お気に入り登録ありがとうございます。国内旅行編2話目です。
「曇って来たな・・・・・」
「曇って来ましたね・・・・・」
八丈島からの帰り、天気が悪くなってきました。風も強く吹き始め、海は波が高くなってきています。
十香ちゃん達は船の中にいて、私達は気分転換で外に出てきた所でした。外にいる人は少なく、小学生ぐらいの子供が数人遊んでいる程度です。
「この状況で遊んでいられる子供って凄いよな」
「士道・・・・・おじいさん見たいですよ?」
しばらく、遊んでいる子供達を見ながら雑談をしていると雨がポツポツと降り出してきました。そろそろ戻ろうとした瞬間、かなり強めの風が吹き甲板で遊んでいた女の子の帽子を吹き飛ばしました。帽子を飛ばされた女の子は慌てて帽子を追いかけ、その子は帽子を海に落ちる前にギリギリ甲板の柵から身を乗り出して帽子を掴み取りました。その時、船が波によって大きく揺れました。バランスを崩しその子は船から転落しかけました。
「ーーーーーっ!!危ないっ!!」
たまたま、近くにいた士道が飛び出し女の子を手を引き船に引き戻します。しかし、引き戻された女の子と変わるように士道が海へ落ちて行きました。
「士道っ!!」
私は、近くに設置されていた浮き輪を掴み船から飛び降り海に飛び込みます。
ーーーーー士道っ!どこですかっ!?
暗い海の中では視界が効かなく人影を見つけることが出来ない、また荒れた海ではプロでも思うように前に進めないものです。普通の人間なら到底助からないでしょう。そう、
ーーーーー見つけましたっ!士道、今行きますっ!!
私は精霊です。士道限定になりますが霊力を探れば位置は分かります、荒れた海でも苦なく進むことが出来ます。私は士道の手を掴み海面まで引っ張り上げました。
「ーーーーーぷっはぁ!」
海から出るとさっきまでの景色と変わり、辺りがかなり暗くなり、大雨が降り波が凄く高くなっていました。船はかなり遠くまで行ってしまっています。落ちたのを見たのは子供達だけです、まともに救援が来るとは思えません。士道も引き上げた時から脈はありますが息をしていなく、一刻を争う状態です。迷ってる暇はありません。
私は霊装を纏い士道を抱えて空を飛び、近くの島まで運びます。
えっと、こういう時はなんて言いましたっけ?確か、心肺蘇生法でしたっけ?とにかく、始めましょう。私は、士道を砂浜に寝かし蘇生法を開始したのでした。
士道!こんな所で死ぬなんて許しませんよ!
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「かはっ!ーーーーーけほっ、けほっ!」
「士道!!」
蘇生法を続けると士道が水を吐き出し、息を吹き返しました。良かったです、これで一安心です。
「・・・・・千夜?あれ?俺は・・・・・」
「海におちたんですよ!全く無茶しますね、こっちの身にもなってください!!」
「あぁ、悪い・・・・・」
「本当に・・・・・心配・・・・・したんですから・・・・・」
目頭が熱くなり目に涙が溢れてきます。あれ?なんで涙が出てくるのでしょうか?まぁ、幸い雨のおかげで士道には気づかれていないでしょう。あぁ、安心したらなんだか意識が遠くーーーーー
「千夜?・・・・・千夜!?千夜!!」
私はそこで意識を失いました。
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〜士道視点〜
千夜が倒れてから千夜を運び雨宿りできる洞穴に入った。千夜には外傷は無く熱もあるわけではなかった、ホッとして気が抜けたのだろう。
「しっかりしねぇとな・・・・・」
千夜にとって身近な人が死にそうになるなんて、トラウマを引き出しかねない事だ。千夜はあの時から変わってしまったな・・・・・
『お兄ちゃん』
『士道』
『士道君』
ふと昔の光景を思い出した。・・・・・昔はもっと落ち着いてい物静かだったな。でも、あの日からーーーーー
「ーーーーーおっと、いけないな・・・・・気分が沈んできた。今はとにかく琴里がフラクシナスで見つけてくれるまでどうするか考えないとな」
まず、服をどうするか。濡れたままじゃ風邪引くよな・・・・・でも、千夜のをぬがすのは・・・・・うん、とりあえず、たき火の為の乾いている木の枝を探すか。ついでに食べれるものを探そう。
俺は森の中を進んで行った。
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パチパチと弾ける音で目が覚めます。
「千夜、目が覚めたか?」
「士道?」
目を覚ますと士道がたき火を作っていましたーーーーーパンツ一丁で。
「士道?今ならまだ弁解を聞きますが?」
「いや、好きで脱いでるわけじゃねぇよ!濡れたままじゃ風邪引くだろ?」
「確かに・・・・・」
それは、問題ですね。いつ助けが来るか分からない状態で体調を崩すのは良くないことです。その点、士道の判断は正しいでしょう。
「それで、その・・・・・悪いと思ったんだけど・・・・・」
「どうしたんですか?士どーーーーー」
次の瞬間士道の言わんとしていることが分かりました。問題があったのは私の格好です。士道と同じで下着だけの姿でした。
「ーーーーーっ!!?」
「いや、風邪を引いたらまずいし・・・・・その、スマン・・・・・」
「・・・・・士道は私の為を思ってしたのですよね?なら、いいです。今回は不問にしますーーーーーあんまり、こっちを見ないでください。恥ずかしいです・・・・・」
「すっ!すまん!」
こうして、私達のサバイバル生活がスタートしました。