識別名:リーパー   作:兎秤

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少女は謎の想いに困惑した

「どうして、(わたくし)を助けたのですか?」

「士道が時崎さんを助けたがっていたからですが?」

「そんな理由で・・・・・まさか・・・・・いえ、これを言うのは野暮というものでしょう」

「?」

「それでは、(わたくし)はこれで」

「あっ、ちょっと待ってください」

 

 その場から去ろうとする時崎さんを引き止めます。話したいことが他にあるからです。

 

「時崎さんは、霊力が欲しいんですよね?」

「まぁ、そうなりますわ」

「じゃあ、私があげるから士道から手を引いてくれないですか?」

「貴女が?それは、貴女1人の霊力で士道さんの事を諦めろとおっしゃいますの?」

「いや、流石に一気に全部はあげられないですよ。でも、私の霊力は他の精霊よりも多いですし、他から奪うことだってできます。それを少しづつ時崎さんに分けるということです」

 

 悪くない取引だと思いますけど・・・・・乗ってきますでしょうか?

 

「成程、話は分かりましたわ」

「了承ということでいいんですか?」

「いいえ、それぐらいでは士道さんの事を諦める事は出来ませんわ。それに、こちらにもカードがありますのよ?」

「え?」

 

 この場合は、交渉のカードの事だろうですけど・・・・・何かありましたっけ?

 

「貴女は士道さん達に精霊だということを隠していますでしょ?」

「あ・・・・・あ!まさか・・・・・」

「その通りですわ、ばらされたくなかったら霊力を無償で下さいまし」

 

 忘れてたぁぁあああああ!!あれ?形勢逆転されてません?

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!じゃあ、こうしませんか?私は時崎さんに最初の想定していたのより多い霊力を定期的に渡します。なので時崎さんは士道がピンチな時は手を貸して、少しだけ襲撃回数を減らして下さい。これでダメでしょうか?」

「・・・・・仕方ありませんわね。貴女には助けられた借りもありますし。それでいいですわ」

 

 よかったです。なんとか丸くまとまりました。

 

「それでは、早速霊力を移しますね。手を貸してください」

 

 時崎さんの手をとり霊力を自分の中から時崎さんに移動させます。

 

「終わりですね。契約の事、ちゃんと守ってくださいね?」

「分かっていますわよ。それでは、また会いましょう」

 

 時崎さんは暗闇に消えて行きました。私も帰りましょうか。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

〜後日〜

 

 

 私はプールに来ています。目的は士道と琴里ちゃんのデートのサポートですが、そこまで手を出す訳にも行きません。まぁ、基本的には十香ちゃんと四糸乃ちゃんのお守りでしょう。適当に楽しんでいきましょう。

 

「千夜行くぞ!」

「早く・・・・・行きま・・・・・しょう」

「レッゴ〜」

 

 十香ちゃんと四糸乃ちゃん、よしのんが私を急かします。十香ちゃんは紫のビキニで四糸乃ちゃんはピンクのワンピースです。よしのんもちゃっかり水着になってます。うん、みんな可愛いですね。カメラを持ってきておいて正解でした。

 

「先に行っておいてください」

「うむ、早く来るのだぞ」

「行って・・・・・きます」

「早く来てねぇ〜」

 

 3人は勢いよく更衣室を出ていきました。

 

「悪いわね、千夜姉。十香達のお守りを任せちゃって」

「全然いいですよ。琴里ちゃんは大好きな士道とのデートを楽しんで下さい」

「なっ!?し、士道の事なんて!」

「はいはい。行きますよー」

 

 琴里ちゃんを置いて更衣室を出て士道達の元へ移動します。

 

「士道、十香ちゃん達は私に任せて琴里ちゃんにかまってあげてください」

「おう、悪いな千夜」

「いいえ、むしろ役得ですので」

 

 カメラを構えて楽しそうに遊ぶ3人を収めます。

 

「はははは。程々にしておけよ」

 

 一体なんのことでしょうか?まぁ、いいです。とにかくみんなのかわいい姿を残しておきましょう。

 

 流れるプールではしゃぐ十香ちゃん、氷山の上に居る四糸乃ちゃん、ウォータースライダーから吹き飛んでいく琴里ちゃん達、いい絵が撮れてますね。

 

 あれ?士道と琴里ちゃんの姿が見当たりませんね。うん、あれは!士道がいつも耳につけてる通信機じゃないですか!?

 

「もしもし、こちら魂月千夜。応答願います」

『あぁ、千夜さんですか』

「その声は神無月さんですね?士道達はどうしたんですか?」

『実は士道君がそれを外してしまって、今は遊園地の方にいますよ』

「なら、私はこっちで他の子の面倒を見てますね」

『申し訳ありません、お願いします。何かあったら連絡しやすいようにそれを付けたままにしておいて下さい』

「分かりました」

 

 士道、頑張って下さい。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

『千夜、聞こえるか?』

「村雨さん?どうしたんですか?」

『シン達が鳶一折紙に襲撃された。その場から避難してくれ』

「・・・・・大丈夫なんですか?」

『大丈夫とは言えないがこちらでやれる事はやるつもりだ』

 

 通信を切る。確かに爆発音が大きくなってきている。前よりも威力が強い機体でも持ってきたのでしょうか?

 

 とりあえず、十香ちゃんと四糸乃ちゃんを連れて避難してそのあと助けに行かないと。あっ、インカムのせいで私の位置が分かってしまうじゃないですか!困りましたね、とりあえず避難・・・・・って、あそこに飛んでいるのは十香ちゃんと四糸乃ちゃん?どうしましょう・・・・・絶対やばいですよね。

 

 インカムさえどうにか出来れば・・・・・よし、壊しましょう。

 インカムを壊して更衣室で霊装を展開します。

 少し時間がかかってしまいましたね・・・・・急いで向かいましょう。

 

 私が着いた時には士道が琴里ちゃんの霊力を再封印し折紙さんの前に立ちはだかっている時でした。

 

「折紙、お前さっき言ったよな。自分の仇は炎の精霊〈イフリート〉であって人間の五河琴里じゃないって、もう琴里は精霊じゃない人間だ。だから俺を狙え、今は俺が〈イフリート〉だ!」

 

 つまり、琴里ちゃんの変わりに自分を殺せと言っているようなものです。バカなんですか!

 私は、いつでも飛び出せるように準備をしておきます。しばらく、士道と折紙さんが話していましたが折紙さんが倒れたところで中断されました。

 

 ふぅ、今回私は必要なかったですね。

 それにしても士道は女たらしになっているのかと思いましたが変わってませんでしたね。誰か困っている人がいたら見過ごせない、それがどんな人であろうと手を差し伸べます。十香ちゃんの時も四糸乃ちゃんの時も時崎さんの時も、今回の琴里ちゃんの時も。そして、あの時(・・・)も・・・・・・・・・・なんでしょうか・・・・・この感じは?

 

 私は何故か早く大きくなる胸の高鳴りや、不思議な感覚に疑問を持ちながらもその場をあとにしました。

 




 士道の事を気になっているでも自覚は無いみたいな感じでいきたいと思います。

 記述されてませんが、千夜の水着姿は白と黒の縞模様のビキニでパーカーを羽織っています。

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