キャラクター紹介についてですが、後編作成後に投稿を予定しています
「お前…渉か?」
団長に廃工場を調べろと言われ…そこで遭遇した怪物女の一言で暴走した姐さんを抑えて帰ろうとした矢先、俺は珍しい人たちに出くわしていた。
中でも一番見知った顔…駒王じゃ知らない奴は居ないとされる変態三羽烏の一人、兵藤一誠が驚いた表情で此方を見ている。
「どう見ても俺でしょ。何言ってんの?」
「いや、だって!お前…2週間前に死んだんじゃ…」
兵藤…いや、イッセーの言葉を聞いてふと思い出した。
ようやく慣れたと思っていたが…そうだ、俺は2週間前のあの日、ヒトとして死んでしまっているんだった。
「と、そうだったな…俺ってもう人間じゃねぇんだっけ」
「ちょっと待ちなさい、勝手に話を進められてもついていけないわよ」
ズキン、と思い出したように痛む、鼓動を感じない胸に触れ複雑そうに呟く俺とイッセーを見かねたのか、先頭に立っていた紅い髪の女性が俺達に声を掛けてきた。
たしか…そうだ、女子が噂していたリアス・グレモリーって先輩だっけ。
「そこのはぐれ悪魔…バイザーを殺したのは、あなた達ね?」
『はぐれ悪魔?』
先輩の言葉に首を傾げながら、俺達三人は殺された怪物女の死骸を一瞥する。
「コイツ、バイザーって名前だったのか」
「それに、見てくれは別として生物だったみたいです」
「てぇと何だい、アタシ達と違う存在って訳かい」
死体を眺め、其々思っていた事を口にする。
この怪物女は人間とは全く違う気配だった。
だが…俺達怪奇ともまるで違う、異なる存在。
そして…
「ちょっと、私の質問に答えてくれないかしら?」
あの先輩を初め…イッセー達5人からも同様の気配を感じる。
つまりは、あの5人とこの怪物女…バイザーは同類だと仮定がたてられる。
「あなた達、此処がグレモリーが管理する土地だと知っていて事を働いたのかしら?」
俺達が考察に没頭していたのに苛立ちを見せた先輩が、眉間に皺を寄せて俺達に声を掛けてきた。
「やかましいねぇ…余所者が我が物顔でデカい口叩くんじゃあないよ」
売り言葉に買い言葉、とはよく言ったものだ。
先輩の言葉に苛立ちを見せた姐さんが殺気を込めて5人を睨む。
姐さんだけじゃない、よく見りゃ妃姫子さんも5人を睨んでいた。
『っ…』
姐さんと妃姫子さんの殺気に充てられたんだろう、5人は表情は様々だが身構える。
一触即発、とはこの事なんだろうな。
だが…。
「ストップ。そこまでだよ、姐さん」
面倒事を起こして目をつけられんのは勘弁なんだよな。
俺は、姐さんの肩を掴んで制止させた。
「…ワタル、手を離しな」
此方を見ずに姐さんは口を開くが、その怒気や殺気はひしひしと伝わってくる。
だが、ここで引き下がったら姐さんはあの5人を相手に大暴れするだろう。
「それは出来ないよ、俺達が団長に言われたのは此処の調査だけだ。あの5人と事を構える事じゃない」
それに…。
「此処で大暴れしたら、今後俺達が活動し辛くなる。だったら…一旦退いた方が得策だよ」
俺が思うに、あの5人には後ろ盾があっても可笑しくない。
そいつらに目を付けられたら、それこそ彼女達が我が物顔をする切っ掛けになるだろう。
「…分かったよ」
「ありがとう、我慢してくれて。…悪かったね、姐さんは見ての通り血の気が多くてな」
俺の言葉を聞き、怒りの矛先を納めてくれた姐さんに礼を言うと、一歩前に出て先輩達に声を掛ける。
だが、姐さんの殺気に充てられた5人は警戒を解いてはくれず警戒したまんまだ。
「俺達が此処に居るのはある人からの命令でね、最近『噂』になっている廃工場を調べてこいって言われたからなんだ」
「だからと言って、はいそうですかと引き下がる訳にはいかないわ。バイザーを殺したあなた達が何者か、私たちは知る権利があるはずよ?」
俺の言葉に先輩は引き下がらずに言葉を紡ぐ。
こういう手合いは苦手なんだが…まぁ、警戒する気持ちは分からなくもない。
「それを話すには確認が要るからな…そうだ、明日の晩にでも其方へ挨拶に行くよ。そこで俺達について話をしよう。事を働いたのは此方だし、トップが謝りに来るのが筋だろう?」
「…そうね」
それでも引き下がってもらう為に紡いだ俺の言葉に、先輩は少し冷静さを取り戻したようで場所の指定をしてきた。
だが…先輩は知らない。
指定された場所を聞いて…俺達の口角がつり上がっていた事を。
会合の場所として指定されたのは…駒王学園の
「…で、その
あのいけ好かない外来種とワタルが話をつけ、アタシ達は小学校に帰って事の顛末を花に話していた。
「アイツは外来種には後ろ盾が居るから、あそこで事を起こせば余計にややこしくなると踏んでいたみたいだけどね」
廃工場の時と違って冷静さを取り戻した今、改めて考えるとワタルの判断は間違いなかった。
事を起こして仮に彼奴らの後ろ盾に気疲れでもしたら、最悪危険分子として付け狙われても可笑しくない。
まったく…元人間ってだけで、こうも頭が働くもんかねぇ。
「…で、会合の場所として選ばれたのはワタル君が通っていた学校の旧校舎、と」
「えぇ。場所を聞いた時は思わず笑いそうになりましたよ」
横で聞いていた模型と妃姫子が面白そうに話をする。
確かに、あの時はアタシも大笑いしそうだった。
何せ、向こうが指定したのはアタシ達にとって
「そういえば、ワタルは?」
アタシ達との会話に夢中だった花が、思い出したようにワタルを探して辺りを見回す。
「あぁ…ワタルなら、気になる事があるからって図書室さね」
「うぅむ…」
工場での一件の後、俺の頭の中に引っかかる物があった。
一つは、バイザーと先輩に感じた同様の気配。
そして、先輩のファミリーネーム『グレモリー』。
生前、オカルトに没頭して調べものをしていた時にチラッと見た覚えのある言葉だったんだ。
だから、図書室に来てみたけど…。
「小学校の図書室じゃ分かる訳ないか…」
読んでいた本を閉じて溜息を吐く。
図書室に来れば何か分かるかも、と思っていたけど良く考えりゃ小学校の図書室にある物は児童書籍ばかりだ。
「ワタル君、調べものは見つかったかい?」
凝るはずもない首を生前の癖で回していると、後ろから声を掛けられた。
振り返った先には、薪を背負い、本を片手に持った石像。
最近は親からの苦情で見る事が少なくなってきた怪談の一人『動く二宮金次郎像』だ。
俺達は某有名アイドルのあだ名に因んで「ニノさん」なんて呼んでいる。
「いや、それが児童書籍ばかりで中々ね」
「そっか…」
俺の溜息まじりの言葉にニノさんも残念そうに肩を落とす。
調べものに来た時からニノさんは俺を手伝って片っ端から本を集めてくれたから、力不足だったと落ち込んでるんだろう。
どうしたものか、と考えながら図書室の中を見ていた時…俺はある物を見つけた。
「!そうか」
「ワタル君?」
閃いた、というより思い出したような俺の呟きに首を傾げるニノさんを他所に、俺は図書室のカウンターに置かれたパソコンに向かう。
本で見つからないなら文明の利器。
何故そんな事に気付かなかったのかと内心呆れながら俺はパソコンを立ち上げた。
「本で駄目ならネットで調べりゃ良かったんだよ」
「でも、図書室のパソコンはネットにつながってないんじゃ…」
ニノさんの言う通り、この学校の図書室に置かれてあるパソコンはネットが繋がっていない。
だけど…そんな問題はアイツに関係ない。
「だからこそだよ…仕事だぜ?『紅い部屋』」
デスクトップが映ったパソコンに向かい声を掛けると…ネットが繋がっていないはずのパソコンに検索エンジンのウインドウが浮かび上がった。