ロキファミリアの首脳陣に月兎が混じり込むのは間違っている 作:はるみゃ
「ガレス!」
「分かっとるわ!」
フィンの声にガレスが反応して、俺の前に飛び出し盾を構える。
ゴブリンの振り下ろした棍棒を防いだ。
ガキンと鈍い音が鳴るが、ガレスはビクとも動かない。
見かけ倒しではなく実際にかなりの力があるのだろう。余裕綽々といった感じだ。
どのくらい力があるのだろうか。疑問に思う。一度ステイタスを見せて欲しいものだ……
そんな事を考えているとフィンから声が飛んできた。
「鈴仙! 次は君だぞ!」
「分かってます」
いけない、完全に他事を考えてた。
戦闘では少しの隙が命取りとなる、そう聞いていたはずなのに……
思考を強引に切り換える。
今は目の前の敵に集中しなくては。
俺は指で銃を作り、ゴブリンの額を目掛けて、言葉を紡いだ。
「【ロックオン】」
紫色の光の銃弾が、人差し指の先から撃ち出された。
昼時、俺たちは地上へと帰還。バベル三階で魔石を換金して二階にある簡易食堂へと赴いていた。
「大体こんなものか……どうだ、初のダンジョンの感想は、鈴仙?」
店でご飯を注文しながらリヴェリアが訊ねてくる。
「思ってたよりも敵が弱かったです。これならもっと下の階まで行くか、各個人で探索した方が効率が良いと思いました」
今回戦ったコボルト、ゴブリンはどれも俺の魔法で一撃だった。そのため、自分の魔法の威力が計れずにいた。
正直、期待はずれも良いところだった。
この程度なら一人でも全然倒せる。わざわざチームでやらなくてもいいのでは……?
そう思ってたことを率直に言うと、リヴェリアが苦笑いした。
「確かに鈴仙の魔法は詠唱が短く威力が高い。だが、慢心はやめた方がいい。死に繋がるからな。確実に少しずつ進めていこう」
まぁ、そりゃそうなんだろうけども……やはり効率が悪いと分かっていてそれを続けるのは何だかなぁと感じた。
……って、あれ、俺ってこんなに闘争心旺盛だったっけ……? いや、俺はもっと保守的な考えだったはずだ。
分かりやすく調子に乗ってる自分に、らしくないと首を横に振っていると、今度はフィンへとリヴェリアは問いを投げ掛けた。
「フィン、お前は?」
フィンはご飯を食べていた腕を止め、小さく頷き、口を開く。
「僕は……特にないかな。想像していた通りだったよ」
「そうか」
「それよりどうするんだ? 午後からもまた潜るのか?」
暴れ足りないと豪語するガレスに、リヴェリアは冷ややかな目を向けながら言った。
「いや、今日はここまでだ。午後はロキが空けておいて欲しいと言っていてな。特に鈴仙」
「え、私?」
自分を指差して首を傾げると、リヴェリアは深く頷いた。
「あぁ、何やら話がある……みたいなことを言ってたな。まぁ、大方セクハラだろうが……。セクハラされそうだったらすぐ呼んでくれ、何とかしよう」
「え、あ、はい。分かりました」
真剣な顔で告げるリヴェリアに、「何をやらかしたらこんなに警戒されるんだ……一体何をやったんだロキは」と冷や汗を流しながらも俺は頷き返した。