「DEMインダストリー発足メンバーの1人で、30年前初めてこの世界に
「な・・・・・!?」
二亜さんの言葉に私だけでなく、士道や他の精霊組も息をつまらせます。それにしても、二亜さんはいったいどうやって、そんな事を知ってーーーーーあっ・・・・・
「・・・・・〈
「そっ、先月のまだあたしが完全な状態の〈
「そうか、君の天使は全知の〈
二亜さんの指摘に特に動揺することなく、ウッドマン氏はDEMを立ち上げ、精霊を出現させた1人だということを認めました。
「あぁ、そういえば紹介が遅れたね。ここにいるカレンも私と一緒にDEMを出奔した元社員だ」
「カレン・メイザースです。以後お見知りおきを」
「えっ?メイザースって・・・・・」
「はい。エレン・メイザースは私の実姉に当たります」
「「「「「「「えぇぇぇええ!?」」」」」」」
エレンさんに妹がいたとは・・・・・あれ?でも、30年前?ウッドマン氏以外は全然老けてませんよね?それに、エレンさんよりカレンさんの方が年上に見てますね。何故でしょうか・・・・・
「いえ、そんなことよりも精霊を出現させた張本人がどうして精霊を救おうと言う結論に至ったか説明していただけますか?」
「順に話そう。本条二亜の言う通り、私はDEMの発足メンバーだ、最初はウエストコットたちと同様に、精霊の力を利用することを考えていた。だか・・・・・実際、原初の精霊を目の当たりにした時、私は変わってしまった。それまでの目的を捨て、DEMを出奔してラタトスクという組織を作って、精霊の保護に自分の人生を使うことを決意した・・・・・かつての同士に背を向けてでもね」
「・・・・・その理由とは?」
一体何が彼をそこまで突き動かしたのか、私には見当がつきませんでした。
「・・・・・恋をね、してしまったんだ」
えっ?恋?Love?いや、確かに見当がつかなかったですけど・・・・・えぇぇ・・・・・恋、恋かぁ・・・・・
「初めて原初の精霊と見えた瞬間、私は彼女に心を奪われてしまった。どうしようもないくらいに、彼女に焦がれてしまった。彼女の力を奪い取ろうとしていた自分が許せなくなってしまった。だから、彼女と同じ存在である精霊が、辛い思いをしているのが耐えられない。馬鹿げた理由と笑われるかもしれないがね、私が精霊を救おうとする理由は、それが全てなんだ」
私が呆気に取られている間に、士道が1歩前に出て言葉を返しました。
「馬鹿げてなんて・・・・・いません。むしろ、何えいうか・・・・・俺はあなたが、ラタトスクを作った人が、そういう人でよかったと思います」
「ありがとう。君は優しいね。私も・・・・・霊力を封じる力を持っていたのが君のような少年であったことを嬉しく思うよ」
「いえ、そんな・・・・・」
確かに恋愛は人を変えるって言いますけど・・・・・これは信じてもいいのでしょうか?う〜ん・・・・・
私がそう悩んでいると、折紙さんがカレンさんの方に視線を向け質問を投げかけました。
「では、あんたは一体なぜそんな彼についてDEMを離れたの?」
「・・・・・私はエリオットに惚れていますので」
「「・・・・・ぶっ!?」」
またもや発せられた予想外の答えに私と士道が吹き出します。もうヤダ、この人たちと話していると頭がおかしくなりそうです。
「そ、そうなんですか?でも、ウッドマンさんはその原初の精霊に・・・・・」
「相手に想い人がいるからといって諦めねばならない道理はありません。もしも彼が心変わりをしたとき、側にいなければ選ばれようがないではありませんか」
「そ、それは・・・・・そうかもしれませんけど」
言っている事は間違ってはいないんですけど・・・・・まぁ、一途な人なんでしょうね。
「もっとも、欲を言えば、生殖行為が可能なうちに胤をいただきたいところですが。エリオットの気持ちは最大限尊重するつもりですが、彼の血を後世に残さないのは世界の損失です」
「・・・・・っ!?は、はあ・・・・・」
・・・・・やっぱり、変な人でした。
「はは・・・・・これは参ったな」
「あなたが参る必要はありません、エリオット。私が勝手にしていることです」
そこで、カレンさんの話を真剣な様子で聞いていた折紙さんが、彼女の元へ歩み寄り、右手差し出しました。
「深く理解した。あなたの気高い決意に、賞賛と喝采を」
「こちらこそ、感謝を。私の考えに賛同を示してくれたのはあなたが三人目です」
そうして、2人はがっしりと握手を交わしました。
そんなヤバい人があと2人はいるんですか!?そして、あなた折紙さんの同類でしたか!いや・・・・・無理やり襲わないあたり折紙さんより良心的では・・・・・?
今日何度目か分からない困惑をしていると、ウッドマン氏がかけていたメガネの位置を直しながら、軽く身を乗り出しました。
「すまないが五河士道。顔をよく見せてはくれないかな。最近、視カの衰えが激しくてね」
「えっ?あ・・・・・はい」
士道は言われるままに、ウッドマン氏の方に近づいて行きました。そして、ウッドマン氏がまじまじと士道の顔を覗き込みます。
「・・・・・なるほど、やはり、似ているな・・・・・あのときの少年に」
その言葉の意味を士道が聞こうとした、次の瞬間。激しい揺れが部屋を襲いました。
「・・・・・っ!?」
近くでなにか爆発したかのような衝撃が部屋を揺らし、本棚の本が床に散らばりました。
「だ、大丈夫かみんな!」
「うむ・・・・・問題ない。しかし、一体何が起こったのだ!?」
「まさか・・・・・六喰さん・・・・・ですか?」
「えぇ!?ここに隕石落とされちゃったってことぉ?」
四糸乃ちゃんが六喰ちゃんが隕石を落としたのではないかと危惧しますがそれは違います。確かに、外に霊力の反応がありますが、これは六喰ちゃんのものではありません。この反応は、反転体のもの。つまり・・・・・
『襲撃です!基地上空に空中艦の反応を確認!これは・・・・・DEMです!』
ラタトスクの基地にDEMが襲撃を仕掛けてきたのでした。