FAIRY TAIL The Travelogues of Phantasm 作:水天 道中
それではラストバトル後編になる第11話、どうぞ!
レンカはナツが吹き飛んでいった先を後ろ頭を
──もしかして、やり過ぎちまったかね?
しかし直後、夜空の一点にキラリと光る物体を見つけ、レンカは不敵な笑みを浮かべて構え直した。ナツがその両手に、雷をまとった炎の尾を引きながら降り注いできたのだ。
見開かれた
「雷炎竜の──
技の勢いに重力加速度をプラスアルファした急降下
1
アシュリーは、二人が
──直後、アシュリーの予想を大きく上回る現象が起こる。
二人がぶつかった
──試合はッ?
落下の衝撃をやり過ごしたアシュリーが闘技場中央に目を
しかしその戦闘は、ほんのわずかずつ一方的な展開を見せ始めていた。
──レンカが、ナツの
ナツはレンカが
レンカは立て続けに神速の
その彼の身体の至るところには、いつの間にか
自分は知っている。
──
レンカは、何度目にもなるナツの
ナツの姿を見る。彼は真っ
『
『彼らの共通点として挙げられるのは、
「──ドラゴンフォース、ね……」
レンカは思わず
──こりゃあいよいよ、ここいら一帯の自然エネルギー全部を使わなきゃ、さすがのあたしにも勝ち目が見えなくなってきたよ。
レンカは静かに目を
生命あるものはいずれは
天の
脳裏を
そして──
地鳴りが大地を
レンカが両
「
「滅竜
腕を振り降ろすと共に放った岩盤が、雷をまとった
やがて、降りそそぐ岩盤にヒビが入る。それはみるみるうちに全体に及び、紅蓮の
だが、レンカの意中からはもうそんなことも
レンカの
「
「
両者の技が
『あぁーッと、ついに日の出を
ルーシィは、祈るような気持ちで戦局を見守っていた。
ナツもレンカも
しだいに白煙の帳が晴れていき、ナツたちの姿が
──しかしその時、ナツの体が
「レンカッ」
「お
「「「「「「ナツ」さんッ」」」」」
ボロクズのように倒れ込んだナツにすかさずウェンディが駆け寄り、
彼は少しの間眠るように目を閉じていたが、すぐに「いッてて……」といってゆっくり
「ナツ、大丈夫!?」
「しっかりしろ、ナツッ」
ルーシィとグレイの言葉に、ナツはゆるゆると視線を動かし、
「試合は……どうなった……?」
その言葉に全員が気まずげに彼から視線を外した。
先ほど、確かにナツはレンカより先に倒れていた。あれでは、試合の結果は……。
その時、カツカツ、という、
「いやぁ、感服したよ、ナツ・ドラグニル。この勝負はあんたら人間側の勝ちだ」
「え……? だって、最後は、ナツが、先に……」
ルーシィの言葉に、レンカは後ろ頭を
「確かに、倒れたのはそっちが先だ。けど、戦ってる時、
どうにも不思議なことなんだが、あたしはあんたらよりもずっと前に
「──前にもそんなこと、言ってたわよね?」
苦笑する彼女の後ろからミレーネが声をかけた。
「たしか……『紅白の
鬼の少女の問いかけにも、レンカは
「……わからん」
2
そこからは、
館の修繕が無事終わると、今度は巨大な
親善試合に参加したすべてのメンバーは、レインを始めとした
ルミネア率いる
人間、妖精、鬼、
自分は、前者でありたいと思う。少なくとも今は。
「ここ、いいかしら?」
「あぁ──ッて、え……?」
反射的に返答してから質問の主を確認して、グレイは
しばし、居心地の悪い
「……もう、落ち着いた、のか……?」
気まずさを打開するべく
「えぇ、レンカに説教されたお陰で、だいぶ」
「そ、そっか……」
そのまま会話の糸口が見いだせないでいると、今度はミレーネが口を開く。
「ねぇ……良かったら、あなたのこと、もっと詳しく教えてくれない?」
「え?」
見ると、鬼の少女は体をひねり、こちらに軽く身を乗り出してグレイをまっすぐ
「あなたはなんで、悪魔の力を使えるの?」
その言葉に、グレイは考え込む。
「そうだな……。どっから説明すっか……」
グレイは
「
「あぁ、知ってるわ」
「そうなのか?」
「えぇ、だって私達鬼は、一度悪魔との戦争に負けて
「そうか……。あぁ、それで、俺達もそいつと戦ったんだが、そいつに操られてた死体の中に、俺の──
「え……?」
「親父は、
だから、俺は、親父の遺志を
ちらりと視線を向けると、ミレーネは
「ごめんなさい。あなたのこと、ろくに知りもしないであんなことしてしまって……私が悪かったわ……」
その言動にグレイは
「あぁいや、それを言うなら俺だって、アンタ
グレイが笑ってみせると、ミレーネは束の間
「フッ、ありがとう。あなたって、案外優しいのね」
その言葉に、グレイはムッとして
「『案外』は余計だ」
再び訪れる静寂。しかし、今度は居心地悪くはなかった。
会話が
「──いやぁ、おアツいですねぇ。それで、初デートはどこになさるんです?」
いきなり背後からかけられた声にびっくりして振り返ると、そこにはいつの間にか頭に赤い
「お前は……ッ。たしか……
「おぉ、まさかあのグレイさんに名前を覚えて頂けるとは、光栄です〜ッ。はい!
グレイの反応に、文はグレイの手を持ってブンブンと振ると、その場でビシッと敬礼する。
グレイは彼女のペースに流されそうになりながら、
「けど、何だよ初デートって。俺たち、別にそういう関係じゃねぇぞ」
そこでちらりと
マズい。非常にマズい。
しかし、文はそんなグレイの言葉が聞こえていないのか、なおも
「それにしても、人間と鬼が付き合うことになろうとは……いやぁ、時代も変わりまし──がふぅッ」
だがそこで文の言葉は途切れた。ミレーネがカップを手に持ったまま、反対の腕で思い切り彼女の腹に
文は体をくの字に曲げ、腹を押さえて口を開く。
「ゲホッ、ちょ、ミレーネさ……ゴホッ、実力行使はないですって……。骨、折れちゃいます……」
「あら、だからそうならないように、ちゃんとお腹を
愛剣・シラナミを出して
「ひッ、お、お助けええぇぇッ!」
悲鳴を上げながら走り去った文に、ミレーネは吐き捨てるように言い放つ。
「まったく、
グレイは
「あ、そういえば、アンタは紅茶なんだな」
その言葉に、ミレーネも手元に視線を落とす。
「あぁ、これ? そうよ。私はお酒よりこっちの方が好きなの」
なおもグレイが眺めていると、
「別にお酒が飲めない年齢ってわけじゃないのよ?」
グレイが降参を示すため手を軽く上げると、ミレーネは続ける。
「あなた、いま
「えッ? あぁ、
するとミレーネはフッと笑みこぼれた。
「私たち鬼は、みんな軽くあなたたち人間の百倍は生きてるわ」
「ひゃく……ッ?」
──じゃあアンタは、一体いま何歳なんだよ?
ミレーネはグレイが固まっていることには気づかず「あら、レンカは三千歳いってるんだっけ?」と独りごちると、「あ」といって
「そういえばあなた、最初に会った時、どうやって私に
彼女のはす向かいに座るエルザは、紅茶のカップを降ろしてから平然と答えた。
「あの時お前が何をしていたのかは、ナツ達の様子を見ていてなんとなく分かった。攻撃については、すべて私の推理に
「勘……ですって……?」
ミレーネが固まっていると、近くのテーブルの上で魚を食べていたハッピーが口を開く。
「エルザは
「五感を操作……
いまだ
「あ、それだ! そのキョウカっていう奴がエルザの五感を全部奪ったんだけど、エルザはそれでもそいつの位置をしっかり捉えて逆転したんだ!」
「えッ? な、なんッ……。えぇえ……?」
余りにも大きな衝撃に連続で
グレイはそんな彼女の普段からは考えられないほど間の抜けた声と表情に、爆笑したい
「あ、ちょっとリドラッ? 私のソーセージ返しなさいよ!」
「代わりに
隣で食材を取り合うシアンとリドラを眺めながら、ルーシィは知らず笑みこぼれていた。
しかし、その
「食材で遊ぶな
「
「いーや、シアンがもたもたしてるのが悪いね」
「なんですってぇ!?」
「
「あはは……。この料理って、あなた達が作ってるんだっけ?」
苦笑しつつルーシィが質問すると、少年、ベルクスはすぐに穏やかな表情になって答える。
「あぁ、確かにそうだ。料理は基本、
「うん。とっても
「そっか、そりゃどうも。──ホラ、お前等もこのお姉さんを見習え」
なおもわめくシアン達をベルクスがなだめていると、彼の背後から黒いネコ耳に赤いおさげ髪の少女が寄ってきた。
「ベールくん♪」
「なんだよ今度は……。いま
「えー、なにその反応。傷つくなぁ」
「じゃお前がこいつ等の相手しろよ」
「──やだ」
「……。テメェ、あのなぁ……」
即答したリリスに、ベルクスが
「それよりさ、ちょっとお願いがあるんだけど」
「なんだよ?」
「いまここで、『
「……は? なに、お前? 遂にMに目覚めたのか?」
「違うよぉ、『遂に』ってなに!? あたいにじゃなくて軽くで良いから
要領を得ない顔ながらもベルクスはルーシィ達から距離を取る。
「危ねえから下がってろよお前等。──『水蛇突咬』ッ」
軽く突き込まれた
「お〜、久しぶりだね
「「…………は?」」
ルーシィとベルクスの声がハモった。
「よしよし、いい子だねぇ」
ベルクスは固まっていたが、すぐに
「おい、ちょっと待て。なんでこいつがお前に
ひと通りベルクスがツッコみ終わると、リリスが答えた。
「いやぁ、あたい達で、その剣取りに行った時あったじゃん? その時あたいがその剣に触れて
「なんだそりゃ」
その時、水蛇改めサーペントがくるりと回頭すると大皿から
──だから、なんなんだよお前は。
「ねぇねぇ」
バイキング制の食事を皿に取っていたカリンは、横合いから
「なにかしら?」
紫髪の少女、ネフィリムは大きな
「あなたってトレジャーハンターなんだよね。セリナちゃんから聞いた」
その言葉で、カリンは彼女の言わんとすることを察する。ベルクスの話では確か、彼女の種族は
「そうよ」
「じゃあさ、いま宝石持ってる?」
「いまは無いけど、
カリンが掌を差し出すと、その中に大粒のルビーが出現する。
「わぁ、
「あッ、それは魔法で造ったものだから──」
カリンの制止も聞かずにその手からひったくられたルビーは、ネフィリムの手に渡った数秒後、
ネフィリムはムッとした顔でカリンを見上げる。
「消えない宝石出してよッ」
「だからいまは無いって言ってるじゃない!」
カリンが叫ぶが、ネフィリムはすぐに違うものに気を取られてそちらに走っていってしまった。
カリンは大きな
「ラグリア、ちょっとあれ見て」
「ん? あぁ、あれね……」
ラグリアはカリンが指差す先を見て
ネフィリムの走っていった先にはセリナやルミネアを始めとした妖精達が集まっていた。
「セリナちゃん、前はあんなにヒトと付き合うのを怖がってたのに、いまはもうあんなに楽しそう」
「そうだね……。いままで本当に、よく
「はい、またまたこのコーナーがやって参りましたッ。
「私は橙鬼館の門番をやってる、ミレーネ・カトラシアよ。よろしく」
「ミレーネさぁん、そんなに嫌そうな顔しないでくださいよぉ。スクープですよ? 今回の一面飾るんですよ?」
「やかましいわね……。私も
「あぁ、わかりましたすいませんって。……それでは今回はミレーネさんに、普段の警備の仕方について、
1、『
いつも仕事でやってることね。『水滴千里眼』は私が使う技の中でも特に消費する
2、侵入者を見つけたら、『
これには侵入者を
3、相手の
ここでようやく、私の出番ね。さっき『濃霧帯』で侵入者を動揺させるって言ったけど、そこで戦闘能力も分析する必要があるの。戦闘能力のない人間に
4、侵入者が警告に応じない場合、
これは私の仕事の中でも一番楽しい作業ね。視界がほとんど真っ白の状態で脅かした時の人間の反応といったら……フフッ。
4番の説明は特にいらないわよね? そのままの意味だし。
「ざっとこんな感じね」
「はい、ご
そして読者の
「「しーゆーあげいん」!」
3
どうやら昨晩の内に情報が行き渡っているらしく、山の中腹にいるはずのモンスターが飛び出してくるようなことはない。
「行きは大変だったけど、帰りは楽ちんだね」
ハッピーの言葉に、ウェンディが応える。
「スミレ山、大きかったもんね」
「そういやこの
ナツの問いに、今度はカリンが答えた。
「いいえ、失敗どころか大成功よ。あなた達のお陰で、私達は期待していた以上のものを得られたもの」
「
ラグリアの言葉に、セリナが彼を不安そうな
「また、
その問いに、ラグリアは笑って答えた。
「あぁ、セリナが望めば、きっとまた彼らは
「そっカ、良かっタ」
「ところで、
グレイが言うと、カリンが再び口を開く。
「それについては、期待してくれていいわ。皆にピッタリな、とっておきのものを用意してるから」
「また変な料理だったり──みぎゃッ」
何事か
山の
「ふ〜、やっと着いた〜」
「そうか? 結構すぐだったじゃねぇか」
ナツの言葉に、ルーシィはチッチッ、と指を振ってみせた。
「こういうことは、気分が大事だったりするものよ」
「それじゃ、私は報酬を取ってくるわね。入って待ってて」
そう言って、カリンが一足先に自宅に戻る。
「報酬、何だと思う?」
「カネだけじゃねぇことは確かだな」
ハッピーとグレイを落ち着かせるように、エルザが口を開く。
「報酬よりもまず、依頼を達成出来たことに感謝せねばな」
「難しいコト言いやがる」
「石頭だねエルザは」
「──なにか言ったか?」
エルザがキロリと
「「ルーシィが」」
「えッ? なんであたし!?」
ルーシィが
「さぁ、皆の分あるから取っていって」
見る限り内容物は同じようなので、各自で手に取り中身を
中には、いくらかの
「これが報酬か? ただの金貨じゃねぇか」
ナツの言葉に、しかしカリンは意味ありげな笑みを浮かべる。
「特別なのは、これからよ。──あなた、ちょっと」
カリンに
「特別って言ったのは、これのことなの」
目線で
ルーシィは恐る恐る、閉じていた手を開き、それを見る。と、次の
「ルーシィさん? どうしたんですか?」
「何か変なものだったのか?」
「ちょっとアンタねぇ……」
ウェンディに続いて口を開いたナツを、シャルルがたしなめる。しかし、ルーシィにはもうそんな言葉も聞こえていなかった。
閉じた手を開き、もう一度見る。何度見ても見間違いようがない。
金色に輝く、美しい
しかしただの鍵ではない。この世にたった十二種類しか存在せず、ルーシィとともに数多くの
気づけばルーシィの
「──おかえり、アクエリアス」