「ヤオヨロズ、展開」
おじいちゃんがそう呟くと、CR-ユニット〈イザナミ〉の背中から無数の小型無人機が浮かび上がり、そのまま私に向かってレーザーを放ちます。
「〈
とりあえず、〈
さて、こっちはこっちでどうしましょうか・・・・・私の天使は精霊以外にはめっぽう弱くなります。とりあえず、飛んでる無人機を落としたいのですが、なにぶん数が多いです。それにこの無人機、バンダースナッチに比べすばしっこく回避性に優れています。ただでさえ小さくて攻撃が当てにくいため、一機落とすのに時間が凄くかかります。死神の生成も考えましたが、撃ち落とされ霊力の無駄になる未来しか見えないのでやめました。となると・・・・・
「〈
石突を身体に叩き込み霊力を反転させます。私の霊装は、黒い軍服とコートから骨のような色をした軽装備へ変化します。
「〈
私の声と共に生成された、背骨のような蛇腹剣は一振りすると分解し、無人機を追尾しながら少しずつですが、破壊していきます。
「なるほど、ならこれはどう対応する?認証、魂月国親。〈イザナミ〉変更、〈イザナギ〉展開」
少しづつですが無人機に対応しつつある私への対策か、おじいちゃんはCR-ユニットを入れ替えました。そして、また無人機を展開します。今度は先程のように小型が無数にではなく、バンダースナッチ程の機体が3機だけでした。
「行け」
おじいちゃんが指示すると、まず刀のようなブレードを持った機体が飛び出してきます。刀と打ち合うように武器を振り下ろすしますが、無人機の武器の軌道が一気に変わりました。慌てて、武器を生み出し攻撃を防ぎますが、防戦一方となり反撃ができません。
「どうだ?その機体には、エレン・メイザースやアデプタス2等の強者のデータをインプットしてある。まぁ、データが膨大すぎてその機体には近接武器のデータしか入ってないがな」
エレンさんの戦闘データって、そんなの強いに決まってますよ!!
そして、何とかギリギリを保っていた私に新たな敵の攻撃が始まります。3機の内の一機が円盤のような羽を広げ、その先々から光線を放ってきました。近距離の対処で精一杯な私は回避できず、光線は私のみを削ります。
「くっ!【
遠距離型をどうにかするため分身体を生み出し、攻撃されるが残った最後一機、刀と光線を放つ羽を携えた3機目がそれを邪魔します。私も分身体も攻めあぐねていると、遠距離型が円盤の中心にエネルギーを貯め始めました。そのエネルギーは肌で感じ取れるほど膨大でいくら精霊の私でもひとたまりもありません。そして、残酷にもそのエネルギーは私へと照準を定め放たれる―――
―――事はありませんでした。
遠距離型の胸を剣が貫いたのです。遠距離型はスパークをはじけさせながら、そのまま落下していきました。
「やーちゃん、無事!?」
「はるちゃん!」
遠距離型の胸を貫いたのはニベルコルとの戦いを終えた、はるちゃんでした。
「こっからは私も相手だ、クソジジイ!!」
「申し訳ありません!千陽お嬢様を逃しました」
「なにをしてるんだ!くっそ!お前が前に立って戦え!ヤオヨロズで援護する!認証、魂月国親。〈イザナミ〉変更、〈イザナギ〉展開」
「はっ!」
はるちゃんを追うように戻ってきた中居さんとおじいちゃんに対して、私とはるちゃんは向き合い戦闘に備えます。しかし、そこから戦闘になることはありませんでした。
「なっ!?―――何をしている!!中居!!!」
中居さんが後ろからおじいちゃんを貫いたのです。突然の裏切りに私は目を白黒させてしまいます。中居さんの持つ刀型のブレードからは炎が吹き出しておりおじいちゃんの身を段々と焼いて行きました。そして、中居さんが刀を抜くとおじいちゃんは力なく地面に落ちていきました。私は謎の行動をとった中居さんから目を逸らさず警戒を続けました。
「大丈夫だよ。やーちゃん」
「はるちゃん?」
警戒を解くように促したのは、まさかのはるちゃんでした。そして、困惑している私に中居さんが近づいて来ます。中居さんは私達の近くまで来ると、CR-ユニットを解除し、それと同時に何かの端末を取り出し操作します。すると、中居さんの顔がみるみると変化し、はるちゃんにそっくりな金髪蒼眼になりました。
「あ、貴女はいったい・・・・・」
私が恐る恐る、問いかけると中居さんは優しい笑みを浮かべながら答えました。
「私の名前は、フレア・ステュアート。ラタトスクのメンバーで魂月重工の潜入スパイ。それから、貴女の叔母にあたるわ」
「は?へぇ?えぇ!!?」
突然の情報に頭がついていかず変な奇声を上げてしまいましたが気にしません。そんな事よりも、お母さんの姉妹!?中居さんが?それにラタトスクのメンバー?一体全体どうなってるんですか!?
「ねー、私もビックリしたよ」
「それで済ましていい問題じゃないですよ!」
「でも、この人私に似てない?」
「確かに・・・・・そうですけど・・・・・」
「ぷっ、くくく―――」
はるちゃんと言い争いをしていると、中居さんもといフレア叔母さん?が笑いだしました。
「あ〜、ごめんごめん。なんか2人の両親。姉さんと義兄さんを見てるみたいで」
「お父さんとお母さんをですか?」
「うん、2人とも顔は姉さんにそっくりだし、千陽ちゃんに至っては瓜二つ。性格は千陽ちゃんは義兄さん似で、千夜ちゃんが姉さん似かな」
フレア叔母さんが懐かしむようにした後、直ぐに切り替えた顔し、私たちに向き直ります。
「さて、千夜ちゃん、それに千陽ちゃん。現在、ラタトスクはDEMとの戦闘中でアイザック・ウェストコットがフラクシナスに乗り込んでからは通信が出来てないわ。一刻を争う状態だから加勢に行って欲しいのだけど」
「分かった!フレア叔母さん!」
「おばっ!・・・・・フレアさんって読んでちょうだい?」
オバサンと呼ばれたのがよっぽど嫌だったのかフレアさんは訂正を求めてきました。顔は笑顔のはずですが物凄く怖いです。
「わ、分かりました、フレアさん。あと、はるちゃんとおじいちゃんをお願い出来ますか?」
「やーちゃん!?私もまだ戦えるよ!―――いでぇ!?」
詰め寄ってくる、はるちゃんの額にデコピンをいれます。度重なる戦闘に初めての精霊化、精霊化の無理やり解除。これだけの事があって、まだ戦えるわけがありません。
「大人しくしてなさい。お姉ちゃんの目は誤魔化せませんよ」
「姉と言っても数秒―――痛いっ!分かった!わかったからデコピン止めて!」
ひぃーとおデコを押さえながら、はるちゃんはフレアさんの後ろに隠れてしまいました。
「それでは、行ってきます」
私は浮かび上がり、士道の元へ向かうのでした。