あ、あとまだFate シリーズを見始めて3ヶ月程度のにわかですが、一部の設定などは個人的な解釈だと受け取ったりして、暖かい目でくれると嬉しいです。
深夜、人の気配が完全に消えたアメリカの道路に車が一台走っていた。
その車はアメリカのエセックス郡北部の学術都市[アーカム]の道を一直線に走り抜けていく。
周囲は無人の野原や丘であり、人の気配はおろか動物の気配すらも無くまるで大洪水によって全ての生命が滅ぼされてしまい、自分だけがのうのうと生き残ってしまったのかというほどに寂しく感じられた。
しかし、走っている車はタクシーであり、現在人を乗せて運んでいるようなので、荒野の真ん中で1人という状態では無かった。
ニューヨークのある空港からタクシーに乗って5~6時間程ほぼ休み無しで車は走っており、話のネタが既に尽きているのか、運転手も乗客も無言の状態で、ただただアーカムへの道をひたすら進んでいる。
そうして荒野を進む最中、突然乗客が右腕を見ながら呟いた。
「もうそろそろでアーカムか。」
「はい、あと10~20分程で着きますが…どうしてお解りに?」
「令呪だ。マスターの資格である令呪が俺の腕に浮かび上がった。」
「本当ですか…!?。強力なサーヴァントを従える事ができるマスターの権限が浮かび上がったという事は…」
「あぁ、無事にマスターの資格を得ることが出来たようだ。」
「…本当にお覚悟はよろしいので?」
「あぁ…。恐らく俺が魔術師として生まれた時から、この運命は既に決まっていたのだろう。」
口を開いて出てきた言葉は運転手と乗客の関係ではない、いわば従者と主人の行う会話に近かった。
それでも会話の内容には不明な点が多かった。
「…それにしても、アーカムで聖杯戦争が行われるなんて本当なんでしょうか。」
「確かに噂程度で収まっていて怪しい。それに時計塔の魔術師達も噂を嘘りのものだと受け取っている。だが、たとえ嘘だとしても、それを求めるのが魔術師であると思わないか?」
「…ハァ。貴方は昔からそうですね。自身が魔術師でありたいと強く願う。お伽話のような魔術師と、我々は真逆の存在であるのに貴方はその2つを重ねて考えている…。魔術師らしくあろうとするあまりに魔術師らしく無くなるという矛盾した存在です。」
「そうだな。だが、俺はこの生き方を変えるつもりは毛頭ない。お前が言う矛盾というのが俺を形成しているのだ、それを取ってしまっては最早俺ではない。」
「…そうですか。あ、そろそろ着きますので準備をしてください。」
どこまでも頑固な方だ、と思いながらもそれを声には出さず運転手は違う言葉を言う。
頑固なのは彼自身解っている。それに、今更そのことについてつべこべ言っても仕方ない事である。
「あぁ、準備は出来てる。」
タクシーが一軒の家の前に止まった。
乗客がタクシーから降りて言った。
「ありがとう、ラルク。もう会うことも無いかもしれんな。」
「…吉報をお待ちしております、ジェイル。私に言えるのは、それだけです。」
そういうと、タクシーはすぐに去っていった。荷運びは既に終わっていて、タクシーに乗せていたのは手荷物だけである。
タクシーを見送りながらジェイルと呼ばれた男は考えていた。
「あいつにも迷惑をかけたな。俺の執事として、長い間面倒を見てくれた。」
ジェイルの家は魔術師の家系であり、代々その魔術が受け継がれてきた。
養子として引き取られたジェイルもその例外ではなく、魔術に関しての事を全て頭に叩き込まれた。
家に魔術刻印という物は無かった。ジェイルを引き取った時既に50代だった両親にはおそらく子供がいたのだろう。
その子供に受け継がれた魔術刻印は、子供の死によって積み重ねてきた全てが水泡に帰したという。
しかし、だからこそ、魔術刻印を受け継げない養子を育てるという考えができたのかもしれない。
たとえ魔術師の家系といえども、魔術回路は無くなる一方であるがしかし、もう一方で時たま一般人ながらも魔術回路を多く持つ人間もいる。その1人がジェイルだった。
両親よりも魔術回路が豊富にあったジェイルは、その精神が未熟な頃から魔術についての一切を頭に叩き込まれた事によって精神が歪んでしまったのだろう。自分自身歪んでいる事に気付いているが、その歪みが無くなれば自分は何を目標として生きていけばいいのだろう。というような自身の歪みがなくなる恐怖がすぐそこにあった。
そんな彼が、1番接したのがラルクだった。唯一無二の親友とも言える相手だったのだ。
ジェイルは心の中で再び彼に感謝しながら、背後にある家へと入る。
別荘として購入したジェイルの魔術工房である。
中古で買った家のため、アーカム特有の屋根の形をしていて、また所々ボロボロである。
二階建て+地下付きの一軒家は既に引越しが終わっており家具などもセットされている。
「…ったくラルクの奴め。どれだけ俺に恩を渡せば気がすむんだ。…ん、今の言い方は意味不明かもしれんな。次からは気をつけよう。」
そう言いながら上着を脱ぎハンガーにかけると、次は地下へと向かった。
「英霊召喚か…。しっかりとしたサーヴァントだといいんだがな…。」
そう言いながら地下にある英霊の召喚陣の前に立つ。
指先を噛み切り、召喚陣に血を垂らしながら呪文を唱え始める。
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を、四方の門は閉じ、王冠より出で、王国へと至る三又路は循環せよ
閉じよ(満たせ)。
閉じよ(満たせ)。
閉じよ(満たせ)。
閉じよ(満たせ)。
閉じよ(満たせ)。
繰り返すつどに5度。
ただ満たされる刻を破却する。
ー告げる。
汝の身は我が下に。我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば答えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
瞬間、陣を循環していた血が輝きを増し、赤い閃光が地下室全体を覆った。
「お前が、俺のマスターか?」
サーヴァントが問いかけた。
因みにこの作品は元々身内でFate TRPGを作ってみてやってみようみたいな感じで作った結果。キャラクターの設定がなんかそれっぽくなったので書いてみた感じです。
あ、サーヴァントのクラスなどは次回。