連絡があったのって」

「……二日は、前……です」

 

 

 ――この捜索がうまくいくことは、多分無い。

 

 みんな、多分それは分かっていた。

 連絡が途絶したのが二日前だとして……巻き込まれた人の生存率は、どれくらいだろうか。

 仮に生き残った人がいるとしても、いつまでもここにいるはずはない。どこか、別の場所に逃げて身を隠すはずだ。

 仮に見つかるとしたら、それは多分死体くらいのもので……。

 

 

「マリリーッ!」

「? マリ子?」

「……?」

 

 

 思考を打ち切らせるように、海の方からマリ子の声が聞こえてきた。

 何か見つけたんだろうか。魚とか。コンテナとか。ルギアとか。マナフィとか……いや、今ここにいるわけないか。

 ともかく何があったんだろうと思って一歩前に踏み出すと、その瞬間に違和感を覚えた。

 

 波動だ。二つ……いや、五つ?

 ……この感じ、覚えがある。モンスターボールに入ってる状態のポケモンだ。

 ちゃんと外に出てるのは、二匹……いや、一人と一匹。ポケモンと人間とでは波動の強さが変わってくるから、なんとなく分かる。

 

 

「生存者……?」

「え……?」

 

 

 それは……つまり、生存者がいた、ということに他ならない。

 強い困惑を抱えながらもマリ子の声が聞こえた方に向かうと、そこにいたのは海から上がってきたばかりのマリ子と、彼女に背負われた一匹のポケモン。それから――女だ。十七、八歳くらいの女。全身ずぶ濡れで、今の今まで水に浸かっていたのだろうということがよく分かる。

 

 

「生き……て……?」

「る、と思います。小暮さん、タオルと毛布! オレはこの人を!」

「は、はい……あ、それなら……もんさん!」

「ももっ」

「わ、『わたほうし』……お願いします……!」

「もフッ!」

 

 

 ぽっ、ともんさんの全身の綿毛が、爆発的に増殖してずぶ濡れの女とエンペルトを包み込んだ。

 ほどなくして、水を吸って重くなった部分が切り離され、また新しく綿が出てきてふたりを温める。

 季節は初夏、とはいえ夜はまだ肌寒い時期だ。水の中にいたことで体温も下がっているだろう。

 

 ――本当に、二日前から今の今まで水の中にいたら、だが。

 

 

「小暮さん、誰だか分かりますか?」

「……いえ……私たちは、知りません。他県で発足したレジスタンス、という可能性も……ありますが、あまり、他と交流を持つことが無いので……」

「……ですか」

 

 

 小暮さんが知らないとなると、オレたちの誰かが知ってるとも思えない。どうしたものかとも思うが、選択肢も多くないか。

 

 ……だって多分、こいつは敵だ。

 

 あまりにタイミングが不自然すぎる。ユヅもまあ、妹っていう贔屓目を抜きにして見ればなんともまあ良いタイミングで合流できたものだけど、アレはあいつがばーちゃんたちと適宜連絡を取り合ってオレたちの居場所を知っていたからというのもある。

 ただ、こいつは……時期的にありえないんだ。連絡が取れなくなったのが二日前。それから今までずっとここに浮いてたのか? それとも海岸に打ち上げられていたのか?

 いずれにしても、どこかのタイミングで意識を取り戻しているのが普通だ。朝木によれば、外傷で意識を失った場合、長時間……たとえば半日でも意識不明の状態が続けば、脳に深刻な悪影響が及ぶという。

 

 いや、まあ、オレもしょっちゅう意識失ってるけど、オレはノーカウントだ。ノーカウント。

 だってオレの回復力とか耐久力とか考慮するとその辺の常識狂うし。

 

 ……ともかく、そういうことを理解した上で波動を感じ取ってみると、違和感が強い。

 健常者とそう変わりない強さを保っていて、乱れが無く滑らだ……なんて、ありえない。十中八九ロクでもない「何か」がある。

 

 

(それに……エンペルトか)

 

 

 加えて、問題があるのはこの女の持つポケモンのレベルだ。

 エンペルトまで進化しているということは、数値上、少なく見積もってもユヅ以上。現状で抑えられるとしたら、ヒードランを持ってる東雲さんかオレくらいだ。

 ……しばらく、オレが気を張って見ておくしかないか。

 

 万が一、億が一本当にただのレジスタンスだったら、このまま放置するわけにもいかない。

 オレと小暮さんは、綿にくるんだままの女とエンペルトを野営地の方に運び込むことにした。

 

 

 

 〇――〇――〇

 

 

 

 あれから更に二時間ほど。結局、見つけられたのはあの女一人だけだった。

 なんとも言い難い結果だが、それでも一人見つけられたというのは、東雲さんの心にとっては多少なりとも良い影響が及んだ……と言っていいのだろうか。

 分からないが、一つだけ判明したことがある。

 

 

「――隊長の娘さん……!?」

 

 

 驚きと共に発せられた東雲さんの言葉だった。

 

 ――――アンタの関係者かよ!!

 

 全員の意見が内心で一致する。隊長――自衛隊の隊長さん。東雲さんの上官にあたる。

 確かにあの日、あの人が――盗み聞きだが――娘がいる、というような話をしていたような記憶がある。

 世間が狭い!!

 

 

「知っているのか東雲君」

「え、ええ……何度か写真を見せてもらっていて、それで」

「……隊長……?」

「東雲さんが所属してる基地の、自衛隊の」

「オクサラたいちょー」

「オク……?」

「あれ、お姉名前聞いてない?」

「初耳」

 

 

 どうやらあの隊長さん、本名は奥更屋(おくさらや)というらしい。オレがあんまり言えることじゃないけど、珍しい名前だ。

 ……ともかく、この場で自衛隊の隊長さんについて知らない小暮さんに軽く説明をしておく。

 ユヅが知ってたのは、一度ばーちゃんちに寄った時に会ったからだろう。まあ、あの町にも馴染めてるようで良かった。

 

 

「隊長さんって徳島の人だったんですか?」

「今はそちらに家族がいると聞いている。元々はもっと別の県からの転勤だったようだが」

 

 

 そういえば、自衛隊って日本各地に駐屯地があるからしょっちゅう転勤があるんだっけ。県外でも離島でも関係なく。

 ……って考えると、平和になったらそのうち東雲さんともお別れしなきゃいけない日が来るのか。連絡はできるだろうけど、なんかそれも寂しいな。

 

 

「すまない、少し隊長と連絡を取ってくる」

「あ、はい」

 

 

 この様子を見る限り、隊長さんは東雲さんたちに娘さんのことは伝えていなかったのだろう。

 ……というか、果たして伝えられるだろうか。命がかかっている可能性があるとはいえ、あくまで家族の問題だ。任務に就いていて忙しい東雲さんに伝えるべきではないと判断したのかもしれない。

 

 しばらく待っていると、連絡も終わったらしい。東雲さんは小さく安堵の息をついて、こちらに戻ってきた。

 

 

「やはり隊長の娘で間違いない。避難所にいる、とか大丈夫、とか伝えていたようだが、二日前から連絡が取れなくなっていたようだ。もしかするとレジスタンスに参加していたのを、隊長には隠していたのかもしれない」

「……心配……しますから、ね」

「…………」

「高校生……大学生? くらいの娘だし、あんまり過干渉されても面倒だと思ったのかもな」

「大学……? いえ、朝木さん、娘さんは中学生です」

「……ぱーどぅん?」

「娘さんは、今年で中学二年です」

 

 

 朝木は娘さんを見て、オレを見て、ユヅを見て、そして再び娘さんに視線を戻した。

 

 

「うっそだぁ!! だって中学生ってこのくらいじゃんッ!!」

「オレの肩に手を置くな」

「このくらいじゃん!!」

「ユヅの肩ならいいって話じゃねーよ」

「どう見ても……ッ」

「オイ今何見た」

 

 

 今明らかに顔から数十センチくらい視線が下に落ちたぞ。

 

 

「どう見ても小暮ちゃんくらいはあるだろ!!」

「まぐさん」

「マグッ」

「ぶあッづゥあッ!?」

 

 

 セクハラもいいところじゃねーかこの野郎。

 いや、まあ……まあ……その。思うよ、それは、正直言うと。全体的にデカいもん。170センチ手前くらい? 正直、オレも最初十八歳くらいだと思ったしさ。ビックリしたよ、十四、もっと言うと十三歳くらいって。

 それは分かってるから慎めよ。選べよ言葉を。小暮さん半分キレてるじゃねーか。

 

 

「俺からのコメントは差し控えさせてもらうが」

 

 

 でしょうね。

 

 

「隊長からは、可能なら現拠点に送るよう言われている」

「まあ、心配だもんね」

「皆はどう思う?」

「私は……どちらとも、まだ」

「オレは反対です」

「!?」

「あれ、お姉反対?」

「とう……アキラさんなら、賛成してくれると思ったが……」

「……まあ」

 

 

 ある程度落ち着いた今なら、言葉にしても大丈夫だろうか。

 東雲さんも人の言葉には耳を傾けてくれると思うし……まずは言ってみないと始まらないな。

 

 

「彼女が敵じゃないという保証は無いですよ」

「それは流石に考えすぎでは……」

「そうかもしれないけど、あんまりにもタイミングが良すぎませんか」

 

 

 そこから、先程までにこの娘さんを見ていて感じた事柄や推測を並べて、敵である可能性を羅列していく。

 勿論、そうであってほしくはない。しかし可能性としては常に頭の中に入れておかないといけないことだ。

 語り終えると、東雲さんは葛藤するように頭に手を当てて顔を俯けた。オレの言葉も考慮に値すると思ってくれたのだろうか。

 やがて東雲さんは苦々しい顔をこちらに向けた。

 

 

「どうするべきだと思う?」

「敵か味方か判別できるまで拘束してトラックの荷台に放り込む」

「……さ、流石に……酷、です……。私たちに、余計な……悪感情を、植え付けることになる、かと……」

「……そうですね」

 

 

 万が一本当に敵じゃなかった時、それだと無用な悪感情を植え付けることになる。物分かりが良い人間ならいいが、中学生となると……いちばん、感情のままに動いてしまう時期か。

 何があってもおかしくない、のかもしれない。恨みで人を後ろから撃つこともありうる。あまり良くない環境に置けばそれだけでこちらのことを嫌う理由にはなるだろう。

 

 ああ、もう面倒だな!

 敵なら敵ってはっきりしてくれりゃいいのに。そうすればとっとと縛り上げて余計な心配もしなくて済む。

 久川町の拠点に送るのは……内部から敵を誘い込まれる可能性もあるし……くそ! もどかしい!

 

 

「じゃあ、オレが監視してます。言い出しっぺですし」

「警戒しすぎではないのか?」

「……いえ、警戒してしすぎということは……ないと、思います。ヨウタ君が……今、あのような状態ですから」

「そうか……それもそうか」

 

 

 今は特にそうなんだが、少し潜り込んで胸にナイフでも刺せば、それだけでヨウタは死ぬ。いや、それされたら普通の人間みんな死ぬけど。

 ポケモンたちに警戒を任せているからよっぽどの手練れでもないとそれは極めて困難だが、それができるダークトリニティもまだ健在だ。ヤツらを呼び込まれてしまうと今度は流石にしのぎきれない可能性が高い。何より、オレたちの仲間として認めてしまうとポケモンたちが警戒の目を向けなくなってしまう。そうなったらもう手の打ちようがない。

 

 

「……では、一時的に俺たちが保護し、その上でアキラさんが監視を行う。安全が確認されれば、拠点に送る……そういう方針でいいだろうか?」

「異議なーし」

「……はい」

「右に同じ」

「同じく!」

 

 

 ……できることなら、何も起きないでほしいところなんだが。

 起きるんだろうなぁ、と半ば確信にも近い推測を立てながら、オレは眠り続ける少女の横顔を忌々しい思いをもって見据えた。

 

 

*1
雪夜叉伝説殺人事件(1993年。アニメは1998年放送)

*2
犯人たちの事件簿 ファイル4:雪夜叉伝説殺人事件(2017年)







・話題には出たけど本編の動向には一切関係ないパーソナルデータ
〇刀祢アキラ
年齢:18
身長:150cm強
**:普

〇刀祢ユヅキ
年齢:12(中一)
身長:150cm弱
**:微

〇小暮ナナセ
年齢:21
身長:170cm弱
**:爆

〇奥更屋隊長の娘
年齢:13(中二)
身長:160cm強
**:巨


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