朝、いつもより早く目が覚め外に出ると凛緒ちゃんがちょうど園神家から出てきました。
「凛緒ちゃん、おはようございます」
「ちやちゃん、おはよう!」
「・・・・・士道と凛祢に一言言っていかなくていいのですか?」
「うん・・・・・もうじかんがないの。はやく、いちばんだいじなものをみつけないと、みんながしあわせになれないの」
いちばんだいじなもの・・・・・それが一体何かは分かりません。ただ、〈
「よし、今日はお姉ちゃんが一緒にいちばんだいじなものを探してあげる」
「いいの?」
「お姉ちゃんに任せなさい」
そう言い残して、家に戻り準備を整え表に出ます。
「さて、行きましょう」
「うん。よろしくね、ちやちゃん!」
彼女はそう無垢な笑顔を私に向けてきました。
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「みつからないね・・・・・」
「そうですね」
一日はあっという間にすぎてしまい、日が暮れてきました。そろそろ、鞠奈さんの活動時間になるのでバトンタッチですね。
それにしても、最後のキー、『いちばんだいじなもの』は何なんでしょうか。士道と凛祢に関係があるものなのでしょうか?士道はともかく凛祢の方は・・・・・あっ、そうか!凛祢は1度この世界から消えています。その凛祢に関係があるもの、つまり凛祢がこの世界にいたという証明が出来るものが『いちばんだいじなもの』の正体です。まったく、自分でよく言ったものです。
ーーーーー最後の
凛祢に関するものが消えた世界で唯一残った凛祢がいた証拠。それは、士道が凛祢に渡した合鍵。それが、『いちばんだいじなもの』の正体。そういえば、凛祢は合鍵をとても大事そうにしていましたね。
「あっ!まりなだ!」
凛緒ちゃんの声に反応して、その方向を向くと鞠奈さんが来ていました。鞠奈さんは少し気まづそうにこちらに来ました。
「魂月千夜。凛緒の面倒を見てくれてありがとう」
「いえ・・・・・これから凛緒ちゃんを士道と凛祢の所に連れていこうと思いますが・・・・・いいですね?」
「・・・・・かまわないわよ」
「そうですか・・・・・鞠奈さん、もしあなたが迷っているなら自分と向き合って下さね?」
鞠亜ちゃんから聞いた話では、鞠奈さんのこの世界での立ち位置は凛緒ちゃんのガーディアン。凛緒ちゃんを守ることが仕事です。今の鞠奈さんの感情は、ガーディアンとして凛緒ちゃんの願いを叶えたい思い、この世界に本来居ない私達は消えるべきだと言う思い、それでも消えたくないという思い、それぞれが複雑に絡み合っていて、それが爆破した結果、凛祢との衝突となったみたいです。
「なんのことか分からないね」
本人は認める気はないそうですが。
「なら良かったです。後悔だけはしないように・・・・・凛緒ちゃん、士道パパと凛祢ママのところに行こっか?」
「パパとママのところ?うん!いく!」
私達は士道達がいる高台へ向かいました。