フェアリーテイルの終わり方   作:あんだるしあ(活動終了)

41 / 103
 妖精 に 分からない コト


七幕 羽根がなくてもいいですか?(5)

「セルシウス。僕たちは君を傷つけるつもりなんてない。だから」

『では今の装置は何だ! 私の自我を犯し、抑えつけ、意のままに操ろうとしたではないか!』

 

 バチバチバチッ!!

 

 フェイは先に編み上げていた拘束術式(グレアケイジ)を発動させ、セルシウスの四肢を縛り上げた。

 

「フェイ!? ダメだよ、そんな乱暴なやり方じゃ!」

「だってこの精霊、ジュードが一生懸命造ったモノにヒドイこと言った! ジュードだけじゃない、バランさんもおねーさんも、ほかにもたくさん、たくさんの人ががんばって造ったモノなのに!」

 

 たったさっき見たばかりなのだ。時間と労力を費やしてソレを作っていると熱弁を揮ったジュードを。他でもない、セルシウスのような大精霊のために。それを当の精霊が否定した。許せなかった。

 

「精霊を傷つける物を造った僕にも責任はある!」

「何で!? 精霊を消費して生活するのは当たり前でしょう!? だって、黒匣(ジン)がないとわたしたち生きてけないもん! 黒匣(ジン)で精霊殺さなきゃ、フツーの生活だってできないもん! なのに何でジュードは精霊ばっかヒイキするの!」

 

 琥珀色の双眸が信じられないもののようにフェイを見返してきた。

 フェイは戸惑う。間違ったことは言っていない。いないのに。

 

 

 ――黒匣(ジン)使ってたら自然がヤバイとか言うけど無理だしね~――

 ――黒匣(ジン)なしに生活しろとかありえないって――

 ――断界殻(シェル)開放したから黒匣(ジン)使っても精霊死なないんでしょ?――

 ――大体今さらやめろとか政府も何考えてるわけ?――

 ――飢え死にしろって話かっつーの――

 

 クラスメートの誰もが言っていた。今は黒匣(ジン)があるのが当たり前の時代なのだ。フェイ自身、衣食住は黒匣(ジン)頼りだ。〈妖精〉であっても人間だから、その普遍性には逆らえない。今フェイはエレンピオス国民の意見を代弁したとさえ思っている。

 

 なのにどうしてジュードはそんなにも隔たりのあるまなざしを向けるのか。

 

『精霊を殺さなければ生きていけない、か。人間はどこまでも業が深い』

 

 嘲るセルシウスをフェイは強く睨んだ。

 

「あなたたちだって、最初から人間がキライなくせに。フェイにいっぱいイタイコトしたくせに。人間がイッパイ苦しめばいいって思ってるくせに。まだいじめ足りないの? 人間みんながイタイ思いしなきゃ、あなたたちは許してくれないの!?」

 

 セルシウスは苛烈な色となった隻眼をフェイに向けた――が、やがて、ふっと何もかもに疲れたように項垂れた。

 

『我々が人間と融け合える日はもう来ないのかもしれん。――精霊は人間の道具じゃない。そう思う人間は、もうどこにもいないのか』

 

 パキパキパキパキ

 

 フェイがしかけた捕縛術がセルシウスの寒気によって凍っていき、ついには砕けた。

 セルシウスは壊れた小匣を奪うと、ダイヤモンドダストを残して姿を消した。

 

 

 

 

(ねえ、ジュード。何で? バランさんもおねーさんも。みんな、何で? フェイ、間違ったこと言ってないよね? 人間は精霊を殺さなきゃ生きてけないでしょ? 精霊は人間がキライで。ねえ、わたし……どこかオカシイの?)

 

 混乱するフェイに、さらに追い打ちをかけることをジュードが口にした。

 

「バランさん。あの装置の臨床実験は中止にしましょう」

「えっ…な、んで? ジュード、今日までがんばってきたんでしょ?」

「――自我を侵され操られる。気になってるのはそこだね」

 

 バランの確認は呵責がなく鋭かった。

 

「はい。僕の装置には欠陥があったんです。それがセルシウスを怒らせ、傷つけた。僕は源霊匣(オリジン)を……精霊を道具扱いする機械を作ってしまった。知らなかったとか、そんなつもりじゃなかったなんて、言い訳にならない」

 

 フェイはその場にぺたんと座り込んだ。




 オリ主も所詮はエレンピオス人。黒匣に頼るのはもはや習慣です。それがオカシイはずがないから反論した結果がこれでした。
 結局オリ主もまだまだコドモの感性しか育っていないのですね。オトナの感性に近づくには経験値が足りません。ジュードたちの話で完全に自分を見失ってしまいました。
 ちょぴっと成長したとこと言えば、自分でなくジュードたちに怒りの矛先が向いたから術発動させたっていう、「他人のため」が分かってきたことですか。

 それでも、そんな人を放っとかないのがジュードですよね。そして外で出待ちしてる兄さんも(*^_^*)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。