識別名:リーパー   作:兎秤

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 やっぱり士道と行動を共にすると、原作ブレイクしずらい・・・・・



少女は精霊の出現の理由を知った

 

 

 隕石の飛来から数時間、私達は巨大な輸送ヘリに乗って空を飛んでいました。

 

 隕石だと思われていたのは、バンダースナッチの1部出そうで、DEMが精霊を狙って返り討ちにあった結果だったそうです。アイザックが二亜さんから奪った天使の能力を使い見つけ出した、未だ発見をされていなかった精霊を見つけ出し襲ったようです。まさか、宇宙で漂っているとは思いませんでした。流石に私の霊力感知も宇宙までは届きませんし。

 

 宇宙まで行くのは流石に難しいため、士道を立体映像として宇宙にいる精霊、〈ゾディアック〉に接触をしましたが、失敗に終わりました。

 分かったことは、名前が六喰ちゃんという事と、天使の名前と能力だけです。天使の名前は【封解主(ミカエル)】、全ての物の開閉を可能とする力です。その力を使い、六喰ちゃんは自身の心を閉じてしまっており、士道がいくら口説いても心が動くことはありませんでした。

 

 六喰ちゃんは接触さえしなければ何もする気は無いと言っていましたが、DEMが放っておくはずがありません。となると、六喰ちゃんが脅迫で言っていた、地球の巡りを止める、つまり自転を止められかねません。そんなことされたら、地球が滅んでしまいます。

 という事で、ラタトスクとしても放置は出来ないわけで、現在はそれをどうにかするために場所を移動中なのです。

 

 しばらくして着いたのは格納庫のような場所でした。琴里ちゃんが言うには、ラタトスクの技術の中枢と言える場所らしいです。ヘリを降り、先行する琴里ちゃんの後をついて行くと、巨大な空中艦が止まっていました。

 

「フラクシナス・・・・・!」

 

 士道がそう呟いて、やっと私も気がつきます。それは、ラタトスクの空中艦フラクシナスでした。形が違うため気づくのが遅れました。

 

「よく気がついたわね。そう!これは今までのフラクシナスじゃないわ。ラタトスクの最新鋭の顕現装置(リアライザ)を搭載し、あらゆる性能をグレードアップした改良型・・・・・その名もフラクシナスEX(エクス・ケルシオル)!」

 

 フラクシナスは折紙さんとの戦闘で損傷し修復中とは聞いていましたが、まさかグレードアップしていたとは知りませんでした。

 まだ、発艦には時間がかかるそうで、私達は手持ち無沙汰になってしまいましたが、そこに鞠亜ちゃんから連絡が入りました。

 

『秘密基地内に琴里たちと面会を希望してる方がいらっしゃるのですが、いかがいたしますか』

「面会希望?一体誰よ?」

『はい。エリオット・ウッドマン議長です』

「・・・・・は?」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 エリオット・ウッドマン議長・・・・・議長って言われているので、琴里ちゃんの上司のでしょうか?

 

「ウッドマン卿は、ラタトスクの 意思決定機関である、円卓会議の議長よ・・・・・実質的なラタトスクのトップにして創設者。彼なくしてラタトスクは生まれなかったといってもいいわ」

 

 ラタトスクのトップですか・・・・・それは、とても興味深いですね。一体何を思って精霊の保護なんてことをする組織を作ったか聞きたいですね。アイザックのように精霊を利用するためだったら、ラタトスクとの付き合い方を考えないと行けませんし。

 

「さ、入って」

 

 目的の場所に着いたようで、琴里ちゃんが扉の横のインターホンのようなもので来訪を伝えてから扉を開き私たちを中へと誘導します。中は書斎のような部屋で壁には本がびっしりと詰められた本棚が並んでおり、奥には大きな職務机と車椅子に座った少し年老いた男性、スーツ姿の女性がいました。

 

「え・・・・・?」

「む?」

 

 その姿を見て声を上げたのは、士道と十香ちゃんでした。どうやら、七罪ちゃんと出会う少し前に2人はこの人物と会っていたそうです。琴里ちゃんに迂闊に行動したことをたしなめられていますが、笑って誤魔化しました。ラタトスクのトップがこんなので大丈夫でしょうか?いや、大物感はありますけど。

 

「さて、今日は突然すまなかったね。本来ならこちらから出向かねばならなかったのだが・・・・・」

「いえ、そんな」

 

 話している感じはただの気のいいおじいさん程度です。しかし、むしろそれが余計に気持ち悪く感じます。この人が何を思って精霊を助けているのか、全く見当がつかないです。

 

「1ついいですか?」

「君は・・・・・魂月千夜だったね?それで、何かな?」

「あなたは何の為にラタトスクを作ったのですか?」

「それは、君も知っているだろう?ラタトスクの活動目的は精霊の保護だと」

「はい、知っています。ただ、精霊の保護というあなた自身になんのメリットもない事に資金を使う理由はなんですかと聞いているんです」

 

 大人は信用出来ない。一見良さそうな人でも裏では何を考えているのかが分からない。この前、おじいちゃんで学んだばかりです。

 

「・・・・・困ったな」

 

 やっぱり、この人は敵なのでしょうか?

 

「精霊を救うこと、それ自身が私の最大の目的なんだ。それ以上でもそれ以下でもなく。だが、君はそれでは納得いかないらしい」

「さっすがに・・・・・聖人君子すぎるんじゃない?ちーちゃんの懸念ももっともだよ」

 

 私との会話にそう口を挟んで来たのは二亜さんでした。その声はいつもの陽気なおちゃらけた声ではなく、かなり真剣なものでした。

 そして、私は二亜さんの次の発言に耳を疑うことになりました。

 

「エリオット・ボールドウィン・ウッドマン。それがあんたのフルネームってのは、間違いないよね?」

「あぁ、間違いない」

 

 

 

「じゃあ改めて聞くけど・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DEMインダストリー発足メンバーの1人で、30年前初めてこの世界に精霊を出現させた(・・・・・・・・)あんたが、どの面下げてそんなキラキラした綺麗事を言ってくれてんの?」

 


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