FAIRY TAIL The Travelogues of Phantasm   作:水天 道中

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本編に入る前に、今回も少しばかり、活動報告があります。

まずは、第17話から登場したスティングについて。
前回18話において『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』に対するスティングの口調を丁寧語でほぼ統一していましたが、これまでの期間に描写を修正しています。
冥府の門(タルタロス)編』の描写を改めて確認したところ、彼は他ギルドのメンバーに対して敬称はつけていますが、その他はくだけた口調になっていたからです。

次に、第8話にて語られたミレーネの座右(ざゆう)(めい)の文面を変更しました。
というのも、以前の文面ではどうにもリズムが悪く、格好がつかないと前々から気になっていたからです。設定集の該当箇所についてもすでに修正済みです。

それでは本編、スタートです!!


第19話 戦友(ともがら)(つど)いて弓張り月

「だいたいの事情は手紙で読ませてもらったよ。今回の一件、僕たちも力を貸そう。なにか手伝えることがあったら何でも言ってほしい」

 ラグリアの言葉に、ルーシィは顔をほころばせた。

「本当ですか? それじゃあ……」

 現状をかいつまんで説明し、スミレ(やま)に手紙の返事を出したい(むね)を告げると、ラグリアはすぐに(うなず)く。

「わかった、それなら僕が届けに行ってくるよ。返事を書き上げるまでは、ギルドの修繕(しゅうぜん)の手伝いでもして待ってるから、準備ができたら声をかけてくれ」

「よろしくお願いします」

「──お、おい、ルーシィ?」

 背後から呼びかけられて振り向くと、メストが困惑し切った表情でこちらを見ていた。

「……あ」

 そこでようやくルーシィも気づく。成り行きでラグリアに任せることになったが、つい先ほど、メストが手紙を届けると決まったばかりではないか。

 しかし訂正しようにも、ラグリアはすでにマカロフと話し込んでいるし、労力や時間的な問題を考えても彼の方が適任だろう。

 そこまでの一連の思考を面と向かってメストに説明するわけにもいかず、ルーシィは苦笑とともに謝罪の意を込めて彼に手を合わせた。

「なんだよ、そりゃあ……」

 事態の流れに置き去りにされたメストが呆然(ぼうぜん)と立ち尽くしていると、(となり)に来ていたエルザが含み笑いをしながらこちらを(のぞ)き込んでくる。

嫉妬(しっと)しているのか?」

馬鹿(ばか)言え。いくらなんでも現役の聖十(せいてん)大魔道(だいまどう)に出てこられたんじゃ、張り合おうなんて思わねぇよ」

「なんだ、知っていたのか」

「当然だ。新聞とか読んでないのか? あー、確かにあの(ころ)は『冥府の門(タルタロス)』のせいでそれどころじゃなかったか……」

 鼻からひとつ息を吐くと、ルーシィが駆けていった先、赤黒い髪の男性の背を眺めながら続ける。

「ラグリア・オズワルト……あの若さで聖十大魔道に選ばれるとは、相当な腕前(うでまえ)なんだろうさ」

 

 

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「いや、それにしても『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の初代マスターがこんなにお若いとは……。確かに、ウォーロッド様がそのようなお話をされていた気はしますが……」

 改めて詳しい状況説明を受けたラグリアが、苦笑とともに(つぶや)いた。

 それに対し、メイビスは興味津々(しんしん)といった様子で口を開く。

「ウォーロッドを知っているのですね」

「ええ、勿論(もちろん)。彼には評議員の(ころ)からなにかとお世話になってますから。マカロフさんにも、ウォーロッド様から紹介していただきました」

「そういえばそんなこともあったのう」

 ラグリアの言葉に、マカロフもうんうんと(うなず)いた。

 そこで表情を改めると、ラグリアは二人をまっすぐ見据(みす)える。

「それで、本日こちらにお邪魔(じゃま)したのは他でもない。僕たちも今回の戦いに参加させていただきたいというお願いに来たんです」

 マカロフが片眉(かたまゆ)を持ち上げ、メイビスが気遣(きづか)わしげな顔で(こた)えた。

「それは、こちらとしては()(がた)い話ですが……彼女たちも、ということですか?」

 彼女の視線を追うと『妖精の尻尾』のメンバーたちに囲まれ、なにごとか言葉を()わしている女性と少女に行き当たる。

「はい。カリンはトレジャーハンターですが、魔法(まほう)を使うこともでき、ギルド内での実力はトップ。セリナもひと通りの戦闘(せんとう)技術は僕から教え込んであります。本職の魔導士(まどうし)には(およ)ばないでしょうが、戦力としては十分かと」

 メイビスは一度目を伏せると、静かな(ひとみ)でラグリアを見返した。

「……わかりました。あなたの判断を信じましょう。八代目も、それで構いませんね?」

 マカロフも目を閉じたまま考え込むように沈黙(ちんもく)していたが、やがて鼻からひとつ息を吐く。

「──ならぬ。これは戦争、魔導士(まどうし)ギルド同士の争いじゃ。試合や稽古(けいこ)などとは違う、命がけの戦いになるのは必定(ひつじょう)。お前さんだけならともかく、無関係の者や子供を巻き込むわけにはいかん」

 ラグリアは()()るように(うつむ)いた。

「──と、言いたいところだがな……」

「え?」

 顔を上げると、マカロフは先ほどの厳しい声音(こわね)から一転、(おだ)やかな瞳でこちらを見る。

「お前さんの強さはワシもよう知っておる。争い事を好まんお前さんがそこまでいうからには、なにか思うところがあるんじゃろう。構わん、お前さんのしたいようにすればよい」

 ラグリアは深い畏敬(いけい)の念とともに頭を下げた。

「ありがとうございます……ッ」

 彼の(かたわ)らで事の成り行きを見守っていたルーシィは、そこでおずおずと口を開く。

「あの……つまり、どういうこと?」

 ラグリアはこちらに向き直ると後ろ頭を()いた。

「僕が聖十(せいてん)大魔道(だいまどう)に選ばれたのは去年──現評議院が結成されて間もない(ころ)でね。まだ任命されたばかりで右も左もわからなかったところに、『冥府の門(タルタロス)』に爆破(ばくは)された評議会の再建や新たな人材の確保なんかの混乱期が重なって、それはもう大変だった。僕は元々評議員だったから、重大な仕事も数多く任せられたんだ。なのになかなか期待に応えられず、ずっと悔しい思いをしてきた。

 アルバレスとの戦争のときもそうだ。『イシュガルの四天王』が、この大陸を守るため尽力(じんりょく)してくださっていたのに、僕は他の仕事に追われて参戦することすらできなかった」

「でも、それはラグリアさんのせいじゃ──」

「だからッ。今度こそ、(だれ)かの役に立ちたい。聖十大魔道としてだけじゃない。一人の魔導士として、僕の力、君たちのために是非(ぜひ)使わせてほしいんだ」

 ルーシィはラグリアの瞳に強い光が宿るのを見て、言葉を失って立ち尽くす。

「カリンとセリナについても心配は要りません。彼女たちは十分に強い。もし危なくなっても、僕なら二人を守りながらでも戦えるはずです」

 メイビスが、大きくひとつ(うなず)いた。

「そうと決まれば、各地の魔導士(まどうし)ギルドに応援を呼びかけねばなりませんね。それから政府にも早急に事態を報告しておかなければ」

「しかし……こんな曖昧(あいまい)な情報を提示したところで、いち魔導士ギルドの話を政府が信じるでしょうか?」

 マカロフの言葉にも、少女は毅然(きぜん)と答える。

「なんとしても信じてもらうのです。ここでなにも手を打たず、敵の作戦決行を許せば、(おびただ)しい数の犠牲者(ぎせいしゃ)を出すことになるのですから。戦わずに負ける事態だけは、絶対に()けなければいけません」

 そこでメイビスは表情を(やわ)らげると、周囲に視線を巡らせた。

「なによりもまず、ギルドを直すところからですね」

「あ、そのことなんですが……」

 ラグリアが軽く手を上げる。

「スミレ(やま)で会った鬼の中に、高度な空間操作能力をもつ者がいたんです。彼女に協力してもらえば修繕(しゅうぜん)の手間も省けると思いますよ」

 

 

 三十分後。

「この辺りのはずなんだけど……」

 ルーシィが書き上げた手紙を受け取ったラグリアは独り、スミレ山の(ふもと)に広がる森の中を歩いていた。

 といっても正直、現在地についての確証はない。

 周囲の高木が視界を(さえぎ)るせいで、肝心の橙鬼館(とうきかん)だけでなくスミレ山の方向すらも判然としないのだ。

 ミレーネの能力については初対面時に簡単な説明を受けているため、ラグリアもある程度は仕組みを把握(はあく)できている。

 (ゆえ)に橙鬼館を目指して『空間接続(ディストーションライン)』を発動すれば向こうから見つけてくれるだろうと()んだのだ。

 だが──。

 ラグリアは立ち止まり、顔を上向ける。

 現在、霧は出ていないが、問題はなぜ出ていないかということだった。

 これでは、ミレーネがまだこちらに気づいていないだけなのか、気づいたうえで知人だからと放置されているのか、そもそも自分がいまいる森がスミレ山の麓ではないのか判断ができない。

 やはり、なにかしらの合図が必要だろうか。そんな事を考えつつラグリアが魔力(まりょく)を発動しようと構えた、その時。

「あややや。どちら様かと思えば、貴方(あなた)でしたか」

 聞き覚えのある声がして振り向くと、頭に赤い頭襟(ときん)()せた女性が黒い(つばさ)を羽ばたかせて着地するところだった。

「おや、君は確か、この間の親善試合で実況をやっていた……」

「はい、スミレ(やま)の新聞記者、疾風丸(はやてまる) (あや)です!」

 元気一杯に敬礼してみせる鴉天狗(からすてんぐ)の女性に、思わずラグリアは笑みこぼれる。

「そうだった。それに、今回も世話になったね」

「と、いいますと?」

「僕の家とカリンの家、それから『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』に、(さし)(だし)(にん)不明の手紙が届いていた。彼らには援助を申し出る内容の、僕たちには彼らの救援を呼びかける内容のものがそれぞれ、ね。……君が文字通り飛び回って届けてくれたんだろう?」

 すると文は照れくさそうに頭髪を()く。

「いやぁ、これは恐れ入りました。まさかすべてお見通しとは。流石(さすが)聖十(せいてん)大魔道(だいまどう)というべき慧眼(けいがん)ですね」

 彼女の大仰(おおぎょう)台詞(せりふ)に、今度はラグリアが苦笑する番だった。

「大したことじゃないさ。スミレ山では、あんなことができるのは君ぐらいなんだろう? 手紙の内容からちょっと類推してみただけだよ」

「なるほど。それで、本日はどんなご要件で?」

 その問いに「あぁ」といってコートのポケットから一枚の封筒(ふうとう)を取り出す。

「手紙の返事を届けにきたんだ。それから他にも頼みたいことがあるから、案内してもらえるかな?」

 文は笑って大きくひとつ(うなず)いた。

「お安い御用です。それでは──」

 そういった(あや)の姿が、不意に土煙(つちけむり)を巻き上げて視界から消える。彼女が持ち前の飛行能力で移動したのだと気づくまで数秒かかった。

 確かにこの速度なら、大抵の人間の目に留まることはないだろう。あるいは敵対勢力に存在を感知する(ひま)すら与えずに偵察(ていさつ)できるかもしれない。

 そこまで考えて、ラグリアはおや、と思う。

 (いま)(がた)自分は館までの案内を求めたはずだが、文は独りで先に行ってしまった。まさか、視認すら難しいこの機動についてこいとでもいうのだろうか?

 と考える間もなく下駄(げた)が砂を()むザッ、という音がして、黒髪の女性が戻ってきた。

「すみません、思わず飛ばしてしまいました。では、改めてついてきてください」

 苦笑とともに頭を下げる文に、笑って首を振る。

「──あら、私がいつ代理を頼んだのかしら?」

 その時、明後日(あさって)の方向から声がした。そちらを見ると、ラグリア達から五メートルほど(はな)れた場所、いままで確かに何もなかったはずの空間が()らぎ、紺色(こんいろ)の二本(づの)の小柄な少女が現れる。それを見た途端(とたん)、文の顔に(おび)えが走った。 

「あッ、いえッ、これは、その……ッ」

冗談(じょうだん)よ」

 鴉天狗の女性に冷たい視線を送っていたミレーネは、だがそこでふっと笑みこぼれると、こちらに向き直って居住(いず)まいを正す。

「話はたったいま聞かせてもらったわ。ウチの当主がお待ちかねよ」

 

 

 ミレーネに通された部屋の、他より一段と深い(だいだい)色の(とびら)をくぐると、二人の鬼が出迎(でむか)えた。

 正面の執務机に腰掛(こしか)けるのは、(ひたい)の中央から伸びる赤い角と、頭の両側から後方に向かい部分的に()ねた栗色(くりいろ)の髪の女性。

 その脇には、黄色のグラデーションが入った派手な赤髪に白黒のメイド服の女性が(ひか)えている。

 彼女たちの表情は暗く、部屋の中には厳粛(げんしゅく)なムードが流れていた。

 ラグリアから手紙を受け取った橙鬼館(とうきかん)当主・レンカはそれを一読し、(わず)かな瞑目(めいもく)の後、静かに口を開く。

「ひとまず、返事を届けてくれたことに礼を言おう。こんなにも早くに、ご苦労だった。それで、あんたがこれを持ってきたってことは、もう『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の様子は見てきたね? いまどうなってる?」

(ひど)有様(ありさま)でした……。建物は完全に崩壊(ほうかい)して見る影もなく……。ただ、ギルドメンバーは全員無事だったそうです。いまは、ギルドの地下フロアで傷の手当てをしていますよ」

「そうかい、それならあたしらも、当面は落ち着いてよさそうだな」

 ラグリアの後半の言葉に、レンカはバーナと二人で顔を見合わせ、かすかに口元をほころばせる。

「それで、僕からも一つお願いが」

「どうした?」

「ギルドの修繕(しゅうぜん)を手伝ってほしいんです。親善試合の後、この館を修復した女性がいましたよね。彼女の力を借りられれば、と思ったんですが……」

「なんだ、そんなことかい。ちょっと待ってな。──アシュリー、お客様がお呼びだ」

 レンカが軽く笑って明後日の方向に呼びかけると、彼女の(かたわ)らに小柄(こがら)な人影が実体化した。しかし、その体の輪郭(りんかく)にはブ、ブ、という不規則なノイズが走る。魔力(まりょく)による立体映像、思念体(しねんたい)だ。

 ナイトキャップのような帽子(ぼうし)を被った紫髪の女性・アシュリーは、ラグリアの姿を認めると(あや)しい笑みを浮かべた。

「あら、この間の大魔導士(まどうし)様じゃない」

「アシュリー、早速(さっそく)で悪いんだが──」

 事情を説明しようとした当主を軽く手で制すると、鬼の魔術師(まじゅつし)は続ける。

「大方の察しはつくわ。事件の(しら)せを受けて『妖精の尻尾』へ向かった貴方(あなた)は、お(じょう)様に手紙の返答を届けるように頼まれた。同時に私の能力ならギルドを修復できると考え、(つか)いを引き受けたその足でお嬢様に話を通しにきた。どう?」

 ラグリアが内心で舌を巻いていると、小さく口を開けたまま固まっていたレンカが爆笑し始めた。

「ははははは、こりゃ参ったね。見事だアシュリー、その通りさ。これからそこのラグリアと一緒(いっしょ)に『妖精の尻尾』に行って、ギルドを直してやってくれ」

「承ったわ。じゃあ、地下図書館まで来て頂戴(ちょうだい)

「お客様をわざわざ歩かせるわけ? あなたがこっちまで出てくればいいと思うんだけど」

 不満げなミレーネの指摘にアシュリーは(つか)()視線を()らしたが、すぐに「待ってるわね」とだけ言い残して思念体を消失させる。

「あ、コラッ」

 ミレーネはひとつ嘆息(たんそく)すると、レンカの方を見た。

「レンカ、アシュリーのトレーニングのスケジュールだけど、今週は倍にしても構わないわね?」

 それに対して、レンカは苦笑を漏らす。

「無いよ、そんなものは。お前が勝手に組んでるだけで。まぁなんだ、その……程々(ほどほど)にな」

 そこでラグリアも苦笑しつつ割って入った。

「ま、まぁまぁ……僕には転移(てんい)魔法(まほう)もあることだし、そこまで手間じゃないから」

 ミレーネが意外そうに片眉(かたまゆ)を上げる。

「なるほど。それでさっき、いきなり私の索敵(さくてき)範囲内に出てきたわけね」

「あぁ、少し(おどろ)かせてしまったね。それで、図書館の位置を教えてもらっても?」

「それなら簡単だよ。ここの真下だ」

 ニッと笑って床を指すレンカに続き、バーナも(あご)に手を当て考え込んだ。

「直線距離(きょり)だと、そうですね……五十メートルというところでしょうか。あの、一応確認なんですが、厳密な座標じゃないと失敗するとか、あります? 壁や床なんかにめり込んだりとか……」

「いや、それは大丈夫。それでは──」

 心配そうなバーナの問いに笑って首を振り、後ろに大きく一歩退()いたところで、レンカが口を開く。

「『妖精の尻尾』の皆に、よろしく頼んだよ」

 その言葉に首肯(しゅこう)をひとつ返すと、ラグリアは魔力(まりょく)を発動させた。

「『空間接続(ディストーションライン)』」

 

 

 ラグリアの転移が無事完了したのを確認してから、レンカは前を向いたまま口を開く。

「いまの魔導士、お前たちはどうみる?」

「素晴らしい人だと思うわ。私たちが人間じゃないと聞いても嫌な顔ひとつせず、少しの動揺(どうよう)も恐怖もみせなかった。間違いなく優秀な魔導士である証拠よ。(あや)の情報通り、この大陸で十本の指に入るという実力は伊達(だて)じゃないわね」

 ミレーネに続き、バーナも笑って答えた。

「それに、親善試合の後はアシュリー様とお二人で館を直していただきましたからね。私のワインセラーやコレクションまで元通りにしたあの能力は、(すさ)まじいものがあるかと」

 レンカは満足げに(うなず)く。

「なるほどね。あたしもひと目見たときから只者(ただもの)じゃない気はしてたが、そんなことがあったとは。救援を呼びかけたあたしの目に狂いはなかったようだね」

 そこで席を立つと、バーナとミレーネの二人を交互に見ながら続けた。

「さて、お前たちもすぐ出かける準備に取り掛かってくれ。なるべく早くアシュリーたちに追いつけるようにしたいね──ッて、あぁッ」

 突如(とつじょ)大声を上げたレンカは、そこで天を(あお)ぎ、(ひたい)に手を当てる。

「あ〜、これはしくじったね……。アシュリーたちが先に行っちまったんじゃ、あたしらは『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』まで歩くしかない。さっき話したとき、そのつもりで動くべきだったよ……」

 頭を(かか)える当主にバーナが苦笑したその時、入り口の方からノックの音が聞こえて振り向くと、そこには先刻(せんこく)『妖精の尻尾』へ向けて館を()ったはずの女性の姿があった。

「あれッ、アシュリー様?」

「お(むか)えにあがりましたわよ、お(じょう)様?」

 ノックした手を上げたままにやりと笑ってそれだけ言うと、アシュリーは溜息(ためいき)()き、(あき)れ顔で続ける。

「私だけ先に行けって言うから、どうするつもりかと思ってたけど、やっぱり戻ってきて正解だったわね。用意ができたら皆で一緒(いっしょ)に出ましょう?」

 その言葉に、レンカは気まずげに苦笑した。

 

 

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 一時間後。

 橙鬼館(とうきかん)の面々が『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』にたどり着いたときには、ギルドはアシュリーとラグリアの魔法(まほう)によって完全に修復されているようだった。

 受付に事情を説明しにいこうとしていると、(おく)からルーシィが明るい笑みを浮かべて駆けてきて、彼女に(うなが)されるまま、酒場を縦断。ギルド最奥(さいおう)()えられたステージに上る。

 レンカたちが、変装用に着ていたフーデッドコートを脱ぎ去り、武力(ぶりょく)魔力(まりょく)をそれぞれ解除して角と(はね)(あらわ)になると、ギルドのあちこちから感嘆のどよめきが上がった。

 続いて、ルーシィたちが『剣咬の虎(セイバートゥース)』のメンバーに向けて改めてこれまでの経緯(いきさつ)を簡潔に。それから鬼と妖精の特徴についての詳しい説明を進めていく。

 そんななかで、青髪オールバックの男性・マカオは(うな)るように(つぶや)いた。

「それにしても、あれが鬼か……」

「なんか、(おれ)らが想像してたのとはいろいろと違ったみたいだな……」

 (となり)に立つ、短く刈り込んだ髪に葉巻(はまき)(くわ)えた糸目の男性・ワカバの言葉に首肯(しゅこう)を返す。

「あぁ……。それに見てみろ、あの一本(づの)(ねえ)ちゃんの服。なんだありゃ、スカートか?」

「まぁシースルーとかいうし、変な格好(カッコ)ってわけじゃないんだろうが、あの体つきであれは……」

 ステージ中央で(うで)を組み仁王立(におうだ)ちする女性・レンカは、()まるべきところは締まり、それでいて全体的にむっちりした身体(からだ)端的(たんてき)にいえばエロい体つきというやつである。

 その引き締まった筋肉を()しげもなく(さら)して体操服のような半袖(はんそで)のシャツとブルマをまとい、その上から半透明のロングスカート、足には下駄(げた)穿()いていた。

「それに比べてその隣の()は、可憐(かれん)というか、(ひか)えめというか……」

「うむ。どっちかってーと『可愛(かわい)らしい』って表現が似合う体型……」

 壇上(だんじょう)で説明を続けるルーシィを気怠(けだる)げに眺めていた鬼の少女の(ひとみ)が不意に動き、キロリとこちらを(にら)んだ──気がした。

「「──ッ!?」」

 ワカバとマカオは(あわ)てて視線を()らし、二人で顔を見合わせた。

「おい、まさかいまの会話聞こえて──ッ」

馬鹿(ばか)言え、この距離(きょり)だぞ。それに声はちゃんと(ひそ)めてたはずだ。そう簡単に聞かれるわけ──」

 次の瞬間(しゅんかん)、ゴ、ゴッという(にぶ)い連続音が(ひび)き、脳内に星が飛ぶ。

「ぐえ……」「あいたァ……」

 ウェーブのかかった茶髪ロングヘアーの女性・カナは、ワカバたちに振り降ろした拳骨(げんこつ)を胸の前でわななかせながら、押し殺した声を出した。

「『鬼は人間とは比べものにならないぐらい五感が優れてる』ってルーシィが説明してたの、聞いてなかったのかい。筒抜(つつぬ)けなんだよエロオヤジども……ッ」

「「ごめんなさ〜いッ」」

 

「人間の魔導士(まどうし)諸賢」

 

 耳に飛び込んできたよく通る声にカナが顔を上げると、壇上のレンカが一歩進み出るところだった。

「改めて、あたしが橙鬼館(とうきかん)当主、レンカ・ハーネットだ。今回は急な申し出にもかかわらず厚くもてなしていただき、心より感謝する」

 一呼吸置いて、ゆっくり首を巡らせる。

「あたしたちが人間(ヒト)でないのは諸賢も知っての通り。不安や心配はあるだろう。だが、諸賢ら人間を同じ星に暮らす同胞(とも)として助けたいというのがあたしたちの総意であることは、どうか覚えていてほしい。

 さて、アースランドはいま危機に直面しているわけだが、あたしは諸賢ならば、この困難に打ち()てると信じている。なぜなら、諸賢は二年前の災厄(さいやく)を乗り越えてきたからだ。その人間たちと共に戦えることを、あたしは誇りに思うッ」

 レンカの後半の言葉に、カナの周囲の者たちが賛意を表すようにざわめいた。

「そのうえで、本日は諸賢の戦いを後押しするべく、ある策を用意してきた。──バーナ」

 レンカが軽く下知(げち)を送ると、(となり)に立っていた二人の女性が彼女と入れ替わるように進み出てくる。

 その片方、派手な髪色が目を引くメイド服の女性は折り目正しく一礼してから口を開いた。

「では、私たちの方から詳しい説明をさせていただきます。私が橙鬼館の地下図書館の司書としてお仕えしているこちらのアシュリー様は、図書館の管理と同時に魔法(まほう)の研究もなさっています。そして研究の結果、我々の力を飛躍的(ひやくてき)に高める(すべ)を考案されました」

 バーナの言葉に、ギルドのあちこちからどよめきが上がる。続きを、アシュリーが引き取った。

「あなたたちは、第二魔法源(セカンドオリジン)という言葉を聞いたことがあるかしら? もし聞いたことがあれば手を上げてみて」

 その言葉を聞いた瞬間(しゅんかん)、壇上にいたルーシィたちが一様に──エルザは平気な顔をしていたが──びくりと体を(こわ)()らせ、そろそろと挙手する。見ればレビィたちチーム『シャドウ・ギア』の面々も緊張した(おも)()ちで手を上げていた。

「あら、あなたたちはみんな知ってるのね。その他は三人だけ、と。わかったわ、ありがとう。それじゃあほぼ全員知らないようだし、いちから説明するわ」

 そこで一度言葉を切ると、アシュリーは正面に向き直り、朗々と語り出す。

「すべての魔導士には、魔力(まりょく)の限界値を決める、器のようなものが備わっているの。その器が空になっても大気中のエーテルナノを体が自動的に吸収するから、しばらくすれば器は再び満たされる。でもここ数年の研究で、その器には普段は使われていない部分があることが判明したの。それこそが第二魔法源(セカンドオリジン)(だれ)にでもある潜在能力。

 ここまでは人間の魔導士についての話だったけど、これはなにもあなたたちに限った話じゃない。私たち妖怪(ようかい)についてもいえる可能性がある。そう考えた私は試行錯誤の末、ついに第二魔法源を誰でも使える状態にする方法を()み出したわ。つまりこれをあなたたちに(ほどこ)すことで、いままでより活動時間を増やし、強大な魔力を使えるようになるというわけ」

 説明を聞き終えたとき、マカオ(父親)(ゆず)りの青髪の少年・ロメオは目を輝かせていた。

「おぉッ、それを受ければ(おれ)たちも一気に強くなれるってことだなッ?」

「あの……」

 その時、レビィがおずおずと手を上げる。

「第二魔法源の解放ならナツが受けてるのを見たことあるんだけどさ……確かそれってすッごく痛いんじゃなかったっけ……?」

 その一言で、周囲の空気に困惑が混じった。

「えぇ、確かに『時のアーク』を活用するやり方ならそうなるのは()けられないわね。でも安心して。私のアプローチは(まった)く違う。痛みをゼロにはできなかったけど、問題なく動ける程度には(おさ)えたわ」

 アシュリーの淡々とした口調に(かえ)って不安を覚え、カナは思わずレビィに耳打ちする。

「ちょ、ちょっと待ちなよレビィ。抑えてやっと問題なく動ける痛みって……その時のナツはいったいどうなってたんだい?」

「え、いやぁ……。そりゃあもう、大声で叫びまくりながらのたうち回ってたよ……」

 青い顔で二の(うで)をかき(いだ)くレビィの返答に、ぞっと背筋に悪寒(おかん)が走った。

「で、でも、いまの私たちが短期間で強くなるには、これしかないんだろうし、痛みについても抑えたって話だから大丈夫だよ、きっと」

 レビィが気丈に笑顔を(つくろ)おうとしているからには、彼女の顔色や(あし)(ふる)えを指摘するのは、(こく)というものなのだろう。

 その時、壇上のバーナが芝居がかった調子で両腕を広げる。

「おわかりいただけたでしょうか、私たちの用意した策とは如何(いか)なるものか。我々が立ち向かうべき敵は、(ドラゴン)を使って攻めてきます。そしてこの場には、六人の滅竜(ドラゴン)魔導士(スレイヤー)。その方たちを含めた私たち全員の能力を底上げすることで、より強い力をもって(むか)()とうというわけです」

 

 

「ホントに、こんな落書きみたいなのが魔力(まりょく)の底上げに役立つのか?」

 マカオの疑惑(ぎわく)の視線も意に介さず、アシュリーは彼の体に模様を描き込んでいた。

「にわかには信じられないでしょうけどその通りよ。いまに理解できるわ」

 アシュリーが魔力を発動するとマカオの全身に描かれた模様が白く発光。マカオが小さく(うめ)く。

「うッ、確かにこれはちと(いて)ぇな……。あ、でもツボを押されてるみたいで効きそう……」

(とう)ちゃん、それは魔力を底上げするためのものなんだから、健康にいいとかはないと思うよ」

 順番待ちをしているロメオの指摘に、アシュリーは小さく笑みこぼれた。

「これの目的は確かにそうだけど、健康にも影響するかもしれないわよ? 魔導士(まどうし)にとって魔力は生命の源にも等しいものなんでしょう?」

 『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』のギルド内には目隠し用のカーテンが張り巡らされ、その中で男女に分かれた魔導士たちが複数の列をつくっている。列の先頭にはアシュリーを始めとした橙鬼館(とうきかん)の住人たちが待ち構え、流れ作業で全員の体に模様を描いていく寸法だ。

「なんでみんな平気なんだ? (おれ)たちの時は死ぬほど痛かったんだぞ」

「ナツぅ、さっきの説明聞いてなかったの?」

 そこで聞こえてきた声にシャルルが首を横に向けると、青い顔で(ふる)え上がるナツにハッピーが(あき)れ返っていた。

 先日スミレ(やま)に向かったシャルルたち七人──正確には自分とハッピーを除く五人──は二年前の大魔闘(だいまとう)演武(えんぶ)の出場チームメンバーでもあり、紆余曲折(うよきょくせつ)あって第二魔法源(セカンドオリジン)の解放を済ませている。よって、シャルルたちは列に並ばず、少し(はな)れた位置から作業を見守っていた。

 そこでふとあることに気づき、シャルルは仲間たちの列に向けていた視線を横に戻す。

「ハッピー、ちょっと来て」

 手招きでハッピーを呼び寄せると、彼の手を引いて歩いていき、ちょうどロメオに魔力(まりょく)を発動したらしいアシュリーに声を掛けた。

「ねぇ、ひとつ確認したいんだけど」

「どうしたの?」

 小首をかしげるアシュリーに、シャルルはハッピーの顔をちらりと見て、続ける。

「実は私たち、まだ第二魔法源を引き出してもらってないのよね。この身体だし、大魔闘演武には出場できなかったから。それ、私たちにも使える?」

「理論上は対象が生物であれば可能よ。ただ、あなたたちに使うとなると、魔力の流れ方から確認する必要があるわね。人間とエクシードでは、身体構造に違いが多すぎる」

「……。……ちょっと見てて」

 そう言ってシャルルが魔力を発動すると全身が(まばゆ)く発光。やがてネコ耳と尻尾、それから服装はそのままに、白い長髪に猫のかたちの髪留めを着けた少女の姿に変化した。

 『妖精の尻尾』の一時解散中にシャルルが覚えた変身魔法である。

「私はこんなこともできるんだけど、これなら多少は手間も省けるんじゃないかしら?」

 変身を完了すると、普段よりもやや低くなった声で(たず)ねる。

 シャルルの唐突(とうとつ)変貌(へんぼう)瞠目(どうもく)していたアシュリーは──しかし、言下(げんか)にかぶりを振った。

「いえ、やめておいた方がいいわ。その魔法(まほう)、寝てる間も持続させることはできないんでしょう? まして何日も変身したままなんて」

「う……ッ」

「さっきも軽く説明したけど、潜在能力を引き出すのは簡単じゃないの。短期間で無理にやろうとすれば、それこそ『時のアーク』を使う場合のように、想像を絶する激痛と戦う羽目になる。私のやり方では、そのデメリットをよりゼロに近づける代わり、効果が完全に表れるまでに少なくとも二、三日は掛かるわ。焦りは禁物(きんもつ)なの」

 確かに、その説明はこの作業を始める直前に受けている。もし仮に、効果が完全に表れるまでにシャルルが変身したり、反対に変身を解いたりすれば、思わぬ事故を招くかもしれない。

「そう……。──。なら、仕方ないわね……」

 変身を解いたシャルルが思わず(うつむ)くと、アシュリーは(おだ)やかな声で告げた。

「でも安心して。あなたたちの第二魔法源(セカンドオリジン)も、この私『静かなる鬼の魔術師』アシュリーの誇りにかけて、必ず解放してみせるわ。そうしたらあなたの変身魔法も、いまよりもずっと長く維持できるようになるはずよ。それだけ高度な変身ができるなら、本当にひと晩眠ったぐらいでは解けないレベルになるかも」

 

 

      3

 

 

「まだ、模様を体に描かれていないという方、いらっしゃいましたらお知らせください」 

 バーナの指示に、低くさざめいていた話し声が徐々(じょじょ)に収まっていく。

 すべての『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』メンバーにラグリアたち、それからギルドに(つど)った『剣咬の虎(セイバートゥース)』の面々に橙鬼館(とうきかん)の住人たち。全員がその体に刻まれた模様を淡く発光させながら、壇上の鬼の女性たちを見上げていた。

 名乗り出る者がいないのを確認すると、アシュリーはひとつ(うなず)く。

「じゃあ、これで第二魔法源を解放する準備は整ったわ。その模様は、これから数日かけて、あなたたちのもつ魔力(まりょく)の器を成長させていく。その速度には個人差があるけど、二、三日もすれば終わるはずよ。発光が収まって模様も完全に消えたら、あとは普段通り生活してもらって構わないわ。

 ただし、注意点が一つだけ。変身系の魔法(まほう)を使える人、いるでしょう? たとえば接収魔法(テイクオーバー)とか……ドラゴンフォースもそうね。要は、体の構造を変える技を使える人。その人たちは悪いけど、模様が消えるまでの間、魔法の使用を禁止させてもらうわ。

 その模様はあなたたちのいまの状態に合わせて器を成長させるから、急激な変化には対応できないの」

 その説明に、リサーナは思わず後ろにいた巨漢の顔を見上げた。

「てことは私たちはその間、三人とも魔法を使えないわけか……ちょっと大変だね」

 兄・エルフマンは、眉根(まゆね)を寄せて(うな)る。

「しかし、これもより強い(おとこ)になるため。なら、我慢(がまん)するしかねぇんだろうな……」

 (となり)を見ると、姉のミラジェーンも困ったような笑みを浮かべていた。

「数日ぐらいなら、仕事ができなくてもなんとかなるわ。あなたたち、よかったらギルドの酒場、手伝ってくれる?」

「おうッ、(ねえ)ちゃんのためなら喜んで!」

 喜色(きしょく)満面(まんめん)でマッスルポーズを取るエルフマンに苦笑しつつ、リサーナも伸びをしながら答える。

「そういえばここ最近は依頼(クエスト)に行ってばっかりだったっけ。うん、もちろん私も手伝うよ」

 一方で、稲妻形の二本のアホ毛がある緑色の長髪の青年・フリードは、(あご)に手をやり考え込んでいた。

「そういうことなら、(おれ)も仕事に行くのは(ひか)えた方が良さそうだな」

 フリードが使う魔法は二種類。(あらかじ)魔法陣(まほうじん)を描いておき発動する結界の一種『術式(じゅつしき)』と、対象者に刻んだ文字が現実となる『(やみ)文字(エクリテュール)』である。

 この二つのうちフリードが懸念(けねん)したのは後者。『闇の文字』は自身の肉体強化もできるが、その際に姿形を変化させる技もあるという点だった。

 フリードの(つぶや)きに隣のロングヘアーの女性・エバーグリーンが眼鏡(めがね)ごしにこちらを(のぞ)き込んでくる。

「アンタは『術式』だけでもできる依頼(クエスト)を選べばいいんじゃないの?」

「念のためだ。万が一の時になにが起きるかわからん以上、うっかりでは済まされんからな」

 すると、反対側にいたビックスローも(あき)れたように肩をすくめて両手を開き、鼻まで(おお)うバイザーの下でギルドマークの入った舌を()き出した。

「お前も(こま)けぇこと気にするなぁ。そんなもん、俺ら三人で行って、お前が動けない分は俺とエバでカバーすりゃいいじゃねーか」

 その言葉に苦笑しながらも、フリードはやんわりと首を振る。

「それでもだ。折角(せっかく)の依頼でお前たちの足を引っ張るようでは俺の面目が立たない。なに、所詮(しょせん)は二、三日の辛抱(しんぼう)なんだ。大人(おとな)しく酒場でミラたちの手伝いでもして過ごすさ」

 そこで、アシュリーが再度ギルド内を見渡した。

「他になにか、気になることがある人はいる?」

 スティングがなんとなくギルド内を眺めていると、不意に横合(よこあ)いから足音が聞こえる。

 見ると、長めの黒髪で右目が隠れた青年がこちらに向かって歩いてきていた。

「おぉ、目が覚めたか!」

「ローグ様、体はもう大丈夫なんですね?」

 スティングに続いて顔をほころばせたユキノの問いに、ローグは微笑を浮かべて首肯(しゅこう)する。

「あぁ、この通りだ。もう問題はない」

「ローグぅ〜」

「──ッ。フロッシュ!」

 その時、舌足らずな声とともに桃色のカエルの着ぐるみを着た緑色のエクシードが走ってくるのが見え、ローグは片膝(かたひざ)()いて抱きとめた。

「よかった、お前も無事だったか……!」

「もー怪我(けが)痛くない?」

「あぁ、(おれ)は大丈夫だぞ。心配かけたな……」

 そこで改めて、自分の傷が消えていることや周囲の状況に思い至り、仲間たちの顔を見上げる。

「ところで、いったい何なんだ、この騒ぎは? ここは……『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』なのか……?」

 立ち上がったローグが呆然(ぼうぜん)と首を巡らせていると、明後日(あさって)の方向から声がした。

「──その通りだぜ」

 半裸(はんら)の青年・グレイは、歯を見せてニッと笑う。

「お前らがボロボロで駆け込んできたから、俺たちで手当てしたんだよ。ちなみにお前の怪我を治したのはウェンディだ」

「よかった〜、気がついたんだね」

 安堵(あんど)の笑みを浮かべるルーシィに、まだ少し混乱しつつもローグは向き直った。

「そうか……。それは、世話になったな」

「いえいえ、ローグさんこそ、すっかり元気になったみたいで安心しました」

 苦笑するウェンディの言葉に微笑(ほほえ)みを返しながら、どうにか胸の内に(わだかま)る疑問の解消に努める。

「すまない、まだ頭が混乱していて……。これはどういう状況なんだ? いちから説明してほしい」

 ローグの問いに『妖精の尻尾』の面々は互いに顔を見合わせて(うなず)きあった。

 

 

 その(ころ)壇上(だんじょう)のアシュリーたちも、ローグの登場に気づいていた。お互いに目配(めくば)せをかわすとステージを降り、人混(ひとご)みの中を黒髪の青年に向けて歩いていく。

「初めまして。たったいま、ご紹介にあずかった鬼の魔術師(まじゅつし)、アシュリー・レフィエイルよ。よかったら、あなたも第二魔法源(セカンドオリジン)の解放、受けてみない?」

 ローグはその問いに、力強く頷いた。

「よろしく(たの)む」

「わかったわ。それじゃあまず軽く検査させてもらうわね。それとあなたたち『妖精の尻尾』の魔導士(まどうし)じゃないでしょう? ついでに他の人も確認させてね」

 アシュリーは言いながら目の前にホロキーボードを出現させると、さっそく情報の解析を開始する。

 その時、やや(はな)れた位置で事態の流れを眺めていたミレーネの服の(すそ)が引かれる。

 首を(かたむ)けると、紫色のサイドテールの少女がこちらを見上げていた。

「あら、どうしたの?」

 しかし、彼女はなにも言わず、代わりに手招きするので、ミレーネは少女に顔を寄せる。

 ネフィリムは(めずら)しく真剣な表情をつくると、耳元で(ささや)いた。

「あのね、ここに来たときからちょっと気になってたんだけど、ここ、何人か『黒い人』がいる」

「黒い人?」

 見ると、ネフィリムはこくりと頷く。

「なんていうんだろ、上手(うま)く言えないけど……」

「……。(だれ)が『黒い』と思うの?」

「あの人とか……」

 彼女の視線を追うと、長い黒髪をふたつの団子(だんご)状にまとめた女性に行き当たった。

 ネフィリムの魔法(まほう)常闇の深淵(シャドウ・デプス)』は、影を操るだけでなく、応用すれば対象者の心の(やみ)を感じ取ることもできるらしい。その感度、精度は非常に高く、この力に助けられたこともあるというのが、彼女と共に仕事に行った経験をもつ妖精(ようせい)メイドたちの談である。

 つまり、そのネフィリムが何かを感じ取ったということは、この中にも注意すべき要素をはらんだ人物がいることに他ならないわけだが……。

「──待って」

 その時、不意に耳に飛び込んできた声に顔を上げると、アシュリーが展開したホロディスプレイの一点を見据(みす)えたまま固まっていた。

 ミレーネは何事かと思って口を開きかけたが、彼女はすぐに顔を上げ、視線を振る。(ひとみ)(するど)く細められ、問い(ただ)す声の温度は凍結していた。

「あなたホントに人間よね? なんで悪魔因子なんて持ってるのかしら?」

 一同の表情に緊張が走る。鬼と悪魔の確執については『剣咬の虎(セイバートゥース)』の面々にも先ほど説明を終えている。いま自分たちがどんな状況におかれているのか、彼らもすぐに理解できたのだろう。確か、名前をミネルバといった黒髪の女性が気まずげに視線を外し、彼女を(かば)うように他のメンバーが前に出てくる。

「待ってくれ。これには事情が──」

(わたくし)たちの話も聞いてくださいッ」

「──いいよお前ら。(おれ)から説明する」

 そういってスティングは、前に出ようとしたローグとユキノの肩を押しのけて進み出た。

 二年前。大魔闘(だいまとう)演武(えんぶ)の終了後、行方(ゆくえ)(くら)ましていたミネルバは如何(いか)なる経緯を辿(たど)ってか『冥府の門(タルタロス)傘下(さんか)(やみ)ギルド『夢魔の眼(サキュバス・アイ)』に加入。その後ギルドは戦力増強の名目の下『冥府の門』の実質的な襲撃(しゅうげき)を受け、彼女だけが生き残る。

 難を逃れたミネルバは、だがそのまま襲撃の首謀者であるキョウカに捕まり、悪魔に改造されてしまったらしい。らしいというのは、スティングたちもエルザからの手紙──しかもその書き方はお世辞(せじ)にも上手とは言いがたく、ある種の呪物(じゅぶつ)じみたものと化していた──でようやくミネルバの情報を(つか)んだため、詳しい事情までは知らないからだ。

 それから、スティングとローグがミネルバを無事に保護。『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』と協力して『冥府の門』も打倒し、現在に至る。

 つまり、現在のミネルバが悪魔因子を持っているのは悪魔による改造の結果であり、不可抗力なのだ──そこまでを、できる限り(いつわ)りなく説明する。

 話を聞き終えた鬼の女性たちは、複雑な表情で()(だま)ってしまった。

「その人、悪い人じゃないよ!」

 彼女たちの背後からそんな声が上がり、振り向いたアシュリーは(おどろ)いたような声を出す。

「ネフィ?」

「だってその人、私がここまで近づかないとはっきり『黒い』って思わなかったもん。本物の悪魔だったらこのギルドに入る前に気づいてるよ」

 ──黒い?

 闇妖精(インプ)の少女・ネフィリムの言葉に、だが鬼の女性たちはいよいよもって手をこまねいてしまった。

 すると、さらに後方から一人の女性が歩いてきて、ネフィリムの頭に手を()せる。

「まぁまぁ、ネフィリムもこう言ってるんだ。そいつを信じる材料としては十分じゃないのかい?」

 なだめるようにレンカがそう言うと、アシュリーは大きくひとつ()め息を吐いた。

「わかったわ。お(じょう)様がそういうなら、私からも異論はなし。ただ──悪魔の力を持ってる人と肩を並べて戦う気にはなれないわね」

 アシュリーに横目で()めつけられ、ミネルバは一層小さくなっていく。

「おいアシュリー、その辺でよさないか」

「事情はたったいま説明したろ。これ以上、俺たちになにをしろっていうんだよ!?」

 レンカとスティングの抗議の声にも、アシュリーは(すず)しい顔で、降参を示すように両手を上げた。

「あら、誤解させたのならごめんなさい。でも、私は協力しないなんてひとことも言ってないし、お嬢様の意見にも異論はないって言ったでしょう?」

「あ?」

 (なぞ)めいた微笑を浮かべる鬼の魔術師(まじゅつし)は、首を(かたむ)けてギルドの天井を見上げる。続いたのは、まったく脈絡(みゃくらく)のない言葉だった。

「今夜はよく晴れそうだったわね。きっと月も綺麗(きれい)に見えるわ」

「「「?」」」

 『剣咬の虎』の面々が揃って頭上に疑問符を浮かべるなか、ミレーネだけが不意にハッとして(となり)に立つ少女を見下ろす。

「……なるほどね。わかったわアシュリー、そういうことならすぐ準備に取りかかりましょう」

 

 

「人間の街って、夜でもけっこう明るいのねぇ」

 スティングたちはアシュリーに連れられて『妖精の尻尾』の正門前まで出てきていた。辺りはすでに日が落ち、街灯が夜道を照らしている。

 振り返ると、正門の内側にあるオープンカフェ付近には『妖精の尻尾』のメンバーが詰めかけ、ちょっとした人だかりになっていた。先ほどの剣呑(けんのん)な空気に気づいた者たちが、自分たちを心配して様子を見にきてくれているのだろう。

「見たことないのか?」

 スティングの問いに、アシュリーは肩をすくめる。

「そりゃそうよ。私たちは人里に降りるとき、人間に変装していくのだけど、こんな夜更(よふ)けに出歩いてたら怪しまれるでしょう?」

 その返答に、それもそうかと(ひと)りごちった。

「それで、(わらわ)はなにをすればよいのだ?」

 ミネルバが(たず)ねるが、アシュリーは微笑を浮かべたまま軽く首を振る。

「いいえ、特になにも。()いていえば、そのあたりにじっと立っててくれるだけでいいわ」

 スティングたちは思わず顔を見合わせた。この鬼は、いったい自分たちをどうしようというのか。

 アシュリーに手で示された付近までミネルバが進み出ると、アシュリーは持っていた本を開いた。

 と、次の瞬間(しゅんかん)、本全体が発光。(すご)い勢いでひとりでにページがめくられていき、同時に(あふ)れ出したいくつもの八面体形の結晶(けっしょう)がアシュリーの周囲に浮遊・旋回(せんかい)し始める。

「な、なんだかよくわかりませんが、キレイですね〜ハイ……」

「フローもそーもう……」

 レクターの(つぶや)きに、フロッシュも呆然(ぼうぜん)としながらも同調した。

「これは『魔法石(まほうせき)』といって、魔力(まりょく)を蓄えている特殊な鉱石の一種よ。さっき『鬼は武法(ぶほう)という力を操る』って説明されてたけど、私はこれのおかげで、武法を利用して魔法(まほう)を間接的に使うことができるの」

 そこまでで一度言葉を切ると居住(いず)まいを正し、正面のミネルバを見据える。

「それじゃあ前置きはこの辺にして、そろそろ始めるわね──ステージ名"アストロラーベ"起動」

 すると不意に景色がぐにゃりと(ゆが)み、一瞬(いっしゅん)の目まいに似た感覚の後スティングたちが顔を上げると、周囲の景色はがらりと変わっていた。

 ところどころに花が咲く草原が広がり、ミネルバの足下には巨大な多角形の石盤(せきばん)。その周囲を高さ五メートルほどの柱状の巨岩がぐるりと取り囲んでいる。

「うおッ、なんだよ、これ……」

 スティングたちが瞠目(どうもく)して周囲を見回していると、アシュリーが淡々(たんたん)と告げた。

「私の空間魔法よ。ホントはこんなステージを設ける必要なかったんだけど、少し明るすぎたからね。あとは雰囲気(ふんいき)づくりと、ちょっとした遊び心。安心して。この草原もあの祭壇(さいだん)も現実とは別の位相にあるから。私が魔力を解けばすぐに消えるわ」

 そこでハッとして、スティングは後ろを振り返る。草原がどこまでも広がっているということはなかったが、間近にいたルーシィたち『妖精の尻尾』の一部のメンバーは影響を受け、狼狽(ろうばい)(あら)わにしていた。

 その時、(かたわ)らのローグが苛立(いらだ)ったように口を開く。

「アンタの力はよくわかったが、そろそろ(おれ)たちにも教えてくれ。御嬢(おじょう)をどうする気だ?」

「説明していただけないのには、なにか理由があるんですか?」

 ユキノの質問に、アシュリーは少し考える素振(そぶ)りをみせた。

「理由がある……というのは少し違うの。でも、そうね……端的に言うと、説明が難しいから、かしら」

「それでも〜なにかこう、ありませんかね? 説明が難しいからといって省かれると、こちらとしても少々不安といいますか……ハイ」

「フローも気になる」

 レクターとフロッシュ、二匹のエクシードに見上げられ、アシュリーは溜息(ためいき)()く。

「申し訳ないけど、実際に見てもらった方が早いわ。その方があなたたちも納得(なっとく)できると思うし」

「まだなの〜? 私はいつでもいいよ〜!」

 スティングたちとミネルバの中間付近にいたネフィリムから声が掛かり、アシュリーは顔を上げた。

「そうね、そろそろお願い。この人たちにあなたの力を見せてあげて」

 その言葉に紫髪の少女がニッと笑い、(つえ)(かか)げる。すると、彼女の漆黒(しっこく)(つばさ)が消えていき、中からクリアグレーの流線形の(はね)が現れた。

「あの羽は作り物だったのか……」

 ローグの(つぶや)きに、ミレーネが小さく笑みこぼれる。

「ネフィの『常闇の深淵(シャドウ・デプス)』は影を自在に操る魔法よ。あの翼は光を遮断(しゃだん)して吸収を(おさ)え、飛行能力を底上げするためのものなの」

「なるほど、十分暗いから(はず)したってとこですか」

 レクターが言うと、ミレーネはかぶりを振った。

「それもあるけど、いまから使う技には集中力が要るから、あの子も真剣なの。しばらくは極力静かにね。失敗するといちからやり直しになっちゃうから」

 ネフィリムは両手で杖を握り込み、目を伏せて集中している。たちまち、環状に並ぶ石柱に向かって(やみ)四方(よも)から迫り、月の光が次第に強まっていく。まるで月がネフィリムの魔力(まりょく)に呼応して、祭壇から光を吸い上げているかのようだ。

 やがて、ネフィリムが動いた。

「『闇照らす月華(ムーン・ライティング)』!」

 カッと(ひとみ)を見開くと、頭上に輝く半月めがけて右手の杖を()き上げる。直後、ひと(きわ)強い月光が祭壇中央に立つミネルバに向けて降り注いだ。

 数秒後、スティングたちは輝きが薄れたことを確認して、咄嗟(とっさ)に上げていた(うで)を降ろす。

 そっと目を開けて首を(めぐ)らせるが、周囲に目立った変化は無いようだった。

「なんだったんだ、いまの……?」

 スティングたちが呆然(ぼうぜん)と見守るなか、ネフィリムとなにごとか言葉を()わしていたミネルバは、そのまま二人してこちらに歩いてくる。

 アシュリーはホロディスプレイを出現させて操作。少しして満足げにひとつ(うなず)くと、空間魔法(まほう)を解除して口を開いた。

「これで私たちの目的は達成ね。たったいま、私の方でも悪魔因子の消滅を確認したわ」

 (あや)うく聞き流しそうになって彼女を見る。

「いま、なんて……?」

 アシュリーはちらりとこちらを見て、告げた。

「ネフィの『闇照らす月華』は、対象者がもつ邪悪な心を消滅させる技よ。基本的に殺意とかの明確な悪意にだけ効果があるんだけど、最近になって悪魔因子を取り除けるらしいことがわかったの」

「あと、出せる力は月の大きさで変わるよ。ホントは満月が一番いいんだ。新月でも使えるけどね」

 ネフィリムが照れ(くさ)そうに笑ったところで、ユキノが口元に手をやり(ふる)える声を出す。

「では、ミネルバ様は……ッ」

「えぇ、彼女の体内の悪魔因子は完全に消滅してる。つまり彼女は本当の意味で人間になった──いいえ、人間に戻ることができたのよ」

 じわじわと感慨(かんがい)()いてきて、気づけばスティングは仲間たちと顔を見合わせて笑いあっていた。

(わらわ)が……人間、に……?」

 そんな声に顔を上げると、ミネルバは自身に起きた奇跡とも呼ぶべき現象にまだ頭が追いつかないでいるらしく、目を見開いたまま固まっている。

 スティングは居住(いず)まいを正し、彼女に向き直った。

「『冥府の門(タルタロス)』との戦いが終わって御嬢(おじょう)が帰ってきた時から、(おれ)はずっとこんな日が来るのを待ってたんだ。いや、俺だけじゃない。きっとギルドの(みんな)も。

 こんな時、なんて言ったらいいのかわからないけど──おめでとう。そして改めて、おかえり。これからも一緒(いっしょ)に、力を合わせて頑張(がんば)ろう」

 続いてアシュリーも、口元に(おだ)やかな笑みを(たた)えて口を開く。

「さっきは嫌味みたいなこと言って、ごめんなさい。私も鬼だから、あなたが悪魔の力を持ってるのがどうにも受けつけなかったの。でもいまは、ネフィ(この子)の技が無事成功したみたいでホッとしてるわ。あなたも素敵な仲間がいるじゃない。……それじゃあ私の方からも改めて、言葉を(おく)らせて。

 ──私たちスミレ(やま)妖怪(ようかい)一同、義によって()()()()()()()の力になりましょう」

 そこまでが限界だった。不意に、ミネルバの表情がくしゃっと(ゆが)む。そのまま天を(あお)ぐと、両目からボロボロと大粒の涙を(こぼ)しながら号泣(ごうきゅう)し始めた。

 その時、背後からどっと歓声(かんせい)が上がる。

 見ると『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の魔導士(まどうし)たちが、満面の笑みで口々に祝福の言葉を叫んでいた。

 その中の一人、金髪の女性が走ってくるとミネルバの手を取り笑いかける。

 まるで自分のことの(ごと)く大喜びするルーシィに苦笑しつつ、スティングも温かい気持ちで胸が満たされるのを感じていた。

 スティングは夜天(やてん)に不気味にそびえる巨大浮遊城を(にら)み据えると、この大陸のどこかにいる宿敵たちの姿を思い浮かべた。

 ──『変革の翼竜(イノベートワイバーン)』。この戦い、まだ俺たちの負けと決まったわけじゃねぇぞ。

 

 




どうも皆さん、半年ぶりですね。

最近、ようやくアニメの消化を再開し、ギルダーツとオーガストの戦闘が激化していくところまで視聴しました。今後の展開の大筋も軽く調べて粗方(あらかた)知っているのですが、やはり見ると聞くとでは大違い。最終章がどんな結末に向かっていくのか、楽しみですね。

また、これまでの活動中に(いく)らか問題も出ました。
以前、活動報告で、原作メンバー解説を作る予定だという話をしたかと思います。しかし、書き進めていく内に気づきました──あまりにキャラが多い、と。
少し考えれば至極(しごく)当然の帰結なのですが、この企画を考えついた当初は『本作で扱うことが多い人物に絞ってまとめればいい』と楽観視していたのです。
よって、当初は原作設定も簡単にまとめる予定だったこの企画、やはり独自設定の解説に重点をおき、原作設定は基本的にわかって頂いている前提で進めようと思います。
この設定集で原作の理解を深めようとしていた読者の皆さんには申し訳ありませんが、気になったキャラについては各自で情報を集めて頂けると幸いです。もし不明な点が出た場合は、それこそ感想というかたちで自分に質問してください。語彙力(ごいりょく)的にも活動の都合上でも、答えられる範囲で対応致します。

それでわ、しーゆーあげいん!
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