深夜も三時を回った頃、長時間の睡眠の中で喉の渇きを感じたヨウタは、布団から軽く身を起こした。
六月も近いこの時期、気温は日ごとに高くなりつつある。ヨウタも長く旅をしてきて暑さとの付き合い方は理解しているつもりだが、だからと言って常に暑さを我慢できるかと言われればまた違う。喉の渇きそれ自体は体の水分が失われていることのバロメーターでもある。それをどうこうするというのは難しいというのが実情だ。
彼が今いるのはアキラの部屋だ。彼女の性格を表したように内装は丁寧に整えられており、普通に過ごすには特に過不足無い程度のものはあるが、飾り気はまるで無く、どこか寒々しいものが感じられた。
当然ながら、周囲に食べ物や飲み物などは無い。
「水、水……ぅぅぅ!?」
「あ」
さて、どうするべきか――と周囲を見回したところで、ヨウタはアキラが窓際でくつろいでいる姿を見た。
何やらジュースを片手に窓際に足をかけて外を眺めるその姿は、彼女の恵まれた容姿もあってどこか幻想的ではあるのだが――いったいこんな時間に何を、という気持ちも同時に湧いてくる。
「何やってんの……」
「……カッコつけてる」
「ええ……」
格好がついているのは確かだが、こうも真正面から言われてしまっては毒気が抜けるというものだ。
しかし同時に、ヨウタは彼女が嘘をついていることをその場で看破した。アキラは休憩中であろうとも無意味なことをするほど余裕のある人間ではない。
「下手な嘘はやめてくれるかな。こんな時にまで警戒?」
「仕方ないだろ。もう癖だ」
「ヨルノズクやホーホーも外に……いや何でそこにいるんだ」
「ホー」
窓際には、先ほど庭先にいたホーホーが一匹止まってアキラに撫でられていた。
夜行性のポケモンであるホーホーにとってはより過ごしやすい時間だろう。鳥類自体が人に慣れやすい動物ということもあってか、ホーホーは嫌がるそぶりの一つも見せていなかった。
「何かあれば分かるって、きっと」
「いや、これは……そういう問題じゃなくてだな……」
答え辛そうに顔をしかめるアキラだが、変に言葉を濁したところでヨウタにはすぐに分かるだろうと察したらしく、小さく息をついて語り始める。
「正直言って、このあたりの立地は、あまり良くない」
「そう……なのかな」
「そうなんだよ。目の前は海、後ろは山……ただでさえ今ここに反攻勢力が集まってるんだ。これで海から津波の一つでも起こされたら……」
「……被害は馬鹿にならないってことか」
「マグマ団にしろロケット団にしろ黙って見てる保証は無いんだ。本当なら先手を打って徹底的に潰したいけど」
「おい」
「……やらないぞ」
最近ヨウタの言動に遠慮の色が見えなくなってきている。それ自体に問題は無いのだが、時折アキラや朝木のそれに似た言葉遣いを見せることもあった。悪影響が出ていることを認識してアキラは小さくない後悔を感じた。
「実は黙っていたがわたしは内家拳の秘薬によってごく短時間の睡眠で問題なく動けるのだ」
「嘘つけ」
「ホントだぞ。見ろ、この秘薬
「没収!」
「ああっ」
それらしいことを言っているが、要するにエナジードリンクで無理やり眠気を抑えているというだけのことだ。
没収したエナジードリンクはそのままミミ子に横流ししたが、そのミミ子が七色に輝きながら頭を回している姿を見て流石のアキラも困惑した。
単に普段飲み慣れない元気の出る飲み物を口にしてテンションが上がってエネルギーが漏れ出しただけだが、それはそれとして何か変なものが入ってやしないかとヨウタも少しばかり不安になった。もしや頭の回転がというのはこういうことだったのであろうか。
「頼むから寝てくれないかな。そうじゃないと僕はちょっと実力行使するか、庭先にいるヨルノズクに頼んで『さいみんじゅつ』してもらうことになる」
「わ、分かった、分かったよ!」
ポケモンの技で眠らされてしまえば、どれほど気を張っていたとしても状況が変われば即応できなくなる可能性が高い。この脅しに限ってはアキラに対して効果はてきめんだった。
それにしても、彼女はやはりまるで自分の身を顧みない。その危うさこそが状況を打開するきっかけになっているのも確かだが、ヨウタからしてみれば「信頼できるけど信用できない」という奇妙な相方と言えよう。
そこでふとわいた疑問を、ヨウタは口にした。
「アキラってさ。自分のことはいつでも後回しだよね」
「優先順位つけてるだけだぞ。後回しにしてるのは、そうした方が結果的に生存に繋がるからだ」
「とてもそうは見えないくらい大怪我してるじゃ……ちょっと待って、じゃあ『大怪我止まりで済んだ』ってだけでそうじゃなかったら死んでたってこと?」
「可能性は高いんじゃないか」
そうまで言われてしまえば、流石のヨウタも言葉を返す気が失せてしまった。
あれはあくまで彼女なりに最善を尽くした結果なのだ。無論、肯定する気こそ無かったが、積極的に否定することも難しくなった。
もっとも、アキラの場合はやはり、自分はいくら傷ついても周りの無力な人々が傷つかなければOKという思考を持っていそうなことには変わりないが。
「……寝不足だと普段通りの力が発揮できなくて、今度はいらない怪我することになるよ」
「はいおやすみー」
「あ、こら。僕喉渇いて目が覚めたんだけど!」
「台所行って飲んでこいよ……」
その後は特に何か問題があるでもなく、喉を潤して就寝することとなった。
数分ほど、寝たフリをしてアキラがそのまま寝入ったのを確認すると、そこでようやくヨウタも眠りについた。
そして翌朝、当然のようにベッドにいないアキラのせいで、ヨウタは起き上がった勢いそのままに布団に頭から突っ込んだ。
「何やってんだアキラァァ――――!!」
思わず、彼は
「うるさいヨウタくん!」
「ごめんなさい!」
もっとも、その音量は少なからず近所迷惑としか言いようのないものだった。
「なーにー朝から……」
「起きたらアキラがいなくなってた!」
「庭先にいるよ?」
「へ?」
窓から顔を覗かせてみれば、確かにそこにはアキラがいた。
が、彼女一人というわけではなく、そこには朝木や東雲もおり、雰囲気そのものも至極真面目だ。何かが起きたのだろうということを推測するのに時間はかからなかった。
「また何かあったのか……」
「襲撃未遂。裏手の山見てみなさい」
言われてその通りに裏手の山に視線を向ければ、そこには非現実的な光景が広がっていた。
液状化したように、波打つ山。それだけでも随分なことだというのに、より一層異様なのはそれらが押し寄せてくる寸前の状態で停止していることだ。
山の周囲に立ち込める白い霧が、その場の気温がどれほどのものかということを物語る。
「うっわ……マジか」
事態を未然に防ぐことができたという意味で、アキラの予想が当たったこと自体は悪くないが、レインボーロケット団が安易に襲撃という手を取ってきたことについて、ヨウタは強い不安を感じていた。
「あれ……キュレムが?」
「みたいだよ。なんかね、裏手の山でみずタイプのポケモンいっぱい出して土砂崩れ起こして、このあたり巻き込むつもりだったんだって」
「で、それをデオキシスがエスパー能力で止めて、その間に朝木さん呼んでキュレムで凍結して」
「強引だけど、それしかないか。ていうかアキラは何で気付いたんだろう」
「気配だよ」
「寝てるのに……?」
「寝てても気付けるよ。ウチも気付いたもん」
「あれ、ってことはユヅも行ったの?」
「うん。楽勝だったよ!」
いつの間に、という思いと同時に、じゃあ寝てた方が良かったのではなかろうかとヨウタは感じざるを得なかったが、それはそれで感じ方が違うし、寝入っていたら判断力が鈍ってしまうということもあるのだろうと納得することにした。無理やり自分を納得させただけで本質的に納得できているとは言い辛かったが。
「みんなはなんて?」
「マツブサが誤魔化すのが限界にきてるんだろうって。今、早めに打って出ようかどうしようかーって話してる。ヨウタくんはどう思う?」
「それは僕もそうした方がいいと思うけど。反対意見も出てる?」
「守りを疎かにした瞬間に来るだろうって」
「ああ……だろうね」
戦力比そのものは埋まりつつあるが、数的不利は未だ歴然だ。数を頼みに攻められた場合、守り切れなくなる場所は必ず出てくる。
現在はヨウタたち七人が単独で動いているからこそ、自衛隊やそれに協力するレジスタンスが防衛に集中できているという事情もあるのだ。安易に反攻に出た時、レインボーロケット団を撃滅はできるかもしれないが、この世界の被害もまた甚大なものになるだろう。それは誰にとっても本意では無かった。
やがてヨウタたちが起きてきたことに気づいたらしい東雲たちが、気さくな様子で手を挙げて挨拶を向けてくる。
一方で、アキラの顔は気まずそうだった。
「おはよう、皆。ゆっくり休めたか?」
「そこに休めてない人がいるけど――逃げるなアキラ」
「言われてんぞアキラちゃん」
「しょうがないだろ手打たなきゃここ全滅だぞ……」
「だったらだったで今休んでなきゃじゃないか」
彼女の言わんとすることはヨウタも理解できるが、睡眠時間を削ることとは話が別だ。唇を尖らせて叱責する彼に、アキラも強く言葉を返せなかった。
「お姉、おばーちゃんち守らなきゃってすっごい気合入ってるから……」
「おばあちゃんっ子すぎるでしょ」
「それはともかく!」
「露骨に話題逸らしてる」
「ヒナうっさい!」
「で、それはともかく?」
「ああ、それはともかく。朝飯食ったら公民館の隊長さんとこに集合だからな」
その提案に否定するべきものは、今のところ誰にも無かった。
が、それはそれとしてこのままではいけないと断じてヨウタは近くにいたホーホーに「さいみんじゅつ」を使ってもらってアキラを即座に眠らせることにした。
一時間ほどして、朝食を終えたヨウタたちは、「さいみんじゅつ」から目が覚めたアキラを伴って公民館に設置された臨時の対策本部へと赴いた。
公民館の中には所狭しと資料が並べられており、現在の戦況やレインボーロケット団についての情報が記されている。
室内には隊長――ヒナヨの父である奥更屋のみならず、愛媛・香川のレジスタンスを統括していた宇留賀もその場にいた。
「おはようございます、隊長さん。宇留賀さんたちも」
「おはよお父さん」
「ああ、おはようございます。ヒナヨもおはよう」
「おはよう」
彼らの返す言葉は穏やかでありながらも、状況を反映してか僅かに緊張感をはらんだものだった。ヨウタやヒナヨ、ユヅキのようなある程度配慮すべき子供が混じっていなければ、場はより強い緊張感に包まれていたことだろう。
「奴らから情報は得られましたか?」
「ダメだ。知っていることばかりだな」
「下部構成員に無暗に情報を流さないのは鉄則ですからね」
先に東雲たちが倒したレインボーロケット団員は全員捕縛したが、尋問の成果は芳しくなかったようだった。
アキラたちは元々期待していなかったこともあり、そちらの話は適当に切り上げることとした。重要なのはそれよりも今後のことだ。
「二度目の襲撃はあると見ますか?」
「……まず、間違いなく」
「同じように土砂崩れを起こすか、もしくは津波でも起こすと思います」
「……空爆ということも、あるでしょうか」
隊長の言葉に応じて、ナナセとアキラが今後ありうる事態への可能性を示す。
無論、可能性を論じるだけならばどうとも言えよう。レインボーロケット団の構成員も無限というわけではないのだから、二度目はあっても三度目まで必ずあると言い難いのが実情だ。散発的な襲撃を嫌がるのは、何もレインボーロケット団側だけではない。
「今は山の整地に人員を割いている状況です。これでは何をしようにも難しい……」
「奥更屋隊長、どう攻勢に出る?」
「それは……どうしたものでしょうか。戦力が足りません」
「そっちは僕たちが行きます。伝説のポケモンたちは……すみません、他の人には制御できそうにないですから」
「……少数精鋭での奇襲からの、電撃戦……くらいしか、無いでしょうね」
「問題は倒さなきゃいけない相手……だよな」
「マツブサの言葉が確かなら、一人から二人ほど脱落させられる可能性はあるけど最大でフラダリとアカギ、アオギリ、ゲーチス、サカキの五人か」
「あとアルドスもね」
「ヨウタくんとお姉がタワーに行ってサカキ倒して、ウチらがボスにカチコミする?」
「いや流石にそれは危険すぎるでしょ……」
タワーに常駐しているのはゲーチスとサカキの二名だ。その内、ゲーチスの無力化はそう難しくないものとしても、最も危険なのは二体のミュウツーを擁するサカキとなる。
可能ならばダークトリニティがタワーにいないタイミングを狙って襲撃を行うべきだが、それが叶うタイミングもそうは無い。ほぼ確実に彼らと矛を交えることになると、アキラは覚悟していた。
「本音を言えば、民間人の君たちには戦ってほしくないが――」
「失礼します!」
「――何事か!」
そうした折、突如として部屋の扉が開いて焦りを表情に映した自衛隊員が駆け込む。同時に、室内の空気が緊張の一色に染め上げられるのが誰からも感じ取れた。
「急報です! レインボーロケット団、徳島市にて蜂起! 徳島市残存レジスタンスより救援要請が!」
「「「!」」」
「マツブサからの連絡は?」
「……ありません。恐らく、命令系統から外されているのではないかと」
その報告が駆け巡ると同時、自衛隊員とレジスタンスの面々が騒然とし始める。
愛媛から見れば、正反対に位置する徳島での武力蜂起だ。「状況が動いた」と言うならこれ以上無いまでに状況は動いているが、事前に報告を行うとしていたマツブサからの連絡は無い。今まさに虐殺が起きようとしているというのに、そうするまでも無い――ということはありえないだろう。
「なあ。もしかして、ダークトリニティに……」
「ありえないことじゃないけど……」
「小暮さん、これ、罠ですよね」
「……恐らく。この場の守りを薄くしてから、再度の襲撃を行うのではないかと」
顔を青くする朝木とは対照的に、アキラとナナセは至極冷静だ。最悪の状況を加味した上で、更にその上から最悪が覆ってくる可能性も捨てきれていない。
こうなれば、超長距離を移動できるデオキシスでなければこの状況を覆すことは容易ではない。
「今すぐ向かえるのはわたしだけか。ヨウタ、守りは……」
「いや、待ちなさい。救援には我々自衛隊が向かおう」
――「普通」ならば。
「え……?」
想定外のその提案に、アキラは首を傾げた。徳島までどれだけ頑張っても数時間は必要だ。ひこうタイプのポケモンを活用したとしても、上空で撃ち落とされる可能性を加味すればより危険性は増す。だというのに、なぜそのような提案を――そう思った彼女の疑問に応じるように、地図が広げられた。
更に、宇留賀がそれに追随するようにずいと前にでる。
「――例の計画の成果を披露する時が来たようだ」
「え、え……?」
「全体出撃準備!」
「「「「「了解ッ!!」」」」」
「ちょ……お父さん?」
娘の疑問にも安易に応じることなく、隊長は外に出ると地面を――ただの地面であるかのように巧妙にカモフラージュされたシートを引き剥がし、その下に隠された謎の扉を露わにした。
公民館横の地面に何を作ってるんだこの人、と唖然とする面々をよそにして、隊長と宇留賀はそれを開いてずんずんとその奥へと進んでいく。
かんかんと音を立てるのは、即席で設けられた金属板でできた階段だ。どうやら扉は地下に繋がっているらしかった。
遅れまいとそれに追随した一同は、その先で驚くべきものを目にする。
「……ち……地下トンネル?」
――どこまでも続くかのように長く、そして広く掘られた地下トンネルである。
「君たちが出て行ってしばらく、ポケモンの力を借りて掘り進んでいたのです」
「外の公共交通機関は使えない。高速道路も、主要道路も含めてな。だから代替になる交通手段がどうしても必要だった――名付けてディグダXトンネル」
「エックスハイウェイのパクりです?」
「オマージュだ」
四国の主要高速道路は、四国東部にてX字に交わり、各四県へと接続する特性を持つ。それを真似てディグダやダグトリオ、じめんタイプのポケモンたちの力を借りて作られたのが、このトンネルである。
四国中央部で分岐し、主要四都市へと繋がる直通のトンネルだ。通常の道路を利用すれば数時間はかかる道のりであっても、直線距離でならばそう大したものではない。さえぎる物がないというのならなおさらだ。
「ディグダグダグ」
「ディグディグ」
「皆、ご苦労。よく休んでくれ」
誇らしげな顔をしたディグダたちが顔を覗かせると、彼らを労わるように隊長はボールへと戻してやった。
「……な、なるほど……え、えっと、でも、距離とか」
「それなら問題ありません。総員、騎乗!!」
「「「「了解!!」」」」
ヨウタの疑問ももっともなものだったが、隊長の回答はそれをより上回っていた。
地下に降りてきた自衛隊員やレジスタンスの面々が次々と、ウインディやギャロップ、ドードリオ、ゴーゴートといった長距離移動に向いたポケモンたちを繰り出していく。
唖然とする面々に、隊長はしてやったりとでも言わんばかりに皺だらけの顔に微笑を浮かべた。
「やるものでしょう、我々も」
自衛隊にも意地がある。秩序を守らなければならない側として、いつまでも民間人に頼り続けるというのは矜持に反する事態だった。
故に、必死でポケモンたちと鍛えなおした。元より、秩序を守らねばならない立場の組織として厳しい訓練が課せられるのが軍隊というものだ。より一層護国の意志を固めるのに、これほど適した環境も無い。
無論、度重なる命懸けの実戦によって徹底的に鍛えられてしまったアキラたちと比べれば……という部分はあるものの、それでも一線級の実力を備えていることはヨウタの目からも明らかだった。アキラやユヅキが異常なだけだ。
「徳島の件はこちらが担当する。君たちは主力として町の防衛を頼みたい」
「分かりました……」
「東雲、貴官は引き続き彼らの護衛を遂行せよ」
「りょ、了解!」
「出撃! 総員、徳島市を奪還せよ!」
「「「おおおおおー!!」」」
自らを鼓舞する雄々しい叫びと共に、自衛隊とレジスタンスの混成部隊は凄まじい勢いでトンネルを駆けて行った。
距離にして一万キロを一昼夜で駆け抜けるウインディや、ポケモン世界の新幹線よりも速いとされるギャロップの力を借りた移動だ。当然、その速度は乗用車のそれよりも遥かに上回る。一時間か、もしかすると数十分もせずに彼らは徳島市までたどり着くだろう。
アキラたちは未だ唖然としてはいるが、やがてその姿が見えなくなるとようやく落ち着きを取り戻して地上へと戻った。
「デオキシス、偵察を頼む」
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デオキシスの数十体もの
やがて数分もせず、デオキシスとアキラの目が見開かれる。表情の分かりづらいデオキシスと違ってアキラは強い焦りを表情に映している。何かを感じ取ったようだった。
「何があった?」
「――ッ戦闘準備!」
アキラは即座に外に飛び出すと、公民館のある通りから更に外へ――海の方へと向かって駆けだしていく。
その視線の先には海が――そして、その上空に立ち込める暗雲が映し出されていた。
「――――奴ら、