ほぼ現実と変わらない作られた世界。アンダーワールドと呼ばれる場所でイレギュラーな存在が紛れ込んでいた。
俗に言う転生と呼ばれるものによって。
「ったく、転生先では平和な世界で楽して生きたいって言ったのによ…」
もうこの世界に来て100年ほど経つがダークテリトリーの暗黒騎士やらゴブリンやらとの戦いばかりの日々。
正直言って辟易する。
「まーた、おめぇさん、こんなところで油売ってんのかい。少しは鍛錬に参加して若いもんに喝をいれてくれてもいいんだぜ?」
「ベルクーリか」
ベルクーリ・シンセシスワン。ここセントラルカセドラルにおいて最強最古の騎士。実質、整合騎士を束ね、動かしてるのは彼と言ってもいい。俺と違って、記憶は消されているようだが。
「最高司祭様からのお呼び出しだ。たまに呼び出させれているようだが、一体何を話してるんだ?」
「いや、大したことじゃないよ。俺の神器についてとか世間話とかそんなところだ」
本当は別の理由だがここでそれをいうことはできない。
「そういやあ、随分特殊な神器なんだってな。俺もみたこたぁないな、そういえば…「ここにいた!!ユウヤ!!!」」
ベルクーリが俺の神器について聞こうとしたその声はある人物によって遮られた。
「今日は私の鍛錬に付き合ってくれる約束でしょ!!模擬戦やるわよ!」
サクラ・シンセシスフォー。
俺とまったく同じタイミングでこの世界に転生してきた同郷の人で相棒。
ちなみに俺はシンセシススリーだったりする。
「悪いな、最高司祭様が俺のことを呼んでるんだとよ。それが片付いてからでいいか?」
「えー!またなの?あの女、毎回毎回ユウヤに頼りすぎなのよ」
「ん?嬢ちゃんはユウヤが最高司祭様と何話してるか知ってんのか?」
1人ついていけていないベルクーリがサクラに聞くもサクラの方は
「んーあはは、なんでもないよー。それじゃあユウヤ!あとで私の部屋来てね!」
なんて、躱して去ってしまった。
「俺、嬢ちゃんに嫌われてんのかね」
「いつものことだしそんなことないだろ、それよりちょっくら用事終わらせてくるわ。」
俺はこうして行きたくもないセントカセドラル100階に行くことになったのだった。
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セントカセドラル100階。
最高司祭アドミニストレータの居室であるが、部屋の中央にベッドが1つあるだけの簡素な部屋。
しかも本人素っ裸だし。たまに変態なんじゃないかと思う。
「よく来たわね、まあ来ざるを得ないわけだけど。あなたは私に逆らえないものね」
「うるせえ!来てるんだからそう脅すようなことはやめろ!俺とお前の関係をさらに悪化させる気か」
アドミニストレータと俺はある契約を結んでいる。その契約によって俺はアドミニストレータに逆らえない…というより逆らわない。
「はいはい、そうよね。まあいいわ、話を先にしてしまいましょう。あなたを今回呼んだのは1つ実験してほしいことがあったからなのよ」
「実験?いつもの気紛れか?」
アドミニストレータはたまに気紛れでこうして俺に実験として色んなことをさせる。中には人の心を持ってるとは思えないような残忍なものもあり、憎悪が増すわけだが。
「あなたにお願いしたいのはね、危機的状況に陥った人界の者が禁忌目録を破るかどうかの実験よ。ごく僅かとはいえ、どんな場合でも禁忌目録は破れないことを立証させておきたいのよ」
「禁忌目録を自発的に破る人間がいるかだって?そんなのいるわけないだろ(そういう世界なんだから)」
「クスッ。私はね、絶対という言葉を信じない。だから試すの。あなたは言われた通りに動けばいいの。それに禁忌目録を破れるような人間がいるのであれば騎士として手元に置けるじゃない。いてもいなくても私には利しかないのよ。」
(要は戦力を増やしたいが、統一大会優勝者からなる整合騎士のような単純戦力ではなく、意志力を備えている可能性のある禁忌目録違反者からなる整合騎士がほしいわけか…。)
まあ滅多にそんなのいるわけないんだが。
「わかりましたよ、その任務に早速取り掛かりますよ」
そうして俺は実験を行うべく、あえて危機的状況を作り出すという整合騎士にあるまじき行為を何度も行うことになる。
自然災害に見せかけて村を破壊したり、ダークテリトリーのゴブリンをあえて引き込んだり。
そしてルーリレッドの村での実験で出会う。
あの3人に。