微妙な雰囲気になりながらも高台へ到着しました。視線の奥には凛祢と士道がいました。そして、士道の手にはいちばんだいじなもの、凛祢の合鍵がありました。
鞠奈さんはそれを見つけると、走り出し士道の手のひらから鍵を奪い去ります。
「もーらい」
「鞠奈っ!?」
「やっぱり、こういうものだったのね。予想通り過ぎて、なんだか拍子抜け。凛緒は園神凜祢の記憶の残る場所にあると思ってたみたいだけど、園神凜祢の感情を考えれば、それは五河士道に近い場所にあって当然。やっぱり、見た目通りまだまだ子供ってことね」
「鞠奈・・・・・おまえ、どうして・・・・・?」
「本当はこんなことしたくないんだけどね。でも、この子の頼みだから。ごめんね、士道」
「ありがとう、まりな。・・・・・パパのおかげでみつけたよ。いちばんだいじなもの!」
鞠奈さんは凛緒ちゃんに鍵を渡し、凛緒ちゃんはその鍵を大事そうに胸に抱きました。
「これでみんなしあわせになれるね。とってもとっても、しあわせになれるんだよ!」
「駄目だ、凛緒・・・・・この世界は、続けるべきじゃない」
「どうして?だってこのままだとパパもかなしくなっちゃうよ。ママともあえなくなっちゃうし、まりあおねえちゃんもまりなもいなくなっちゃうよ?」
「・・・・・それでも、駄目だ」
「ここなら、すべてがかなうよ?しあわせなゆめをみて、しあわせなまいにちをすごして、しあわせなおわりから、しあわせなはじまりをするの」
士道に凛緒ちゃんの説得を任せて私は私で準備をしましょう。今回は、凛祢の時みたいに戦うことにならなければいいのですが・・・・・あの時の〈ガーディアン〉の大量発生は厄介でしたね。今回は鞠奈さんが増えるのでしょうか?電脳世界の時もコピーして増えていましたし。
ギリギリまで凛祢、凛緒ちゃん、鞠奈さんを救う方法を考えませんと。どうにかして、欠損部分を埋める方法は・・・・・
鞠奈さんには無理とは言いましたが確実性がないのでそう言っただけで100%無理な訳ではありません。私はギリギリまで粘るつもりです。
よく思い出して、自分の能力を最大限応用して、それで全員助け出す、そのために考える。今の私にできる最大限を尽します。
お互いの欠損を埋めるにはどうすれば・・・・・同時に2人を取るとダメになる。お互いが足りない状態になってしまう。
機械みたいに予備パーツを他から持ってこれれば楽なのですが・・・・・
ん?・・・・・予備パーツ・・・・・コピー・・・・・複製から情報の書き換え・・・・・
あれ?これ、もしかして死神達みたいにコピーを使えば、いけるのでは?
まず、凛祢を完全な状態で保存してコピーします。その後、凛祢と凛緒ちゃんを分裂させて足りない部分をコピーした魂で補充し、浸透させてゆっくりと馴染ませる。必要な情報の選択や魂の結合でかなり時間がかかる間もしれませんがこれなら・・・・・
しかし、万が一失敗したら・・・・・いえ、失敗したらじゃないです成功させるんです。全員助ける為にもーーーーー
「千夜」
「・・・・・あっ、鞠亜ちゃん?」
「はい、鞠亜です。私のお姉ちゃんをお願いできますか?」
「その様子だと、士道は凛緒ちゃんの説得には成功したみたいですね」
「はい、今は凛緒は凛祢の中に戻り、凛祢は士道と一緒にいます」
「そうですか。鞠奈さんの魂を保存する際、あなたの魂も一緒に保存しますがよろしいでしょうか?」
「大丈夫です。この世界での私と鞠奈の存在は混ざっていますし、鞠奈だけと言うのが難しいのも頷けます」
「じゃあ、始めますね?〈
鞠亜ちゃんに触れて魂を【
「【
鞠亜ちゃんと鞠奈さんの魂を保存しました。と言うか、凛祢や万由里ちゃんの時もこうすれば良かったですね・・・・・
さて、次は凛祢の番ですね。
凛祢と士道の元へ行くと、凛祢の体は少し発光していて、タイムリミットが近いことを感じさせます。
「今度はちゃんと言える。さよならーーーーー凛祢」
「うん。さよなら、士道」
私は別れを告げた2人のもとへ姿を現します。士道は警戒をしていますね。しょうがないと言えばしょうがないですけど。
「りんーーーーー」
「士道!さっきの言葉取り消すね!」
士道の言葉を遮り、凛祢は私の方へ走りながら士道に向かって言いました。
「
「【
そして、〈