死神は精霊を襲う天使を止めた
七罪ちゃんの霊力が封印された次の日。
「えー出席の前に皆さんに悲しいお知らせをしなくちゃいせません」
HRの前、教室に入ってきたタマちゃん先生が、そう話を始めた。
なんでしょうか?デート商法にでも引っかかった?
「えっ?どうしたのタマちゃん」
「お見合いがダメになったとか?まさか、結婚詐欺!」
「まじ引くわー」
君たち酷いですね(ブーメラン)。タマちゃん先生はそんなのに引っかからないですよ。多分。きっと・・・・・
「実は、鳶一折紙さんが急な都合で転校することになってしまいまして」
「転校!?ちょっと、待ってください!折紙が!?一体どういうことですか!?」
「ちょっと、士道。落ち着いてください。折紙さんの転校先とかは分かりますか?」
士道を宥めながら折紙さんの行方について先生に質問をする。
「私も詳しい事情は分からないんですよ。突然、鳶一さんから電話があって、転校する必要書類は後で送るって・・・・・学校はイギリスの学校とだけ」
イギリス・・・・・DEM社の本社があるところですね。やはり、折紙さんはDEMについたのでしょうか?
「あーお腹がーお腹の調子がーちょっとー」
士道がかなりの棒読みで、そう言いながら教室を出ていった。多分、折紙さんを探しに行くのでしょう。そんな事しなくても、十香ちゃん達の近くに居れば向こうから来ますのに。
折紙さんの目的は精霊を殺すこと。それを確実にする為にDEMについたのでしょう。ASTだと、精霊の〈プリンセス〉に攻撃が出来ても人間の夜刀神十香には攻撃出来ない。それにDEMの方が装備の質もいいですからね。
十香ちゃん達を囮にするのは心苦しいですが、折紙さんの好きにはさせません。
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放課後になりました。私は十香ちゃん、耶倶矢ちゃん、夕弦ちゃんの下校を見守りながら後を尾けていました。ストーカーじゃありませんよ?3人が五河家の前で、何故か来ていた美九さんと合流すると、案の定折紙さんが現れた。
「私はあなた達を倒す!」
「させない!」
折紙さんがDEMのCRユニットを纏い、十香ちゃん達を襲おうとする。その瞬間、折紙さんに飛びかかるが、折紙さんはぐるっと体の向きを変えて応戦をしてきた。
「〈リーパー〉!ちょうどいい、探す手間が省けた。貴方もここで倒す」
折紙さんはブレードとレーザーを駆使して、襲いかかってくる。流石はDEMの装備。ASTの時とは比べ物にならないくらいの速度とパワーです。
パワーでは勝てないので、速度で回避専門で立ち回ります。これだけ性能が良ければ、前の大きいASTの装備のように活動限界があるでしょうし、時間切れを狙っていきます。
「止めるのだ!鳶一折紙!」
あれぇ?十香ちゃん!?なんで来ちゃうんですか!せっかく、私が時間稼ぎをしていたのに!
そんな私の思いは届かず、耶倶矢ちゃんと夕弦ちゃんも折紙さんに突撃していきました。
うーん・・・・・何とかして十香ちゃん達の動きを止めたい。かと言って、霊力を奪って止めたら折紙さんが向かった時に対応が難しそうですですし・・・・・
それに、上空からも戦闘音が響いてますね。フラクシナスも襲われているんでしょうか?あっちもこっちも大騒ぎですね。誰か、この状況をどうにか出来るフレンズを教えてください。
「あれ?この霊力の量は・・・・・!?」
ちょっと目を離した間に、十香ちゃん以外やられて何故か十香ちゃんの霊力が完全に戻ってます。
流石に完全体の精霊になると、いくらいい装備でも折紙さんでは圧倒は難しいですね。それに、そろそろ・・・・・
「・・・・・ッ!!?」
時間切れですね。
折紙さんが動きを止め落ちていく。そこに、十香ちゃんが斬撃を叩き込んだ。いや、追い討ちしないであげて。
折紙さんを回収する為、飛ばされた方へ向います。その時、覚えのある霊力を感じました。これ、誰の霊力でしたっけ?
何となく感じた覚えのある霊力を感じ、折紙さんの元へ向かう足を早める。私が折紙さんの元へたどり着くと、既にその霊力は無くなっていた。代わりに別の霊力を持った存在がいた。折紙さんだ。
「精霊になったのですか・・・・・?」
「せい、れい?・・・・・それでも構わない。私はこの力を持って精霊を全て消し去る。そして、最後には私自身も!〈
「〈
精霊となった折紙さんが、無数の細長い羽状のパーツを動かし、その先端から光線を放つ。【
「くっ!」
精霊になってから、ほぼ初めてとも言える痛みに顔を顰める。そもそも攻撃が当たる事が少なく、当たったとしても霊装に阻まれるため、肉体にダメージを受けたのは初めてだった。
「【
羽のパーツが翼のように折紙さんの背中に左右で浮かび、その先から光線が放たれる。その勢いを利用して機動力を上げた折紙さんが接近をしてくる。
痛みを抑えながら、空を飛び離脱を試みるが振り切れそうにない。最悪なことに更にそこへ十香ちゃんがやってきた。
「鳶一折紙!」
「夜刀神十香!私はこの力で、精霊の力で貴方たちを消す!」
折紙さんは標的を私から十香ちゃんへ変えて戦闘を始める。早く、十香ちゃんの加勢にいかないと。十香ちゃんを救えないなんてことになったら、士道が悲しむ。でも、折紙さんが死んでしまってと士道が悲しむ。どうにか間に入って、戦いをやめさせるか、私にヘイトを向けさせないと。
十香ちゃんと折紙さんの戦いは一進一退。近距離高火力の十香ちゃんに対して、折紙さんは遠距離高火力。ただ、防御力は十香ちゃんの方が高いみたいで、何度も折紙さんの光線を受けているが、霊装がある程度防いできるようで目に見える出血はない。【
自分の状態に手一杯になっている間に、戦いは最終局面になっていた。
「〈
「〈
十香ちゃんは王座を斬り、超巨大な剣を生み出し力を溜めはじめる。
折紙さんは羽状のパーツを全て束ね、中心にエネルギーを溜める。
高エネルギーが今にも放たれそうになっていた。あんな物がぶつかり合ったら、この辺り一体が更地になってしまう。今、こっちに向かっているであろう、士道が巻き込まれる可能性がある。
ーーーーー私がどうにか止めないと!
痛む身体を奮い立たせ、垂れる血を省みず、自分に石突きを叩き込む。【
反転による痛みも加わるが歯を食いしばり、行動を続ける。
「〈
「やめろぉおおおおお!!!」
「「「はっ!?」」」
士道の呼び掛けに、反応し2人は技の発動を中断させ士道に注目を集めた。
「どうしてだよ!どうしてこんな事になっているんだよ!十香!折紙!」
「くっ!」
「折紙!」
折紙さんは士道の静止を無視して、そのまま空へ飛んでいってしまった。
ひとまずは、一安心。
私は痛む身体にむち打って、治療をするため家へ向かったのだった。