士道と令音さんがデートをしているであろう時間に、私はデートで行く予定である旅館から幾分離れた小島の海岸に立っていました。
私と向かい合うように立つのは、まるで鏡に映したかのようにそっくりな少女。私の妹であるはるちゃんです。はるちゃんの青色の瞳には、イラつきと少しの歓喜が読み取れました。
「夜中に急に〈ナイトメア〉が来たと思ったら、貴女が話をしたいとか言ってるって聞いたんだけど?」
実は時崎さんに頼んで、はるちゃんに伝言を頼んだのです。内容は端的に、『〈リーパー〉が魂月千夜について話したい』です。はるちゃん的には私が偽物かなにかと思っているようなのでこういう言い方をした方が良いと判断しました。ちなみに伝えに行った時崎さんは尊い犠牲になりました(合掌)。
「はい、まず1つ目の質問です。はるち・・・・・アナタは誰かに魂月千夜が死んだと教えられたのですか?」
「相変わらず癪に障る顔と声をしてるね。まぁ、いいや今日どうせ死ぬだろうし答えてあげる。あのクソジジイに教えて貰ったんだよ」
やはり、おじいちゃんの入れ込みでしたか。
「なら、魂月千夜の死体は確認したのですか?」
「したよ・・・・・って言っても崩壊に巻き込まれたせいで、顔がぐちゃぐちゃで判別できなかったけどね。一応DNA鑑定した結果らしいよ」
「それなら、周りが偽装しようとしたらいくらでもできることですよね?」
「そうだけど・・・・・なに?未だに自分がやーちゃんだって言いたいの?」
「そうです。はるちゃんはおじいちゃんに騙されていたんです!だから―――「言いたいことはそれだけでいい?」っつ!?」
次の瞬間はるちゃんから恐ろしいほどのプレッシャーが放たれます。しかも、これは・・・・・いや、そんなまさか―――
「〈
はるちゃんが悪魔の名前を告げると、その体にまとわりつく様に電気が走りその姿を変容させます。着ていた服は、祭司のような白い服へと変化し、首にはストラと呼ばれる首掛け布が現れます。紫のストラには金色の蠅の刺繍が施されており、風神の袋のように広がって浮かび上がり、雷神の太鼓ように雷を纏っていました。手には金色の権杖を携え、そして私を見下ろすように浮かび上がりました。
やはり、勘違いではなかった。このプレッシャーは霊力によるもの。つまりこれは―――
「―――魔王」
はるちゃんは精霊の力を手に入れていたのです。士道から聞いた話ではそんな話は無かったはずです。つまり、未来が変わりつつあると言うことです。これがいい変化に繋がるか、悪い変化に繋がるか分かりませんが、私にとっては確実に悪い変化と言えるでしょう。
「【
「〈
はるちゃんが権杖を掲げると、空中に雷で出来た無数の槍が生成され放たれます。私は慌てて天使を顕現させ回避を試みます。
「追尾持ちですか!【
雷の槍を吸収し一息着きます。完全に二亜さんの天使〈
「その力、〈
「私もよく知らないけどね。なんか、〈シスター〉の研究と人工精霊のデータ、後は〈ニベルコル〉を利用して力の一端を一時的に使ってんだって。アイクが持ってけって言うから貰ってきたけど当たりだったみたいだね」
つまり、今のはるちゃんは人工精霊に近いものということですか。DEMの研究はそんなとこまで進んでいたのですか。
「【
私が思考を巡らせているとはるちゃんがまた雷の槍を放ってきます。
「【
もう一度【
「ほらほら、【
【
「やぁぁあああっ!!」
「ちっ!」
大鎌を振り下ろすとはるちゃんは権杖でそれを受け止めます。精霊になったせいか押し切ることはできそうにありません。が―――
「【
「なっ!?」
鍔迫り合いをしていたはるちゃんの後ろに私の分身体が現れます。まずは無理やりにも動きを止めて話を聞いてもらわないといけません。私の分身体は寸分違わずはるちゃんを切り裂きました。
―――切り裂いたはずでした。
「・・・・・えっ?」
気がつくと分身体は私の義手を切り落としていたのです。まるで、最初からそうだったかのように切られたのがはるちゃんから私に変わっていたのです。
「【
はるちゃんの方を見ると、何が起こったか分からず混乱している私をニヤニヤしているのでした。