識別名:リーパー   作:兎秤

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 前回、1話分の文量が少ないと思ったので増やしてみました。
 でも、よくよく見返すとたまにこれぐらいの文量の話もあるんですよね。

 この文量が続くかは、わかりません。


 続かないだろうな・・・・・



少女は年上に振り回された

〜10月10日〜

 

 あれから、結局反転体に慣れることはなく日々は過ぎて行きました。しかし、私の頭の中はその事よりも私の過去についてでいっぱいです。

 

 DEM社の関係者の極わずかな人達。という事は、会った事は無いですが、十香ちゃん達を度々狙っているDEMの代表取締のアイクって言う人やエレンさんみたいな偉い立場の人しか知らないって言うことなんでしょうか?

 

 そんな、感じで過ごしている所に1件のメールが届きました。

 

 

『from.本条二亜

 to.魂月千夜

 件名.たすけて

 

 たすけ   』

 

 いや、どうしたんですか!?助けてって、しかも打ちかけですし・・・・・まさか!また、捕まったんでしょうか?だったらまずいですね・・・・・助けに行きませんと。

 

 私は二亜さんのもとへ急ぎました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「いや〜助かったよ、本当に」

「心配して損しました」

 

 二亜さんの家まで行くと、鍵が空いていて慌てて中へ入ると倒れている二亜さんが目に入りました。私は慌てて駆け寄り声をかけて最初に返ってきた言葉が『お腹空いた』でした。つまりーーーーー

 

「つまり、お腹が減って動けなかっただけと?」

「まぁ、そういうことになるね」

「自己管理ぐらいして下さいよ・・・・・」

 

 話を聞くと漫画の執筆の追い込みをして食べる事をしていなかった為力尽きたそうです。料理を作ろうとして冷蔵庫に何も入っていなかったのは驚きました。いや、入っていなかったのは食糧(・・)ですね。お酒は大量に入ってました。

 

「ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」

「いや〜本当に美味しかったよ。ちーちゃん、ウチに嫁に来ない?そこそこ貯えあるから養えるよ?」

「遠慮しておきます」

「あらら、振られちゃった。ちーちゃんは百合っ子ではなかったんだね」

「百合っ子はアイドルで間に合ってます」

「?」

 

 それにしても、漫画家の部屋ってワクワクしますね。漫画を書く道具が沢山置いてありインクの独特の匂いがします。

 

「興味あるなら少し手伝ってくれる?」

「そう言って、自分が楽したいのですよね?やりますけど」

「結局、やるんだ。じゃあ、これのベタ塗りして、その後コレをゴムかけしてくれる?」

「わかりました」

 

 二亜さんから紙を受け取り指定された所を黒く塗っていきます。

 

「そういえば、二亜さんはアシスタントを雇わないんですか?」

「あ〜あたしって結構前に精霊になったんだ。だから、かなり長いこと、この姿のままなわけ。だから、不審がられるからアシスタントは雇えないんだよ」

「成程・・・・・」

 

 話をしながらゆっくり丁寧に塗って行きます。はみ出さないように慎重に・・・・・

 

「そういえば、何かあったの?過去の事とかで」

「ぶっ!?あっ!はみ出した!ホワイトください」

「ちーちゃん、慌てすぎだよ。ほい、これ使って」

「ありがとうございます。で、なんでそんなこと知ってるんですか?・・・・・あっ!」

 

 思い出してみると、この人の天使は〈囁告篇帙(ラジエル)〉。なんでも、調べる事ができるんでしたね。

 

「天使の力ですか。二亜さんはなんでも知っているんですね」

「何でもは知らないよ。調べたことだけ」

 

 どこかの委員長みたいな返しをしながら二亜さんはいらずらっ子ぽい笑みを浮かべます。

 

「それなら、もう答えは知っているじゃないですか」

「うん。知っているよ」

「なら、私の過去も?」

「うん」

「教えてくれませんか?」

「う〜ん・・・・・私は教えてもいいんだけど、本当にいいの?」

「・・・・・どういう意味ですか?」

「私が知っているのは本来のちーちゃんが知っている内容とは異なるんだよ。それに、これはかなりデリケートな問題だからちーちゃんが自分でしっかりと当事者達に聞いて思い出していって欲しいな」

 

 つまり、本来私が知っているはずの内容は、時崎さんが言っていた士道達が知っているという誤った真実ということですか。

 

「まぁ、困ったことがあったらお姉さんを頼っていいからさ、やれるだけやってみない?」

「・・・・・わかりました」

「よし!じゃあ、お姉さんからのヒント1。まずは、幼馴染み君に聞いてみよう」

 

 うっ・・・・・なかなかハードルが高いですね。士道は私に配慮して言わなかったんでしょうから・・・・・

 

「が、頑張ります」

「相談があったらなんでも言ってね」

 

 そこまで、話し終え私達は漫画執筆に戻りました。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

〜次の日〜

 

 

「千夜さん!デート行きましょう!」

「・・・・・はい?」

 

 そう言って私をデートに誘ってきたのは、精霊とデートをしまくっている幼馴染みの士道では無く、現役アイドルで精霊の識別名〈ディーヴァ〉の美九さんでした。

 

「今、はいって言いましたね?なら、早速行きましょう!レッツゴーですぅ!」

「いや、話の内容が理解できなくて聞き返しただけです」

「そうなんですかぁ?でも、行くことは決定しているので行きますよぉ〜」

「拒否権は?」

「ありませんよぉ?それに、前にデートに行くっていう約束もしましたよねぇ?」

「・・・・・あっ」

 

 そういえば、美九さんが士道と初対面の時にデートする代わりに士道を逃がしてあげるっていう約束をしたような・・・・・あれ?でも、記憶は消したはずですよね?もしかして、中途半端で切り上げたせいで変な所だけ残っていたのでしょうか?

 

「あれ?そういえば、いつその約束をしたんでしたってけ?」

「行きましょう!今すぐ!!」

 

 折角消したのに思い出されては困ります。ここは素直に従っておきましょう。

 

 私達は準備をして2人で駅前のデパートまで行きます。

 

「そういえば、デートって何するんですか?」

「それは、千夜さんの服を買うんですぅ」

「え?」

「千夜さん、いつもパーカーとチノパンツばかりですよね?女の子なんですからもっとオシャレしませんと。いつもは何処で服を買っているんですか?」

「ユニ〇ロとしま〇らです」

「千夜さん・・・・・」

 

 いいじゃないですか!ユニ〇ロとしま〇ら!安くて選ぶの楽なんですもん!

 

「今日は色んな服を着させますからね。私が全部買ってあげますから」

「いや、そこまでしていただかなくても・・・・・」

「お金なら大丈夫ですよ?私、人気アイドルなので」

 

 そうでしたね。お金いっぱい持ってそうですね。

 

 その後、次々と店をまわり、服を次々と着せられました。私はまるで着せ替え人形の気分です。だいたい、美九さんの買い方おかしいんですよ。ここからここまで全部くださいなんて金持ちの買い物、びっくりしますよ。でも、よく思い出してみると士道とのデートでもそんなことしてましたね。

 

「今日はどうでしたかぁ?」

「大変でしたよ。でも、楽しかったです」

「なら、いい気分転換になりましたかぁ?」

「へ?」

「なんだか悩んでいるみたいだったので気分転換になればいいなと思ってたんですぅ。千夜さんが何を抱えているかは私には分かりませんが、こうやって気分を変えてあげることぐらいは出来るんですよ?ですから、何かあったら私を頼ってくださいね?」

「あ、ありがとうございます・・・・・」

「それでは、私はこっちなので」

「はい、さようなら」

 

 美九さんに手を振りながら別れます。私はそのまま、自分の家に向かって歩き始めます。

 

 本当に、年上って凄いですね・・・・・

 

 私が何かに悩んでいることを見抜きさらっとフォローを入れてくる。二亜さんも美九さんも、普段はあんなんなのに・・・・・やっぱり、年の功ってやつなんでしょうか?本当に、年上って凄いですね(2度目)。

 

「あら、千夜ちゃんじゃない」

 

 声をかけられそちらをむくと、魔女のような格好をした女性、七罪さんがいました。

 ちょうど、良かった。2段構造について聞きたかったんです。あっ、でもどうやって説明しましょうか。現時点では精霊とバレていないのにそれをバラすのはちょっと・・・・・

 今まで正体を明かした理由は、四糸乃ちゃんは信頼を得るため、時崎さんは身を守るため、美九さんは普通にバレて、二亜さんにも普通にバレたんでしたね。

 折角、四糸乃ちゃんと美九さんの記憶をいじったのにまたしないといけなくなるのは面倒ですね・・・・・そうだ!

 

「こんばんは、七罪さん」

「こんばんは、千夜ちゃん」

「ちょうど、七罪さんに聞きたいことがあったんですよ。実は、私は霊視って言うんですか?普通は見えない物が見えるんですよ」

 

 霊能者みたいな能力がちょっとあるということで乗り切りましょう。

 

「へぇ、そうなの。それで?」

「七罪さんの周りに力場?みたいなのが見えるんですけど、なぜか2段構造?みたいなんですよ。何か力でも使っているのかなって思ったんですけど」

「そ、そう?気のせいじゃない?わ、私は用事があるからまたね」

「あっ・・・・・いってしまいました」

 

 何か都合が悪い事があったのでしょうか?とりあえず、何か能力は使っているみたいですね。

 

 私は能力がどんなものかを考えながら家に帰りました。

 

 


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