ロキファミリアの首脳陣に月兎が混じり込むのは間違っている 作:はるみゃ
よくあの日のことを思い出す。
この世界に転生してきたばかりの日のことを。
オラリオに来てから一年と半年が経った。
生活は……毎日午後までフィン、リヴェリア、ガレス、そして俺の四人でダンジョンに潜って、素材を換金して、たまに騒いで、寝る、の繰り返し。
日本にいた頃には考えられないほど戦い漬け、命懸けの毎日だ。
そんな毎日を繰り返してきたものだから、すっかりこの身体の扱いにも慣れてきて、この頃は鈴仙と呼ばれることにも違和感を感じなくなってきている。
むしろ昔の名前を忘れそうで心配に思っているのが現状だったりする。
また、この一年半で様々なことが判明した。
例を挙げるとするならば、戦闘時に俺の性格が変わることなどだ。
フィンやリヴェリア、ガレス曰く、戦闘時の俺は攻撃的な態度且つ高圧的な口調になっているらしい。正直自覚は全くないのだが……皆口を揃えて言うからにはそうなんだろうと思う。
原因は…………おそらく原作の鈴仙も戦闘時は好戦的な性格をしていたからだと考えている。てか絶対それだろ。むしろそれ以外の原因など思い付きもしない。
尤も、原作では自分の都合で性格を変えることが出来るみたいだから、勝手に切り変わっている今の俺とは少し仕様が違うが………
何にせよ現状対処法方が見つからないので、こちらは放置案件だ。
と、まぁ、ダンジョンに潜ったり新事実を発見したりと見る人が見れば中々充実した毎日を一年半もの間送っていたわけだが。
今日、ようやくその成果が目に見える形をもって現れた。
「鈴仙、準備はええ?」
確認するようなロキの声に、俺は閉じていた瞳を開ける。
「はい。いつでもいいです」
「じゃ、いつも通り脱いで背中を向けてな」
「分かりました」
言葉に頷きで返した俺は、即座に上着を脱ぎ、ロキに背中を向けた。
いつも通りロキは針などを手早く使い、ステイタスを更新していく。
そして、ゆっくりと息を吐いて、声を大きくして言った。
「おめでとう。鈴仙……ランクアップやっ!」
「ありがとうございます、ロキ」
レベルが1違うだけで、やれることが別次元に変わる。
先に冒険者になっていたリヴェリアやガレス、そしてフィンは既にレベル2。
ロキファミリアでは俺だけがレベル1だった為、どことなく足手まとい感があったのだが、それも今日まで。
――ようやく追い付いた。
この世界で初めてできた友人たちと肩を並べられることを嬉しく思いながら、
俺はホームの外で待機しているフィン達にランクアップを報告するべく、扉を開けた。