ロキファミリアの首脳陣に月兎が混じり込むのは間違っている   作:はるみゃ

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8 弱さ

 食事から数十分後。私とリヴェリアは二人でホームへ向かっていた。

 

「鈴仙と話があるならオレたちは少し遅れて帰っても問題あるまい」

 

 と言うのはガレスの言で、リヴェリアの反対を強引に押しきり、フィンを連れて武器を見に行ってしまった。

 

 その行動がリヴェリアの不興を高く買ったようで、リヴェリアは帰り道ブツブツと謗っていた。

 

「――ったく、アイツは本当に……一度殺さないと馬鹿は治らないんじゃないか……大体武器なんて見て何が楽しいのだか……何が男のロマンだ馬鹿馬鹿しい。なぁ、鈴仙?」

 

 不意に話題を振られた。

 実際のところ俺も武器を見たかったし、男のロマンに同感できるのだが、威圧するような視線に思わず頷いてしまう。

 

「あ、あはは。そうですね……」

「だろう? 大体アイツはいつも男のロマンで済ませるから――――」

 

 それからも男のロマンをディスる小言は続き、俺は冷や汗を流しながらも頷き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

「帰ったぞロキ」

「ただいま帰りましたロキ」

 

 ホームに帰ると、即座にロキが出迎えてくれた。

 

「おお、待ってたで~!!」

 

 ガバッと手を広げて抱擁してこようとしてきたので、即座にリヴェリアの後ろに隠れる。

 

「……ロキ、過度なスキンシップはやめろと言ったよな?」

「い、嫌やなぁ、リヴェリアたん。こんなのはまだ軽いスキンシップ――」

「ロキ?」

「ほんまごめん! 少し魔が差したんや!」

 

 素早く土下座して謝罪するロキにリヴェリアは頭を押さえて嘆息。

 

(……いや、慣れすぎじゃね? 無駄な動作が一切なかったぞ、今……)

 

 かなり洗練された土下座に呆気にとられていると、リヴェリアは俺の方を振り返り言った。

 

「良いか、鈴仙。これから私は席を外すが、何かされそうだったら絶対に大きな声で叫ぶんだぞ? すぐ駆けつけるからな」

 

 コクコクと頷くと、リヴェリアは「話が終わったら呼んでくれ」と外へ出ていった。

 

 気まずい感じの沈黙が暫く流れる。

 そんな雰囲気を破ったのはロキだった。

 

「なぁ鈴仙ちゃん」

 

「はい」

 

 ヘラヘラとした笑みを止め、真剣な表情で口を開いたロキは、少し躊躇って、しかしハッキリと用件を告げた。

 

 

「何かウチに隠してることあるやろ?」

 

 

 

 

「え……」

 

 

 思いもがけない言葉に固まっている俺に、ロキは淡々と言葉を紡いでいく。

 

「神にはな、嘘か真か見抜く力があるんや。昨日の自己紹介ん時、鈴仙ちゃんは嘘は言ってへんけど真のことも言ってへんかった――なぁ鈴仙ちゃん、何を隠しとるんや?」

 

「――ッ!? 」

 

 心当たりはある。むしろ心当たりしかない。

 

 例えば名前。確かにこの体の名称は鈴仙・優曇華院・イナバだ。しかし、本質は俺という全然違う生命体。

 そう言ったところで反応したのだろうと思う。

 

 全てを見抜くような神の目。

 

(全部告げたら楽になるのかな……)

 

 そんな目を向けられた俺は、そう思い、全て白状しようとして――

 

 

 

 

「……ごめ……んなさい……言え……ません…………」

 

 

 

 

 不意に頭に過ったのは"ファミリアを追い出される最悪の展開"。ロキから、ガレスから、リヴェリアから、フィンからも忌み嫌われ一人になる未来を想像してしまい。

 

 結局俺は謝ることしか出来なかった。

 

 怒られるかと思った。当然だ、聞かれた質問に対して答えを言っていないのだから。

 

 しかし、ロキは、叱りもせずただ、優しい目で笑い掛けてきた。

 

 

「……そか。ほんならしゃーないな。待ってるから、言いたくなったらいつでも聞かせてな」

 

 

 どこまでも優しいロキ……しかしそれでもどこまでも弱い俺は告げることは出来なかった。

 

「ごめん……なさ……い……」

 

 

 

 

 今は言えない。

 

 だけど、いつか、言えるくらい強くなりますから……

 

 そんな決意を固めながら、また小さく謝罪の言葉を口にした。

 

 

 

 

 




次回時間飛びます
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