(本当にこの子、一体どんな育ち方をしてきたんだろう)
考えていると、視界の端で獣が蠢いた。
ルドガーは急いでエルとフェイを自分の側に引き寄せた。
だが、ソウは立ち上がることもなく、フェイを見つめるように頭を傾けただけだった。
『そうか……あんただったんだな、マルシアが言ってた〈妖精の子〉ってのは……』
「ん」
『マルシアが言ってた……冷たいオトナたちの仕打ちで心を停めた、可哀想な子だって……外に出して、楽しいことを目一杯教えてやりたいって……』
闇色に染まっているはずのソウの目が、深い慈しみを湛えたように見えた。
『なあ、あんた……今、自由か? 楽しく、やれてるか?』
「――タノシイ、かは、分からない。スキなこと、スキな時に、やってる」
『そ、か……よかったな、マルシア……あんたが見守ってた子は、いま……自由、だ、って』
ソウの息が徐々に細くなっていく。フェイが手を伸べると、ぱき、と赤い爪が折れた。
フェイが憐憫を湛えてルドガーを見上げてくる。
ルドガーは一度目を閉じ――懐中時計を構え、精霊の力を鎧として纏った。
黒い槍をソウに突き立てた。ソウは黒い灰のようなモノに分解され、やがて、消えた。フェイの手に欠けた赤い爪が遺された。
パキン。世界にヒビが入る。ヒビは天地四方に広がり、世界がブラックアウトした。
まだ夢の中にいるような心地で、フェイ・メア・オベローンは立ち上がった。
手には、魔物化したソウの爪の欠片。フェイはそれを無言でブレザーのポケットに入れた。
『間もなく、列車がトリグラフに到着します。お降りの方は忘れ物がございませんよう――――』
はっとした。あんなにも恐れた駅への到着がすぐそこまで来ている。
どうしよう、とフェイは立ち尽くす。ルドガーやエルはああ言ってくれたが、それで恐れの全てを拭い去れたわけではない。
「「だいじょうぶ」」
はっとする。フェイの前で、ルドガーとエルが、全く同じ顔で笑っていた。
ジュードたちのいる車両に戻るルドガーたちにフェイも続いた。
ジュードはルドガーを見るや「大丈夫?」と座席を立ってルドガーの前まで来た。
そんな優しいジュードに、ルドガーが事情を説明する内に、――列車はトリグラフ中央駅に入ってしまった。
フェイはドアを前にして立ち尽くす。
ジュードが、レイアが、アルヴィンが。ローエンが、エリーゼが、駅へ降り立つ。けれどもフェイには彼らに続いて降りる勇気が出ない。足が縫い合わされたように動かない。
(ホントにサヨナラにならない?)
するとルドガーとエルが先に降りて、フェイに手を伸べた。筋肉のついた異性の腕と、ぷにぷにした少女の手が、フェイを新しい世界へ手招いている。
フェイはついに列車を降り、ルドガーとエルの手を握り返した。
わっ。プラットホームの喧騒が一気にフェイを包み込んだ。
その勢いにたたらを踏むも、ルドガーとエルが両手を握る感覚が、フェイの漠然とした不安を拭い去った。
何でしょうか……どこか直さなきゃと思うのにどこを直していいか分からないこのもやもや感。
実はマルシアさんとソウがオリ主を知っている分史でした。ローエンEP1の分史を元にしていますが、厳密にはアレとは違う分史です(*^^)v ここポイントですよ~。
想定以上にローエンとエリーゼが活躍してしまってどうしようこれタグにジュード入れてるのに今後活躍するけどこれタイトル詐欺にならないかな(((゚Д゚)))ガタブル
今回からオリ主視点が入るようになりました。不思議ちゃんの思考回路を表現するのは本当大変ですorz
オリ主の正体は次回ネタばれする予定です(*^^)v 捏造設定入り乱れだぜ~(´ー`;)